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国際女性デーに寄せて

スウェーデンに移住してから知った、国際女性デーの存在。毎年、3月8日です。

職場に転がっていたMetroを何気なく開くと、興味深い記事が載っていました。

(日本で言えば)男女共同参画大臣とでもいう肩書きの、jämställdhetsministerがFPのNyamko Sabuni(写真)が、「スウェーデンは男女平等ではない。」というコメントを出しました。

 

2011年の国連の統計(UNDP:s Gender Inequality Index )によると、

1位: スウェーデン

2位: オランダ

3位: デンマーク

4位: スイス

5位: フィンランド

以下、6位、ノルウェー、7位、ドイツ、8位、シンガポール、9位、アイスランド、10位、フランスの順になります。

それにもかかわらず、スウェーデンが男女平等の国である(ja)と答えたのは、女性(kvinnor)で9%、男性(män)で26%、全体では18%にしか過ぎません。大都市(Storstad)ではそれ以外の地域(övriga sverige)より高い傾向があります。流石に、「全く平等ではない(inte alls)と答えた人は女性でも11%にとどまりますが、かなりの不平等感がある(Nej、inte helt)と答えた人は、男女ともに高い割合を示しています。

日本から来た私にしてみれば、日本と比べると、非常に男女平等だと感激することが多いのですが、スウェーデン人にとってはまだまだのようです。特に、育児に対する女性の負担が大きいことや、賃金の男女格差が問題のようです。しかし、子供を産むのは女性だし、出産や育児に関する女性の負担が、男性に比べて大きいのは生物学的に考えても仕方がないことのようにも思いますが、専業主婦なるグループが未だに存在する日本と異なり、スウェーデンでは、殆どの女性が勤労しているという事実を考えれば、男女平等でないという評価も納得できるように思います。スウェーデンにおける専業主婦の割合を示す統計を探すのは非常に困難なのですが、移民を除く通常のグループに限って言えば、専業主婦は殆ど存在しないといって良いと思います。日本では、「夫が高収入」などの理由で専業主婦に甘んじている女性も多いですが、スウェーデンでは、高収入の夫であっても妻も働いているのが当たり前です。日本で問題になっている、「三号被保険者」の存在など、スウェーデン人には理解できません。

 

他業種と異なり、私はありとあらゆる階級の人間と毎日会っていますが、その中で出会う専業主婦(hemmafru)のほぼ全ては移民で、特に頻度が高いのがモスリムです。子沢山の人も多く、子供に対する手当てだけで、何年間も食いつなぐことができるという事情もあるようですが、長期間スウェーデンに住んでいてもスウェーデン語が話せず、外来受診には通訳をつける(勿論、公費です!)人がかなりいるのには、驚きです。やはり、スウェーデンに移住した以上、言語を学び、勤労して税金を納める努力をすることは、人間として当たり前のことだと思うのですが、、、。

 

女性が経済的に自立しているということは、男女平等の社会を形成する上で、必要不可欠なことだと思います。勿論、女性を支援する社会システムの確立も重要ですが、女性側の姿勢として、自立の努力なしに不平等を唱えるのは筋違いだと考えています。女性が経済的に自立していることで、スウェーデンでは離婚も多い。それを批判する人もいますが、「離婚したくても、経済的に自立できないが故に離婚できない」ことの方が、女性にとっては悲劇なのではないでしょうか。

 

この国際女性デーに合わせたかのように、スウェーデンを代表するカップルの別居が報道されました。

スウェーデンの若き首相、Frederik Reinfeldt(46歳)と、同じ穏健党の政治家である妻のFilippa Reinfeldt(44歳)。二人は若い時から政治に関わり、出会いは1989年、穏健党の青年部で、時に、Frederikは24歳。その後、1992年に結婚し、現在、18歳、16歳、11歳の3人の子供がいます。長男は同じく穏健党の青年部で活躍しています。今年、結婚20周年を迎える二人。若いながらそつなく首相の任務をこなすFrederikと、自立する女性Filippaは、まさにスウェーデンの顔ともいえるお似合いのカップルで、不和の噂なども今までありませんでした。既に、家族がそれまで住んでいた邸宅は売却され、カップルは別居しています。離婚届が受理されるまでに6ヶ月の考慮期間があるので、まだ離婚した訳ではなく、離婚に至る事情も殆ど報道されていません。

その後の新聞で、「Jag mår jättebra(とっても気分がいいわ)」という見出しの記事がありましたが、実は離婚をしたかったのはFilippaの方だったようです。First ladyということで、自身の政治家としての活動に制限が加わることも多く、FrederikはFilippaには、First ladyを優先してほしかった模様。Filippaは所謂、県の政治家で、医療に関する分野の仕事をしています。2007年にストックホルム地域の診療所だったSerafenを数人の医師グループにに694 500クローナで売却され、最近、そのSerafenが2千万クローナでCapioグループに転売された報道により(記事)、Filippaの最初の決断が大きく非難されました。その際、FrederikはFilippaを支持しない立場を取っていましたが(記事)、それが今年の1月で、このことも別居を加速させたのかもしれません。

因みにSerafenは、ストックホルム市庁舎の真向かいにあり、歴史のある建物の内部を改造して作られた大きな診療所。婦人科の定期健診などでは私もお世話になっています。

 

Fast ladyが離婚を希望するなんて、日本ではありえない話。その是非は別として、スウェーデン人女性の自立心を感じたニュースでした。

去年のノーベル賞の晩餐会では、仲睦まじい姿を見せていたのに、あれが最後だったのですね。

8 comments to 国際女性デーに寄せて

  • まー

    たくさんの内容が詰まった記事を、いつもありがとうございます。
    今回も、ひとつひとつあるのですが、一番は、やはり、ラインフェルト夫妻、悲しい結末ですね。もしファーストレディーになっていなければ、夫婦関係がそこまで悪くなることもなかったかもしれない。本当に、大変ですね。

    • まーさん、コメントを有難うございます。また、お返事が遅れまして申し訳ございません。

      そうですね。人間はやはり一つ手に入れれば、一つ失うものもあるのでしょうか。お似合いのカップルだと思っていただけに、とても残念です。

  • ゆきこ

    初めてコメントしてみます。
    ご無沙汰しております(というか、もし覚えていてくださったら嬉しいです(笑)。

    日本で働いていたころ、「高収入の夫」と結婚する=女の人生のリセット、という考え方が男女ともに割と社会的に受け入れられているのを見て、なんだかあぶなっかしい世の中だなぁと思っていました。また、潜在能力としてはとても優秀だろう女の子が重要な労働力として動機付けられていない一方で、並の仕事をとっても非効率に進めたがるおじさん(そして理不尽な理由で部下に迷惑をかけがち(苦笑))の量が思ったよりも多くて、もったいないなぁとも思っていました。
    スウェーデンで働き始めたのですが、仕事の内容は同じでもこういうストレスがかなり少ない状態がとっても新鮮です。むしろ平等すぎて心の中でおどおどしてしまいます!

    • ゆきこさん。

      覚えていますよ。
      就職、おめでとうございます!スウェーデン社会に入るということには、働くということが含まれていますから、いよいよこれからですね!働き始めれば、それなりにスウェーデン社会の裏側や見たくない点も見えてくると思いますが、どこにも完璧な社会などありません。それでも、男女平等に労働することで、日本よりも進んだ男女平等社会が成り立っていることは、当たり前でもあり、清々しい感じがします。

      頑張ってください!

  • はじめまして!

    勉強になる話題をありがとうございます。

    私はアラサー女子で、スウェーデン人の彼がいます。スウェーデンへの移住も考えていますが、彼は私が働かなくても構わないようです。日本では、専業主婦がまだ普通ですので、スウェーデンでもそんなものかと、軽く考えていたのですが、そうではないのですね。既に移住されている日本人のブログを読んでも、あまり危機感が伝わってきません。drpionさんのように専門職ではない人間がスウェーデンへ移住するとしたら、どんな生き方があるのか、アドバイスいただければと、ぶしつけですがよろしくお願いしますm(_ _)m

    • 「はじめまして!」さん。コメント有難うございます。これから、いろいろな人生の可能性がありそうですね!

      お返事が長くなりそうなので、記事としてupするつもりです!

  • Keiko Watanabe

    男女平等という素晴らしい思想に、異を唱えるのはどうかとは思ったのですが、、そもそも男女平等を男女それぞれが都合良く受け止めている感が世界中どこであろうと否めません。。。書くと長くなるので実例はここであげませんが、男女平等を唱えながらも女性であることを理由に多少甘やかされることを望み、レディファーストじゃないと怒る女性、何かの支払いの時、就寝のとき、女性の妊娠の時のみ男女平等を唱える男性。
    身体の仕組みが根本的に違うのですから、それを理解し合って、欠点を補い合い助け合っている組織や人間関係のほうが、結構うまくいってます。そうじゃない組織もあるのですかね。

    • Keikoさん。
      「身体の仕組みが違うのだから、、、。」という点、同感です。
      最近、フェミニズムを訴えるスウェーデン人女性が、公衆の面前で胸をさらけ出して、大きな議論を呼んでいましたが、「男女は違うものだ」という前提のもとに、平等を考えるべきだと思っています。

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