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医師の残業規制

日本では、医師の超過勤務に対する政府の方針が酷いことになっているようですね。

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残業規制、医師は緩く 救急・産科は上限見送りも
2018/8/26 1:30 日本経済新聞 一部抜粋

厚生労働省は医師に限定した残業規制を2024年度に導入する方針だ。残業時間の上限を一般の労働者に19年4月から順次適用される年720時間よりも緩く設定。救急救命や産科など長時間の対応が必要な診療科にはさらに例外規定をつくる。一般労働者と同じ規制だと医師不足などで医療現場が混乱しかねないため、独自のルールが必要だと判断した。

医師の長時間労働は他産業に比べても深刻で労働環境の改善が必要だ。しかし一般労働者向けの残業上限規制をそのまま適用すると、現場の医師不足に拍車がかかるなど、医療の質が保てなくなる懸念があった。

正当な理由なく患者の診療を拒めない「応召義務」が医師法で定められるなど医師という職業の特殊性もあり、政府は残業規制の制度設計の過程で医師への適用を24年度まで延期。残業抑制策のあり方を別途検討し、今年度中に結論を出すことにしていた。

厚労省は医師の残業上限は一般労働者の年720時間よりも緩くする方向だ。厚労省内では「最大でも年960時間」との意見がある。

さらに業務の性質上、長時間労働になりがちな救急や産科などで働く医師には例外規定を設け、規制を一段と緩める方向だ。こうした診療科には上限そのものの設定を見送る可能性がある。ただ例外扱いになる場合でも、産業医との面談など健康確保措置を義務付け、労働時間の正確な把握など長時間労働を抑える仕組みを整える。

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こんな記事もありました。

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神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)が昨年4月、医師を労使協定に基づく時間外労働の上限(月80時間)を超えて働かせたとして、神戸東労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかった。時間外労働が国の過労死ラインを上回る医師は全体の2割の45人に達し、最長で月205時間の医師もいた。勧告後も慢性的な長時間労働が続いており、病院側は外来診療の縮小などの検討を始めた。

 中央市民病院は厚生労働省の救命救急センター約280病院の調査(2014~17年度)で、患者の受け入れ実績などから4年連続トップの評価を受けている。

厚労省は、脳卒中や心疾患で労災認定される目安となる基準「過労死ライン」として、発症前の時間外労働を「2~6か月平均80時間超」か「1か月100時間」と定めている。

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医師であろうと医師でなかろうと、同じ人間です。医師だから残業規制を緩くするというのは如何なものか。残業規制をして現場が医師不足になるという分析は、現場の仕事量が不変であるという前提があるからです。一般労働者の残業上限、年720時間というのは、週休2日とすれば1日あたり3時間近くになります。毎日、3時間近くの残業!何のために生きているんでしょう。働くために生きているようなものです。月に100時間、200時間になると絶句です、、、(かくいう私も日本で働いていた頃はそんな時代もありましたが、、。)。
スウェーデンは基本、週40時間勤務。週休2日ですから、一日8時間勤務。私の勤務する大学病院では、超過勤務は時間計算で休暇として使うことができます。。オンコールなどの時間外勤務は、2割ほどが給与として、残りは休暇になります。できるだけ給与として給付したくないため、休暇を取ることを推奨されます。それによって、年間、2ヶ月くらいは楽に休暇を取ることができます。
今回の選挙で、Vänsterpartiet(Left Party)は現行の8時間勤務から6時間勤務への短縮を提案しています(記事)。
彼らの選挙ポスターの一つ。

 

Övertid Tid över

超過勤務の時代は終わった。といった感じでしょうか。

流石に6時間勤務は怠けすぎだと思いますが。

 

日本の医療現場では、とにかく仕事量を減らさなければなりません。タスクシフトも勿論ですが、患者のアクセスを制限し、不要な診療行為を減らさなければなりません。そのためには、国民の啓蒙と、保険医療施設の利潤追求目的の診療行為に対する引き締めを厳しくする必要があります。それは、医師の働き方改革だけではなく、保険医療システムの維持のために不可欠です。

涙と抱擁と

激動の夏を終えても闘いの続いている職場です。

壮絶な闘いの中で、ロボット前立腺全摘に続き、ロボットによる膀胱全摘+回腸導管造設術の術者を勝ち取る立ち位置につくことができました。指導者のない中で、出来なければ開腹しても良いから執刀できるか、というボスの希望に答えて執刀医となってから2ヶ月以上が経ちます。これまでの多くの膀胱全摘を含む開腹手術と、ロボット前立腺全摘の経験から、今まで執刀したことはないものの、できるだろうと考えて引き受けましたが、そのプレッシャーは筆舌に尽くし難いものでした。膀胱全摘、リンパ節郭清、そして尿路変向の全てのステップを内視鏡手術で行うというもので、非常に難易度の高い手術です。敵対勢力は完全なる女性蔑視で、私が失敗するのを虎視眈々と狙っている訳ですし、並列で膀胱全摘の手術があったときには、出来る助手を横取りし、私に初心者の助手を押し付けたりしてきました。幸い、これまで執刀した全ての症例は手術も術後も順調、病理的にも根治的切除ということで、付け入る隙を与えてはいないものの、確執のある職場で戦い続けるのは辛いものがあります。ボス、その上のボス、さらにその上のボスと全て私の味方、というより、私がボスの切り札となって働いている状況ではあるのですが。新しい病院のシステムで生まれた新しいボスたちと、女性蔑視の男性グループとの対立に私が巻き込まれている構図です。

 

外科領域、殊に、今流行りのロボット手術は、世界的に見ても圧倒的な男性優位です。ロボット手術の学会には、殆ど女医さんはいません。数の多い前立腺全摘術や、女性の失禁手術などでは女性の執刀医もいるようですが、膀胱全摘術になると皆無。スウェーデンでも他にはいませんし、ましてや、つい最近、ロボット手術が膀胱全摘に保険適応になった日本では女性の執刀医がいないだけでなく、男性の執刀医もあまりいないと思います。男性の嫉妬というのは女性の嫉妬よりもタチが悪く、特に、女性に対する嫉妬は男性の性(さが)が許さないのか、凄まじいものがあります。「練習もせずに手術するのは危険で許せない」と言ってきたらしいですが、私としては、「開腹手術もできないのにロボット手術する方が危険だ」と言い返したいくらいです。

 

厳しい闘いの中で、術後の患者さんの喜ぶ顔は、疲弊した心や体にエネルギーをくれます。執刀した症例で術後麻痺性イレウスが遷延し、1週間以上の入院が必要になった唯一の患者さんがいました。胃管とコリン剤で何とかイレウスを脱したため無事に退院となりました。「これからしばらく生きることができるでしょうか?」と聞かれ、「勿論です。」と答えました。彼の眼から涙がこぼれました。内視鏡手術で見える傷は小さいとはいえ、膀胱全摘は大手術といえます。突然受けた進行癌の診断以来、精神的にも肉体的にも、とても辛かったんだと思います。そして迎えた退院の日の感極まった涙。そんな患者さんの涙を見たら、やはりハグしかありません。どんな言葉よりもハグの方が気持ちが伝わるような気がします。これから10年、責任を持ってフォローするつもりです。手術だけすれば良いというものではなく、経過が良くも悪くもずっと主治医の立場から逃げないことが大切です。外科医の道に入ってから30年近くになりますが、執刀するということの重みはいつになっても変わることはありません。

 

香水禁止

大学生になって、初めて香水を付けたとき、何だか少し大人になった気がしたことを覚えています。

その後、社会人になっても、20代の頃は色々な場面で香水を付けていました。香りの記憶というのは非常に強烈で、学生時代のボーイフレンドが付けていたオーデコロンの香りで、胸が今だにちくっとするののに驚いたりします。

その後、香水アレルギーなども知られるようになって、医療従事者は香りを付けるべきではないと考えるようになりましたが、日本では香水を付けている医師も多かったです。

 

スウェーデンで働くようになると、医療従事者で香水を付けている人に会うことは少なくなりました。白衣などの扱いについても、日本とは全く違います。日本の医者は不潔なんだなあとショックを受けました。長袖の白衣、毎日交換しない白衣、私服の上の白衣、指輪、腕時計、長い爪、、、。

 

こちらはお隣、整形外科に貼られたポスターです。香水禁止の張り紙です。

 

臭いであろうと匂いであろうと、アレルギーがある人や苦手な人にとっては暴力です。閉ざされた空間では、逃げ出すことも難しい。せめてTPOを考え、付けすぎないように注意したいものです。病院ではNGではないでしょうか。

 

個人的には香水などは全て破棄し、化粧水やシャンプーなども全て無臭のものを使うようにしています。

母校の学生さんたちと小児病棟見学

母校である慶應義塾大学医学部には、国際医学研究会(IMA)という学生のグループがあります。

6年生の夏に、主にブラジルで1ヶ月に渡り医療活動をするグループで、活動資金は自分たちでスポンサーを探し集めています。

今年は、ブラジルでの活動の後に、スウェーデンの医療、介護の現場を見学したいということで、コーデイネーターを引き受けました。

介護施設、ホスピス、高度在宅医療、カロリンスカ研究所などを見学した後(団員ブログ記事)、カロリンスカ大学病院新病院のうち、小児病棟を見学しました。私が働いている骨盤内癌部門は病棟の引っ越しが10月末であるため、本格的に稼働していないため、ポスドク時代からの旧友である小児神経内科医のEliちゃんに案内役をお願いしました。

以前にもご紹介しましたが、病児がテラピストや両親などと一緒に遊んだり治療したりできる屋外の遊び場。

勿論、屋内にも遊び場があります。その一角には、採血や各種検査、処置の模擬練習ができるコーナーがあります。これにより、子供達の処置に対する恐怖心を軽減させることができます。また、スウェーデンでは原則として全ての処置に両親が同席します。

新病院は大きく4つのブロックに分かれ、それらが東西の方向に位置しています。ブロックごとに廊下の色、そして、病室内のバスルームの壁の色が決められており、小児病棟は黄色となっています。

バスルームの壁も黄色ですね!

新病院は基本的に全個室。バスルームには、トイレ、シャワーの他に、洗濯機があります。感染性がある場合でも、病室内で処理ができます。

各病室には、このように患者さんを持ち上げる装置があり、患者さんの移動などで医療従事者の体にかかる負担を軽減することができます。

物資の輸送は、基本的に全自動のロボットによりなされています。小児病等だけで30台のロボットがあります。ロボットの駐機場、また、ロボット専用のエレベーターがあります。

ちょっとした家具も北欧のデザイン家具で素敵です。

スウェーデンでは病院の建築費の0.5%を芸術に当てるという法律があり、各所に海外や彫刻などの芸術品が置かれています。

4ブロックの建物にはそれぞれ吹き抜けがあり、天窓から天然光が入るようになっています。

こちらは、小児専用の救急外来ですが、救急車は直接建物の中に入ることができるようになっています。

最後に、旧病院の前で記念撮影!カロリンスカ病院訪問の様子も団員の方が記事にしてくれています。

3人の後輩達、とても優秀です。団員の1人は一卵性双生児だそうで、兄弟ともに幼稚舎から慶應の医学部へ進んでいます。双子の親としては、どんなご両親なんだろうと興味津々。

若き後輩からも沢山エネルギーをもらい、彼らの将来が輝かしいものであるように祈り、いつかどこかで再会することを約束してお別れしました。ありがとう!

東京医大事件に寄せて

私も勤務したことのある東京医大の女子学生制限の騒動。私の母校では女性はやはりマイノリテイーです。同級生は10%が女性でした。そして、女子学生が制限されていることは暗黙の了解のようになっていたと記憶しています。しかし、概念として認識していても、具体的な女性制限の手法を目の当たりにし、今回は流石にショックでした。(お金を積んでの裏口入学は論外です。)

必要悪、と言い切るのは言い過ぎだと思いますが、マンパワーとして確実な男性医師が好まれるのは確かです。産休や育休を取らせるほどポジションに余裕のない大学病院では、産休に入る前に退職するのが常で、やはり、根元は女性医師の労働環境が悪いこと、そして、女性医師のパートナーの多くである男性医師が育児に参加しないことにあります。

一方、これは、鶏が先か卵が先かという議論にもなりますが、女性の意識の低さも否定できません。育児をするには恵まれない労働環境により、やる気を失うのも確かでしょう。しかし、日本女性全体として、まだ30%以上が専業主婦であるという事実、働けるのに働かないという選択肢が存在することが、女性の意識、地位の向上を妨げていると思います。スウェーデンでは、国民である以上、働いて納税をすることは国民としての義務という認識です。パートナーが高収入だから他の家よりも余計に納税しているという理論はまかり通りません。個人個人がそれぞれに納税の義務があるのです。また、納税の総額により年金が決まってきますから、納税していなければ年金を受給できないということになります。また、離婚になった際にも女性が経済的に守られることはありません。男性が有責でも同様です。この状況を鑑みると、日本の女性の自立意識はスウェーデンより半世紀以上遅れていると言えます。

我が家の双子は6歳になりましたが、双子を育てながら、トップレベルの外科医として男性にも競合できているのは、スウェーデンという社会のお陰です。日本では全くもって無理です。同僚の男性医師はほぼ全てが、女性と同じように育休や病児休暇を取得しています。この夏もある男性医師が6月から9月までの3ヶ月、夏の最も良い時期に育休を取り、水面下で顰蹙を買っていたくらいです(育休取得希望は拒否できないので、休暇希望よりも優先されるからです)。我が家も、夏休み期間は病院では人手不足であることもあり、夫が送り迎えを毎日担当してくれています。私は家族がまだ寝ている間に出勤しています。通常の期間であれば、多少の送り迎えをすることもありますが、やはり帰宅が不定時になることが多いため、研究者である夫に迷惑をかけて甘えてしまっています。

今回の騒動に絡んで、読売新聞からインタビューを受け、ちょこっと名前入りで記事に登場しました。8月8日付の朝刊3面です。ジャーナリストからすると、「手術の執刀医となっている日に病児休暇を急に取ることになった場合、代わりの執刀医を用意したり、代わりがいない場合は手術自体をキャンセルすることもある。」という事実は衝撃的だったようです。確かに、日本だったらありえないでしょう。40度近く熱があっても、座薬を使いながら働いたという経験もあります。今までに欠勤したのは、ノロウイルス感染で下痢嘔吐した時1日くらいです。最も、下痢だけなら勤務したかもしれません。

今後、日本において、医師の労働環境が改善し、育児や家事に関して男女平等化が進み、女性の意識も向上して、このような問題が解決してゆくことを願っています。

医師の労働環境を改善するには、医師の数を増やすのが先ではなく、医師の仕事量を減らすことです。すなわち、病院へのアクセスを制限し、直接医療に関係のないペーパーワークを減らしたり、他業種に委託できる業務を増やすことが必要だと考えています。また、そうしなければ、医療費を抑制することもできません。

また、日本国民の啓蒙。日本の医療システムは、世界で一番患者さんに優しいシステムと言えるのにもかかわらず、国民は医療に不満を持っています。風邪くらいで大学病院の救急を受診する。defencive medicineになってしまうのは、隙あれば訴訟にしようとしている人がいるから。訴訟を煽る弁護士もいる。IC、余計な検査などなどが増え、仕事量、医療費が増える。世紀末的です。多分、一度潰れないとダメなんだろうなあというのが、残念ながら正直な感想です。

 

 


Half-time review

カロリンスカ研究所でPhD(博士号)を取得するには、何編かの原著論文を執筆し、数多くのコースを受講し、最終的に一冊のthesisを書き、口頭試問に合格する必要があります。この口頭試問は日本のとは異なり、外部からその分野のエキスパートをoponentとして招き、まず、oponentの講義に始まり、PhD studentのプレゼンテーションが行われ、その後、1時間から2時間に及ぶoponentによる口頭試問になります。そして、数名の審査委員の試問もあります。

 

この最終的な口頭試問に至る前に、Half-time reviewといって、最終の口頭試問のミニチュア版のような試験がありますが、その審査委員を頼まれて行ってきました。

テストを受けるPhD studentの先生は仕事上良く会う人だったので、逆に少し緊張してしまいました。通常、プレゼンテーションと口頭試問は英語で行われるのですが、今回は他の委員など全ての関係者がスウェーデン人であったため、プレゼンテーションだけが英語で口頭諮問はスウェーデン語になってしまいました。論文やまとめなど、読む資料は全て英語であるため、それをスウェーデン語に切り替えて対応するのは多少労力が必要なのですが、臨床家かつ研究者としての両方の立場からの質問を試み、他の審査員とは毛色の違うdiscussionができたのではないかなあと思います。

 

審査員を任されたことで、久しぶりに数日集中して論文を読んだりして準備をしましたが、臨床とは全く異なる思考回路を使う必要があるので、普段は休んでいる部分の脳を使った気がして、それはとても心地良いものでした。やはり私は、臨床も研究も両方好きなんだなあと改めて思った次第です。臨床と研究を比べると、やはり研究の方がずっと難しいのですね。臨床は経験を積んでしまえば、大多数の症例に関しては、あまり脳を使わなくても対応することができますが、研究は常に新しいことを考えなければなりません。MDホルダーであっても、研究一本で勝負している人たちがいますが、凄いなあと思います。

 

研究にも色々な種類のものがあります。最近、臨床部門の医師は、所謂、バリバリの基礎研究をする人が少なくなっています。後輩たちも、短期間で、かつ、negative dataでも論文になる臨床統計でPhDを取得する人ばかりです。私は、生物学、分子生物学の分野でPhDを取得し、ポスドクを2回も経験しましたが、どんなに頑張ってもnegative dataしか出ない期間もあり、そんな期間にやったことは結果に反映されないので、時間も労力も全てドブに捨てた気になって落ち込んだものでした。しかし、新しい仮説を常に考えなければならないことは、臨床統計のような研究ではそれほど必要ではないので、そういう思考回路のトレーニングという意味で、研究に費やしてきた時間は無駄ではなかったのかもしれないと思っています。若い先生方にも、是非、そのような研究に費やす時間を持ってほしいなあと思いますが、時代の趨勢に逆らうのは難しいですね、、、。

 

すっきりとエレガントにまとめられ、質疑応答もそつがなかったHalf-time reviewでした。

NKS (New Karolinska Universitetssjukhuset) 新カロリンスカ大学病院、外から

1ヶ月ほど前、夜の9時近くに緊急手術で呼ばれた時、車の中からの写真。オープンしたてのメインビルデイング(A棟)です。9時近いというのに、すでにこれだけ明るい。夜中にオペが終わった時は、流石に暗くなっていましたが。

このA棟に我々の外来もあります。A棟はSolnavägenに面していて、向かい側はカロリンスカ研究所。鏡で覆われた奇妙な建物はAula Medicaと呼ばれているメインのビルです。その向こうに最近完成したのが、数千人の研究者が働く研究棟、Biomedicumです。


このビルと病院サイドの研究棟がスカイウエイでSolnavägenを越えてつながっています。

新病院と旧病院の間には複数のスカイウエイがあり、ちょっとした未来都市。地震大国日本では考えられないことです。

子供病院も一角にありますが、病棟の外にはこのような遊び場が用意されています。

 

正面玄関の横には、ストックホルムでは有名な老舗のベーカリー、Vete-Kattenが店を構えました。

これからは、病院でも美味しいケーキやサンドイッチが食べられるかもしれないと思うと、かなり嬉しいです!

カロリンスカ大学病院新病院へ引っ越し

ヨーロッパで最もお金がかけられた病院と(現在のところ)されている、カロリンスカ大学病院新病院。

あとからあとから不足分のお金がつぎ込まれており、総額でどれだけになるのか想像もつきません。


写真中央付近で、森(墓地)に隣接しているのが旧病院。その下(南側)の巨大な建物が新病院です。

現在はこんな感じ。新病院の前には(元々は患者さん用のホテルになるはずだったが、資金が不足しホテルに売り払ったため)Elite Hotel Carolina Towerというホテルになっています。ホテルの隣には、2020年に開院する眼科病院(St Eriks Ögonsjukhusが移転します)が建設中。

 

 

地図中央を通るSolnavägenで東西に分かれていますが、西側が研究所、東側が病院です。

写真左手が研究所、右手が病院。双方を結ぶスカイウェイができました。

週末にオンコールではなかったのですが、開腹の緊急手術の助っ人を頼まれて、車で出勤した時の眺め。因みに、20時半頃ですが、まだ明るいです。

病院から研究所を眺めると、いくつもスカイウェイが見えて圧巻。

 

ヘリポートは二つ。

 

ベッド数は現在よりかなり減って760床程度になるようですが、主に緊急疾患と癌に特化した病院となるため、現在よりも急性期で重症の患者さんが増えることになると思われます。救急外来は、今までドロップインを受け入れていましたが、基本的に、救急車やヘリコプターで搬送される患者さん、カロリンスカにかかりつけで亜急性期であると考えられる患者さん、紹介状を持った重症患者さんに限り受診できることになります。

 

これまでに小児や胸部外科はすでに引っ越しを済ませているのですが、残りの部門に関しても、今週、主に外来部門が引っ越しをします。

 

泌尿器科という診療科はなくなり、7つの部門のうちの一つである、Tema Cancer(癌部門)の中の、骨盤内癌というグループに所属することになります。ここでは、腫瘍科、下部消化器外科、婦人科と一緒になり、私は膀胱癌チームなのですが、新しいボスは腫瘍科の女医さんになりました。これで、泌尿器科の女性差別の歴史が変わるといいなあと思っているのですが、早々に女性差別をする男性グループと戦闘態勢に入ることになってしまいました。ある意味、日本よりタチが悪いです。女性差別の歴史のおかげで、大手術を手掛ける泌尿器科領域の女性外科医は私だけなので、新しい女性ボスができたことは百人力で、さらに、女性差別の事実を早くも認識してくれたのは喜ばしいことです。そんな事情で、波乱づくめの新病棟での勤務ですが、同時に、おそらく世界一の設備を備えた新病院のスタートを経験できることは、刺激的なことです。手術部門、病棟は秋に引っ越し予定です。先週、イントロダクションのコースを新病院で受けたので、この次に院内を少しご紹介しようと思います。

謹賀新年 Gott Nytt År!

あけましておめでとうございます。

スウェーデンは2日が仕事初めでした。

昨年は夫が死にそうになるなど、大変苦しい一年でした。今年は少しいいことがあればいいなあと思います。

患者さんに世界でも第一流の医療を提供するための努力を続けることが仕事人としての目標であります。そのためには、やはり、常に新しいことを目指す必要があります。アカデミックな場所にいることは必要不可欠であり、だからこそ臨床家の立場で研究を続けることができます。多くの医師が学位を目標として研究をしていますが、学位の後も研究を続けることには大きな意義があります。臨床家の視点から仮説を立てるということは非常に大切なのです。私が関わっているような基礎研究においては、研究結果が臨床応用されるまでには時間がかかります。それでも、それがなければ次のステップがない訳です。さらに、臨床をするときの頭の使い方と、研究をするときとでは、大きな差があります。双方をすることにより、臨床家としても研究者としても、より柔軟かつ創造性のあるアイデアが生まれると感じています。

死に近かった夫が回復の兆しを見せてから、神様が私たちに下さったプレゼント。

Nature Biomedical Engineeringの2017年10月号に夫がlast authorで私も共著者である論文がアクセプトされましたが、なんと論文の図表がフロントカバーに採用されました。光栄なことです。

 

フロントカバーになったのは、私が臨床医として治療している膀胱癌の患者さんからの切除検体をすぐに研究室に運び、様々なマーカーを標識して3D画像としたものです。臨床医として常々、「内視鏡的に切除した膀胱癌の深達度がときにunderstagingである危険がある」ということを感じており、そうであった場合、表在性であるとしてBCG膀胱注入療法などを選択し、膀胱全摘のタイミングを逃してしまうことがあるため、より確実な診断方法の発見を望んでいました。この論文では、我々の新しい病理画像診断が、既存の病理診断を凌駕する可能性があるとしたのですが、その研究結果が認められ論文がアクセプトされました。

その後、反響も大きく、カロリンスカ研究所のプレスリリースに取り上げていただいたり、スウェーデンの癌基金(Cancer Fonden)などにも記事にしていただきました。

Nature Biomedical Engineeringでも、「Behind the paper』という別稿に、夫が論文が出るに至る歴史について書いています。そもそも、夫との出会いは共同研究者としてであり、今では、子供達の親として、また、共同研究者として、まさに、人生における同志であります。

 

プライベートでは、双子も5歳半となり、人間としても成長してきています。今年も単発的な更新になるかもしれませんが、臨床医として、研究者として、母として、(妻として、プライオリテイーが低くて夫よごめん)公私共々頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

Job: Förskolan Skorpan 2017-2018
Group: Groddarna

ノーベル医学・生理学賞2017


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