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ルシア祭で遅刻続出

今日はルシア祭。キリスト教の聖人、聖ルシアを祝う日です。スウェーデンでは子供たちが聖ルシアに扮して、ロウソクを配した冠をかぶり、ロウソクを手に、「サンタルシア」を歌いながら行進します。各幼稚園などは、早朝から行うところもあり、わが子の晴れ姿を見に両親が駆けつけます。

ルシア祭には、香辛料の入った温かい赤ワイン「Glögg」やサフランパン「Lussekatt」が振舞われます。Lussekattにカッテ-ジチーズを入れると美味しいらしいです。レシピはこちらを。

子供用のGlöggは2.2%。

こちらは、去年、レストラン「Pontus by the Sea」で撮った写真です。

そんな訳で、病院でも朝7時半からのミーテイングに出席しない医師多数。中には、11時出勤というツワモノもいますが、ルシア祭ということでお構いなし。もともと、私の職場はフレックスタイムを導入していて、勤務時間がマイナスになっていても問題ないらしく、おおらかなものです。実際、朝8時15分から開始される朝回診も10時過ぎても回診担当医が出勤していませんでした。日本では、子供の行事のために診療行為が遅延することなど、全くもって考えられませんので、以前は複雑な気持ちでしたが、もはや慣れっこになってしまいました。

Madame Curie(キュリー夫人)のノーベル化学賞から100周年

世界で最も美しいとも言われるスウェーデン国王の次女、Madeleine王女は、昨年婚約破棄をして以来(記事)、傷心を癒す目的もあって、ニューヨークに居を移しています。最近では、新しいボーイフレンドも出来たようで、ニューヨークでショッピングをしたり、カフェでタバコをふかしながらお茶をする姿も報道されています。ニューヨーク生活が合っているのか、国王一家が関る行事の前になると、Madeleineが帰国するのかどうかが取り沙汰されますが、今年のノーベル賞関連行事は欠席するということでした。

 

その代わりに、Madame Curieの二つ目のノーベル賞100周年を記念しての行事がニューヨークで行われ、それに出席することになったようです。Madame Curieは女性で初めてのノーベル賞受賞者。1903年に夫のPierre Curieと共に物理学賞を受賞、その数年後に、Pierreは荷馬車に轢かれて死亡。夫を亡くしても彼女の研究に対する情熱は消えることなく、「ラジウムとポロニウムの発見」により、1911年に化学賞を受賞します。radioactivity(放射能)は彼女の作った言葉だそうですが、当時は、放射線の効用だけで、副作用については知られておらず、放射線障害によると考えられる再生不良性貧血で命を落とします。研究者とは何か、全く知らなかった子供の頃、彼女の伝記を夢中になって何度も読みました。Madame Curieが夫のPierreと一緒に初めて見た、純粋ラジウム塩の青い光。彼女は「妖精のような光」と形容したそうですが、この場面には鼓動が高まったことを良く覚えています。

 

そんなMadame Curieのノーベル化学賞から100年ということで、若い女性研究者などのための会が12月10日ニューヨークで行われ、Madeleine王女が出席したそうです。彼氏がいるニューヨークからスウェーデンへ帰りたくない彼女には丁度良かったかもしれません。

 

ノーベル賞晩餐会

ノーベル賞晩餐会は、コンサートホールでの授賞式後、市庁舎で19時から行われます。

テーブルセッテイングはこのような感じです。蓋付きの食器には、前菜が。今年はオマール海老。

食器はRörstrandのNobel。ノーベル賞90周年に当たった1991年から使われているそうです。Nobelの食器には、白、青、緑、黄色が用いられており、それぞれに意味があります。

白は夏、太陽の国アフリカ、そして化学賞を。緑は春、若きアメリカ、そして物理学賞を。青は冬、古き知識のヨーロッパ、そして文学賞を。黄色は秋、アジア、そして生理学・医学賞を。

デザート用の食器はこちら。その形の可愛らしさゆえ、以前から欲しいと思ってはいますが、一客が1万円近くするため、お店で眺めるだけ。前菜用の蓋付きのものは2万円ほど。

グラスはオレフォッシュのノーベル・シリーズ。シャンパングラスは背の高いものと、マテイーニグラスのようなタイプのものとありますが、今年はマテイーニグラスのタイプ。これは私も好きで何客か持っています。前菜やデザート用にも活用できます。

そして、カトラリーはスウェーデンのGense社のNobelシリーズ。

晩餐会はシャンパンによる乾杯から始まります。まず、ノーベル財団の長の音頭、次に、国王の音頭。スウェーデン式の乾杯は、グラスを第一ボタンより上にならないように持ち上げ、周りのゲストとアイコンタクト、そして一口飲み、さらに同じようにアイコンタクトを繰り返しますが、慣れないと不自然な動きになってしまいます。

晩餐会のメニューは3皿。前菜、メイン、デザートからなります。その間に余興が入ります。

こちらでも、Victoria皇太子のお腹めがけてシャッターが。以前はゲストも写真撮影可能だったのですが、今回は禁止になったとか。私が出席したのは丁度10年前でしたが、デジタルカメラが出たばかりで、画質はお粗末なもの。さらに、最初のシャンパンと雰囲気に酔っ払って、写真を撮ることも忘れていました。

日本と同じように、スウェーデンでも、各有名人の「ファッションチェック」もあります。いつも可愛らしいラインフェルト首相の奥様のフィリッパは、自身、医療システムに力を入れる政治家ですが、上品なファッションも私のお気に入りです。今回は敢えてネックレスを省略して大振りのピアスだけにして大成功!

デザートにソースを掛けてもらう国王。随分前にお忍びで行ったストリップバーで撮られた写真にまつわり、マフィアとのコンタクトが取り沙汰されたことが、また最近蒸し返されて、針の筵に座っているであろう彼。

最後に、最後に各賞の受賞者代表一人ずつによるスピーチがありますが、余興よりもスピーチの方が興味深いのが常ですが、今年は、最初の物理学賞受賞者のスピーチと、脳梗塞後、半身と話の不自由なスウェーデン人文学賞受賞者にかわっての妻のスピーチが良かったくらいで、がっかりしました。

経済学賞は、厳密にはノーベル賞ではなく、「スウェーデン国立銀行賞」になりますが、その受賞者の一人が、

「One cannot learn while one is talking.」ということを言っていて、それが印象的でした。

 

. . . → Read More: ノーベル賞晩餐会

Nobeldagen

昨日、12月10日はNobeldagen。アルフレッド・ノーベルの没日です。Nobeldagenについては、過去の記事を(1、2)。

去年は、授賞式に参加しましたが(記事)、今年は丁度出張があったため参加は断念。日本人の受賞も無くて、寂しい限りです。

 

今回、私にとって印象深かったのは、やはり、生理学・医学賞です。以前勤務していた大学病院で、手の施しようのなくなった腎臓癌の患者さんに、樹状細胞を使った独自の免疫療法を行っていたこともあり、研究内容にも興味がありました。同時に、樹状細胞を発見したRalph M. Steinman氏が、受賞発表3日前に膵臓癌のため命を落としていたという逸話も加わって、非常に印象深い賞となりました。

樹状細胞の名は、その形態から名付けられたものですが、博士の妻であるClaudiaさんが、細身で手足が長いことから、「Claudia Cell」と呼ばれたという話もあるそうです。

樹状細胞は、抗原提示細胞とも呼ばれ、取り込んだ抗原をT細胞やB細胞に提示することによって免疫反応を活性化します。2007年に博士が膵臓癌の診断を受け、手術となったとき、彼の共同研究者は協力して摘出された腫瘍を用いて治療に必要な樹状細胞の培養を行ったとのこと。診断時には数ヶ月の余命宣告をされたにも関わらず、4年半も生きることができたことは、彼の樹状細胞療法が有効であったことの証拠であるともいえます。

授賞式では、亡くなった博士に代わってClaudia夫人が国王からメダルを受け取りましたが、受け取ったあと、天に向かってキスをしたのがとても印象的でした。博士には一男二女がいますが、テレビ局勤務の双子の姉妹の一人は、インタビューで、父親から、「自分が最もパッションを感じる仕事を選ぶように」と言われ、職業の選択は自由であったことを語っていますが、何事も「パッション」が大事であると信じている私は、思わず大きく頷いてしまいました。今回、受賞者が亡くなっていたにも関らず授賞を取り消さなかったのは、ノーベル賞選考委員会の何とも粋な計らいでした。

 

ノーベル賞関連行事といったらスウェーデン王室は外せません。今年もMadeleine王女は欠席。後にふれますが、ニューヨークでのMarie Curieのセレモニーに出席。3月に出産予定のVictoria王女のお腹に注目は集まったようです。ある筋によると、ドイツでIVFの治療を受けたらしいということですが、そのため、もしかしたら双子という噂もあります。その場合も、第一子が皇太子になります。

仲睦まじいVictoria皇太子夫妻。

 

こちらは、同日にオスロで行われた平和賞の授賞式。ノルウェーの皇太子夫妻も仲睦まじくて素敵です。

平和賞を受賞した女性3人。

ノルウェー国王夫妻、皇太子夫妻と。

. . . → Read More: Nobeldagen

独居老人の悲しい話

スウェーデンで働くようになってから、80代後半、ときに90代の患者さんを診察することが良くあります。日本では、沖縄勤務だった頃は、本土に比べると、多くの高齢の患者さんの診察をしていましたが、東京では超高齢の患者さんはそれほど多くありませんでした。日本のカルテは、「明治、大正、昭和、平成」といった元号で生年を表記していましたので、明治生まれや大正生まれの患者さんが受診すると、「高齢」という感じがしましたが、スウェーデンでは当然西暦表記ですので、当初は感覚が掴めませんでした。今までスウェーデンでは、99歳が最高齢で、100歳超の患者さんは未だに診察したことがありませんが、恐るべきことに、90代の患者さんでも一人で受診することがあります。

最近診察した80代後半の男性。転移のみられない浸潤性の膀胱癌で、既往歴もないため、膀胱全摘を予定していました。何と、ストックホルム市内のアパートに独居。一週間に数回の掃除と買い物のお手伝いに来てもらっている他は、自立しています。しかも、最近、ほぼ視力を失ったとのこと。それでも、自分で料理をしているそうです。3人いる子供は遠くに住んでいて、受診の日はそのうちの2人が付き添い。視力がないということを知らなかった私は、手術の話を始めたのですが、そこで、娘から、「お父さんは目が見えないし、一人で住んでいるから、ストーマの管理が出来ないのではないか。」という発言。そこで、手術以外の治療法を説明することになります。転移のない浸潤性膀胱癌であれば、膀胱全摘が一番ですが、根治に近い治療としては放射線治療もあります。しかし、放射線治療には副作用もありますので、高齢で盲目の独居老人ということであれば、無治療という選択肢も。

日本であれば、子供が3人もいれば子供と同居することが多いので、ストーマは家族が管理する手もありますが、スウェーデンでは親との同居というのはまず有り得ません。子供が親を介護など考えられませんし、ましてや、嫁が義両親を介護などとんでもない話です。この患者さん自身も、「今、症状がある訳ではないから、治療しなくてもいい。もう、十分生きてきたし、一人で目がみえないし、、、、。」と言います。何だか、胸が詰まるような気持ちになりました。

しかも、話をしてみると、39度台の熱が夕方になるとあり、診療所を受診したところ、抗生物質を処方されただけだったと。

「今も気分が悪いのでは?」と訊ねると、頷く患者さん。子供たちは、「こんな老人を週末に処方だけで放り出し、目もみえないのに、薬局を探し回らなければならなかった。」と怒り心頭。

熱はなさそうだが、脈を取ると、一分120ほどの頻脈。聴診上は不整脈はないが、収縮期雑音が聞こえる。大動脈弁狭窄症を持っているらしい。肺野を聴診すると、バリバリ音がする。

「スウェーデン人男性は、辛くても、辛いって言わないから、、、、。辛いときは辛いって言わなきゃだめでしょ。」と彼に言い聞かせながら、救急外来へ緊急の診察依頼を書きます。

「おそらく入院が必要だから、すぐに救急外来へ行ってください。」

日本だったら、自分の科のベッドを手配して入院させるのでしょうけれど、スウェーデンではそうはいきません。原疾患があっても、緊急性のある症状が他科のものであれば、救急外来へ回しますし、自分の科のベッドに空きがなければ、仕方がないので救急外来へ回し、救急外来の病床コーデイネ―ターにベッドを手配してもらうことになります。今回は、16時頃に救急外来へ行ってもらったのですが、18時には血液検査も終わり入院となりました。CRP200以上、白血球数2万以上もあり、高齢だし危ないところでした。

肝心の膀胱癌の治療ですが、患者さん自身は「無治療」という方向に傾いていて、とても切ない気持ちになります。

「高齢者が子供の世話にならない」で、出来る限り高齢者が自立し、介護は第三者の手に委ねるというスウェーデンのシステムには、基本的には賛成です。日本のように、未だ、「長男の嫁」が介護の犠牲になることには、疑問を感じます。身内の介護には報酬がありませんが、第三者の介護には報酬が発生し、従って、国にとっては税収となり、それをさらに福祉に回すことができます。子供世代だからといって、親の年齢まで生きることが保障されている訳ではありません。基本的に介護の責任が子供にかかるのは好ましくないと思っています。しかし、今回のような「独居高齢者」の実態、「独居」により治療が制限される可能性があることを目の当たりにすると、複雑な想いになります。

私などは、現在、両親がなんとか健康であることや、妹が両親と同居していることに甘えて、日本から遠く離れた土地で親不孝をしておりますが、そんな自分の人生も振り返り、出口の無い迷路に入り込んだような気持ちになってしまいました。

高齢者が患者さんであることが多い泌尿器科。スウェーデンの高齢者は、日本に比べて自立しているという印象です。80歳代であれば、たいてい一人で外来を受診しますし、90歳代であっても一人で来院することは珍しくありません。手術目的の入院の際も一人、退院も一人。先日も、80代後半の男性で、90代の奥さんの介護を自宅でしているという患者さんに会いました。「若い世代のお世話にはならない。」という気概は、日本人も見習ってもよいことでしょうけれど、日本式とスウェーデン式の間で中庸を得たシステムというものは実現しないのでしょうか、、、。

出産ラッシュ

この1年、職場では相当な出産ラッシュです。

3人の子供のパパとなった小ボスも、最近まで育児休暇を取っていたし、現在も、子供の送り迎えや、子供の病気の際には欠勤するなどしています。再婚して50代で4人目のパパになった人も数名。出産した女医さんも複数。

この次は、奥さんが来週予定日となっている専修医のO先生。何と、これで4人目。因みに彼はバツはありません。

赤ちゃんが生まれたら、パパも2週間ほど育児休暇を取るのが通常となっているので、これから年末に掛けての戦力低下は痛いところですが、スウェーデンではごく当たり前なのです。(週末にはウイークデーの60%ほどに病床数を減らすことになっているため、金曜日はとにかく退院努力をしなければなりません。しかも、ベッドが足りないために、本日は2件の手術が延期になりました。これもスウェーデンならでは。キャンセルによって患者さんは、1500クローネほど給付が出ます。)

スウェーデンでは、女性医師が出産や育児のために働くことをやめることなど有り得ないことです。この国では、勤労して、税金を払って一人前ですから、原則、専業主婦は存在しません。生活のための補助金を受給していなくても、この地に住んでいること自体で税金のお世話になっている訳ですし、戦争難民を除き、全ての人間が同じ費用で医療や福祉などの現物給付を受けているのですから、働いていない人は何かしらの形で他の人が働いて収めた税金の恩恵を受けていることになります。私も、奨学金で生活していたポスドク時代に、喘息発作で緊急入院したことがありますが、その際も、スウェーデン人と同額の救急外来受診料を払っただけ。ときに、スウェーデンはかなり太っ腹だと感じることもありますが、日本でいう所謂、「生活保護」にあたる人たちでも、一定額の受診料や薬剤費を支払わなければならないシステムは、日本より優れていると思います。子供がいなくて健康な私は、おそらく40%に近い所得税を払っても、税金の還付を受けることはないのですが、移民である自分を受け入れてもらっているだけでスウェーデンに感謝する気持ちです。

基本的に全ての人間が働き、高い税金を納めるおかげで、高福祉が実現し、従って多忙な医師でも出産ラッシュが可能な訳です。他人の子供でもとても可愛いと思う私には、4人目の子供に恵まれるO先生のことは、ちょっとうらやましい。一人くらい分けてくれたらいいのに、なんて思ったりします。出産を控えた奥さんに代わって、今日もO先生、少し早引けして3人の子供を保育園にお迎えに行きました。元気に赤ちゃんが生まれてくるといいな。


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