9月9日は4年毎にあるスウェーデンの総選挙です。
スウェーデンには、幾つもの支持政党調査機関がありますが、そのうちの一つが出した、選挙2週間前の有権者の支持政党についてのある集計結果。
何と極右政党のスウェーデン民主党が最大政党になるという、、、。
やはり、これまでの移民政策に対する不満が大きくなっているんでしょう。あまり関係のない私でさえ、病院で多くの移民(特に社会問題となっているイスラム系移民)に会う中で、医療分野における移民問題を考えてしまうことが度々。何十年スウェーデンに住んでいてもスウェーデン語が話せず、(患者負担無料で雇える)通訳をつける人、働けるのに専業主婦をしていたり、子供を多く産んで子供手当てで暮らしている女性たち、、、。スウェーデンでは移民、非移民の立場にかかわらず平等な医療が提供されます。外来や手術の予定が遅いと言って不満を申し出るのは、大人しいスウェーデン人よりも移民の方が割合的に多かったりします。
移民問題についてはまたの機会に譲るとして、街中には、各政党の選挙ポスターがあふれています。スウェーデンに移住した当時は、選挙ポスターがなかなかいけていると思ったものですが、今では逆。あまりに抽象的なものには、ツッコミたくなります。
そんなポスターの代表がこれ。
彼女はCenterpartiet(中央党)の党代表です。「Framåt」とはスウェーデン語で、「前へ」という意味ですが、後退したい人なんていないでしょう?
これは、環境党。「Nu」とは「Now」の意味ですが、何?と思って近づくと、その下に小さく、「環境(気候)は待ってくれない」とあります。中央党よりはマシでした。
権利と義務と可能性、全ての人に平等に。
前政権を担当していた穏健党。富裕層への税軽減で、富裕層からの支持が厚いので、ピンときません。
医療はいつでも大きな論点になります。ポスターでも、医療(vård)について述べられているものが多く見られます。特に、待ち時間(tidやkö)について。
移民の統合政策に成功していないことにより多くの問題が発生しています。統合政策に関しても。
例えば、språkkrav(必須の語学知識)について。「スウェーデンでは全ての人がスウェーデン語を話すことができなければならない。」
「最初の仕事を得ることが統合への道」
「拒否か仕事か」スウェーデンではこのように韻を踏んだ表現が好まれます。
私はスウェーデン国籍を取得していないため、国政には投票できませんが、landstingとkommunには投票できます。医療を仕切るのはlandstingですが、病院では、カロリンスカ新病院の大失敗への批判が強く、その音頭を取った穏健党ではなく、国政で第1党の社会民主労働党を支持したいという同僚が多くいます。穏健党が税金を下げるということも(医療現場では)疑問点です。
新病院の敷地内にも、こんなポスターが。
「医療のための予算は医療のために。カロリンスカ新病院の2の舞がないように。」
といった感じでしょうか。これは、ストックホルムのlandstingで多数派の穏健党が仕切ったカロリンスカ新病院を批判する、社会民主労働党のポスターです。
このままでいくと、社会民主労働党による組閣、それに対する穏健党を中心とする野党アライアンスという構図は崩れそうです。スウェーデン民主党が20%を超えそうな勢いで、少なくとも第2党になる可能性が高い状況で、どうにかスウェーデン民主党をマイノリテイーとするためには、社会民主労働党と穏健党が協力しなければならないこともあるかもしれません。
目が離せない今年の選挙です。
Recent comments