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医者の不養生(5)

今回は病院食のご紹介。

2年ほど前から、カロリンスカ大学病院では、電子レンジで温めるタイプの病院食を始めました。

朝食は、パンとチーズやハム、卵、野菜など、ヨーグルト、ミューズリーなどと、コーヒー、紅茶などが出ます。

昼食と夕食は、前日か前々日に准看護師さんがメニューを持って注文を聞いて回り、メニューから選ぶようになります。

日本のように、一汁多菜という訳にはいかず、何ともさびしい限り。しかし、入院費自体無料で、支払うのは一日あたり80クローネの食費だけなので、文句は言えません。

 

私が入院中の食事をいくつかご紹介。

チキンとヌードルの炒め物。

春巻きもどきと炒め物。

ラザニア。

白身の魚。

サーモン。

イースタープレートと名づけられた食事。

とはいえ、中身は、各種マリネされた鰊、ハムに卵です。

クリスマスにも、「Julmust」という甘い飲み物がありますが、中身は全く同じで、イースターには、「Påskmust」と名前が変わるだけ。

驚いたのは、これと、差し入れの握り寿司を食べているスウェーデン人のカップルがいたこと。スウェーデンの味覚オンチの最高峰か!

食堂まで歩く元気のある人は、食堂で食べます。

美味しくない病院食を察してか、心優しいYさんが、3回も差し入れを。滋養たっぷりクコの実入りお豆腐スープ。お稲荷さん。これにかぼちゃの煮付。涙がこぼれます。

彼女がイースターに合わせて持ってきてくれた黄色のチューリップを窓際に飾ります。

こちらのお弁当は、退院後、健康食に造詣の深いMさんが自宅まで差し入れてくれたお弁当。何と、今流行りの塩麹で漬け込んだ鯖の焼き物と、サラダに、玄米ご飯。この他にも、お餅やら、貧血対策のサプリメントなども。有難う!!!

アルバイトの募集

以前も募集させていただいたのですが、同僚の女医さんが、週に3-4回程度、午後数時間の単位で家事(料理、洗濯、掃除)を手伝っていただける方を探しています。

現在は、ブログを通して応募していただいた日本人の方にお願いしていますが、その方が新しい職に就かれるとのことで、後任を務めていただける方を探しています。夏休み終了前後の8月中旬頃からの勤務です。同僚は、同じく医師でイギリス勤務のご主人と離れ、お嬢さん一人とストックホルム市内で二人暮らしです。現在の方には非常に良くしていただき、後任も是非日本人の方を、という希望です。お二人とも英語が話せますので、スウェーデン語が出来ない方でも大丈夫です。移住直後で、スウェーデン語を学びながら求職中という方のお小遣い稼ぎにも最適かと思います。

夏休み前にインタビューができたらと考えておりますので、ご興味のおありの方は、プロフィール欄のメールアドレスまで、お気軽にご連絡頂ければ幸いです。

医者の不養生(4)

スウェーデンでは、スウェーデン語のできない患者さんが入院してくることは珍しいことではありません。患者さんが英語を話す場合は問題はないのですが、その他の言語の場合は大変。看護師さんの出身も様々なので、ときには、看護師さんが、ペルシャ語、アラビア語、ロシア語などの通訳ができることがありますが、通常は通訳に病院へ来てもらいます。

アルフレッド・ノーベルが息を引き取ったのは、イタリア、サンレモの病院で、ノーベルはイタリア語が出来なかったといいます。死に至るほどの重い病の床で、意思疎通が叶わなかったことは、どんなにか辛いことだったでしょうか。私自身、受け持ちになる患者さんで、殊に大きな手術の術前術後などには、言語が出来ないと、不安も大きいことと想像することがときどきあります。

今回入院中も、殊に入院当初は非常に症状が重かったし、真夜中でも投薬など治療や、血圧や酸素飽和度のチェックのために看護師さんがベッドサイドに来ましたが、こちらは意識も朦朧としている中でのやり取りになります。移住以来、日本語を使う機会が殆どない生活で、寝言さえもスウェーデン語になりかけている状況だったので、スウェーデン語でのやり取りには心配がなかったのが、不幸中の幸いでした。

スウェーデンで日本人の患者さんにお目に掛かることはあまりないのですが、スウェーデン語に熟練されている方でさえも、日常使わない医学分野の話になると、やはり日本語が良いとおっしゃる方が多いです。随分前に、ポスドクとして働いていたとき、医学研究分野で日本のテレビが同僚にインタビューに来たことがありました。スウェーデン在住の日本人通訳が同行していたのですが、医学用語には不慣れなようで、同僚の不信を買い、急遽、代理で通訳をすることになったのですが、やはり、専門用語に通じていないと、全く話が理解できないということは、ままあることです。私も、自分の専門分野を離れると(英語に似た単語なら理解しやすいのですが)、わからない単語もまだまだ存在し、他科の医師と話をするときには十分に気を使う必要があります。

この次には、スウェーデンの病院食について、ご紹介しようと思います。

 

 

ひきこもり中

「医者の不養生」のつづきを書く予定ですが、このところずっと白樺の花粉症に悩まされていて、「ひきこもり気味」になっています。勿論、仕事はしていますが、一日オペ室にひきこもるのが最も快適。目は痒いし、鼻水が出て鼻づまりだし、油断すると喘息になりそうだし、、、。強度近視の私は、仕事にはコンタクトレンズが必須で、目薬を差しながら、だましだましレンズを使用。粘膜収縮剤の入った鼻スプレーに、ステロイドと気管支拡張剤の吸入薬。そして抗ヒスタミン剤。

 

本日、ストックホルムの花粉情報。Björkが白樺です。Vårdguidenより。

最近の花粉動向。Naturhistoriska riksmuseetのHPより。

お花見を予定している方には申し訳ないけれど、何とか早く雨が降って欲しい。

2週間ほど前に、まだ花粉がそれほど高くないとき、桜が満開になる前にKungsträgårdenを散歩。見ておいて良かった!

医者の不養生(3)

最初の2晩は、咳をすると「殺してほしい」ほどの痛みでしたが、それを我慢しながら咳をして痰を出す努力をしているうちに、少しずつ症状は軽快してきました。それでも一日当たりモルヒネを40mgくらい内服していましたが。軽快しなければ、挿管して人工呼吸器に繋いでICU送りになったところでしょうけれど、運良くそれはまぬがれることができました。高齢者が簡単に痰詰まりや肺炎で亡くなるのが良く理解できました。

しかし、モルヒネは内服でも非常に即効性があり、感動しました。日本では、通常の医療ではなかなかモルヒネを使うことはありませんでした。術後の疼痛には、ボルタレンなどのNSAIDが使われることが多く、鎮痛効果も十分でなかったり、高齢者にはリスクもありますが、スウェーデンの術後疼痛コントロールの中心は(硬膜外麻酔などを除けば)何と言ってもモルヒネの内服です。モルヒネは投与量さえ過ぎなければ、副作用はあまりありませんから、日本でももっとモルヒネを使うべきだとしみじみ感じました。しかし、モルヒネ内服により、ほぼもれなく便秘となりますので、下剤が必須です。

私も患者さんに良く飲んでいただく、Movicol。日本ではマグコロールと呼ばれていますが、これも私には初体験。Movicolを水に溶かしたものが入ったコップを、かわいい顔でにっこりと看護師さんが持ってきてくれるのですが、Movicolのまずいこと。一気に飲み干すと、「Vad duktig!」と褒めてくれるのですが、患者さんの中には嫌がって飲まない人がいるのも頷けます。

 

私が入院したのは2人部屋でした。一人目の隣人は、それこそロボット手術を受けたご婦人。術後の痛みが軽いのに感激していましたが、術後1日で退院してゆきました。二人目の隣人は、血尿とイレウス(腸閉塞)気味の高齢のご婦人。腰痛で他院の救急を受診したところ、ぎっくり腰だと診断されて帰されたとか。私から見れば、腹部の悪性腫瘍で、膀胱や腸に浸潤し、おそらく、骨転移もあるのではないか、、、と想像できてしまうのですが、、、。当初は胃管も入れられておらず、夜中も嘔吐を繰り返していて、大変気の毒でしたが、私も眠れずに辛かった。お嬢さんが面会に来て、「あの病院(前病院)を訴える。」とおっしゃていました。スウェーデンでは、患者さんが訴えても、まず、病院や医師に非が認められることにはならないのですが、、、。(つづく)

 

 

医者の不養生(2)

救急外来を受診した次の日は流石に病欠しました。しかし、それで終わりではありませんでした。病欠したその晩に激しい咳をして、その際に激痛が右胸部に走りました。上気道にかなり痰が溜まっているので、痰を出さなけ れば呼吸困難に陥るにも関わらず、激痛のため咳をすることができません。自分で診察してみると、12番か11番の肋骨骨折を起こしている模様。完全に遊離したと見られる骨片が触れます。肋骨骨折は 通常は大きな合併症を起こすことはなく、痛みのコントロールと安静が治療の中心なので、枕を患部に当てて弱い咳を試みたりしながら、朝まで待って痛みが治 まらなければ救急外来を再受診しようと思いました。麻薬系の鎮痛剤も効果なく、七転八倒しながらそのまま朝を迎え、救急外来へ。受付の看護師さんは、私が あまりに苦しそうにしているのを見て、ストレッチャーですぐに診察室へ運ばれました。

スウェーデンでは、軽症の患者さんを 入院させる余裕はありませんので、滅多に入院させてもらえることはないのですが、まさかの緊急入院。酸素飽和度も90%近くまで下がり、痛みもあるため、 肺塞栓と肺炎の検査の目的で緊急CTも。造影剤の注射は初めての経験で、いつも患者さんには、「体が熱くなりますよ。」と、自分で経験したこもないまま説 明するのですが、独特の感覚でした。特に、注射と同時に、膀胱が、かーっと熱くなったのにはびっくりしました。しかも、最近のスパイラルCTの早いこと。 検査時間は1分かからないくらい。

初めに細めの点滴ラインを入れてもらったのですが、CTの造影剤用に太いラインを入れられ、重症感が、、、。

結局、診断名は、肋骨骨折、喘息、肺炎、ということで、その日のうちに、呼吸器内科、整 形外科の専門医の診察も受けました。その晩は、酸素飽和度が低いため、酸素吸入をする羽目に。抗生剤の点滴を8時間おき、吸入を6時間おき、鎮痛剤を8時 間おき、それにモルヒネ錠を無制限に。しかし、咳をしないときには、痛みは軽度のため、モルヒネを10mg内服しただけでもドロドロになりますが、咳をす ると、全く効き目はありません。

「窓から飛び降りたいほどの痛みを10とすると、どの位の痛みですか?」と病院では痛みの評価をするのです が、咳をするときには、10です。それでも、前述の理由から、それ以上のモルヒネを使う気にもならない、、、。咳をしなければ、窒息しそうになる、、、。 これは、地獄の苦しみです。呼吸不全では死にたくないと、真剣に思いましたが、発作時は、「私は死ぬかも。」とも思いました。死ぬ覚悟で痛みをこらえて痰 を出し、ベッドは平らにすると苦しいので、頭を少し上げて、、。

その日、早々に、理学療法士のお姉さんたちがやってきて、「肋骨骨折における呼吸訓練とリハビリ」について説明してくれました。とにかく、痛みに苦しんでいた私は、リハビリするどころではなく、一人では歩くこともできなかったため、歩行器の使い方を教えてもらったりしました。

呼吸訓練には、こちらを使います。

こちらは呼気の訓練。私に合わせた量の水がボトルに負荷として入っていて、起きている間は一時間毎に、10回3セットずつ練習すること。

こちらは吸気。こちらも私の呼吸能力に合わせて負荷がかけられるようになっています。(つづく)

医者の不養生(1)

ようやく、ストックホルムも春らしくなってきました。

緊急入院から3週間が経ち、大分、体調も回復してきましたが、現在、白樺の花粉症に悩まされております。100%の自宅療養の診断書が出ているのですが、働かないという毎日に耐え切れず、50%ほど勤務しています。

今回の入院経験は、大変辛いものではありましたが、異国の地で医師として働く私にとっては、貴重な経験にもなりました。

イースターの直前、不覚にも風邪をひいてしまった私は、風邪に伴うお決まりの喘息発作を起こしました。日曜日の晩、あまりにも呼吸症状が悪化したため、カロリンスカの救急外来へ。到着したのが19時30分頃で、10分くらいの待ち時間で、血液検査や、心電図検査などをやってもらいましたので、悪評高いスウェーデンの救急にしては上出来でした。それからAT läkare(研修医)と思われる女医さんが診察にやってきました。おそらく、イラクあたりの出身のようでしたが、スウェーデン語は完璧なnativeで難民の2世代目なのでしょう。実は、こういった2代目はとても優秀です。親の経済状況が受けることのできる教育に影響を及ぼす日本と異なり、スウェーデンでは、貧しくても国の最高学府に入学することが可能であるため、カロリンスカにも多数移民の2代目と思われる医学生がいます。最近研修医で回ってきたイラン人は、中学生の頃から勉強に明け暮れたと言っていました。通常のスウェーデン人より、ずっとガッツがあります。以前にいた、ST läkare(専修医)の女医さんはシリアから8歳のときに難民としてやってきましたが、30歳になったばかりで、すで2児の母となり、医学書も執筆して、いくつかの特許も所有し、高級住宅街のÖstermalmの億ションに住んでいました。彼女のバイタリティーといったら、私などとても敵わないと思えるほどでした。

脱線してしまいましたが、、、受診時の呼吸数は毎分30回に近く、努力肺活量もかなり低下しておりましたが、気管支拡張薬の吸入で症状は少し改善したものの、副作用で脈拍は毎分120程。血液検査で白血球は軽度上昇、CRPは境界領域だったため、ステロイド内服や吸入薬の処方を受けて帰宅。帰宅は午前0時前。(つづく)

 

 

これからスウェーデンへ移住を考えている日本人女性へのメッセージ

今回の記事は、これからスウェーデンに移住する日本人「女性」に対するアドバイス的な記事です。「はじめまして!」さんのコメントへのお返事も兼ねて。

 

以前の記事にも書いたように、私の経験では、スウェーデンにおける専業主婦のほとんどは移民という印象です。残念ながら、日本人女性の患者さんを担当することは、これまでにありませんでしたが、在瑞日本人ネットワークからの情報によると、日本人女性で専業主婦をしている人の割合は、スウェーデン人に比べて圧倒的に高いそうです。

 

私などより先輩で、70年代に移住してきた日本人女性は洩れなく、仕事をばりばりとなさっているようで、定年後の生活を楽しんでいらっしゃる方も多くいらっしゃいます。所謂、中年といわれる年代で、パートナーがスウェーデン大手会社勤務で、日本駐在中に知り合って結婚、という事情の方には、専業主婦が多いと聞いています。アラフォーで育児中であれば、我が子に日本語を教えるのが精一杯で、自身のスウェーデン語習得まで手が回らないのも事実でしょう。しかし、現在のところは問題がなくても、将来、パートナーが定年退職する時期になると事情は変わってきます。スウェーデンの年金制度も将来は不透明な部分があり、多くの人がプライベートで年金積み立てをしています。基本的に、年金は、それまでに働いて納めた税金に比例しますから、専業主婦であれば年金は雀の涙で、それでは生活してゆけません。万が一、離婚ということになれば、パートナーの意思だけで離婚は成立しますし、日本のように慰謝料などありませんので、経済的保障のないまま離婚しなければなりません。そんな事情で、専業主婦を選択肢とした移住は、個人的にはお勧めしません。ご実家が裕福で、いつでも経済的援助を受けられるなどの特別な事情の方は別として、、、。

 

それでも、スウェーデンは、個人のやる気さえあれば、何歳になってもチャンスを得ることのできる国です。その点では、全く日本とは異なります。高校卒業時に、将来の進路が決まっていなくても、全く不思議ではありません。医学部学生の平均年齢もかなり高く、最近、50歳代の女性医学生を見かけて驚いたこともあります。しかし、若ければ若いほどチャンスが多いことには間違いなく、日本人が移住する際には、ある程度のプランを立てておくことは賢明なことかと思います。

 

アラサー以前で移住してくる女性も増えてきているようですが、その場合は、スウェーデン語を学び、希望する職種に合わせた教育を受けることから始めて良いと思います。若いということは、それだけ十分に時間があるということですね。羨ましい!

 

アラサーで移住してくる女性には、スウェーデン人パートナーとの結婚を機に移住することが多いように思いますが、その場合は、挙児のタイミングをいつにするかということがネックとなってくるでしょう。前にも述べたように、育児中にスウェーデン語を習得することは、非常にハードルが高いようです。よって、スウェーデン語習得前に出産なさった方は、家庭内では、パートナーとは英語、子供とは日本語、パートナーと子供はスウェーデン語というパターンが多いようです。そこから抜け出すには、大きなmotivationと努力が必要です。在瑞期間が長くなれば長くなるほど、それは大変になってきます。中には運良く、英語あるいは日本語だけで通用する職場を得ている方もいますが、それは例外的です。やはり、スウェーデンで求職するには、スウェーデン語が出来ないと非常に難しい。アラフォーに関しても、アラサーとほぼ同じことが言えますが、年齢が高い分、さらに状況は厳しくなります。少し蛇足になりますが、キャリアと挙児を上手に計画するに当たっても別の問題が生じることがあります。子供が欲しいといっても、すぐに妊娠できる保障はありません。その場合、高度医療のお世話になることもある訳ですが、スウェーデンの場合、IVFは38歳までの女性に限り、3回まで無料で受けることができます。しかし、治療には順番待ちがあり、数年は待たなければいけません。つまり、30代前半に既に挙児を試み、35歳くらいまでに申し込まなければならないことになります。勿論、プライベートのクリニックもあり、そちらを選択すれば比較的短期間で治療を受けることが可能ですが、一回あたりおよそ3万クローネくらいはかかります。挙児を試みる前は、多くの人が、「不妊」とは無関係と考えますが(私もその一人でした!)、不妊に悩んでいる人は実に多く、決して対岸の火事ではありません。

 

目指す職種ですが、自分の興味と一致すれば、これほど幸せなことはありませんが、それはなかなか難しい。私自身の話をすれば、私は自分が医師という職種を選んだことを非常に幸運で幸福なことだと感じています。医学には国境がありません。頻度やマイナーな違いこそあれ、疾患は万国共通です。その点からしても、医療分野における就職は、移民であっても比較的チャンスが多いように思います。実際、医療には全く関係のない教育を日本で受けてきて、3年間の教育で看護師になったアラサー、アラフォーの日本人女性が複数います。個人的には医療分野はお勧めの分野です。逆に、お勧めしないのが、日本語教師、翻訳、通訳など、「日本人であること」を売る分野です。確かに日本人であることを強みとできる分野ではありますが、永久職を得たり、自活できるだけの収入を得るのは至難の業です。漫画などの浸透で、一部の若いスウェーデン人に人気のある日本語教育ですが、大きな市場であるとはとてもいえません。社会人になっても日本語を習得したい人は限られているし、例えば、老舗のNKデパートの従業員教育でも、オプションの言語は今や、中国語とロシア語です。多くの人が簡単に目指そうとする日本語教師ということもあって、日本語教育に関わる大学教員の応募でも、何十倍という狭き門。しかしながら、「日本語」を武器とした職業が興味と一致し、情熱を燃やすことのできる方であれば、勿論、是非、目指してほしいと思います。単に、「日本人だから」という理由ではお勧めできません。

 

いずれにしても、日本人女性がスウェーデンに移住するのであれば、スウェーデン語の習得と職を得ることは目指さなければいけないと思います。スウェーデンには、何歳になっても再教育のチャンス、教育を受けるための経済的サポートがありますから、あとは本人のやる気次第。スウェーデンの男女平等社会を支えるのは、女性の自立です。女性も男性同様に社会に貢献しているからこそ。移住を考えていらっしゃる方、日本の常識にとらわれず、頑張ってください。「備えあれば憂いなし」です。

移住5周年

スウェーデンに移住してきたのが、2007年4月5日。早いもので、5年になりました。

スウェーデン語を学び、試験を受け、医師免許を取得し、専門医を取得し、、、。

楽な道のりであったとは決して言えないけれど、それでも、5年でスウェーデン人と競争でき、評価もされるようになったことを考えれば、着実に歩んできたといって間違いありません。

5周年のお祝いでもしたいところだったのですが、体調を崩して、何と1週間近くも入院を余儀なくされていました。入院体験は辛かったけれど、学ぶこともありました。その点はまた別の機会にまとめてみたいと思っています。

国際女性デーに寄せて

スウェーデンに移住してから知った、国際女性デーの存在。毎年、3月8日です。

職場に転がっていたMetroを何気なく開くと、興味深い記事が載っていました。

(日本で言えば)男女共同参画大臣とでもいう肩書きの、jämställdhetsministerがFPのNyamko Sabuni(写真)が、「スウェーデンは男女平等ではない。」というコメントを出しました。

 

2011年の国連の統計(UNDP:s Gender Inequality Index )によると、

1位: スウェーデン

2位: オランダ

3位: デンマーク

4位: スイス

5位: フィンランド

以下、6位、ノルウェー、7位、ドイツ、8位、シンガポール、9位、アイスランド、10位、フランスの順になります。

それにもかかわらず、スウェーデンが男女平等の国である(ja)と答えたのは、女性(kvinnor)で9%、男性(män)で26%、全体では18%にしか過ぎません。大都市(Storstad)ではそれ以外の地域(övriga sverige)より高い傾向があります。流石に、「全く平等ではない(inte alls)と答えた人は女性でも11%にとどまりますが、かなりの不平等感がある(Nej、inte helt)と答えた人は、男女ともに高い割合を示しています。

日本から来た私にしてみれば、日本と比べると、非常に男女平等だと感激することが多いのですが、スウェーデン人にとってはまだまだのようです。特に、育児に対する女性の負担が大きいことや、賃金の男女格差が問題のようです。しかし、子供を産むのは女性だし、出産や育児に関する女性の負担が、男性に比べて大きいのは生物学的に考えても仕方がないことのようにも思いますが、専業主婦なるグループが未だに存在する日本と異なり、スウェーデンでは、殆どの女性が勤労しているという事実を考えれば、男女平等でないという評価も納得できるように思います。スウェーデンにおける専業主婦の割合を示す統計を探すのは非常に困難なのですが、移民を除く通常のグループに限って言えば、専業主婦は殆ど存在しないといって良いと思います。日本では、「夫が高収入」などの理由で専業主婦に甘んじている女性も多いですが、スウェーデンでは、高収入の夫であっても妻も働いているのが当たり前です。日本で問題になっている、「三号被保険者」の存在など、スウェーデン人には理解できません。

 

他業種と異なり、私はありとあらゆる階級の人間と毎日会っていますが、その中で出会う専業主婦(hemmafru)のほぼ全ては移民で、特に頻度が高いのがモスリムです。子沢山の人も多く、子供に対する手当てだけで、何年間も食いつなぐことができるという事情もあるようですが、長期間スウェーデンに住んでいてもスウェーデン語が話せず、外来受診には通訳をつける(勿論、公費です!)人がかなりいるのには、驚きです。やはり、スウェーデンに移住した以上、言語を学び、勤労して税金を納める努力をすることは、人間として当たり前のことだと思うのですが、、、。

 

女性が経済的に自立しているということは、男女平等の社会を形成する上で、必要不可欠なことだと思います。勿論、女性を支援する社会システムの確立も重要ですが、女性側の姿勢として、自立の努力なしに不平等を唱えるのは筋違いだと考えています。女性が経済的に自立していることで、スウェーデンでは離婚も多い。それを批判する人もいますが、「離婚したくても、経済的に自立できないが故に離婚できない」ことの方が、女性にとっては悲劇なのではないでしょうか。

 

この国際女性デーに合わせたかのように、スウェーデンを代表するカップルの別居が報道されました。

スウェーデンの若き首相、Frederik Reinfeldt(46歳)と、同じ穏健党の政治家である妻のFilippa Reinfeldt(44歳)。二人は若い時から政治に関わり、出会いは1989年、穏健党の青年部で、時に、Frederikは24歳。その後、1992年に結婚し、現在、18歳、16歳、11歳の3人の子供がいます。長男は同じく穏健党の青年部で活躍しています。今年、結婚20周年を迎える二人。若いながらそつなく首相の任務をこなすFrederikと、自立する女性Filippaは、まさにスウェーデンの顔ともいえるお似合いのカップルで、不和の噂なども今までありませんでした。既に、家族がそれまで住んでいた邸宅は売却され、カップルは別居しています。離婚届が受理されるまでに6ヶ月の考慮期間があるので、まだ離婚した訳ではなく、離婚に至る事情も殆ど報道されていません。

その後の新聞で、「Jag mår jättebra(とっても気分がいいわ)」という見出しの記事がありましたが、実は離婚をしたかったのはFilippaの方だったようです。First ladyということで、自身の政治家としての活動に制限が加わることも多く、FrederikはFilippaには、First ladyを優先してほしかった模様。Filippaは所謂、県の政治家で、医療に関する分野の仕事をしています。2007年にストックホルム地域の診療所だったSerafenを数人の医師グループにに694 500クローナで売却され、最近、そのSerafenが2千万クローナでCapioグループに転売された報道により(記事)、Filippaの最初の決断が大きく非難されました。その際、FrederikはFilippaを支持しない立場を取っていましたが(記事)、それが今年の1月で、このことも別居を加速させたのかもしれません。

因みにSerafenは、ストックホルム市庁舎の真向かいにあり、歴史のある建物の内部を改造して作られた大きな診療所。婦人科の定期健診などでは私もお世話になっています。

 

Fast ladyが離婚を希望するなんて、日本ではありえない話。その是非は別として、スウェーデン人女性の自立心を感じたニュースでした。

去年のノーベル賞の晩餐会では、仲睦まじい姿を見せていたのに、あれが最後だったのですね。