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スウェーデンにおける医療と福祉

スウェーデンの公共セクターは、簡単にいうと、国と地方自治体であるLandsting(県)とKommun(市)に分類できます。Landstingは全国に20ほど、Kommunは290ほどあります。Landstingは複数のKommunを包括するより広域の地方自治体ですが、LandstingがKommunを監督するというような上下関係はなく、それぞれが異なる責務を担う行政主体です。医療と社会保障については、それぞれの役割分担があり、医療はLandstingが、福祉はKommunが行っています。また、福祉において、病保険、育児休暇などの現金給付については、社会保険庁(Försäkringkassan)の管轄です。スウェーデンの歳出の多くはこの社会保障分野への支出であり、最も大きな歳出は疾病罹患時の経済保障で15%以上を占めています。余談ですが、疾病罹患時にどれだけの保障が必要であるかについての書類を作成するのは我々医師であり、その書類をもとに社会保険庁が最終決定を行うのです。

スウェーデンの国家予算の規模はおよそ日本の7分の一もあると知ったときには驚きました。国の歳入の9割以上が社会保険料収入を含む税収入。個人が国へ直接納める所得税は、所得が340900クローネを超える国民に限られ、その数は約18%の120万人。340900クローネを超える所得に20%が、507100クローネを超える所得に25%が課税されます。LangstingとKommunはその住民に対する課税権を持ち、それぞれが現物給付の形で住民にサービス提供を行っています。全ての住民は所得のおよそ20%をKommun税、およそ10%強をLansting税として支払います。課税率は各自治体によって異なりますが、結果として、国民は所得のおよそ30%を所得税として課税されています。低所得者であっても納税の義務があり、そのかわりに平等なサービスを受けられるシステムは、日本と比べて優れていると、医療現場に勤務する身としては感じます。また、(戦争難民などを除く)全ての国民が医療機関受診時には一定額の医療費を平等に支払う義務があります。

1980年代には、スウェーデンでは、高齢者ケアの中心が医療から福祉へ比重を移し、また、医療を担当するLandstingと福祉を担当するKommunの責任領域が不明瞭になってきました。高齢者医療費の増加、(治療は完了したにもかかわらず退院できない)社会的入院患者の増加なども大きな問題で、1992年にエーデル改革が施行されました。社会的入院患者の減少と入院待機患者の減少、高齢者・障害者用住宅状況の改善を目指すとともに、それまでLandstingが担っていた長期医療ケアや在宅看護の部門をKommunに移譲することになりました。Kommunは「介護つき特別住宅(老人ホーム、ケア付きアパート、グループホーム、長期療養病棟など)」を高齢者に提供する義務を負うことになりました。ホームヘルプについては、もともとKommunがその担当でした。この結果、高齢者の社会的入院患者数も5年で半減しました。

我々、急性期病院で働く医師は、患者さんの在院日数を最短とする努力をしなければならないのですが、そのためには、入院時から患者さんの社会的状況を把握して、治療が完了したら速やかに、自宅へ退院させるか、適当な機関へ移す計画を立てておかなければなりません。スウェーデンでは殊に、80代、90代でもホームヘルプサービスを利用しながら独居している高齢者が多数いますが、超高齢になると、すぐに自宅へ退院させる訳にはなかなかいかず、リハビリのできる施設を探す必要のある場合が多いのです。また、自立した生活を送るために必要なホームヘルプサービスの種類や頻度の決定は、(当然、コストがかかることですので)揉めることもあり、biståndshandläggare(ケア査定員)を病院に呼んで、Kommunと病院との間の話し合いが必要な場合もあります。

高齢者や癌患者さんなどで、定期的な治療や簡単な検査が必要な場合、訪問診療・看護(hemsjukvård)の力を借りることが多くあります。これはKommunの管轄です。いくつかの条件をクリアすれば(例えば、IVH以外のライン、venous portやPicc-lineなどを留置されている)、輸液もしてもらえます。ガンの終末期であっても家族が協力的で、自宅介護を望む場合などには非常に有難いシステムです。最近も、膀胱癌で、さらに小腸ストミーがあって、脱水が進行するため、毎日3リットルほどの輸液が必要なのですが、訪問診療のおかげで自宅へ退院させることができました。

病院や診療所、また、高齢者や障害者の福祉提供は、長くLandstingやKommun直属でしたが、スウェーデンでも近年プライベートの施設が増えてきました。ストックホルムでも、Sophia Hemmetは完全な私立の病院として知られていましたが、スウェーデンだけでなく、ノルウェー、フランス、イギリス、ドイツにも100もの病院を所有するCapioグループであるS:t Görans Sjukhusは、街中にある病院で、救急外来の対応も早いと評判です。泌尿器科では、ロボット手術も行っています。Capioグループは診療所も多数所有しています。5年前からCapioグループを所有するのは、スウェーデンの会社、Nordic Capitalです。最近、数を増やしているのが、放射線診断部門の、Aleris。カロリンスカでも、全ての患者さんの検査をカロリンスカで行うことは不可能なので、適宜、Alerisへ外注しています。

老人ホームなどの医療・福祉サービスを提供する会社で最も大きなものは、Carema。Cameraのスキャンダルについて、この次に。

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