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橋下よ、沈黙せよ

5月13日の大阪市長・橋下氏の発言が物議を醸して久しい。海外から非難され続けても、彼は自分の足元に穴を掘り続けている。しかし、また、橋下氏が辞任に追い込まれることがない日本社会。これがスウェーデンだったら、橋下氏は即座に辞任である。因みに、私は、スウェーデンに住んでいるからといって、スウェーデン賛美者ではないことを、再度断っておく。しかし、橋下氏の発言には、私も大きな怒りを覚える。

橋下氏の発言に関しては、改めて解説する必要もないが、「日本軍の従軍慰安婦が必要であった」という発言。海外では、慰安婦が「sex slave」と訳され、あらゆるところで彼の発言が非難されている。当然のことだ。しかし、非難されればされるほど、彼はTwitter上で激しく反論し、墓穴を掘っている。そして、「あの発言は、「当時必要だったということ」で、現在のことではない」などと弁解しているが、実際、そうではないのは次の発言から明らかである。

 

タイトルどおり、「沖縄米軍海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しい」と言ったら、そんなことはとんでもないことで、その話をすることを拒否された、ということを紹介したもの。「建前ばかり言っているから、、」と本音で話すことを説いているが、この世の中、本音が通るものだと本気で考えているのだろうか。ましてや、殊に政治家たるもの、建前は重要であるし、とりわけ、こんな話題に関して本音で話すべきと勝ち誇ったように言っているのは、正気の沙汰とは思えない。そもそも、「法律の範囲内」での風俗業こそ建前であり、法律の範囲を超えたサービスが風俗業でまかり通っていることを、知らないとは言わせない。

どんな状況におかれても、性欲の捌け口として性風俗サービスの提供を女性から受けることは間違っている。射精が必要なら、マスターベーションをすればよろしい。女性として、女性蔑視の橋下発言はとても許せるものではないし、さらには、自分の発言の不備を粉飾するために、「当時は」という点にすりかえようとし(それは、海兵隊司令官への助言から、「現代も」必要であると考えていることは明らかだが)、一層牙を剥くスタイルには吐き気さえ覚える。

スウェーデンでは女性蔑視や人種差別など、差別に関するモラルのハードルは極めて高い。あまりに高いために、それらに関することは話題にしない方が無難である。そんなこともあって、政治家はこの手の話題には一層気を使う。最近も、差別発言をした政治家が相次いで辞職に追い込まれた。こんな状況にあっては、建前発言は当たり前である。しかし、建前だけで社会は良くはならないので、相当に配慮した上での本音は必要である。スウェーデンでは、橋下氏は即座に辞職しなければならないし、その後の政治家としての道は厳しいであろう橋下氏を許している日本は、流石に差別のまだある国である。日本国民として、橋下氏の発言は実に恥ずかしい。「覆水盆に返らず」なので、せめて、沈黙してほしい。

最近、スウェーデンの政治家に非常に親近感と敬意を持った出来事があり、そのため、橋下氏とのコントラストがあまりに大きすぎてこの記事を書くに至ったのだが、長くなってしまったので、その出来事は(そちらが実はメインの話題)次に譲ることにする。

オランダ新国王即位式

4月30日はオランダのウィレム・アレクサンダー皇太子が、母親のベアトリクス女王の退位に伴って、新国王に即位しました。ベアトリクス女王は1938年生まれの75歳で、健康上の問題もなく、退位は新しい世代に任せるべきという女王自身の信念に基づくものだそうです。

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女王には3人の王子があり、長男である皇太子が新国王に即位しました。皇太子妃マキシマは私のお気に入りでもありますが、アルゼンチン出身。

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二人には3人の女児がいます。

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女王には8人の孫が。

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即位式には、日本からも皇太子夫妻が参加。

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スペイン皇太子夫妻。

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ベルギー皇太子夫妻。

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デンマーク皇太子夫妻。

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チャールズ皇太子夫妻。

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勿論、スウェーデン皇太子ビクトリア夫妻も。

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新国王がバルコニーから。

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前女王もきっと肩の荷がおりたことでしょう。

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晩餐会では、皇太子殿下とスウェーデン皇太子夫妻のショットも。

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ベアトリクス女王は在位33年ということでしたが、ご自分で身を引く時期を決めたことは天晴れだと思います。イギリスや日本のように超高齢の女王や天皇が頑張ることも良いのでしょうけれど、働き盛りの年齢があるのと同様に、位を辞する時期もあった方が良いような気がします。スウェーデンなどは、現国王の評判が下り坂で、まだ60代であるにもかかわらず、ビクトリア皇太子へ位を譲るべきだという世論があるくらい。

オランダ王室についてはマキシマ妃のことくらいしか知りませんでしたが、去年2月、第2王子ヨハン・フリーゾがアルプスのオフピステで雪崩に巻き込まれ重態というニュースを聞きました。現在も意識不明のままロンドンの病院に入院中だということですが、彼の結婚にまつわる話は今回初めて知りました。彼が結婚した女性、メイベルは、彼女が大学生時代に、ヨーロッパの有名な麻薬王の愛人であったこと、その後も、国連職員であった時代に、ボスニアの大臣と不倫関係にあったことなどから、彼らの結婚はオランダ政府と議会の承認を得ることができず、結局、彼とその子供が王位継承権を放棄することで決着したのだそうです。

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王位継承権を捨てても結婚した、、。これも天晴れです。日本では絶対にありえません。以前にも書きましたが、ヨーロッパ王室では、ノルウェー皇太子が、麻薬経験者のシングルマザーと結婚したのを筆頭に、スペインの皇太子妃もバツ一ですし、スウェーデンのダニエル王子も、おそらく遺伝性であろうとしか考えられない腎疾患による慢性腎不全により、父親からの生体腎移植をするという健康状態でした。どれをとっても、日本の皇室ではありえる話ではないですし、一般家庭においても簡単には祝福されない結婚なのではないでしょうか。バツ一、シングルマザーは勿論歓迎される訳はありませんし、未だに、長男というだけで、嫁の立ち居地が決まってきたりする日本。特に名家という訳でもないのに、家の継続のために婿や嫁を確保したい家。

有能な男性達を虜にしたメイベル妃。写真からみても、とても素敵な女性のようです。しかし、ヨハン・フリーゾ王子の意識は事故から1年以上経った今でも戻らず、それはとても悲しいことです。

包茎の治療と文化 弐

尾篭な話の続きですので、興味のある方だけどうぞ、、、、。

 

 

あれから20年近く、背面切開術も、環状切除術もいくつも経験しましたが、あのときのことは決して忘れることはありません。医学部時代に同じご遺体を解剖 した4人のうち3人が泌尿器科医になりましたが、そのうちの一人は、「赤ちゃんへの背面切開」を勧めています。これについては泌尿器科医でも賛否両論があ るのですが、私は賛成派です。生まれてまもない赤ちゃんに背面切開をすると、縫合の必要もなく1週間もあれば傷は治癒しますし、成長の過程で切開したこと などわからなくなってしまいます。切開しておけば、恥垢も簡単に洗い流せますので、前稿に述べたように、赤ちゃんの亀頭包 皮炎も予防できます。そして、私の友人の弁によると、「おちんちんが大きく育つ」のだそうです。

彼が自身の息子の切開をしたという話を聞いて、妹の息子一 人の切開を、(自分ではやりたくなかったので)当時勤務していた大学の教授にお願いしました。「お前、自分でやれよな~!」とのたまいながら、眼科用の小 さなハサミで切開して下さいました。実に生後1ヶ月未満だったと記憶しています。彼が1歳頃には、完全に包皮は剥けていましたし、おちんちんの成長も早い ように思います。

そして、双子を授かったときに、自分で切開しようと決意しました。しかし、未熟児で生まれた息子になかなかハサミを入れる勇気が出せず、生 後2ヶ月ほどで、まさに清水の舞台から飛び降りる感じで切開しました。勿論、「ぼく」は大泣きしました。まだ小さかった、はだかんぼの「ぼく」を抱きしめな がら、私も泣きました。世の中には、自分の家族の体にメスを入れることが出来る外科医がいますが、もしかしたら私には無理かもしれないと、そのときに思いまし た。

あれから半年以上経ちました。切開創は数日で治癒し、生後3ヶ月にもなると、既に包皮は半分以上剥けています。これから少しずつ剥いてゆく予定なので、1歳頃には完全に剥けているのではないでしょうか。

小児の包茎の処置については、泌尿器科医でも意見が分かれるところですので、これは私個人の意見と経験でしかありません。もっとも、小児に対する環状切除はやりすぎだと思っています。ユダヤ人やイスラム人は子供に対して環状切除を行います。痛みの感覚があまりない生後8日目で行うという話を聞いたことがありますが、環状切除は背面切開に比べれば、大きな侵襲のある外科的処置です。包皮をぐるっと一周切除するのですから。

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実はスウェーデンでは、公立病院で小児へ環状切除をするかどうか医療区によって扱いが異なっています。認めている医療区における考え方は、もし認めなければ、「イスラム人は自分の家の台所で、環状切除を子供に行う」事例が増加し、出血や感染などといった処置後の合併症処置は病院で行うことにより、環状切除を行う以上にコストがかかる、というものだそうです。スウェーデンの病院で働くようになって、成人イスラム人の診察をすることも良くありますが、亀頭が見事につんつるてんになっていて、つまり、包皮が全くないのです。また、ある程度歳になってから、美容形成クリニックなどで環状切除を行うと、どうしても、縫合部の皮膚の色が同じにならず、ツートンになってしまうため、手術したことを隠すことはできません。しかし、彼らの場合、小児で行っているため、ツートンにはならないのです。しかし、あそこまでつんつるてんだと、却って違和感を感じてしまいますが、、、。スウェーデン人は、あまり包茎にはこだわらない?のか、日本人と同様、仮性包茎が多いです。

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やはり、赤ちゃんに環状切除をするのは反対だなあ。勿論、国により、HIVなどの感染予防のために、環状切除を行うという場合は別ですが、、。また、成長の過程で、「仮性包茎(勃起時には亀頭が露出する)」であれば問題はないのですが、勃起しても亀頭が露出しない、「真性包茎」は環状切除の医学的適応になります。恥垢がたまると、不潔であるだけでなく、陰茎癌の原因になります。陰茎癌の患者さんはもれなく包茎です。真性包茎ですと、バルーニングという現象が見られることがあります。排尿の際に、包皮と亀頭の間に尿がたまって、風船のようになる現象です。

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環状切除(circumcision)反対の活動家までいるのは、知りませんでした。包茎に対する考え方には、さまざまなものがあって、非常に奥が深い。大論文が書けそうなくらいです。スウェーデンでは幸い、小児泌尿器科は完全に独立しているため、私は小児を診察しない環境にありますので、包茎に関してはお気楽なものです。

いかにもスウェーデンらしいお粗末な話

今年の3月、イースター休暇中のlångfredagen(聖金曜日、復活祭の前の金曜日)である29日夜中に、センクト・ぺテルスブルグから離陸し、訓練中のロシアのミサイル爆撃機Tu-22M3が、4機の戦闘機とともに、スウェーデン領空30-40キロメートルまで接近しました。

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(Sydsvenskanから拝借)

スウェーデンサイドはこの練習については知らされていませんでした。しかし、本来ならばすぐに戦闘機を発進させ対応しなければならないはずが、スウェーデン国中一機たりとも発進できる戦闘機がなかったというのです。しかも、慣例的に、戦闘機は日勤帯のみしか離陸できないのだそうです。イースター休暇で、さらに手薄だったことは、言うまでもありません。

これに先立つこと2ヶ月前の本年1月、与党の防衛相は、「防衛は、予期せぬ事態に備えて、常に、「一日24時間」対応できなければならない。」と演説したばかりで、何ともお粗末。しかし、このことは、スウェーデン全体の勤務体制を象徴するものといって間違いありません。

病院でも、「予定時間内に終わらないから、手術は延期」、「医師、看護師が病気で人手がないから、手術はキャンセル」、「週末は人員が足りないから、ベッド数を削減」、「夏休み、クリスマス期間は多くの人が休暇を取るので、ベッド数は半分に。勿論、手術や外来も半分に。」ということは当たり前。

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手術室には、こんな紙が置いてあって、朝、欠勤者を確認します。「sjuk=病気」であるのか、「VAB=病児の看護」であるのかを書く欄があり、VABの場合は、病児の名前を記載します。VABは「vård av sjukt barn」の略であり、これから転じて、「vabba」という動詞まであります。2013年からVABの申請は簡単になり、欠勤前までに、VABのために欠勤することを、インターネットやSMSで申請します。その後、VABの期間終了後、この期間に対する経済的給付を申請すれば良いのです。12歳未満の子供に対しては、一週間以内のVABに関しては、医師の診断書なしに給付が受けられます。

ロシアの戦闘機の一件より前の2月7日には、日本でも、ロシアの戦闘機が日本領空を侵犯し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進、その後4月27日には、ロシアの哨戒機が(日本領空を侵犯することなく)日本海上空を飛行したため、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させて対応したそうですね。4月の事件はやはり夜中だったそうですが、日本の航空自衛隊の方がスウェーデン空軍より対応が優れているのは、プライベート重視がゆえにスローペースなスウェーデンに住むものとしては、全く違和感を感じません、、、。

 

包茎の治療と文化 壱

私には、2人の甥がいますが、彼らは、私のことを、「おちんちんの先生」と呼んで笑っています。

妙齢を過ぎたとはいえ、れっきとした女性(笑)をつかまえて、「おちんちんの先生」はどうかと思いますが、まあ、当たらずといえど遠からずで、呼ばれている本人は結構喜んでいたりして、、、。

今回は、所謂、尾篭な話になりますので、その手の話が苦手な紳士・淑女の方はスキップしてくださいませ。

 

泌尿器科ではあまり救急疾患はありません。救急疾患の中で頻度が多いものは、腎・尿管結石の発作、尿閉、精巣捻転、陰茎折症、骨盤骨折、腎外傷などがあります。その他に、小児が救急を受診する疾患として、亀頭包皮炎があります。おちんちんが腫れた。痛い。膿が出る。といった症状。小児は少なくとも仮性包茎があるので、包皮と亀頭の間が不潔となるため、炎症を起こしやすい。スウェーデン人もそうですが、日本人も、幼児期に包茎に対する処置をすることがないので、成人しても仮性包茎あるいは真性包茎である人の割合が多いのです。

仮性包茎の人が包皮を翻転させたまま戻さず、亀頭を露出させたままにしておいた場合、嵌頓包茎となる場合があります。これは、包皮に亀頭が締め付けられ、循環障害を起こすものです。包皮より遠位が腫脹するため、包皮を戻すのはますます難しくなり、強烈な痛みを伴います。そんな場合、どうにかして包皮を半ば暴力的に戻すことを試みるのですが、男性医師は勿論のこと、女性医師である私にはあまりやりたくない処置です。ときに、包皮を戻せない場合は、外科的処置が必要になることもあります。外来で、患者さんが高齢者の場合、緊急の場合などは、背面切開といって、包皮に切開を入れる処置をします。

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今だからこそ言える話ですが、あれは私が泌尿器科医として働き始めて、というより、泌尿器科で医師として働き始めて数週間の当直時間帯のときのことでした。救急外来に、高齢で、糖尿病の管理されていない患者さんが、意識低下で受診しました。血糖が非常に高く、輸液と尿量の管理が必要なのですが、包皮の開口部が針穴のように小さかったのです。良く、その年齢までこんな包皮のまま排尿していたものだと感心するくらいでした。救急外来の先生が尿道カテーテルを挿入することができないので、泌尿器科が呼ばれました。駆け出し泌尿器科医でも、これは背面切開が必要だということがわかりましたが、ここで困ったことに。おちんちんの「背面」とはどこのことか?「背面」の反対は「腹面」になります。おちんちんを真正面に見て、12時方向なのか、6時方向なのか。当時は、携帯電話はなく、ポケットベルだけの時代でしたから、先輩のポケットベルを鳴らしましたが応答なし。インターネットもありませんでしたので、ちょっと調べるという訳にもいきません。患者さんの命を救うためには、その場ですぐ決断しなければなりませんので、もはや観念するしかありませんでした。「確率5割」。えいやっと陰嚢に近い包皮、つまり、6時の包皮を切開すると、これまで70年以上、日の目を見ることのなかった亀頭がめでたく顔を出したのでした。簡単に止血処置をしてカテーテルを挿入して終了。ところが、この「確率5割」の選択は、大失敗に終わりました。先輩医師に、「お前なあ~!男の体っちゅうもんを知らんから、そういうことになるんや~!。」と叱られると同時に大爆笑されました。そのときには、私にはその意味が理解できなかったのですが、あとから親切な同僚が、「あそこは性感帯に近いからだよ~。」とこっそり教えてくれました。

長くなりそうですので、この続きは次に。

 

Never give up!

以前から書いているように、世の中には、頑張れば手に入るものばかりではありません。むしろ、手に入らないものの方が多いのかもしれません。

オリンピックで金メダルを取るなどということもそんなものの一つでしょうが、研究者にとっては、例えば、「ノーベル賞を取る」ことなどが挙げられます。ノーベル賞を受賞するためには、「人類に貢献する可能性のある、秀逸な独自の発見」をしなければなりません。そして、もしそんな発見をすれば、NatureやScienceといったトップジャーナルに論文が掲載されます。研究者としては、これらトップジャーナルに掲載される論文を書くことは、まさに「憧れ」なのです。ここ10年ほどで、基礎研究におけるテクニックは飛躍的に伸びたため、一つの仮説を証明するのに、多くのテクニックを用いて同じ結果を導き出すことが要求されるようになりました。更に、以前では、掲載図表の数に限りのあるトップジャーナルでは、「Data not shown」と記載し、図表を載せないまま論文がアクセプトされることが通常でしたが、現在はオンラインで、全てのデータを提示しなければならないようになっています。従って、10年、20年前に比べると、トップジャーナルに論文が掲載されることは格段に難しくなっているという印象です。臨床医、疫学者にとってのトップジャーナルは、The England Journal of Medicineや、The Lancetなどですが、これらにおいては、優れた疫学調査やタイムリーなトピックスが取り上げられるため、特に、テクニック的に難しくなったということはありません。研究者にとって、疫学調査を専門とすることが気楽なのは、ネガティブな結果でも論文になるという点です。多くの臨床医が行う臨床研究もこれに似たところがあります。かくいう私は、研究を始めて以来、ネガティブデータは論文にはならない分野で研究してきたため、何年間も論文が出なかったということは経験済みです。スウェーデンに移住してからは、研究者として生きてゆくのは難しいことから、臨床医としての地位を確立することをメインにしてきたため、研究に割くことのできる時間は殆どありませんでした。しかし、移住する前のポスドク時代のデータで、長らく埃を被ったままだったものを、最近論文にすることができました。当時は「鳥肌が立つ」ほどの発見で、本来ならば、トップジャーナルを目指すことのできるものでしたが、結局、その研究を継続することができませんでした。そこで、インパクトファクターにはこだわらず、とにかく世に送り出すことだけを望んでいたので、それはそれで嬉しいものでした。

ところでタイトルの、「Never give up」ですが、最近、友人の一人の論文が、Natureにacceptされたのですが、それが実にすさまじい闘いだったのです。彼が最初の論文を書き上げたのが、3年ほど前。まず、Natureに送りました。Editorial kickにはならず、レビューに回りましたが(トップジャーナルでは、レビューに回るだけでも凄いのです)、rejectされました。レビューアーからのコメントがあったため、追加実験を行って全てのコメントに答えた上で再投稿した。しかし、結果はやはりreject。そこで、彼はScienceに投稿しました。Scienceでもレビューに回りましたがreject。これだけでも凄すぎるのに、これからが彼の凄いところでした。Scieneで得たコメントで指摘された点を改善し、なんと再びNatureへ投稿。再びレビューに回るも、reject。再実験を重ねた上、レビューアーのコメントに答えて、Editorへ抗議。その後、結局、acceptされたのです。NatureやScienceにacceptされるような仕事は、少なくとも、2、3年がかりのプロジェクト。知見は新しくなければならないため、誰かに先を越されてしまえば、その論文は日の目を見ることもなく、研究者の2、3年はその苦労が報われることなく空に消えます。中には、数ヶ月でデータが揃うような研究もあるようですが(例えば、人間を被験者とするような、はやりの脳科学研究の一部など)、少なくとも、ラボのベンチに座って、所謂、「試験管を振る」ような研究に関しては、トップジャーナルにacceptされるのは至難の業なのです。

それだけに、最近増えている、データの捏造には大きな怒りを覚えます。トップジャーナルに論文が掲載されるということは、その後のキャリアに大きな影響があります。つまり、大きなグラントが取れるようになったり、教授職を得たりします。日本でも、捏造が指摘されることがありますが、とかげの尻尾きりのように、下っ端に罪を擦り付けて、その論文に責任を持たなければならないはずの教授が、何もなかったように居座ったりする例もあります。また、一度捏造に味をしめると、次々に捏造したくなります。何年もかけて、しかも、結果の出る保証の無い実験を続けるのが馬鹿らしくなるのです。しかし、真の研究者というのはそうではありません。友人である彼のように、rejectされても諦めることなく、さらに時間を賭けて再チャレンジする。私にとっては胸が熱くなる話でした。

手に入らないかもしれないけれど、「Never give up」。私も今の辛い職場で、そんな努力を続けるべきなのでしょうか、、、。

Jamie Oliverのこと

Jamie Oliverという料理人を今や知らない人はいないと思います。テファール社製品で彼の名前が付いたものは沢山ありますし、スーパーにも彼のプロデュースした食品がずらりと並んでいます。彼の料理には気取りがなく、素人にも敷居が低いところが私は好きです。また、複数の料理人が、贅沢な食材を使い、贅沢な料理を目指すのに比べ、彼は庶民の食に興味があるようにも思います。イギリスの給食に関するプロジェクトなども、彼の哲学を表すものなのではないでしょうか。

先週末の朝、TV4のNyhetsmorgonでJamieがゲストで出演していました。

タイトルは、

Jamie Oliver berättar om maten, dyslexin och gubbröran

(Jamie Oliverが食、ジスレキシー、そしてグッブローラについて話す)

インタビューは、聞き手がスウェーデンの伝統的な料理、gubbröra(グッブローラ)を作るところから始まります。「gubbröra」って何?というJamieの問いに対して、「gubb(e)」は「old man」、つまり「mashed old man」のことと説明されます。赤玉ねぎ、ゆで卵、ゆでたじゃがいも、アンチョビ、シル、チャイブをみじん切りにして料理用クリーム、マヨネーズなどと混ぜます。röraと名の付く料理は他にもあって、マッシュするというよりは、混ぜるという意味があります。

食に関する啓蒙運動を非常に重要視している彼は、イギリスで入院が必要な患者さんの7割弱が食に関連する疾患でタバコよりずっと多いといいます。この高い数字にはいささか疑問もありますが、例えば大腸癌や前立腺癌なども食関連ということもできますので、意外に多くなるのかもしれません。しかし、イギリスでの食の乏しさは、私も経験済み。病院のカフェテリアなどの食事もひどいものでした。どうしたら、あんなに茹で過ぎた野菜を出せるのだろうか、、、。Jamieは給食の重要性を説きます。やはり、子供のときからの教育が大切と。彼自身、子供のとき既に父親のレストランのお手伝いをしたりしていたそうです。包丁は12歳から。ジスレキシーのために学習障害のあった彼は、料理が自分に自信を与えるものであったと。そして、ジスレキシーは神様からの贈り物だと。これは、流石に彼流のユーモアなのだと思いますが。ジスレキシーはあまり知られていませんが、スウェーデン国王をはじめ、ビクトリア王太子、カール・フィリップ王子などもジスレキシーです。スピルバーグ監督や、トム・クルーズもジスレキシー。

イギリスで知名度の高い料理人といったら、スコットランド出身のGordon Ramsayがいます。彼がテレビに出ない日はないくらいメディア露出度が高いように思います。出産後、双子と3週間ほど入院しましたが、毎日彼の出る番組を病院で見ていました。Gordonの方が10歳ほど年上ですが、どうやら彼らはあまり仲が良くないようです。インタビュアーがGordonとの関係を質問していましたが、「以前は仲が良かったけれど、カナダでのプロジェクトで、GordonがJamieの悪口をジャーナリストに言ってから、悪くなった。彼のスタイルは全く好きではないし、彼には全く自信というものがない。でも、彼とのことは全く自分に影響はない。世の中の人全てと仲良くなる必要はないからね。」というようなことを言っていました。GordonはGordonで才能があるのだと思っていますが、Jamieには、子供のときから食の分野で叩き上げたことによる大きな自信、ジスレキシーのために普通の教育を諦めて料理に邁進した闘争精神があり、Gordonとは全く違ったタイプの料理家であるに違いありません。あまりにストレートなGordonへの批判の言葉に、インタビュアーも私も驚いたのでした。

Jamieの料理本で、「Jamie’s 15-Minute Meals」が紹介されていましたが、15分で作れるかどうかは別としても、短時間でできる料理の好きな私に良さそうな本です。買ってみようかな。30分程度でできたら御の字です。

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TV4playであと一ヶ月程度は視聴できるようです。ご興味のある方はどうぞ。

海老づくし

日々に追われていて、お料理はさぼり気味の昨今。離乳食作りだけでも、十分忙しい(!?)

そんな私が最近はまっているのが、海老のビスク。オマール海老より手軽に買えて、しかも味は十分に美味しいのです。

スウェーデンでは、たいていのカフェやレストランで、「海老のオープンサンド」があります。パンの上に海老、ゆで卵、ディル、マヨネーズなどがのせられており、なぜか、お値段は最低でも100クローネ以上するため、まず外食で食べることはありません。殻つきの海老を買って、自分で殻をむいて作る海老のオープンサンドは絶品。残った殻には、海老の味噌や、時には卵が残っていますが、これを使って作る海老のビスクで、我が家のテーブルもレストランに!

まずは、今回の海老のオープンサンド。アボガドとキャビアもトッピング。最後にレモンを絞って。これから暖かくなったら、きりっと冷えた白ワインと食せば極楽。

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「のこりもの」の海老の殻から、海老のビスク。意外に簡単です。海老の殻をオーブンに入れるか、炒めるかしたものと、玉ねぎ、にんじん、トマトをさらに炒めて、白ワインを加えて煮て、ミキサーにかけます。それを裏ごしするのが少し大変ですが、裏ごししたら、いつもは牛乳か生クリームを加えるのですが、牛乳アレルギーの友人のために今回は手作り豆乳を使いました。こってり感が足りなくなるのでは、と心配しましたが、そうでもありませんでした。

前菜としてスープを出すときは、ガラスの器を使うのが私好み。これは、数年前に一時発売された、BodaNovaの器。小さなサラダやお浸し、デザートは勿論のこと、このように温かいお料理にも使えるすぐれもの。しかも、光に当たるとカットが光って美しい。

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海老のビスク、是非、お試しを!

「はいはい」時代に突入

とうとう、待ち望んでいた(恐れていた!?)「はいはい」を、「ぼく」が始めました。最初は、四つん這いになって、前進出来ずに泣き騒いでいましたが、あっという間に前進できるようになりました。油断している間に姿が見えなくなることも。

いざキッチンの探検へ!

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「わたし」は、以前と同じように前腕を使ってお腹で床をお掃除しながら前進。後退もできます。

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二人いると何をやらかすか、、、。目が離せません。

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あまりに静かだと思ったら、早くも、二人一緒に机の下で探索中。「seek and destroy」となる日も近いか?

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いたずらしたあとの嬉しそうな顔。「わたし」はマイペースに「やぎさん」となって紙を召し上がっております。

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「ぼく」に先を越されましたが、「わたし」もおすわりができるようになりました。

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いつもクールな「わたし」。なかなか「わたし」の素敵な表情をカメラにおさめることができませんが、これは母のお気に入りの一枚。我が子ですが、可愛いと言わせてくださいませ。

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「這えば立て、立てば歩めの親心」

日本語って美しい。

We are not excluded, just not included!

先週、大ボス、中ボスと話をしました。私は、自分の希望を伝え、それが受け入れられるのかどうかは、現在のところペンディング。

それ如何により、私は更なる対応を考えなければなりません。

その後、女性の同僚複数と話す機会があり、その中の一人が転職を考えていることを知りました。状況を理解できるとはいえ、ショックです。またある一人は、最近、患者さんのことで辛い思いをしたと。日本でも、手術の好きな外科医の中に、手術が終わると患者さんから興味を失い、術後管理や、退院後のフォローアップ、また、合併症の管理などには意欲を燃やさない人間がいるのを目撃してきました。そして、それはどういう訳か全て男性外科医でした。実は、スウェーデンでも同じような男性外科医複数に遭遇しています。そんな外科医が手術した患者さんの中で、不運にも術後短期間で命を落とした人がいましたが、その術後管理に関わった彼女は、非常に悔しい経験をしたとか。死亡までの転帰が予期せぬことだったこともあり、病理解剖が行われ、全くの予想外の死因が明らかになったのですが、消化不良の感が否めなかったとか。このこととは無関係ですが、概して、男性外科医は失敗しても動じない人が多いように、そして、女性外科医は、失敗すれば、「メスを握り続けられるのか?」という問いが頭をよぎる人が多いように思います。

外科部門において、男性と女性がチームで働くことは容易であるとはいえません。女性がトレイニ-であるうちは問題がありませんが、専門医となり、男性と伍してゆく立場になると状況は変わります。たとえば、男性にとって、女性からの批判を受け入れることは難しいようです。私も、自分の意見を言うとき、殊に、相手の意見に賛同できないときなどは、非常に気を使います。議論の展開の仕方、使う言葉にもひとつひとつ慎重になります。そうしなければ、相手の機嫌を損ねてしまい、自分が望むように物事は運ばないのです。そして、(少なくとも私の経験してきた外科医の世界では)最も気を使う相手は、自分と同じレベル、自分より上のレベル、そして、中堅以上の立場となった現在では、ある程度経験を積んで、自分はかなりできると勘違いしている卒後5,6年以降の若手。女性にも公平に接することのできる男性外科医は、知識、技術は勿論のこと、人間としても成熟している必要がありますが、そういう人はなかなかいません。

前の記事をお読みになられて、私が、仲間はずれにされていると勘違いなさっている方もいらっしゃったようですが、決してそうではありません。だからこそ、なおさら、たちが悪いのです。その場にいれば、ランチにも誘われます。仲間はずれであれば、まだ糾弾の方法があろうというものです。上手に説明することができないのですが、最近話をした女性の同僚が、素晴らしい表現をしてくれました。「言い得て妙」とは、まさにこのことです。

We are not excluded, just not included!

仲間はずれとは、言ってみれば、「exclude」されることでしょう。彼女もそうは感じてはいない。だからこそ、「not included」なのです。おわかりいただけるでしょうか?「それを仲間はずれと言うのでは?」という声も聞こえてきそうですが、渦中にいると、これこそが絶妙な表現なのです、、、。