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IVFの父、ノーベル生理学・医学賞受賞!!!

本日11時45分に2010年のノーベル医学・生理学賞受賞者の発表がカロリンスカ研究所でありました。

The Father of the Test Tube Baby

Robert G. Edwards, the 2010 Nobel Laureate in Physiology or Medicine, battled societal and establishment resistance to his development of the in vitro fertilization procedure, which has so far led to the birth of around 4 million people.」



Edwards博士は1925年、イギリス、マンチェスター生まれ。

カロリンスカ研究所から発表された資料からご紹介。

「2010年のノーベル生理学・医学賞は、Edwards博士の「不妊治療における進歩である、IVFの開発」の業績に対して贈られる。現在では、全世界において、10%以上の人間が不妊症を抱えているともいわれる。1950年代にEdwards博士はIVFの治療としての可能性に気が付いた。いかにホルモンが卵巣の機能、卵子の成熟や排卵をコントロールするかという研究が彼にアイデアを与えた。体外で人間の卵子が成熟すること、受精することを初めて示したのは彼である。また、人間の受精卵が体外で初期胚や胚盤胞に成熟することを示したのも彼である。彼の業績の結果、1978年7月25日、午後11時47分、世界で初のIVFによる赤ちゃんであるLouise Joy Brownが誕生した。Edwards博士の研究は、生殖医療を進化させ、今日、IVFのおかげで400万人近い赤ちゃんが誕生している。」

という序文で資料は始まっています。

続いて、「Infertility is regarded as psychologically stressful by most individuals and can lead to depression, social isolation and a lower quality of life.」と、不妊症が精神的に与える苦痛や、生活の質について言及しています。

排卵から着床までを示した簡単な図が示されたあと、不妊治療の進化の歴史が述べられます。

「試験管内での受精については、初めは哺乳類ではない、例えば、海洋生物などで研究された。精子が卵子へ進入する様子は1851年に初めて寄生虫(Ascaris)でNelsonにより報告された。1935年には、アメリカのGregory Pincusが哺乳類(ウサギ)の卵子が体外で成熟することを報告した。1959年にはPincusと同じラボのMin Chueh Changが試験管内で成熟したウサギの卵子が試験管内で受精し胚に成熟することを示した。しかし、当時、精子が卵子を受精させるためには、体内で活性化される(capacitation)ことが必要だと信じられていた。」

「しかし、1963年に、Ryuzo YanagimachiとMin Chueh Changがそれは正しくないことを示した。彼らは、ハムスターの成熟精子が、体内での活性化なしに卵子を受精させ、2細胞胚までとなったことを観察したのである。」

Human invitro fertilization- a monumental challenge

「20世紀の初めに、研究者たちは人間の卵子を体外で受精させることができないかどうか考え始めた。1960年代初めまで、人間の卵子については殆ど研究に進歩がなかった。」

「Edwards博士は1950年代後半、ロンドンで不妊治療法の開発に関わっていた。最初に彼が解決した問題は、IVFに適した成熟した卵子を得ることだった。1965年、彼は、卵子がその成熟過程を開始するためには、体外での24時間の培養が必要であることを発見した。1969年には、ある培養液が人間の精子を活性化させ、受精に貢献することを示した。」

The Breakthrough

「Edwards博士は人間の卵子が体外で成熟することを示したが、2細胞以上まで成熟するこはできなかった。これは、卵子が体外で培養される時間が長すぎるからではないかと考え、今度は、体内で成熟を完了した卵子を使うことを考えた。つまり、排卵する直前の成熟卵子がIVFに適しているのではないかと考えたのである。」

(ノーベル賞審査委員会資料より:受精卵は8細胞胚となる2.5日目に子宮へ移植される)

「彼は、体外から供給される性腺刺激ホルモンにより、卵子の成熟が惹起されることを示したし、卵子の成熟のタイミングなどについても良く理解していた。しかし、次なる問題は、正しい成熟過程になる卵子を十分な数だけ、卵巣から採取することであった。1960年代には、人間の卵子を採取するためには、外科的に卵巣の一部を切除しなければならず、これはIVFには適さない方法であった。1968年にLancetに掲載されたSteptoe博士の「Laparoscopy and ovulation」という論文を読んで、彼はラパロスコピー(内視鏡手術)という新しい技術を知った。これを卵子採取に使えると考えた彼は、Steptoe博士に連絡を取って、1970年には、性腺刺激ホルモンで刺激した不妊症女性の卵巣から、ラパロスコピーで卵子の採取に成功し、これは1970年のLancetに掲載された。同1970年、この卵子を用いて、8細胞胚までの培養に成功し、その成果はNatureに掲載された。これは、体外で活性化された精子が2細胞以上の胚まで培養できた初めての報告であった。」

Fig. 3. Picture of 8-cell stage human embryo resulting from IVF (Fig. 2., in Edwards et al (1970) Nature, vol 227:1307-1309).

「1971年には、これもNatureに、「Human blastocysts grown in culture」というタイトルで、16細胞胚まで培養し胚盤胞を得たことを報告している。これらは全て、EdwardsとSteptoeの共著である。」

「1970年代に、EdwardsとSteptoeは、100例以上の症例で妊娠反応陽性を経験したが、ホルモン治療した女性においては、胚の着床障害が生じ、つまり、自然流産となることに気づいた。また、1976年の最初の妊娠例では、子宮外妊娠となってしまった。EdwardsとSteptoeは治療過程における、ホルモンによる卵巣刺激をやめることを決断し、1周期あたり1個の卵子しか得られないにもかかわらず、患者の自然周期に任せることとした。尿中の黄体ホルモンを計測することで、排卵直前のタイミングで、卵子を内視鏡下で採取することにしたのである。そして、1978年、世界初めての体外受精ベビー(試験管ベビー)が誕生したのである。」

Fig. 4. A copy of the Letter to the Editor in Lancet (1978) 2:366, documenting the birth of the first IVF baby, Louise Joy Brown.

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=pqu8Y4XGFK4[/youtube]

Further developments of IVF

Louiseが誕生したあと、EdwardsとSteptoeはケンブリッジのBourn Hallに不妊治療クリニックを設立した。Bourn Hall Clinicでは、1983年までに139名、1986年までに1000人の赤ちゃんが体外受精により誕生している。今日では400万近い赤ちゃんが全世界で誕生している(スウェーデンでは新生児の3%が体外受精治療で誕生しているとのこと。)。

Further medical developments

「その後、様々な技術革新がなされた。1984年には経膣超音波ガイドによる卵子採取法が報告され、全世界に広まった。1983年のNatureには「Human pregnancy following cryopreservation thawing and transfer of an eight-cell embryo」というタイトルで、8細胞胚の凍結が報告された。PGD(preimplantation genetic diagnostics)といって、両親からの遺伝疾患を子供が受け継ぐ危険を減らす目的で、着床前診断の手法も開発された。」

(1991年には、Intracytoplasmic sperm injection (ICSI)も開発されました。)

Health status offspring conceived through invitro fertilizatoin

「IVFにより出生する子供の健康状態についても、いくつもの報告がある。多胎問題は大きな問題であり、ヨーロッパの多くの国では、強制的、自主的に、「単一胚移植」を奨めており、多胎は劇的に減っている。しかし、未熟児出産の確率は、通常妊娠と比べて2倍と大きく、これは、母体の高齢化とともに、不妊の原因となるバックグラウンドが影響しているものとみられる。Beckwith-Wiedemann SyndromeやAngelman Syndromeの発生が多少多いことが知られている。外科的治療を必要とするような重篤な奇形の増加も報告されているが、十分検討されたものではない。

Ethical considerations

Edwardsは研究の初めから、研究が孕む倫理問題については検討しており、弁護士であるDavid Sharpeと共に論文も発表している。IVFの研究を始めた当初は、宗教団体や科学者からの批判も多くあったようである。」


Conclusions

私が訳すると、本文から受ける感動が薄れてしまうので、原文を載せます。

Robert G. Edwards has developed a method to treat human infertility. This discovery represents a monumental medical advance that can truly be said to confer the “greatest benefit to mankind”. Human IVF has radically changed the field of reproductive medicine. Today, 2-3% of all newborns in many countries are conceived with the help of IVF and many individulals that turn to an infertility clinic can be helped. IVF has also opened up new ways to treat many forms of male infertility. The development of IVF recognized by this year´s Nobel Prize Physiology or Medicine has touched the life of millions of infertile people, giving them an oppotunity to have children.

(Christer Höög, Professor of Cell Biology, Karolinska Institutet, Stockholm, Member of the Nobel Assembly)

関係者の話によると、審査委員会で採決されたのは、今日の朝。史上でも最高のノーベル賞だという自負があるようです。

ノーベルの遺書によれば、「人類の益となる研究」に与えられる賞であり、確かに、素晴らしい選択だと思います。

iPS細胞研究はIVF研究の流れを汲むため、山中先生の受賞は数年先送りになるとの予測。

IVF治療の将来は、未受精卵の凍結や、凍結未受精卵からの妊娠の確率が上がって、若い女性が積極的に未受精卵を貯金ならぬ「貯卵」するのではないかと、私は思っています。スウェーデンに住んでいると、キャリアのために出産を先送りにしなくても済むようなシステムがありますが、日本では後進国も良いところ。出産をしても、そのあとキャリアに邁進できるチャンスのある社会や、出産・子育てをしながら働ける環境、システム。男性、女性、両性の意識。どれをとっても日本はまだまだです。そんな社会で女性が頑張るためには、「貯卵」でもして、体内時計に心を痛めなくても良い状況を作るようになっても不思議ではないと思います。

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