ようやく、ストックホルムも春らしくなってきました。
緊急入院から3週間が経ち、大分、体調も回復してきましたが、現在、白樺の花粉症に悩まされております。100%の自宅療養の診断書が出ているのですが、働かないという毎日に耐え切れず、50%ほど勤務しています。
今回の入院経験は、大変辛いものではありましたが、異国の地で医師として働く私にとっては、貴重な経験にもなりました。
イースターの直前、不覚にも風邪をひいてしまった私は、風邪に伴うお決まりの喘息発作を起こしました。日曜日の晩、あまりにも呼吸症状が悪化したため、カロリンスカの救急外来へ。到着したのが19時30分頃で、10分くらいの待ち時間で、血液検査や、心電図検査などをやってもらいましたので、悪評高いスウェーデンの救急にしては上出来でした。それからAT läkare(研修医)と思われる女医さんが診察にやってきました。おそらく、イラクあたりの出身のようでしたが、スウェーデン語は完璧なnativeで難民の2世代目なのでしょう。実は、こういった2代目はとても優秀です。親の経済状況が受けることのできる教育に影響を及ぼす日本と異なり、スウェーデンでは、貧しくても国の最高学府に入学することが可能であるため、カロリンスカにも多数移民の2代目と思われる医学生がいます。最近研修医で回ってきたイラン人は、中学生の頃から勉強に明け暮れたと言っていました。通常のスウェーデン人より、ずっとガッツがあります。以前にいた、ST läkare(専修医)の女医さんはシリアから8歳のときに難民としてやってきましたが、30歳になったばかりで、すで2児の母となり、医学書も執筆して、いくつかの特許も所有し、高級住宅街のÖstermalmの億ションに住んでいました。彼女のバイタリティーといったら、私などとても敵わないと思えるほどでした。
脱線してしまいましたが、、、受診時の呼吸数は毎分30回に近く、努力肺活量もかなり低下しておりましたが、気管支拡張薬の吸入で症状は少し改善したものの、副作用で脈拍は毎分120程。血液検査で白血球は軽度上昇、CRPは境界領域だったため、ステロイド内服や吸入薬の処方を受けて帰宅。帰宅は午前0時前。(つづく)
[…] 私自身、この1,2年で救急外来を患者として受診したのは、3回。最初の2回については、医者の不養生シリーズをどうぞ。このとき、2回目には緊急入院になった訳ですが、当時、実は19週の妊婦でした。19週といえども、双子の妊娠中でしたから、お腹は相当大きくなっていました。そんなときに風邪から喘息発作、肋骨骨折に肺炎と、まさに何重苦でした。授乳中には使えないモルヒネを妊婦には使えることが有難かった。酸素飽和度が低かったため、肺塞栓が疑われて、妊娠中にもかかわらずCT検査となり、心が折れそうになりました。現在のスパイラルCTによる被爆はわずかで、胎児への影響は考えなくても良いと知ってはいましたが、、、。ただ、造影剤を使ったため、将来的に甲状腺機能のチェックが必要ということでした。この2回の救急外来受診では、症状が重症だったことで、殆ど待つことなく診察を受けることができましたし、やはり自分自身が医師だということで、丁重な扱いを受けたように思います。 […]