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前立腺癌に対する新薬

バブルの終わりに研修医として働いていましたが、あの頃はMRさんの活動が非常に盛んでした。カンファレンスには豪勢なお弁当が届けられ、定期的に「鉄人のレストラン」などの豪華レストランでの接待もありました。女医さんを招待できないような接待も。バブルもはじけて、製薬会社の接待への規制も強まり、殊に、国立大学へ勤務していた頃は接待は殆どありませんでした。

スウェーデンでは、日本のような接待はありません。日本では「薬の説明会」に豪勢なお弁当が出ることは当たり前でしたが、スウェーデンではサンドイッチとか、ケータリングのランチだったりします。その反面、ヨーロッパ泌尿器科学会やアメリカ泌尿器科学会といった大きな学会への旅費援助や、講師を招いての講演会と夕食会が組み合わされるような企画があります。

今回は、ランチタイムを使って、前立腺癌に対する新薬の説明会がありました。前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が臨床の現場で使われるようになってから20年ほどが経ちました。そもそも、1991年にNew England Journal of MedicineにPSAが前立腺癌検出に有用な腫瘍マーカーであることが発表されたのが始まりです。PSA導入以前では、前立腺癌を早期に発見することは難しく、当時はD2癌(骨転移あり)が多かったように記憶しています。前立腺癌全摘は転移のない早期の局所癌に対して行われるため、手術症例自体、殆どありませんでした。早期癌に対しては、患者さんの年齢や全身状態、症状、癌の悪性度などによって、経過観察、外科的治療、放射線治療、ときにホルモン治療が行われます。進行癌、殊に、転移を有する癌の場合は、局所療法である外科的治療や放射線治療の適応ではありませんので、全身療法であるホルモン療法の適応となります。

 

アンドロゲン(男性ホルモン、テストステロン)によって前立腺癌は増殖します。テストステロンの殆どは精巣から、5%ほどが副腎から産生されます。

このため、前立腺癌のホルモン治療では、抗テストステロン剤や、テストステロンの合成を刺激するLH-RHという視床下部から分泌されるホルモンの類似薬を与えることにより、精巣からのテストステロンの合成 を抑制する方法があります。後者は薬物的去勢とも言われ、以前は外科的に去勢術を行っていましたが、現在では3ヶ月に1度の注射で済む薬物的去勢が主流になっています。

ホルモン治療は殆どの症例で初期は非常に有効ですが、時間とともに癌が治療に反応しなくなり、PSAが上昇してきます。以前はこれを「ホルモン抵抗性癌」と呼んでいましたが、現在では、「去勢抵抗性癌」と呼ぶようになりました。なぜなら、この癌は体内に低濃度存在する副腎からのテストステロンや、癌細胞自身が産生するテストステロンにより増殖することがわかってきたからです。去勢抵抗性癌に対する治療は、女性ホルモン治療、そして、抗癌剤である、タキソテールによる治療があります。スウェーデンでは、タキソテールは、転移と転移による症状がみられる場合に癌専門医によって行われます。タキソテールの効果も期間限定で、タキソテールが効かなくなった癌に対してはお手上げ状態でしたが、そんな癌に対しても有効なのが、この新薬、Abiraterone(Zytiga)です。

男性ホルモンを含め、ステロイドやアルドステロンなどのホルモンは、体内でコレステロールから形成されます。

ホルモン生成のステップにはそれぞれ酵素が必要ですが、テストステロン生成に必要な酵素に17α-hydoloxylaseがあります。Abirateroneは、この酵素の働きを阻害することによって、テストステロン生成をストップさせるのです。

通常のホルモン療法では、副腎由来、あるいは、腫瘍由来のテストステロン生成をストップできず、それら微量のテストステロンによって腫瘍は増殖を続けます。

ところが、新薬Abirateroneは、テストステロン生成を全てストップさせることができるのです。

今年の5月のNew England Journal of MedicineにAbirateroneが転移性前立腺癌患者の生存を延長したという論文が載っています。

生存率だけでなく、疼痛の軽減にも非常に有効であるそうです。

Abirateroneは、外科的去勢あるいは薬物的去勢と共に用いられます。また、17α-hydoloxylaseを阻害することによって鉱質コルチコイドが上昇し、低カリウム血症などの副作用が出るため、ACTHを抑制するステロイドと併用します。食前2時間内あるいは食後1時間内の内服は避けます。これは、食事に含まれている脂肪の影響を最小とするためです。

適応はタキソテール不応性の転移性前立腺癌。治療法が無くなった前立腺癌の患者さんには福音となる新薬です。一日4錠1000mg。一ヶ月の薬剤費は3万クローネ(約36万円)ほど。スウェーデンでは、薬剤の自己負担最大限度額があるため、患者さんがこの薬剤費を負担する必要はありませんが、各診療科の負担となるため、適応決定は厳密にしなければなりません。日本では、高額治療であっても、適応決定が患者さんの意思に強く影響されます。日本の医療費が増加し続ける理由の一つには、治療適応を患者さんの希望により決定しているという事情もあると思っています。死期の近い癌患者さんに、「家族の希望」により、治癒の可能性のない上、副作用の強い抗癌剤治療をすることは日本では珍しくありませんが、それは製薬会社の利益に貢献するだけで、人道的にも医学的にも、さらに、医療経済的にも好ましいことではありません。

Abirateroneは日本ではまだ承認されていませんが、承認されれば、この薬を使用したことのない患者さんであれば効果が期待されますし、Abirateroneには大きな副作用がないため、患者さんにも優しい治療だといえます。しかし、高額な薬であるため、希望する人が全て治療を受けられることにはならないと思います。前立腺全摘術にしても、開腹手術よりロボット手術の方が、あらゆる面で優れているにもかかわらず、100万円ほどの個人負担ができなければ、優れた治療を受けることができないという、アメリカ的な面もある日本の医療現場。それでも、今のところ日本国民は比較的平等な医療を提供されていると思いますが、高齢化、医療技術の進歩により、医療費は確実に増加する中で、「無駄な」医療費を削減しなければ、日本の医療は近い将来必ず崩壊します。世界に誇れる医療技術を有している日本であるのに、このままでは自滅してしまうというのが、日瑞両国で医師として働いてみて思うことです。Abirateroneの話題から随分離れてしまいましたね、、、。

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Tjejmiddag:泌尿器科女子会

カロリンスカ大学病院は、Solna院とHuddinge院に分かれており、泌尿器科はその両方にあります。患者さんは住所によって所属する病院が決まっていて、一般泌尿器科であれば、住所により決められた病院を受診しますが、特定疾患や手術については、SolnaとHuddingeで分担が決まっており、住所にかかわらず振り分けられます。例えば、ロボットによる前立腺全摘や膀胱全摘はSolna、腎臓癌はHuddingeという具合。

Solna院には女性ボスを含めると9名の女医さん、Huddinge院には3名の女医さんがいます。そのうち専門医はSolna院に4名。母校では初めての女性泌尿器科医で、女性の同僚と働いたことはほとんどなかった私にとっては、とても刺激的な環境です。男女平等の国スウェーデンといえども、やはり、外科医の世界は男性が優勢。そんな中で、女性同士の交流はとても大切です。ということで、女子会(最も若い女医さんでも30歳前後ですから、とても「女子」といえる年齢ではありませんが、いまどきの言葉を一回使ってみたかっただけなので、お見逃しを!)が企画され、8名が参加しました。現在、2名が育児休暇を取っていますが、その中の一人も2ヶ月の赤ちゃん連れで参加してくれました。

場所は、Solna院からも程近く、お財布にも優しいStockholms Internationella Restaurangskola。

Gymnasium(日本では高校にあたる)の年齢で、レストランブランチに将来進みたい学生さんが学ぶ学校に併設するレストランです。毎週木曜日に、各週異なるテーマの5皿からなるコース料理が220クローネでサーブされます。お料理に合わせた、食前酒、白ワイン、赤ワイン、食後酒のワインパックが150クローネです。

その晩は、「フランス」がテーマ。

メニューはこちら。

それぞれのテーブル毎にサービスしてくれる学生さんたちが、とても可愛いのです。ときには、カトラリーなどを落としたり、高校生らしい間違いもありますが、初々しくて一生懸命で好感が持てます。

 

前菜の前にアミューズがあり、前菜はポーチドエッグ。

魚料理はナマズ。脇に添えられたにんにくのグリルが思いがけずおいしい。ナマズの下にはズッキーニのスライス。

お肉料理には野菜のピュレが添えられて。ベジタリアンの同僚には、違うお料理が出ました。この柔軟性もポイント高し。

シェブレにカラメライズされたクルミ。ルッコラの苦味と合います。

最後は、パイナップルのフランベです。各テーブルでサービスされます。隣のテーブルでは、先生が一緒に。

我々のテーブルの担当の可愛い学生さん。

大成功!

ホイップクリームと、アーモンドのクッキーが添えられて、とてもおいしかったです。

おいしい食事とワイン、楽しい会話で、6時半から9時まであっという間に時間が経ちました。女性同士協力しあって頑張ろうという話にもなりました。最後に泌尿器科女医陣をこっそり初公開!勿論、全員外科医です。中には3人の子供のママもいます。スウェーデン人女性のたくましさには学ぶことも多い日本人の私ですが、実は私が最もきつい手術をやっているのは何だか皮肉です。精神的なタフさ、男性に伍してゆくという意思と戦闘力に関しては、私はまだまだスウェーデン人女性には及びません。

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ギリシャの不思議

ロボットの前立腺全摘術においては、ヨーロッパでトップクラスの症例数を誇るカロリンスカ大学病院には、EU内外から手術を学びにくる医師が常にいます。中でも、ギリシャからは多くの泌尿器科医がそれぞれ6ヶ月ほどの期間研修します。現在も3人のギリシャ人が研修中。

ギリシャといえば、2009年10月、前政権による財政赤字の粉飾を首相が暴露したことが発端となり、経済危機の連鎖の始まりの原因となった国。ギリシャの信用は地に落ちました。各格付け会社はギリシャ国債の格付けを引き下げ、ギリシャ国債は暴落。この影響により、株価が下落するだけでなく、ユーロも各通貨に対して値を下げました。

ユーロに参加するには財政赤字がGDPの3%以下、政府債務が60%以下という経済収斂基準がありますが、モラルハザードの問題を抱える国が自国の危機を他国が救済することを期待した今回の危機では、いずれの基準も遵守されませんでした。脱税や汚職の文化、さらに怠惰な国民性を持つギリシャ。格差社会。年金給付水準が高い上に、給付開始はおよそ55歳。

手術支援ロボット、ダビンチの値段は1台約2億5000万円、維持費も年間約2500万円と高額。1症例あたりの消耗品はおよそ40万円。現在日本では、患者さんの個人負担は100万円から150万円ほどかかるようです。経済危機にあるギリシャから、これほど数多くの泌尿器科医がロボット手術の研修にくることは、とても不思議な気がしますが、ギリシャの格差社会の富裕層の数は少なくはありません。研修に来ているギリシャ人医師によると、病院で手術を受けるためには、「under the table」、つまり、賄賂が必要なのだそうです。流石、賄賂社会です。そもそも、ギリシャ人が研修に来ることで、我々泌尿器科としてのメリットはほとんどありません。我々自身、トレーニングしなければならないのに、ギリシャ人に症例を取られたりすることには納得がいかないのですが、我々の仲間の中には、ギリシャへ手術に行ったりしている人間もいて、なぜギリシャ人を受け入れるのかということの裏にはいろいろな事情があるようです。

EUに加盟しているスウェーデンですが、ユーロには非参加。よって、今回のギリシャの経済危機において、救済に加わる義務はないのですが、最近、Financial Times の「2011年の欧州で最も優れた財務大臣」に選ばれた、スウェーデンのちょんまげピアス男、Anders Borgは積極的に救済に参加する立場を取っています。

告知をめぐる文化

癌の告知は、日本でも最近は普通になってきているが、それでも、家族が本人への告知を希望しない場合がかなりある。

そんな医療現場の文化に慣れてしまっていた私は、スウェーデンの文化に衝撃を受けたものだった。

スウェーデンの文化とは、「本人絶対主義」。患者さんに意思疎通能力がある限り、癌の告知を含め、本人に話さなければならない。ときには、患者さん自身が、家族には秘密にしてほしいという要望を出すこともある。その要望に医療従事者は答えなければならない。日本だと、患者さんの家族に訴えられたりすることを避けるためにも、家族への説明にも多くの時間を割かなければならない。インフォームド・コンセントは日本では書類作成の上、署名するなどしなければならないが、スウェーデンではそんな手続きはなく、まだまだおおらかである。

スウェーデンの文化と日本の文化を双方体験してみて、もともと「癌を告知しないこと」には消極的な考えを持っていた私は、ますます、その思いを強くした。人生はその人のものである。人生に大きな影響を及ぼす事象について、家族であっても他人が情報操作することは許されないと思う。自分が持っている時間が長いのか短いのかを知り、自分の人生の台本を手直ししなければならない。

そして、人間とは意外に強いものである。出身、年齢、性別、学歴、職業など様々な患者さんにスウェーデンで会ってきたが、非常に厳しい現実をそれぞれが受け入れて、生きようとしている。スウェーデンでは、高度治療を必要としない末期の患者さんを大学病院に入院させることは少ないため、死の瞬間に立ち会うことはあまりないが、大学病院での治療を終えて(中止して)、在宅やホスピスに送り出すまでの管理をすることは多い。その中には、「引導を渡す」ことが当然含まれているが、早い時期に十分な告知をしているため、死期の近い人に、短い余命を告げることは回避できる。患者さんは、その過程の中で事実と向かい合い、受け入れてゆく。

手術前に行われる、初めての「癌告知」は、かなり楽である。何故なら、治療により治癒する可能性があるから。日本での「癌告知」は、日本の文化を鑑みるて非常に気を使うものであるが、スウェーデンでは、単刀直入に、「あなたは癌です」と言える。手術後の再発や転移の場合は、スウェーデンにおいても緊張する。最近、癌の再発を来たした複数の患者さんに話をする機会があったが、患者単独と話をするのか、家族と一緒に話をするのか(家族だけに話をするという日本式なやり方は、患者さんが重態であるとか、意思疎通能力がないとかという特別な状況でなければ行われない)によっても、場の雰囲気は異なってくる。ある患者さんは、尿管と新膀胱の吻合狭窄を手術する予定で開腹したら、腹膜播種がみられたため、そのまま閉腹したのだが、患者さんはベッドに横たわり私の顔を見ていたが、その傍で患者さんの手を握りながら話を聞いていた奥さんは、こらえきれず泣き出した。患者さんが奥さんの背中をさすり慰めていたが、スウェーデンではこのようなカップルにしばしば遭遇する。強いと言われるスウェーデン人女性、逆に、おとなしいスウェーデン人男性だが、なぜか、余命宣告のような場ではスウェーデン人男性は強いような気がする。

日本とは違うスウェーデンの医療現場の文化といえども、私の診療のスタイルは日本に近い。辛い状況に置かれた患者さんや家族に対しては、どうしてもドライにはなれないからである。でも、先日こんなことがあった。膀胱癌の患者さんだけを集めた外来を膀胱癌チーム4人で担当。予約制ではなく到着順に診察するため、患者さんは主治医でない医師の診察を受ける確率が高い。外来の看護師さんが私のところにきて、「先生と会った患者さん夫婦が、『Äntligen fick vi en läkare som vi kan prata.(ついにちゃんと話を聞いてくれる先生に会った。)』と話しながら帰っていったわよ。素敵な賛辞だと思わない?」日本流はスウェーデン人にも評判は良いと感じている。

膀胱癌の再発を告知した、入院中の男性。イラク人の彼は片言のスウェーデン語を話す。両側腎瘻と新膀胱へのカテーテル、併せて3本のカテーテルが挿入されている。込み入った話は通訳同席あるいは、家族が通訳となって話すため、彼の感情を理解することは難しい。腎機能の回復を待って、抗癌剤の投与ができればという状況。専修医の手術指導のため手術室へ向かうとき、彼が病棟の廊下を懸命に歩いているのに会った。「Hej!」と言って通り過ぎた。約2時間後、手術が終わって病棟へ戻ると、未だに廊下を彼が往復している。「Vad duktig du är! Jättebra!(良く頑張ってるね。とっても良いことよ。)」と声を掛けると、「Jag vill bli stark.(強くならなくっちゃ。)」と言ってはにかんでいた。父が末期癌を宣告されたとき、毎日、病院の屋上で何キロも歩くトレーニングをしていたことを思い出した。父に起きた奇跡が、彼にも起こるといいなと思った。父は告知をされて、全てを知っていたし、知っていたからこそ頑張ったのだと思う。

 

Staubの鍋

この5年間、ルクレーゼのココット・ロンド22cmとココット・オーバル27cmを愛用してきました。どちらも色はアーモンド。

ココット・ロンドは、一度、タルトタタンを作ったときに焦がしてしまって、ホーローが一部剥げた状態でした。

次に買うなら、同じフランス産の「Staub」と決めていましたが、週末市内へ出掛けたら、何とStaubの実演販売をしているところに遭遇。しかも、セールのお値段。

ルクレーゼよりも重めの蓋の裏には、丸い突起がついていて、このため、水蒸気が集められて滴下するようになっています。つまり、旨みが逃げないようになっているのです。蓋をしたままオーブンへ投入も可能。あらゆる熱源に対応可。見るからにルクレーゼより丈夫そうな表面。

平松シェフもお勧めとのこと。

 

衝動買いではないにしても、予定していなかった大物の買い物を決意。ココット・ロンドの代わりということで、丸いピコ・ココットの24cmを。Staubの方が同じサイズでも容量は小さめです。ルクレーゼの24cmであれば4.2Lのところが、Staubは3.8L。

 

ここまではすぐに決まりましたが、色選びは難しい。深い緑色が美しいBasilか黒かで迷いましたが、結局、、、、。

プロっぽい黒に。

内側には丸い突起が。

Staubで初めて作ったのは、beef bourguignon。

調理時間は2時間くらいなのに、とろけるようなお肉に仕上がりました。

ココット・オーバルの後釜もStaubかな?

次は、オーバルのグレナディンレッドがいいな。

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友人のコンサート

いつものように疲労困憊の金曜日ですが、友人のコンサートに招待されていたので、行って参りました。

「Niclas Frisk’s Chinatown Acoustic Deli」 場所はVasastanのBryggarsalenでした。

観客はをワインやビールを飲みながら開演を待ちます。

夏にも彼の野外コンサートに行きましたが、今回は屋内で、しかも、エレキギターではなく、アコーステイックギターだけ。同じくギターのHelenと、キーボードのアレックスの3人での舞台です。

Niclasのギターは天才的。決して狂うことのないリズムと音程。

彼のソロアルバムであるChinatownからだけでなく、Atomic Swing時代の曲までカバー。しっとりと聴けました。

 

アンコールの2曲は、A CampでNiclasが作曲しNina Perssonが歌った、「Love has left the room」と、Atomic Swingの最初のヒット曲、「Stone me into the groove」。手に入れたばかりのiPhoneで撮影してみました。ファイルが大きいので、ロードするのに時間がかかります。そのうちにサイズを小さくいたします。

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泌尿器科癌手術の醍醐味

転科までして入局した母校の泌尿器科学教室で、私は初めての女性泌尿器科専門医でした。病棟にあった当直室では同僚男性医師と雑魚寝もしました。泌尿器科といったら、男性が受診するイメージが強く、医師も男性がほとんどで、私が専門医となった頃は日本全国で泌尿器科の女性専門医は200人程度だったと記憶しています。

もともと、癌治療に携わりたかった私。泌尿器科を志したのは父の病気がきっかけですが、女性には適しているとは言えない科だったので、耳鼻科以外には産婦人科に興味がありました。婦人科癌と泌尿器科癌は解剖学的に近いのですが、手術では大きな違いがあります。それは、婦人科癌は基本的に切除するだけだということ。泌尿器科癌では、癌を切除するだけでなく、その後に機能再建術を伴うものが多い。例えば、膀胱癌における膀胱全摘では、尿路の再建。古典な回腸導管や、蓄尿が可能で本来の尿道から排尿できる新膀胱造設などはまさに機能再建の醍醐味といえます。前立腺全摘出では、外尿道括約筋を温存することは勿論のこと、症例によっては勃起神経を温存し、勃起機能が保たれるようにする、、、、。癌が早期で発見されることが多くなった現在、癌の根治だけでなく、術後の機能を保つことは、患者さんの高いQOLのために重要です。泌尿器科の癌手術に比べると、婦人科癌の手術においては、術後の機能をあまり考える必要がありません。子宮にしても卵巣にしても、切除したら再建することはないからです。

婦人科癌の手術で、尿管や膀胱を損傷したような場合、患者さんは婦人科より泌尿器科受診がメインになることがあります。癌は治癒したけれども、尿管狭窄が残ったとか、尿管膣瘻や膀胱膣瘻を形成したなどということになると、婦人科がもはや患者さんの面倒をみることはありません。これらが原因で尿路感染症から敗血症になり、泌尿器科が病床を提供しなければならないような場合、かなり消化不良の気持ちになることがあります。

最近手術した患者さんも他科の合併症が原因でした。腹部大動脈瘤の手術で尿管を損傷。術後に腹腔内に尿が漏れて、再手術となりましたが、人工血管を使った手術でしたので、即時の尿管修復を断念し尿管を結紮して終了。その後、待機手術で尿管再建を行いましたが、損傷した尿管が長く、膀胱を用いて尿管を延長する手術になりました。これをボアリ法と呼びます。

膀胱を開けて、弁状に膀胱壁を切開したら、その弁を頭側に翻転し、尿管を膀胱壁に逆流防止となるように粘膜下を通して縫合します。膀胱の弁を筒状に縫合し膀胱を閉じます。吻合部にテンションがかからないように、膀胱を吊り上げて腸腰筋に固定する、psoas hitchを追加するのが通常です。

この手術では、尿管の不足分を延長すること、そして、膀胱から尿管へ尿が逆流しないこと、という機能を手術によって持たせることが目標です。この手術をしなければ、患者さんは一生、腎臓に直接管を入れたまますごす(腎瘻)ことになりますし、手術が成功しなければ、腎盂腎炎などの合併症に苦しむことになります。

今日、外来に2人の女性患者さんがきました。二人とも膀胱癌で、私が膀胱全摘をしましたが、ストーマも非常に美しく、体調は手術前よりずっと良くなったということで、とても喜んでいて、ハグしてもらいました。そのうちの一人が、「本当はこの腕に抱えきれないほどの花束を持ってきたいくらいなんだけれど、私の喜びと感謝の気持ちをわかってもらえるかしら。先生に手術してもらって幸運だった。」と言ってくれました。多くの手術をすれば、必ずうまくいかない患者さんも出てくるのですが、スウェーデンで働き始めてから今まで、幸い大きな合併症に悩んだことはありません。

今日会った初めての患者さん。外科で手術をして、ありとあらゆる合併症に苦しんでいます。泌尿器科的には、両側尿管狭窄で両側腎瘻、骨盤内膿瘍治療のためのドレーンによると思われる膀胱壁損傷による瘻孔が問題。この人の機能再建のプラン、かなり大変です。これも、「醍醐味」といえるのでしょうか、、、。

香りの記憶

物心が付いたときには既に眼鏡のお世話になっていた私には、目覚めたときに周囲がはっきりと見えた記憶が全くないほどの「ど」近眼です。視覚が弱点である私の嗅覚はなぜか非常に敏感。かすかなタバコの臭い、薬品やガスの臭い、香水、、、。喘息持ちでもある私は、これらに刺激されて発作が起こることも稀ではありません。最近では、基礎化粧品も極力無臭のものを選ぶようにしていますし、香水に至っては全く使いません。欧米では、所謂、腋臭を持つ率が高いようで、それを隠すために香水を使っている人もいますが、そんな人が通りかかっただけで咳が出ます。病院では、香りや花粉アレルギーの患者さんを考慮して、お見舞いの花束を持ち込むことは禁止されていますが、香水禁止令を望んでいる人も少なくありません。私が以前、買い集めた香水瓶も、戸棚の中で眠ったままになっています。

 

様々な感覚の記憶が、特定の感情を呼び起こすことはよくあることですが、嗅覚が敏感である私には、いくつかの香りの記憶があります。そのうちの一つは、「太陽の香り」です。子供の頃、綿で出来た布団で寝ていましたが、毎週末、天気が良ければ、母が布団を干してくれていました。その夜、布団にもぐったときの香りは特別で、それを「太陽の香り」と理解していました。同じく、太陽光の下に乾かされたタオル。プールで泳ぐのが好きだった小学生の頃、プールでかじかんだ私の体に母がバスタオルを掛けてくれるときのタオルの暖かさと太陽の香りといったら、、、。それらの香りは、何とも言えず優しくて暖かくて、、、まさに、「母の愛」を感じていました。今でも、帰国して実家の布団に入るとき、帰国にあわせて布団を干してくれる、「母の愛の香り」を楽しんでいます。母の香りはその他にも、母の得意料理の香りがいくつかあります。私が子供の頃、貧しいながらも精一杯工夫して作ってくれた料理はとても美味しかった(もう長い間、食べていませんが、今度帰国したら手料理をお願いしてみようかしら、、、。)。

 

これらの香りは、私の海馬、大脳皮質を直撃し、強い感情を呼び起こします。切なくなります。私にとって、「香りの記憶」というのは、非常に強いインパクトがあるようです。

 

遠距離恋愛で別れてしまった学生時代の彼は体育会テニス部の後輩。彼は結構なお洒落さんでしたが、彼の定番の香りがありました。それはオーデコロンだったため、普段はそれほど感じないのですが、お互いに部活動が終わってシャワーを浴びたあとのデートでは、香りを強く感じました。男性がつけるオーデコロンの香りを嗅ぐというのは、私にとって初めての経験で、その嫌味のない爽やかさに大きな魅力を感じ、胸がキュンとなったものでした。

 

その香りがこちら。200年以上の歴史を持つ、ミューレンス社の香り。フランス革命の最中、フランス軍がケルンに進駐します。その際に、ケルンの建物に番号をつけましたが、ミューレンス社の番号が4711だったことから命名されたのだそうです。その香水は、「ケルンの水」と呼ばれましたが、フランス語では「オーデコロン」。これが、オーデコロンの由来なのだとか。オレンジなどの柑橘類、ローズマリー、ラベンダーなどが配合されていて、女性でもつけられそうな香りです。

彼に別離を告げられたあと、10年ほどその恋愛を引きずることになったのですが、その間は4711の香りを嗅ぐと、彼との思い出が蘇り、心の古傷が痛みました。香りの記憶というものは、これほど強烈であるのかと驚きました。

長期記憶は海馬によって大脳皮質に送られるようですが、感情を司る扁桃体と海馬との間にコミュニケーションがあるのだそうです(図はネットからの借り物です)。私の場合、嗅覚の記憶が扁桃体を介して強い感情を惹起するのだと解釈すると非常に納得できます。

 

先日、友人とこんな話をしたら、彼女の場合は、昔、失恋したときに聴いていた、「ドリカムの曲」は、今でも悲しくなるので聴けないということを話してくれました。良くわかります。私の場合は、ユーミンかな。それでも、聴覚より嗅覚の惹起する感情の方が秒単位で起こる早いもので、私にとっては衝撃が大きいように思います。

 

数年前、戸棚の中で眠っていた4711を、久しぶりに嗅ぐ機会がありました。

もはや、懐かしさだけで、心が痛むことはありませんでした。何だか少し切なくて、でも嬉しかった。だから、今、こうやって昔の恋の話を表現できるのだと思います。本当はもう少し書いてみたいのだけれど、また別の機会に、、、。

最近の出勤時の風景

毎朝、7時半からミーテイングがあるため、遅くとも10分前くらいには職場へ到着するようにしています。

7時前には家を出ますが、最近は滅多にお日様にお目に掛からない中、6時半頃の日の出直前の写真を。

 

アパートの東の窓からは、ストックホルム市内の空が良く見えます。

 

右端に美しいシルエットを見せているのが、ストックホルム市庁舎。

窓から市庁舎が見えるゲストルーム兼仕事部屋は、私のお気に入りですが、最近、物置と化しています、、、。

おうちごはんで充電

書きたいことは沢山あるのですが、気力、体力、時間が足りずに記事が書けません。

既に、気温は零度近辺のストックホルムです。サマータイムが終わって、出勤時間の空は少し明るくなったのも束の間、真っ暗な中出勤する日も近いと思われます。

こんな暗くて気が滅入りそうなスウェーデンの週末には、おいしいものを食べて元気を出します。

前菜には、帆立のソテーを。12年もののバルサミコ酢と、上質のエキストラバージンオイルであっさりと。新鮮な素材があれば、こんなにシンプルな料理でも最高に美味しい。帆立3つで15クローネ也。たまの贅沢。

メインには、チキンのソテー、ローズマリーとマンゴー風味。セントペテルスブルグのお気に入りのビストロで食べたお料理を思い出しながら。レシピはないまま適当に料理しましたが、かなり美味しかったです。リピート確実。

カルミネさんのレシピだったと思います。ズッキーニの温製サラダ、オレガノ風味。

ワインは冷えたリスリング。

 

さあ、今週も頑張ろう!


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