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高福祉に寄生する人間

昨日の手術で疲れ切った体に鞭打って、職場へ向かいます。首と腕の筋肉痛は、昨日の激務を物語っています。

術後ベッドへ回診。思ったより患者さんは元気そうだったのですが、心筋梗塞、糖尿病、腎不全と合併症だらけの患者さんですので、術後管理は予断を許しません。心配したとおり、尿量が少なく、心不全気味。強心薬のサポートが必要です。スウェーデンでは、一般病棟では心電図や酸素飽和度のモニターや、強心薬などの投与、呼吸器管理などはしないことになっています。その際には、病状によって、一般救急床か集中治療室での管理となり、一日あたり、最低7000クローネの費用がかかります。この患者さんは、集中治療室へ移動させることに。

予定業務の間には、書類の処理に追われるのが日常。その中に、何度も書類の請求をしてくる患者さんの書類が。

30代の彼女は、アフリカの貧しい国から15年以上前に移民としてやってきました。これまでに複数回、帝王切開で出産をしています。最後の帝王切開で、膀胱に少し損傷を受けたらしいのですが、泌尿器科的症状としては、多少膀胱容量が小さいための頻尿。基本的に、健常者と同じような生活ができるはずです。にもかかわらず、病状詳記の書類やら、重いものは持てないことの証明やら、何回も書類を請求してきていて、うさんくさく感じていました。そんなとき、今回は、社会保険庁に提出する病状詳記の書類請求が。要は、「これはできない」「あれはできない」とごねて、仕事をせずに生活補助を受けるか、楽な仕事にありつこうという魂胆がみえみえなのです。スウェーデンのシステムや考え方には、まだあまり自信のない私は、かなり患者さんの希望に沿った病状詳記を書いていましたが、あまりに強引なので、同室で、神経因性膀胱が専門の同僚に相談してみました。そうしたところ、「Nu djävlar! (Goddam!) Fy fan! (hell! Damn!)」とお怒り。私が感じていたとおり、ほぼ普通に生活や仕事ができるはずなのに、福祉システムに寄生しようという典型例のようです。「そんな患者に書類を書く必要なし」とのお墨付きをいただき、溜飲が下がった私です。しかも、スウェーデンに長く住んでいるにも関わらず、彼女、スウェーデン語ができないのですよ。外来受診は通訳つき。勿論、通訳のコストを自分で負担する訳じゃありません。これまで複数の出産をしているので、そのたびに補助が増え、その補助で生活。出産が終わったら、次に補助を得る手段がこれですか。

スウェーデン人であっても、高福祉に寄生する人は沢山いるのですが、ここはスウェーデンで、私は非スウェーデン人ですから、スウェーデン人が自分の国で寄生する分にはまだ納得できます。しかし、このように福祉に寄生する移民・難民をわずか2年の間に多く見てきました。スウェーデンが多くの難民を受け入れていることは評価すべきことですが、低所得であっても高額の税金が課せられるこの地で、真面目に頑張っている低所得者からの税金が、福祉に寄生する難民へ使われることには、憤りを感じます。私が書類を書くことで、このような輩の手助けをすることになるのですから、毅然とした態度で臨まなければ、と心に誓いました。

それにしても、中年の身が回復するには時間がかかりそうです。体が疲れているのに、怒りでアドレナリンが、、、。

今日も早く寝ることにします。

4 comments to 高福祉に寄生する人間

  • こんにちは。

    本当に困窮した人のためのすばらしい制度が悪用されてしまう。このようなことはスウェーデンならずともだと思います。こういう話を聞くと暗い気持ちになってしまいます。

    一部の不届きものによる制度の悪用を防ぐために、制度自体が見直されてしまうと本来助けるべき人も助けられなくなってしまうかもしれません。よい制度はそのまま維持しつつ、制度は厳密な適用をするしかないのかなと思います。それにしても審査?する立場の人は不届きものかどうかのチェックがあるので何かと大変ですね。

    • 本当にそうですね。社会保障制度のグレーゾーンでの悪用というのは、どこでもあることだと思います。私も大学時代に、自営業の子息が、奨学金を貰いながら、外車に乗っていることに違和感を覚えた記憶があります。本来、奨学金が必要な人が貰えずに、裕福だけれど、書類上だけ低収入となるように操作できる人間が奨学金を貰い贅沢をする、、、。

      大事なポイントを指摘していらっしゃいますが、制度の見直しで助けなければならない人が漏れてしまうこと。これが実際、スウェーデンの政権が社会民主党から穏健党に変わった時点で起こっています。しかしながら、スウェーデンのように、過度に高福祉に寄生する人間が生まれてしまったような社会は、そのくらい大きな改革をしないと修正できなかったのかもしれません。今回の総選挙で穏健党が政権を守りましたが、改革により漏れてしまった人達を拾い上げる努力をするようです。

      病気に関する手当てについては、行政が厳しく書類チェックをしてくれないと、しわ寄せは医師へやってきます。患者さんは医者にプレッシャーをかけ、そこをクリアーすれば、手当てが貰えるとわかっているからです。本来の業務と違うプレッシャーで、さらに患者さんとトラブルのは勘弁してほしい。

  • お久しぶりです。マイミクの空飛ぶドクター、坂本泰樹です。

    久しぶりにブログを読ませてもらいましたが、高福祉国家に
    も、やはり「寄生虫」がいるのですね。やくざな患者の書類
    書きに無駄な時間は使わないで下さい。私も理不尽な書類書
    きは大嫌いです。

    空飛ぶドクター(登録商標)

    • こちらこそご無沙汰いたしております。「寄生虫」は思いのほか沢山いて、厭になるくらいです。努力して、純粋に専門家としての医学的判断に基づく判断をしようと思っていますが、あの手この手で押してくるため、困ることも多くあります。高福祉社会が嫌いになりそうなこともあるくらい、、。

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