ミッドサマーから7月にかけては、スウェーデン人が好んで休暇を取ります。我々の部門でも同様で、とはいえ、希望通りに休暇を取ると、殆ど人がいなくなってしまうため、休暇取り合戦はかなりタフと言わざるを得ません。私の場合は、7月3日の双子の誕生日に、洗礼式と結婚式をすることを決めていた関係で、その週の休暇は死守しなければならず、その代わりにミッドサマー前後に育児休暇も返上して100%勤務した上、オンコールも引き受けました。さらに、人の少ない7月中も100%勤務の週があったり、オンコールがあったりと、かなりハードでした。
先週は膀胱癌チームが私一人だけということもあり、膀胱全摘が2件。しかも、最近は、膀胱全摘の殆どがロボット手術になっているため、開腹になる患者さんは、以前に放射線や手術を受けたようなタフケースばかり。しかも、年齢層は80代が主です。実際、想像以上に難しい手術となり、一瞬、消化器外科の先生の助けを求めようかという考えが頭をよぎったりしました。結局、途中に15分くらいのランチ休憩を入れて(これができるのがスウェーデンの素晴らしいところ)、最終的には5時間程度で終了、出血も1000ml以下と、満足できる手術となりましたが、体力的にはそれほど長くない手術で問題ないものの、精神的には相当こたえました。
週末のオンコールでは、筋膜炎疑いの患者さんの緊急手術。フルニエ壊疽やコンパートメント・シンドロームなどは、日本では殆ど見たことがありませんが、スウェーデンではときどき見かけます。フルニエ壊疽は致死率の高い疾患で、スウェーデンに来てから1名の死亡例を経験しましたが、こちらの死亡率は非常に低いと思います。重症の感染症に対しては、積極的に高圧酸素療法を行っており、フルニエ壊疽に対しても手術で十分にデブリドマンを行った上、一日2回の高圧酸素療法をするのがスタンダード。泌尿器科領域では、陰嚢周辺に発生するため、陰嚢の皮膚もごっそり切除することも多く、ガーゼを取ると精巣だけがぶら下がっている光景は、泌尿器科医にとっても悲惨なものです。
病棟は未だに半分閉鎖されており、当然、手術や外来業務も半分以下となっています。最近、Lundで頭部外傷の患者さんが救急外来の観察室で死亡しているのが発見され報道されましたが、大学病院でさえ人不足。殊に、看護師さんの数は相当不足しているようです。私自身、既に小児救急では患者サイドとしてスウェーデンの医療を経験しましたが、日本とはまるで違う。この件に関しては別の機会に述べることとします。
医師の数の不足を補うのが、医師免許前の(日本でいうところの)研修医や、臨床研修が始まっている医学生たちです。この夏も常時約3名が助っ人に。この助っ人がそれはなかなか優秀で熱心なのです。勿論、有給です。日本でもこのようなシステムは導入すべきだと思います。日本の医学生の殆どがクラブや遊びに熱中する代わりに、スウェーデンの医学生は早くから医師の補佐、ときには、看護師としてアルバイトをしています。スウェーデンの大学生の教育費(学費は無料なので、書籍やコンピューター、生活費など)は、親が負担することは基本的にないので、学生たちは学生ローンとアルバイトで生活します。教育の必要があってこそ大学にも入学するため、勉強態度も日本の学生のそれとは違うように思います。これらの優秀な学生さんが助っ人に来てくれることで、中には7週間連続の休暇を取っている医師もいます。しかしねえ、そうすると、例えば、休暇前にオーダーした検査結果の確認が漏れたりというミスも発生します。診断や治療の遅延につながる危険もあり、長い休暇の陰には、このような恐ろしい側面も、、、。
日本人医師としては、少なくとも自分の患者さんではそのようなミスがないように努力するのみです。来週は最後の休暇です。とはいえ、日本では夏休みは1週間だけという生活を20年近くしておりましたので、スウェーデンの労働環境には感謝しています。








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