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度を過ぎたいたずらが引き起こした悲劇

イギリスのウィリアム王子妃キャサリンのご懐妊のニュースが流れてまだ日が浅いが、体調不良のために入院した病院で、とんでもない事件が起こった。

12月5日の朝5時半ごろ、 キャサリン妃の入院するKing Edward VII 病院に、エリザベス女王とチャールズ皇太子になりすました、オーストラリアのラジオ局2Day FMのDJであるMel Greig とMichael Christianからの電話が入る。

エリザベス女王を語ったMelは、電話を受けた看護師にキャサリンにつなぐように頼み、その看護師は、キャサリンの担当看護師へ電話を回した。そこで、Melはキャサリン妃の容態を訊ね、担当看護師は病状説明をしてしまう。

‘She’s sleeping at the moment and she has had an uneventful night and sleep is good for her. She’s been given some fluids to rehydrate her because she was quite dehydrated when she came in but she’s stable at the moment.’

‘She hasn’t had any retching with me since I’ve been on duty and she has been sleeping on and off.’

この事件に対し、患者、そしてよりにもよって、キャサリン妃の情報を漏らしてしまった病院は謝罪をし、キャサリン妃は無事6日に退院となった。

 

しかし、事件はこれで終わった訳ではなかった。

7日朝、いたずら電話を受け、担当看護師へ回した看護師Jacintha Saldanhaが自殺しているのが発見された。46歳の優秀なベテラン看護師で、2児の母であったそうだ。

ウィリアム王子夫妻は哀悼の意を表し、くだんのDJは謹慎処分となった。非常に喜ばしいはずのキャサリン妃のご懐妊が、このような悲劇で始まってしまったこと、そして、医療従事者としては大きな間違いを犯してしまった看護師が、死を選んでしまったこと、、、。まさに、悲劇としかいいようがない。

医療従事者には、守秘義務がある。スウェーデンでも勿論常識であり、患者さんが望めば、家族にも秘密にしなければならない。そんな場合は、カルテに、「sekretess」と記載されていて、それが明らかになるようになっている。カルテは電子カルテであるが、名前をカルテに記載したくない場合は、パーソナルナンバーだけ記載される。殺人未遂の被害者が入院したことがあったが、そんなときも名前を非表示にする。医療従事者が職務上関わる患者さん以外のカルテを閲覧することは禁じられており、必要があれば、誰が閲覧したのか調べることも可能である。私自身、妊娠中に何度か低所恐怖症のような症状に陥ったため、精神科を受診したが、その際に、自分のカルテを無関係に閲覧した人を検出できるようにしてもらった。守秘義務と言ってしまえばどの国でも同じだが、スウェーデンと日本とを比べると随分異なる点が多いかもしれない。守秘義務の立場から言えば、癌の告知を本人にしないという日本の古い慣習は、明らかに間違いである。スウェーデンでは、癌患者さんが、家族に自分が癌であることを言ってくれるなと言う場合もある。守秘義務については、かなり神経質であるため、ブログの中でときどき患者さんのことを話題にすることがあるが、そのときは、患者さんが特定できないように気を使っている。

ベテランの看護師が、なぜ常識からかけ離れたことをしてしまったのか。電話を取り次ぎ自殺してしまった看護師もそうだが、電話で病状を伝えた担当看護師も脇が甘すぎた。いたずら電話により、人が一人亡くなった、、。医療のプロフェッショナルとしては、やってはいけないミスだが、その対価が死とは、あまりに重すぎる。何ともいえない悲劇である。

各報道はこちらから。

6 comments to 度を過ぎたいたずらが引き起こした悲劇

  • ガムラ スタン

    本当ですね。

    言葉、ありません。

  • のりこ

    初めまして。
    時々、覗かせて頂いています。

    以前から気になっていたのですが、いくら特定できないようにとは言え、ここで患者さんのあれこれを書くのは良くないと思います。
    特定はもちろんできないかもしれませんが、どんな症状でどんな手術をしたとか、どういう話をしたとか、すごくプライベートなことだと思うのですが。
    私だったら、自分を診てくれたお医者さんの個人ブログに自分のことをあれこれ書かれてたらすごく嫌な気持ちになります。
    そういう方、他にも多いのではないでしょうか。
    不特定多数の方が見れるこのブログに、そういうことを書くのは気をつけた方がいいと思います。信用がなくなりますよ。

    • のりこさん。はじめまして。

      仕事でも、ブログでも、そして人生においても、自分の哲学、そして、信念を持って日々進んでゆくことが大事だと考えています。
      自分の生き様、患者さんから学んだこと、心の琴線に触れたことを、十分に表現し伝えることと同時に、プロとしての使命を果たすよう努力しています。

      プロとしての信用は、現場における医師としての知識や技術は勿論のこと、人間として思いやりのある診療をすることで培われるものです。勿論、人間対人間ですから、好き嫌いはあると思いますが、日本だけでなく、スウェーデンにおいても、移民医師であるにもかかわらず、大きな信頼を得ていることを日々感じることができていることは、とても幸せなことだと思うとともに、自分の哲学、信念が、国境を越えても間違っていないことを示すものだと、自負しています。

  • こぐまなみん

    えーとですね。
    あまり自分自身もこのようなか書き方を
    誰かのブログに書き込むのは
    避けているつもりなのですが、
    (本来であれば先生ご本人がご返答なさるであろうに)
    同じブログを拝見させて頂いている一般人としての意見して
    読んで頂ければ・・・と決心の上で書いてみます。

    私自身も身元を明かさずに
    周囲の人物についてや子どもの学校関係のことなどを
    書き込むことがあります。

    良い意見かどうかはともかく
    ひとつの考えとして。情報として。

    医療関係者であれ、他の業務従事者としてであれ
    それぞれの守秘義務を持ち、日々の生活を送る中で
    一般の自分たちの知らない情報や心情・環境を
    『一つの情報として』知る場を貴重なモノとして享受させていただいてます。

    『特定されなくても自分の身体情報を語られる事への抵抗感』は
    理解もできますが、ではわたしたちは誰からも身を隠して生活しているのでしょうか?

    外出すれば、他者とすれちがい、見られ、聞かれ、何らかの情報を
    自分たちの許可なく(必要かどうかわかりませんが)見知らぬ誰かに与えています。

    そんな現状を考えるに少なくとも
    節度を考え、自分の身分をある程度明かし、
    デリケートな話題を身近なものへ昇華させていく努力を信じています。
    少なくともこれまで私自身は不快さを感じる事よりも共感を多く感じています。

    他者がどう感じているかどうかを論じる手法で
    自分の意見の正当性を保持するよりも
    『自分の気持ち』として、おっしゃった方がわたしも
    より共感できたと思います。

    実際、厭だと思うのであれば先の書き込みのように可能なのですから。

    コメント欄で述べる意見ではなかったかもしれませんが
    『わたしの感想』として長文ながら書かせて頂きました。

    みなさんに不快感をかんじさせたなら申し訳ありません。

    • こぐまなみんさん。

      書きにくい内容にもかかわらず、コメントをいただいて、ありがとうございます。

      こぐまなみんさんの、あくまでも公平で冷静な解説には、感じ入ります。

      ブログを書いていると、いろいろなコメントをいただきますが、それが批判や反論であったとしても、そのバックグラウンドに、好意があるのかないのか、建設的な議論をしようとしているのかどうかということは、すぐにわかりますね。批判や反論をいただくのは、大いに歓迎しますが、建設的な議論を目的としないものは、あくまでも個人のブログですので、ご遠慮いただきたいというのが本心ですが、基本的にいただいたコメントを無視したり消去したりするのは本意ではありませんので、対応には心を砕いております、、、。

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