韓国で行われている、世界陸上。
男子ハンマー投げでは、室伏選手が金メダルを取りました。
こちらで大きな話題となったのは、南アフリカの足のないスプリンター、Oscar Pistoriusの活躍です。
Oscarは、1986年に両足の腓骨欠損を持って生まれました。生後11ヶ月で両下腿切断。彼は、義足で歩き始めます。6歳でレスリングを始め、9歳で車の運転を。運動に生きがいを感じていたOscarは、ラグビーによる負傷のリハビリの一環として、2004年に陸上を始めます。
同2004年に行われたアテネでのパラリンピックでは、100Mは銅メダル、200Mは金メダルを獲得。その後、400Mで北京オリンピック出場を目指します。2007年に、IAAF(国際陸上連盟)は、「Oscarは義足により、彼と同じ速さで走る健常アスリートと比べて、25%少ないエネルギーで走ることができる。スタートは遅いが、ずっと重い足を持つ他のアスリートが後半で乳酸蓄積による影響を受けるとき、軽くて柔軟性のあるカーボンファイバー製の義足により有利になる。」などの識者の報告により、「通常のアスリートが使うことのない、バネや車輪などを用いた装具の使用禁止」を規約に入れました。その後、Oscarは弁護士を雇い、アメリカの研究者2人とコンタクトを取って、独自の実験を行い、「義足が有利にならない。」という検証を行ったうえ、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に提訴しました。CASはOscarの提訴を認めましたが、五輪参加標準記録を突破するか、南アフリカの4x400Mリレーのメンバーに入れば、北京オリンピックへ出場可能というIAAFの規定をどちらも満たすことができず、Oscarは北京オリンピック不出場に終わり、2012年のロンドンオリンピックを目指すことになります。また、2008年の北京パラリンピックでは、100M、200M、400Mで金メダルを獲得しました。
今回、世界陸上では健常者と戦った訳ですが、準決勝で敗退しました。しかし、彼が健常者と同じレースで競うことに対する賞賛と批判の声が上がっています。
MIT(マサチューセッツ工科大学)のHugh Herrは、Oscarの支持者でもあるのですが、「In future people will be running faster in the Paralympics than in the Olympics … regular old arms and legs will seem dull.」と、The Sunday Timesに語ったそうです。
考えさせられてしまいます。身体障害者が障害を持ちながらも、健常者と競うことは素晴らしいことです。しかし、競技は公平でなければなりません。人工である義足や義手、関節などが、技術の進歩により、人間の本来の臓器より優れる可能性があるとすれば、両者が同じ競技で競うことは公平ではありません。
Oscarの活躍は、このように、同じような障害を持つ人間に大きな希望を与えるものでしょう。しかし、それを手放しで喜べないという議論にも頷けます。何だか、切ないです。







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