今日、15時より、カロリンスカ研究所にて、ノーベル医学・生理学賞の記念講演がありました。
残念ながら、私は家で子守りをしなければならず、講演には行けませんでしたが、Live webcastでオンタイムで拝聴することができました。
映像からも、相当緊張なさっている様子が伝わってきましたが、ゆっくりとわかりやすく、いくつものジョークを交え、笑いを誘っていました。ノーベル賞発表の前日に、カロリンスカの学長と同席する機会があって、別れ際にウインクをされた気がしたこと、それがノーベル賞を意味するかのようなジョークもありましたが、投票は発表当日の朝にされるため、学長が前日に知っているはずはないのですが、何とも可愛らしい山中先生のジョークで始まりました。そして、良く知られているジョーク、「外科医として才能がないと悟って研究者に転向した」という逸話。
講演は3部構成で、最初は、大阪市立大学での大学院生時代と、サンフランシスコでのポスドク時代のお話。大阪では、血圧のコントロールについての研究だったため、ポスドク先も、心臓血管関係の研究所だったとか。しかし、そこで彼が作ったノックアウトマウスのお腹が大きくなり、テクニシャンから、「雄も含めて全てのマウスが妊娠した!」という報告を受けて調べたところ、肝臓癌を発症していたという発見から、心臓血管系の研究所であったのにもかかわらず、肝臓癌の研究をすることになったこと、そしてその遺伝子に関連する別の遺伝子が、肝臓癌の癌抑制因子であったことをつきとめます。この頃から、ES細胞に興味を持ったようですが、事情で日本へ帰国。その後PADに罹患したという話になります。PADとは山中先生の造語で、「Post America Depression」のことだそう。かなり落ち込んで、研究者をやめようとさえ思ったそうです。ところが、それまではES細胞といえばマウスに限られていましたが、人間のES細胞が作成され、その論文を読んで、再びサイエンスへの情熱が蘇ったと。そして、奈良先端研にPIのポジションを得たこともあって、PADから立ち直ったのだそうです。目指すプロジェクトは、胚から幹細胞を作るES細胞ではなくて、体細胞から幹細胞を作ることで、それに必要な因子を発見することでした。胚を用いると、どうしても倫理面の問題を避けて通ることは出来ないため、体細胞を用いたいという説明で、ジョージ・ブッシュとローマ法王が会談している写真が出て、ここでも笑いが聞こえました。幹細胞に関するスライドの中で、「不老不死、immortality」のところが、「immorality」となっていて、この間違いに触れたときは、聴衆は爆笑していました。
iPS細胞が、2006年の発見から、6年という短期間で受賞したのは、近い将来、再生医療として臨床応用が可能であるためで、どのような治療法に結びつくのかということでまとめたあと、謝辞がありました。謝辞の最後は、家族に対してでした。今回同行しているのは、夫人と医学生である二人の娘、そして、夫人の母上ということでした。山中先生ご自身の母上は同行せず、それは、「あなたの英語はひどいから行かない。」と理由からだと笑わせましたが、既に亡くなっている二人の父上、つまり、山中先生自身と、山中夫人の父上に対する謝辞もあり、お人柄が伺えるようでした。
講演の始まる2時間前には、すでに講堂の前には、講演を聴きたい人で100メートル以上の列が出来ていたそうで、今年の賞のインパクトの大きさを感じます。アルフレッド・ノーベルの没日であるNobeldagenは12月10日。もうすぐです。山中先生の前回2010年の渡瑞の際には、アイスランドの火山灰でスウェーデンに足止めをくった山中先生ですが、今回はこれ以上の大雪にならないことを願うばかりです。
将来は研究者か!?
「わたし」は山中先生の講演に釘付け!
山中先生、
恥ずかしながら、地元同窓会で、
先生のバンフレットを渡された時、
(2008年だったかと。。)
先生の事、存じあげず、
別の学部の現役生から、教えて頂きました。
神緑会の友人も、後輩として嬉しいと。
私の足も、
いずれは、再生細胞で治療?(笑)
いや、このまま、治りきりたいのがホンネです。
ガムラ スタンさん。
ガムラ スタンさんは、神戸大の卒業生でいらっしゃるのですか?同窓会は神緑会と言うのですね。同窓会も、盛り上がっていることでしょうね!
最新の研究の成果が臨床に応用されるようになるまでには、想像以上に時間がかかるものです。私も長生きして、今後どうなるのか見守りたいものです。
山中先生の講演はまことにすばらしくて、大変興味深かったと思います。頭の良くて、心のあたたかい人だと分かりました。 ^^
ペイダさん。
本当ですね。まだ大変お若くていらっしゃるので、これから、日本を元気にするべく、頑張っていただきたいと思います!