5月13日の大阪市長・橋下氏の発言が物議を醸して久しい。海外から非難され続けても、彼は自分の足元に穴を掘り続けている。しかし、また、橋下氏が辞任に追い込まれることがない日本社会。これがスウェーデンだったら、橋下氏は即座に辞任である。因みに、私は、スウェーデンに住んでいるからといって、スウェーデン賛美者ではないことを、再度断っておく。しかし、橋下氏の発言には、私も大きな怒りを覚える。
橋下氏の発言に関しては、改めて解説する必要もないが、「日本軍の従軍慰安婦が必要であった」という発言。海外では、慰安婦が「sex slave」と訳され、あらゆるところで彼の発言が非難されている。当然のことだ。しかし、非難されればされるほど、彼はTwitter上で激しく反論し、墓穴を掘っている。そして、「あの発言は、「当時必要だったということ」で、現在のことではない」などと弁解しているが、実際、そうではないのは次の発言から明らかである。
タイトルどおり、「沖縄米軍海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しい」と言ったら、そんなことはとんでもないことで、その話をすることを拒否された、ということを紹介したもの。「建前ばかり言っているから、、」と本音で話すことを説いているが、この世の中、本音が通るものだと本気で考えているのだろうか。ましてや、殊に政治家たるもの、建前は重要であるし、とりわけ、こんな話題に関して本音で話すべきと勝ち誇ったように言っているのは、正気の沙汰とは思えない。そもそも、「法律の範囲内」での風俗業こそ建前であり、法律の範囲を超えたサービスが風俗業でまかり通っていることを、知らないとは言わせない。
どんな状況におかれても、性欲の捌け口として性風俗サービスの提供を女性から受けることは間違っている。射精が必要なら、マスターベーションをすればよろしい。女性として、女性蔑視の橋下発言はとても許せるものではないし、さらには、自分の発言の不備を粉飾するために、「当時は」という点にすりかえようとし(それは、海兵隊司令官への助言から、「現代も」必要であると考えていることは明らかだが)、一層牙を剥くスタイルには吐き気さえ覚える。
スウェーデンでは女性蔑視や人種差別など、差別に関するモラルのハードルは極めて高い。あまりに高いために、それらに関することは話題にしない方が無難である。そんなこともあって、政治家はこの手の話題には一層気を使う。最近も、差別発言をした政治家が相次いで辞職に追い込まれた。こんな状況にあっては、建前発言は当たり前である。しかし、建前だけで社会は良くはならないので、相当に配慮した上での本音は必要である。スウェーデンでは、橋下氏は即座に辞職しなければならないし、その後の政治家としての道は厳しいであろう橋下氏を許している日本は、流石に差別のまだある国である。日本国民として、橋下氏の発言は実に恥ずかしい。「覆水盆に返らず」なので、せめて、沈黙してほしい。
最近、スウェーデンの政治家に非常に親近感と敬意を持った出来事があり、そのため、橋下氏とのコントラストがあまりに大きすぎてこの記事を書くに至ったのだが、長くなってしまったので、その出来事は(そちらが実はメインの話題)次に譲ることにする。
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