私の座右の銘、というより、肝に銘じていること。決して、好きな表現ではありませんが、これを心得ているとかなり人生における悩みが減ると信じている言葉があります。
「人生は不公平」
だから、他人と自分を比較しないこと。自分の人生を素直に受け入れて、最善を尽くすことが大事。
どんな家庭に生を受けるか。見た目の美醜。人は生まれながらにして、既に、多くの「不公平性」を背負っています。
ロシア滞在中に、ロシアのアイスホッケーチーム、Lokomotiv Yaroslavl が搭乗した、ロシア航空の飛行機が墜落しました。
乗客乗員46名、乗客は選手24名とトレーナーやチームドクターなど合わせて39名。選手1名、乗員1名が救助されました。選手は最年少が18歳、20代が中心です。
体表面積の80%の火傷を負っていた選手はその後、気管の移植手術を受けるも死亡。
その中に、スウェーデンのゴールキーパー、Stefan Livがいました。1980年ポーランド生まれ。産みの親は彼を孤児院に預け、彼が2歳のときに、スウェーデンに養子として引き取られます。Stefanのデビュー戦は、2000年1月、Jönköpingのチーム、HV71で。同年11月、チェコ戦でナショナルチームデビュー後、2006年のトリノオリンピックおよび、ワールドカップで金メダルを取っています。Lokomotivは今年度からの契約でした。
このトリノの金メダル、覚えています。
明るいとはいえない生い立ちに似合わず、Stefanはいつも明るく親切。ロシア内でのゲームで、相手チームのスウェーデン人ゴールキーパーのヘルメットが破損したときには、敵チームに関わらず、自分のヘルメットを貸してあげたり、通常誰も引き受けたくないイベントへ、例えば、少年100人のシュートを受けるなど、進んで協力したり、、、。プライベートでは、スウェーデン人女性との間に2人の男児をもうけ、今年の夏にはその彼女と結婚式を挙げたばかりでした。
ヘルメットには、息子の写真をプリントしたりと、家族思いのパパだったようです。
ロシアには妻が、父親と友人に付き添われて遺体の「残骸」を迎えに行きました。
数日前にブラックボックスの内容が公開されました。
離陸前に必要な速度を得ることができなかったようですが、機体には問題がなく、ハンドブレーキを解除するのを忘れていたという情報もあります。
Jönköpingでも、Stefanの死を悼んで追悼のセレモニーが。
「Alltid saknad. Aldrig glömd.」(あなたがいなくていつも寂しい。あなたのことはいつまでも忘れない。)
JönköpingのHV71では、背番号1番を永久欠番に。
生まれたときから既に苦難の人生だったStefan。頑張って手に入れた選手生命と家族。人間としての人生はこれからというときに夭逝。運命とは残酷なもの。彼がゴールキーパーだったということも、なんだか象徴的です。フォワードやセンターのように、得点すればヒーローになれるポジションと違って、セーブして当たり前、失点すれば責められる立場にある、不公平な役回りです。
人生は不公平。
人生は公平だと下手に思いたい気持ちがあると、失望する。
自分には自分の人生しかない。自分の人生を受け入れて、今を精一杯、悔いのないように生きるしかない。
このニュースを見た時の衝撃は大きいものでした。
飛行機事故のニュースはいつもつらいけど、このニュースには胸がしめつけられる思いでした。私はアイスホッケー好きでは決してないけど、日々の厳しいトレーニングをこなし、一丸となって試合で戦ってきた人達の命が一瞬で消えてしまったと思うと、なんと言っていいのか言葉が見つかりません。
なんと不公平か人生は。私も何度も何度も自分に言い聞かせて来ました。
ノルウェーで先日起こった痛ましい事件、日本を襲う天災、放射能汚染、ここ一年だけでも、どれだけ不公平だと胸が痛くなり涙を流したかことか。
自分は日本で素敵な友人に囲まれて暮らしてたこと、こうしてここスウェーデンでも素敵な友人や優しいパートナーに恵まれて暮らしていることが奇跡のように思えます。
私には不運なことは起こったけど、けっして不幸ではない。不公平はいたるところに有るけど不幸とは思わない。そして、あたえられてる毎日をdrpionさんが言うように精一杯、生きてゆけたらなって思います。
まとまりのないコメントで本当にすみません。ダメなんです、こういう思いを文章にでいないんです。情けない、とほほ。
りえさんの素直な表現は、ストレートに心に届きます。
人間は忘れる生き物だから、こうやって、ときどき思い出しては反省し、現在の自分があることに感謝しないと、と思っていますよ。
こんばんわ。
りえサンと同じ思いですが、
果たして、精一杯 生きているかと問われると・・・
だれてる自分に喝! な 先生のブログでした。
Stefanさんや ご搭乗の方のご冥福をお祈りいたします。
今日は ウメオ大学にいらしたという方の
お話を聴く機会がありました。
感謝しております。
ガムラ スタンさん。
実は、私自身も自分に喝を入れる意味のある記事です。
どうしても、楽な方へ流れてしまう自分の日常を振り返るための、自戒の念がこもっております。
ガムラ スタンさんはどんなお話をお聴きになったのでしょう、、。
どんな人にも、どんな人の死にもそれぞれのドラマがつきものだと思います。けれど、今回のような話を聞くと…自分が全く知らない人の話でも目頭が熱くなります。苦労してやっと幸せを手に入れたのに…不公平なものと思わなければ感情を処理できませんね…。ドイツ人の選手も1人いたということで、こちらでは小さなニュースになったのみです。
Naoさん。そうですね。どんな人の人生にもドラマがありますね。スウェーデンでは、この記事はトップニュースで扱われていましたが、彼がずっとナショナルチームに属していたことや、彼の生い立ちが、ことさら彼という人間を印象深いものにしたのでしょう。ドイツ人の選手もいたのですね。その彼にも、彼のドラマがあったにちがいありません。亡くなられた方のご冥福をお祈りしたいと思います。