ご存知のように、夫は脊損患者ですので車椅子での生活です。
同じ車椅子で外出するし、その車椅子で室内にも入ります。外履きからスリッパに履き替えるという訳には行きません。
一緒に生活をするようになった時、特に日本人の私にとっては、それに違和感がないと言ったら嘘になります。今は、帰宅したらタオルで車輪を拭くようにしていますが、、、。
お呼ばれの時はやはりどうしても気になります。日本にやってきて、妹や親の家へ入る時。その時もタオルをお願いします。家族はあまりコメントしませんでしたが、きっと私と同じように違和感を持った(持っている)に違いありません。
知人の話。脳梗塞後で足元が不確かな高齢者が、実家から独立したばかりの孫のアパートを訪問しました。外出時は杖が手放せないため、アパートの中にも杖を持って入りました。孫はそれに反応し、「(汚いから)杖は中でつかないで。」と言ったそうです。何と冷たい言葉でしょう。彼女か彼氏の言葉だったら、その一言だけでアウト。
杖に比べたら、車椅子はさらに不潔に違いありません。それでも、車椅子がなければ移動は不可能です。弱者になって見なければわからないことがあることは確かです。しかし、少し考えれば(いえ、考えなくても)「杖は中でつかないで。」という言葉に、優しさや思いやりが全くないのは明らか。同時に、弱者である夫が上手に生きてゆくためには、弱者なりの心遣いが必要なのかもしれません。今後、夫がお呼ばれするときには、車輪を拭くためのタオルをできる限り用意しようと思います。思いやりは、強者から弱者だけではなく、弱者からも示すべきなのでしょう。
日本とスウェーデンを比べると、日本は多様性を認めたがらない社会だと感じます。表面下の差別も実は沢山あります。社会不安や厳しい労働条件などからくるストレスがヘイトとして吐き出されているような気もします。オリンピックを控え、日本が、より開かれた優しい社会になりますように。
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