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Mの学位審査

2月4日はMの学位審査でした。

Mのバックグラウンドは、生物学。約5年前にカロリンスカのPhD studentとして登録しました。カロリンスカのシステムでは、30ポイントの授業(フルタイムでおよそ半年分に当たります)を受講し、試験に合格することが義務付けられています。また、日本と異なり、学生は給料を貰いながら研究するため、給料を払える能力のある指導教官を見つけ、合意に至らなければなりません。以前は、場合によっては10年近く学位取得までにかかることがあったのですが、現在では、原則4年程度という規定となっています。中間点で、ハーフタイムという中間審査がありますが、これ以降は、指導教官は学生の社会保障費を国に支払わなければならないため、30%以上の余分な人件費がかかることとなるため、ハーフタイムは中間点というより、少し遅れて行われることが多いようです。学位審査を受ける条件は、正式には、1999年に出されたBologna declarationに準じており、論文数については規定がありません。しかし、カロリンスカでは実務上は、出版された論文があって、しかも、当該学生が筆頭筆者であるものが最低1件あること、その他に1件の論文かマニュスクリプトがあることが、暗黙上の条件となっているようです。しかし、実際には、例えば、最も権威のある雑誌、「Cell」にshared first author(筆頭著者だが、筆頭著者が複数いる場合)の論文が1編という場合でも、論文数が少ないなどの理由で学位審査委員会で揉めることもあります。

Mの場合、

Proc Natl Acad Sci USAと、EMBO Jというトップジャーナルに論文があり、Proc Natl Acad Sci USAではshared first authorとなっているため、審査の条件は十分にクリアーしています。

そして、学位審査用に彼女が書いた冊子がこちら。

Introduction、Aims、Results and discussion、General conclusions、Acknowledgemens、Referencesで56ページ、これに、各論文が続いて、一冊の本となります。

とにかく、気が遠くなるほどの仕事量です。

それに対して、日本の医学博士はピンキリ。ある私立医大では、卒業生の殆どが開業医となります(もともと、開業医の子弟が入学するのですが)。開業医をするのに、研究生活の経験が必要だとは思いませんが、開業医として、「学位証明書」を診察室に飾ることは、大事であるようです。そんな大学はたいてい、「東大系列」などといって、一流大学の系列となっていることが少なくなく、教授、講師陣が外からやってくることが多い。そんな場合、講師陣が学位の下請けをして、数百万円の謝礼を受けるということも行われることがあるようです。もともと、授業料だけで5000万円近く、寄付金をあわせると6年間で1億円近くのお金をかけて医師となるのですから、数百万円で学位が取れるなら安いものなのでしょうけれど、そんな学位と、PhDが同列にされることは、納得がいきません。私の母校は当時は学費も安くて、普通のサラリーマン家庭の子弟が沢山いました。母校の前教授は、「学位は足の裏についた米粒みたいなものだ。取っても食えないが、取らないと気分が悪い。」などとのたまわっていましたが、実際は米粒を取るように簡単なものではありませんでした。私が学位を取ったときには、臨床が一区切りする夜の7時ごろから実験を始め、オールナイトになることもしばしばあり、結構大変でした。臨床家としても、研究に携わり、研究者としての視点や考え方を学ぶことは大事だと思いますが、タイトルを取るためだけなら無意味。とはいえ、教授になるためには学位取得は当たり前であり、カロリンスカでも、上級指導医(överläkare)となるためには、学位がなければいけません。とても優秀な外科医で研究者でもあるスイス人の同僚は、スイスではドイツ方式で、学位というシステムがないため(博士号を取るためには、マスターからやりなおさなければならないらしい)、överläkareになることができず、最近、母国へ帰る決意をしたということもありました。どこでも、ヒエラルキーの上を目指すのは、大変な訳です。

話をMの学位審査に戻します。

9時半より、まず、opponentの講演が15分くらいあります。続いて、Mが30分ほどの発表。そして、2時間近くに渡る質疑応答。前半はopponentが全ての論文の図表について細かく質問。後半は審査委員からの質問。

前の記事で、「BUT」を言わないように、と勇気を出して注意しましたが、なんと、Mは一回も「BUT」を口にしませんでした。練習のときより格段に良い発表でした。嬉しかった。

その後、別室で、審査委員とopponent、そして、指導教官、私は副指導教官として、判定会議に出席しました。勿論、文句なしの合格。

Mとラボの仲間達は、ラボの一室で軽食を食べながら結果発表を待ちます。そこへ我々が登場。審査委員長からの発表が。

そして、合格が告げられると、シャンパンを開けて乾杯です。

そして、同じ日の夜、場所を移して祝賀パーテイー。およそ70人が集まりました。

トーストマスターは同じラボのイタリア人のPhD studentと、Mの学生時代の友人。

本人や指導教官は勿論のこと、友人や家族のスピーチもあり、盛り上がりました。

中でも圧巻だったのが、同じラボのメンバーのスピーチ。

左から、アルゼンチン人、フランス人、中国人、イタリア人。

良い仲間を持つのは、幸せなことですね。

最後に20分にも及ぶ、恒例の映画上映。これも同僚による作成。本人は泣きそうになっていました。

研究者はこれからが本番です。頑張ってほしい。

2 comments to Mの学位審査

  • こんにちは。

    大学や研究機関などはジャーナルの論文(電子版)を公開していますが、学位論文にも論文まるごと載せてしまうのですね、ジャーナルの掲載版ではないのかもしれませんが・・・びっくりしました。

  • 学位論文は、PDFファイルで閲覧することができます。学位論文自体は、ジャーナルではないので、他のジャーナルに発表された論文はそのまま添付されます。

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