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働いたー!

昨日は朝から一日、手術日。

専修医の先生の前立ちなどだったので、非常に疲れます。自分で手術する方がずっと楽だけれど、これも仕事。

複数の手術も順調に進み、今日はいい感じだと思っていたら、外科からの助っ人のお願いの電話が入りました。腹部疾患を扱っていると、こういうことはたまにあります。日瑞変わらず頻度として多いのは、「産婦人科が尿管を損傷した。」という連絡ですが、外科でも、「直腸癌が膀胱に浸潤して一部膀胱を切除したい。」や、「尿管も一部切除するので、膀胱へ新吻合したい。」といった感じ。逆に、泌尿器科からも、「膀胱癌が直腸に浸潤しているので、骨盤内臓器全摘にしたい。」とか、「腸管損傷があるので、人工肛門をお願いしたい。」とか、「腸骨血管の合併切除をしたいので、人工血管を。」といった、合同手術を依頼することもあります。

今回は、直腸癌の膀胱浸潤で、結局、膀胱も前立腺も摘出することになり、泌尿器科に回腸導管作成の依頼でした。膀胱癌チームは私以外不在で、私が呼ばれました。正直、スウェーデンに来て他科の先生と手術をするのは初めてで、いやはや緊張しました。顔見知りの看護師さんだと、「あれちょうだい。」といえば欲しいものが出てきたりしますが、外科の看護師さん相手ではそうはいきません。しかも、知らない人達とスウェーデン語でコミュニケーションを取りながら手術もする、という技はスウェーデンで勤務して3年になっても、まだまだ難しいといわざるをえません。

緊張して手術室に入ってゆくと、助手の先生が、「会ったことあるよね。」と。良く見れば、最近学位審査を受けた私の大学院生のオポーネントではないですか。知っている先生がいることで少し緊張はほぐれましたが、それでも沢山のアドレナリンとステロイドが体内に出ているのを感じます。

日本と違って、スウェーデンでは、「医療の経済効率」を上げるために、手術時間は短くしなければなりません。それも、ストレスの一つとなります。まずは、導管とする回腸を確保、回腸の縫合。このような定型の手技こそは、高速で一気に仕上げなければなりません。左の尿管はかなり短い。左右の尿管を吻合するのに、少し張力がかかるのが気になりましたが、少し尿管を剥離してから吻合、小腸を切断し導管とし、口側に尿管を吻合。この吻合は、ペースが落ちても慎重に。どうしても余分な張力がかかり、生理食塩水でリークテストをするとやはり少し漏れるため、そこを補強。出来上がりはまずまずでしたが、あとから考えると、尿管を別々に吻合した方が良かったかなーなどと、くよくよ考えます。

スウェーデンでの仕事のスタイルとして、意思決定を非常に素早くしなければならないことがあります。そして、一度決めたら大きな間違いがないかぎり突き進む。例えば、スウェーデンでは経費や時間節約のために、外部や内部からの、依頼表のない他科への相談というものが、頻繁に行われます。その場合、少ない情報と限られた会話の中で、意思決定をしなければならないことになります。これまで修行して、大分慣れてきましたが、結構なストレスになります。

外科からの初依頼手術は何とかうまくいきました。しかし、このタイプの「機能」が重要となる手術では、術後の評価で成功の可否が決まります。回腸導管においては、尿が漏れずに、吻合部の狭窄がなく、腎機能が保たれ、感染のないこと。これらが明らかとなるのは、もう少しあとのことです。そして、合併症の責任は、この手の中に。外科医というのは、このような十字架をいくつも背負って生きていかなければなりません。

 

手術のあと、お世話になっている鍼の先生に鍼を打ってもらって帰宅後あえなく沈没。

2 comments to 働いたー!

  • ガムラ スタン

    先生 お疲れ様でした。

    やはり 大変 偉大なお仕事ですねぇ。

    ロスに鍼があることに 非常に驚き 嬉しかった私ですが、
    スウェーデンにも?
    ヨーロッパにも?

    とまたまた 素朴すぎる質問でしたが、
    鍼灸師の先生は 中国の方? スウェーデンの方ですか?

    • ガムラ スタンさん。いつも、ご声援をありがとうございます。

      スウェーデンにも鍼の診療所は沢山あります。多くは中国人の先生です。私はこれまでに4つほど試してみましたが、3人が中国人、1人がスウェーデン人でした。そして、実は、このスウェーデン人の先生のところに落ち着いたのですが、彼は、「日本の鍼」を日本で何年も修行した人で、日本の鍼の方が中国の鍼より優れているという持論を展開しています。

      私は胸郭出口症候群で、10年近く苦しんでいますが、鍼治療で改善したのは、この先生の治療だけです。彼がいなかったら、モルヒネが必要なほどの激痛で、この痛みとともには生きていたくないと思うほどです。今は鍼と鎮痛剤とマッサージでだましだまし生きております。

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