私の勤務する病院では、「電話診療」が多く行われています。患者さんと医師の間だけでなく、医師同士、つまり、診療所のプライマリーケア医が診療所を受診した患者さんで、専門医に送らずに済みそうな患者さんや、専門医に紹介する前に効率よく検査を進められるような患者さんについて、専門医に相談することもできます。
日本では、例えば、前立腺癌の患者さんで、PSA(前立腺特異抗原)を定期的にチェックする場合が多くあります。そんなときは、患者さんは、最低1回、あるいは2回の病院受診が必要になります。これに限らず、血液検査の結果を聞きにくるだけの受診は、当たり前のことです。患者さんにとっても、医師にとっても負担となるシステムです。
スウェーデンで働くようになってからは、電話相談や、手紙による結果の通知などの診療形態を良く利用します。前述の、前立腺癌の患者さんの場合は、実際に受診してもらって診察をするのは、1年に1回か2回。それ以外は電話診療で済ませることがしばしばあります。患者さんは、電話診療の日時に間に合うように、近くの検査室へ血液検査をしに行けば良いだけです。定期的な診察だけでなく、急に何か問題があった場合は、診療科の看護師に電話をし、日直医から指示を受けるか、緊急でない場合は、担当医の電話診療を予約することができます。投薬が必要な場合も、オンラインの処方箋で処方をし、患者さんは街のどの薬局でも薬を手に入れることができます。診療科は、これらの遠隔診療行為について報酬を得ることになりますし、受診なしのオンライン処方では、80クローネ(約1000円)の報酬を診療科は得ることができます。この80クローネは患者さんの自己負担となります。
先日の電話診療で、ある80代の男性に電話をしました。電話をする時間はきちんと決まっている訳ではなく、例えば、13時から14時の間、というように、1時間の枠のどこかで電話をすることになっています。この患者さんには、電話診療時間終了間際での電話。
私がまだ一言も発しないのに、突然、電話の向こうから、
「モシモシ」
という声が聞こえてきました。
患者さんは私の電話を待ち構えていて、そして、私が日本人であることを知っているので、日本語で電話に出ようと計画していたのです。
今日は、これから手術になる患者さんで、全く会ったこともない人。
これからの予定や病気の話をしたあと、名前を聞かれました。
「○○子」と、ファーストネームから始めると、すぐにそれが日本人の名前であることに気付いたようでした。そして、
「アリガト」と。
スウェーデン語では、「Tack.」。「Tack så mycket.」は、「Thank you very much.」になりますが、very muchは日本語で何というのかと聞かれました。
このお二方も含めて、電話診療や通常診療で出会った多くのスウェーデン人が、日本の惨状について気にかけてくれます。
何だか温かい気持ちになります。








ありがとう、って異国で聞くと特に。
特別な言葉に感じて、嬉しく思います。
いえ!もちろん日本でも☆
私も日々、周りの優しさに支えられ生きているので。この記事読んで温かい気持ちを分けてもらいました^^
Erikaさん。そのとおりですね!特に、非日本人の方からの言葉だと、ほろっとしてしまいます。
80代のおじいちゃん。電話診療は1時間の枠で、いつ電話が掛るかはわからないのに、普通は電話がかかることは殆どないのでしょう。だから、私が何も言わなくても、私かrの電話だとわかっていたのですね。
何だか、泣けましたよ。
>血液検査の結果を聞きにくるだけの受診は、当たり前のことです。患者さんにとっても、医師にとっても負担となるシステムです。
先生へ
血液検査、2回ほど電話だけで結果を聞いたことがあります。
後日 治療にも もちろん 伺いましたが・・・。
これって その病院の先生がいいっておっしゃる場合は
日本でも、いいんですよね?そうですよね(笑) ちょっと冷や汗です、たら~
ガムラスタンさん。勿論です。
その先生は、とても良い先生だと思いますよ。電話診療のシステムがはっきりしていない日本では、電話だけだと報酬にもなりません。
冷や汗かかせてしまって、ごめんなさい。
言葉の魂の美しさを感じますね~
子どもにも言い聞かせ、自分でも自分に言い聞かせする事のひとつに
『美しい言葉には美しい心が、醜い言葉には醜い心が宿ってる』・・・
先日キーツの詩の一節も胸に響きました。
『聞こえる音楽は美しい。聞こえない音楽はもっと美しい』・・・
日本の言葉で話しかけようと思ってくれる方の
気持ちが優しく響くのですよね。しみじみします。
こぐまなみんさん。
「美しい言葉には美しい心」
素敵ですね。
そして、「醜い言葉には醜い心」
これも忘れてはいけませんね。
「聞こえない音楽」
深い言葉ですね。
どんなことでも、その裏に隠された目に見えないものが、滲み出てくるものですね。
自分が何気なく使っている言葉、優しく響いているといいのですが。