尾篭な話の続きですので、興味のある方だけどうぞ、、、、。
あれから20年近く、背面切開術も、環状切除術もいくつも経験しましたが、あのときのことは決して忘れることはありません。医学部時代に同じご遺体を解剖 した4人のうち3人が泌尿器科医になりましたが、そのうちの一人は、「赤ちゃんへの背面切開」を勧めています。これについては泌尿器科医でも賛否両論があ るのですが、私は賛成派です。生まれてまもない赤ちゃんに背面切開をすると、縫合の必要もなく1週間もあれば傷は治癒しますし、成長の過程で切開したこと などわからなくなってしまいます。切開しておけば、恥垢も簡単に洗い流せますので、前稿に述べたように、赤ちゃんの亀頭包 皮炎も予防できます。そして、私の友人の弁によると、「おちんちんが大きく育つ」のだそうです。
彼が自身の息子の切開をしたという話を聞いて、妹の息子一 人の切開を、(自分ではやりたくなかったので)当時勤務していた大学の教授にお願いしました。「お前、自分でやれよな~!」とのたまいながら、眼科用の小 さなハサミで切開して下さいました。実に生後1ヶ月未満だったと記憶しています。彼が1歳頃には、完全に包皮は剥けていましたし、おちんちんの成長も早い ように思います。
そして、双子を授かったときに、自分で切開しようと決意しました。しかし、未熟児で生まれた息子になかなかハサミを入れる勇気が出せず、生 後2ヶ月ほどで、まさに清水の舞台から飛び降りる感じで切開しました。勿論、「ぼく」は大泣きしました。まだ小さかった、はだかんぼの「ぼく」を抱きしめな がら、私も泣きました。世の中には、自分の家族の体にメスを入れることが出来る外科医がいますが、もしかしたら私には無理かもしれないと、そのときに思いまし た。
あれから半年以上経ちました。切開創は数日で治癒し、生後3ヶ月にもなると、既に包皮は半分以上剥けています。これから少しずつ剥いてゆく予定なので、1歳頃には完全に剥けているのではないでしょうか。
小児の包茎の処置については、泌尿器科医でも意見が分かれるところですので、これは私個人の意見と経験でしかありません。もっとも、小児に対する環状切除はやりすぎだと思っています。ユダヤ人やイスラム人は子供に対して環状切除を行います。痛みの感覚があまりない生後8日目で行うという話を聞いたことがありますが、環状切除は背面切開に比べれば、大きな侵襲のある外科的処置です。包皮をぐるっと一周切除するのですから。
実はスウェーデンでは、公立病院で小児へ環状切除をするかどうか医療区によって扱いが異なっています。認めている医療区における考え方は、もし認めなければ、「イスラム人は自分の家の台所で、環状切除を子供に行う」事例が増加し、出血や感染などといった処置後の合併症処置は病院で行うことにより、環状切除を行う以上にコストがかかる、というものだそうです。スウェーデンの病院で働くようになって、成人イスラム人の診察をすることも良くありますが、亀頭が見事につんつるてんになっていて、つまり、包皮が全くないのです。また、ある程度歳になってから、美容形成クリニックなどで環状切除を行うと、どうしても、縫合部の皮膚の色が同じにならず、ツートンになってしまうため、手術したことを隠すことはできません。しかし、彼らの場合、小児で行っているため、ツートンにはならないのです。しかし、あそこまでつんつるてんだと、却って違和感を感じてしまいますが、、、。スウェーデン人は、あまり包茎にはこだわらない?のか、日本人と同様、仮性包茎が多いです。
やはり、赤ちゃんに環状切除をするのは反対だなあ。勿論、国により、HIVなどの感染予防のために、環状切除を行うという場合は別ですが、、。また、成長の過程で、「仮性包茎(勃起時には亀頭が露出する)」であれば問題はないのですが、勃起しても亀頭が露出しない、「真性包茎」は環状切除の医学的適応になります。恥垢がたまると、不潔であるだけでなく、陰茎癌の原因になります。陰茎癌の患者さんはもれなく包茎です。真性包茎ですと、バルーニングという現象が見られることがあります。排尿の際に、包皮と亀頭の間に尿がたまって、風船のようになる現象です。
環状切除(circumcision)反対の活動家までいるのは、知りませんでした。包茎に対する考え方には、さまざまなものがあって、非常に奥が深い。大論文が書けそうなくらいです。スウェーデンでは幸い、小児泌尿器科は完全に独立しているため、私は小児を診察しない環境にありますので、包茎に関してはお気楽なものです。
なるほど、この話が「その弐」で出るんじゃないかと思っていました。アメリカ生まれの息子(ユダヤ教でもイスラム教でもありませんが米国では一般的)は生まれて2日目にかかりつけになることになっていた普通の小児科医によって、circumcisionを受けました。当時スウェーデンに来ることになるとは思ってもおらず、夫が人とちがうと高校生になってロッカールームでいじめを受けるかもという理由で強く希望し、日本だったら逆だなあと思いながらも、男の決断に任せました。確かに周りでよく聞く炎症だとかには全然ならずにいるし、よく男の子の身体の仕組みを分かっていない私でも清潔に保たせることができていますが、どうなんでしょう。。。難しい問題ですね。
mariyaさん。お見通しだったのですね!息子さんは環状切除をなさったのですね!当然、全身麻酔ですよね。生後2日ですと、全身麻酔の危険性もありますし、かなりアグレッシブですね。
手術や麻酔に関するリスク、医療費の面から、生後まもなくの背面切開がバランス的に優れているのではないかと、個人的には思っています。医療費のご負担はなさったのでしょうか?それとも、保険診療?日本やスウェーデンでは、すべての子供に環状切除をすると医療費はパンクしてしまいますから、難しいです。
それにしても、環状切除を受けていれば、感染のリスクもありませんし、おちんちんの成長も良いらしいですし、良かったですね!
全身麻酔という話は聞いていないので、もしかしたら違うのかな?それに保険で全部賄われていました。謎です・・・。アメリカではほとんどの男児が生まれて2日目、退院前に割礼するようです。
mariyaさん。局所麻酔で、環状切除ですか!?割礼は背面切開のことですが、割礼なら数秒で済みますので、局所麻酔なしでも大丈夫なのですが、、、。
わたしの新知識は
スウェーデンでは小児泌尿器科は独立!です。
ちょっと不思議な感じもしますが
小児と成人では泌尿器科受診の
需要の差がありますよね。
お国事情や宗教・思想が絡むので
結論は簡単ではないでしょうが
母である私たちには介入しずらい領域には
『父心』が決定権を持つのは当面の現実でしょうか。
件の話題を主人にもしてみたところ
『男性同士でもデリケートな話題だから
相手によっては話題を出さない』とのことでした。
個人的には清潔面を優先事項と考えて
背面切開に賛成一票で。
先に聞いてたら、絶対息子達に処置してもらったな、と
思う母です。
こぐまなみんさん。
小児泌尿器科の扱う疾患には、先天性奇形などが多く、成人泌尿器科とはずいぶん違うのですよ。
背面切開に一票いただき、ありがとうございます。コスト、侵襲、効果の面を考えれば、もっともバランスの良い治療だと思います。
そうですね。父親が、もし、自分が赤ちゃんに戻れるとしたら、やって欲しい治療法、を選ぶのは良いかもしれませんね。
こんばんわ。
小さな赤ちゃんの手術、
痛々しいけれど、将来を考えると必要なんですね。
関係ないですが、
臼蓋形成不全も、
赤ちゃんの時発見されて
こう、ベルトで吊るすみたいにすると
屋根ができて、成人した時、正常になるとか??
小さい時の施術は、大切なんですね。
ガムラ スタンさん。
小さいときの傷の治り方は、素晴らしいですね。やはり、若い組織の力はすごいです。
早く治療できると良い疾患は沢山ありますね。
ところで、おまけの話です。
笑って聞いて頂ければ幸いですw
実はうちの長男(現在小学四年生)は生まれつき
「剥けてて」・・・ですね(笑)。
産後初のオムツ替えの時に
あれ?と思ったモノの、疲れやら慌ただしさで
そのまま気にせずにいたのですが。
さすがに1週間ほどで
『これ新生児のおちんちんと違うだろ!』と。
友人達に男の子が多かったので
割とオムツ替えも良く眺めてましたが
こんなこどもいなかったよーと
主人と何かとネタにしてます。
(主人は『男子として同級生に対して
大変優位に位置している』とのコメントでしたw)
おそまつさまでした~
こぐまなみんさん。
ラッキーなおぼっちゃまですね~。女の子でも、秘かにおっぱいの大きさを比べたりしますが、男の子ですと、おちんちんの比べっこになります。しっかり剝けていたり、立派な大きさだったりすると、やはり優越感があるでしょうね。おっぱいの大きさより重要だと思います。