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一年前は胚盤胞だった

2011年12月8日。一年前の今日のことである。忘れもしないその日、私は友人のクリニックにいた。そこは、クリスマスを控えた極寒のサンクト・ペテルスブルグ。

これらの有名な教会にも程近い市内にあるクリニック。ここで、以前凍結し、液体窒素の中で眠っていた胚盤胞を2胚移植した。これは、受精5日目にあたる胚である。

(写真は、古賀クリニックHPより拝借)

(図は大谷クリニックHPより拝借)

もともと、リスクの高い双子の妊娠は望んでおらず、それまでは1胚ずつの移植であったのに、このときは、もはや諦めかけていて、「どの道、妊娠する訳はない。」と思っており、友人に勧められるまま、2胚移植することにした。それまでに15回ほどIVFを繰り返し、そのうち流産が2回で、それ以外はかすりもしなかったのである。しかし運命とは奇なるものである。あろうことか二つとも着床し、私は妊娠した。1年前、双子は受精後5日の胚盤胞で、細胞数、およそ70から100個。

 

今日の双子。口の周りをべたべたにしながら、離乳食を美味しそうに食べてくれる。

「わたし」はまだ上手に飲み込むことが出来ず、猫のようにスプーンから食べます。お目汚し、失礼!

「ぼく」は食べるのが上手。

1年前、こんな日がくることなど、予想だにしなかった。まさに感無量である。そして、生命の誕生は文字通り奇蹟。

度を過ぎたいたずらが引き起こした悲劇

イギリスのウィリアム王子妃キャサリンのご懐妊のニュースが流れてまだ日が浅いが、体調不良のために入院した病院で、とんでもない事件が起こった。

12月5日の朝5時半ごろ、 キャサリン妃の入院するKing Edward VII 病院に、エリザベス女王とチャールズ皇太子になりすました、オーストラリアのラジオ局2Day FMのDJであるMel Greig とMichael Christianからの電話が入る。

エリザベス女王を語ったMelは、電話を受けた看護師にキャサリンにつなぐように頼み、その看護師は、キャサリンの担当看護師へ電話を回した。そこで、Melはキャサリン妃の容態を訊ね、担当看護師は病状説明をしてしまう。

‘She’s sleeping at the moment and she has had an uneventful night and sleep is good for her. She’s been given some fluids to rehydrate her because she was quite dehydrated when she came in but she’s stable at the moment.’

‘She hasn’t had any retching with me since I’ve been on duty and she has been sleeping on and off.’

この事件に対し、患者、そしてよりにもよって、キャサリン妃の情報を漏らしてしまった病院は謝罪をし、キャサリン妃は無事6日に退院となった。

 

しかし、事件はこれで終わった訳ではなかった。

7日朝、いたずら電話を受け、担当看護師へ回した看護師Jacintha Saldanhaが自殺しているのが発見された。46歳の優秀なベテラン看護師で、2児の母であったそうだ。

ウィリアム王子夫妻は哀悼の意を表し、くだんのDJは謹慎処分となった。非常に喜ばしいはずのキャサリン妃のご懐妊が、このような悲劇で始まってしまったこと、そして、医療従事者としては大きな間違いを犯してしまった看護師が、死を選んでしまったこと、、、。まさに、悲劇としかいいようがない。

医療従事者には、守秘義務がある。スウェーデンでも勿論常識であり、患者さんが望めば、家族にも秘密にしなければならない。そんな場合は、カルテに、「sekretess」と記載されていて、それが明らかになるようになっている。カルテは電子カルテであるが、名前をカルテに記載したくない場合は、パーソナルナンバーだけ記載される。殺人未遂の被害者が入院したことがあったが、そんなときも名前を非表示にする。医療従事者が職務上関わる患者さん以外のカルテを閲覧することは禁じられており、必要があれば、誰が閲覧したのか調べることも可能である。私自身、妊娠中に何度か低所恐怖症のような症状に陥ったため、精神科を受診したが、その際に、自分のカルテを無関係に閲覧した人を検出できるようにしてもらった。守秘義務と言ってしまえばどの国でも同じだが、スウェーデンと日本とを比べると随分異なる点が多いかもしれない。守秘義務の立場から言えば、癌の告知を本人にしないという日本の古い慣習は、明らかに間違いである。スウェーデンでは、癌患者さんが、家族に自分が癌であることを言ってくれるなと言う場合もある。守秘義務については、かなり神経質であるため、ブログの中でときどき患者さんのことを話題にすることがあるが、そのときは、患者さんが特定できないように気を使っている。

ベテランの看護師が、なぜ常識からかけ離れたことをしてしまったのか。電話を取り次ぎ自殺してしまった看護師もそうだが、電話で病状を伝えた担当看護師も脇が甘すぎた。いたずら電話により、人が一人亡くなった、、。医療のプロフェッショナルとしては、やってはいけないミスだが、その対価が死とは、あまりに重すぎる。何ともいえない悲劇である。

各報道はこちらから。

山中先生のノーベル賞記念講演

今日、15時より、カロリンスカ研究所にて、ノーベル医学・生理学賞の記念講演がありました。

残念ながら、私は家で子守りをしなければならず、講演には行けませんでしたが、Live webcastでオンタイムで拝聴することができました。

映像からも、相当緊張なさっている様子が伝わってきましたが、ゆっくりとわかりやすく、いくつものジョークを交え、笑いを誘っていました。ノーベル賞発表の前日に、カロリンスカの学長と同席する機会があって、別れ際にウインクをされた気がしたこと、それがノーベル賞を意味するかのようなジョークもありましたが、投票は発表当日の朝にされるため、学長が前日に知っているはずはないのですが、何とも可愛らしい山中先生のジョークで始まりました。そして、良く知られているジョーク、「外科医として才能がないと悟って研究者に転向した」という逸話。

講演は3部構成で、最初は、大阪市立大学での大学院生時代と、サンフランシスコでのポスドク時代のお話。大阪では、血圧のコントロールについての研究だったため、ポスドク先も、心臓血管関係の研究所だったとか。しかし、そこで彼が作ったノックアウトマウスのお腹が大きくなり、テクニシャンから、「雄も含めて全てのマウスが妊娠した!」という報告を受けて調べたところ、肝臓癌を発症していたという発見から、心臓血管系の研究所であったのにもかかわらず、肝臓癌の研究をすることになったこと、そしてその遺伝子に関連する別の遺伝子が、肝臓癌の癌抑制因子であったことをつきとめます。この頃から、ES細胞に興味を持ったようですが、事情で日本へ帰国。その後PADに罹患したという話になります。PADとは山中先生の造語で、「Post America Depression」のことだそう。かなり落ち込んで、研究者をやめようとさえ思ったそうです。ところが、それまではES細胞といえばマウスに限られていましたが、人間のES細胞が作成され、その論文を読んで、再びサイエンスへの情熱が蘇ったと。そして、奈良先端研にPIのポジションを得たこともあって、PADから立ち直ったのだそうです。目指すプロジェクトは、胚から幹細胞を作るES細胞ではなくて、体細胞から幹細胞を作ることで、それに必要な因子を発見することでした。胚を用いると、どうしても倫理面の問題を避けて通ることは出来ないため、体細胞を用いたいという説明で、ジョージ・ブッシュとローマ法王が会談している写真が出て、ここでも笑いが聞こえました。幹細胞に関するスライドの中で、「不老不死、immortality」のところが、「immorality」となっていて、この間違いに触れたときは、聴衆は爆笑していました。

iPS細胞が、2006年の発見から、6年という短期間で受賞したのは、近い将来、再生医療として臨床応用が可能であるためで、どのような治療法に結びつくのかということでまとめたあと、謝辞がありました。謝辞の最後は、家族に対してでした。今回同行しているのは、夫人と医学生である二人の娘、そして、夫人の母上ということでした。山中先生ご自身の母上は同行せず、それは、「あなたの英語はひどいから行かない。」と理由からだと笑わせましたが、既に亡くなっている二人の父上、つまり、山中先生自身と、山中夫人の父上に対する謝辞もあり、お人柄が伺えるようでした。

講演の始まる2時間前には、すでに講堂の前には、講演を聴きたい人で100メートル以上の列が出来ていたそうで、今年の賞のインパクトの大きさを感じます。アルフレッド・ノーベルの没日であるNobeldagenは12月10日。もうすぐです。山中先生の前回2010年の渡瑞の際には、アイスランドの火山灰でスウェーデンに足止めをくった山中先生ですが、今回はこれ以上の大雪にならないことを願うばかりです。

 

将来は研究者か!?

「わたし」は山中先生の講演に釘付け!

大雪のストックホルム

今日のストックホルムは、一日中、吹雪いていました。

幸い、今日は出勤しない日。

朝9時過ぎのテラス。灯篭が雪に隠れつつあります。

午後1時ごろ。灯篭が雪に完全に埋もれそう。

 

そのうち、閉じ込められそうな勢い。

午後3時ごろ。向こうのアパートの窓に大きなアドベントの星の飾りが見えます。その下の方のアパートのバルコニーもライトアップ。

外の吹雪をよそに、家の中では双子とまったり。

ノーベル賞授賞式に参加のため、山中先生は昨晩ストックホルムに到着なさったそうですが、この吹雪の中、さぞ大変なことでしょう。

お風呂でbaby swim

「わたし」と「ぼく」はお風呂が大好き!

いつもは赤ちゃん用の小さな湯船で沐浴していますが、赤ちゃん用浮き輪を手に入れたので、大きな湯船でbaby swim。

 

大泣きするだろうという予想を裏切ってくれた、勇敢な「わたし」と「ぼく」。沐浴の際、スパルタ母がシャワーで顔面攻撃して、訓練したのが奏功?

「わたし」は静かにお湯の中で浮力を楽しみ、

「ぼく」は足をバタバタさせてみる。

笑みも見え、ますます調子に乗って舞い上がる母。

キューピーちゃんみたいになった、「ぼく」。

完全に母のおもちゃとなっています。

双子も楽しんでいるようですが、一番楽しいのは、母かもしれません。

以来、毎日のようにこうやって遊んでいます。上手に動画が撮れたら、ご報告します!

 

追記:

日本の小児科医のhej hej hej先生から、浮き輪についてのご注意をいただきました。

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会からの浮き輪の事故に関する報告書です。どうぞご一読ください。

ロボットチームのパーティー

11月のある火曜日の晩、教授宅で、ロボット手術に関わる医師のパーティーがありました。高級住宅街のある、ストックホルム市内に近い島の一軒家。バツイチの彼は、海の見える一軒家に一人住まい。彼のキッチンで、ロボットの名手である2人の男性外科医が料理の腕を振るうという、粋な演出です。その日は午前中で早々に職場から消えていった彼らが、市場への買出しから全て担当。

私が到着したときには、たいていの参加者が既に集まっており、ワインを片手に前菜をつまんでいるところでした。そんな中、シェフたちは、教授のお洒落なキッチンでお料理の真っ最中。

教授は手術の天才だけれど、料理の腕はどうなんでしょう?今日は食べるのみ。

キッチンにつながる食卓には、20人ほど着席できる長いテーブルが。その先には、海とストックホルム市内が一望できる大きな窓と、暖炉のある居間。暗いのが残念。

こちらが居間。大きな油絵が迫力。

準備ができたところで、全員着席。

教授の挨拶で会が始まります。

前菜は、ブロッコリーとアーモンド、トースト。かかっているオリーブオイルも、どこそこの由緒あるものだとか。

メインは、鹿肉のローストに、マッシュポテト。そして、とがったキャベツのクリーム煮にゴットランド産のトリュフをかけて贅沢に。

これは、トリュフの香りが効いて、とても美味しかったです。

会食の途中、何回か乾杯するのがスウェーデン式。

ゲストが食べている間も、シェフたちは台所で。

メインのあとには、数種類のチーズ。私はこれで退散しました。

水面下のいざこざなどどこ吹く風、和やかな会でした。

あっという間に5ヶ月

 

今日で双子は5ヶ月になりました。長かったような短かったような、、、。新米母さんの子育ても少しは板についてきたか、、、?しかし、殆ど諦めていた妊娠・出産だっただけに、いまだに、「これは現実か?」と思うことがあります。目を覚まして、双子がいなくなっていたとしても、夢だったと思えるような、、、、。

毎週月曜日は出勤していないので、双子と一緒にベッドの中で少しまったりと。眠っているところを起こしても、いつも双子はにっこり笑顔。愛しくて思わず涙が出そうになります。

今日はすっきり晴れて、窓の外はきりっと雪景色。樹氷が例えようのない美しさです。

それもそのはず、既に午前10時を回っているのに、外気は、、、。

 

何と、零下12度。そして室内の湿度は29%。これは、双子にも、そして、喘息持ちの私にも低すぎる湿度です。早速、加湿器をフル稼働させないと、、、。

 

双子は無邪気に、授乳用に使っているIKEAのキッチン用手ぬぐいと戯れています。

今日は、パパの絶品Beaf Bourguignonでお祝いしようね。

初めての離乳食

双子が生まれて4ヶ月を過ぎた頃、初めての離乳食を試してみました。出産予定日から数えるとまだ2ヶ月ですので、少し早いかとも思いましたが、そこは、どんぶり勘定の母ならではです。

「日本人ならコメ」と、心に固く誓っていた私の選択は、「おかゆ」。おかゆをすり鉢ですりました。

その後、おかゆに茹でたブロッコリーを混ぜて、バーミックスで。

「わたし」も「ぼく」も、変な顔をしながら、食べてくれました。口のまわりや、涎掛けがものすごいことになっていましたが、、、。

私の子育ては、初心者のくせに、かなり「おおらか」です。おおらかというと聞こえは良いですが、言ってみれば、「どんぶり勘定」。自分自身が医療者だと、「元気ならOK」。最悪、「生きていればOK」という感じになることも。これは、医師であるからだけではなく、双子であり、完璧に面倒をみることは不可能であるためかもしれません。一人だけなら、泣いていれば抱っこすることができますが、二人泣いていると、そうはいきません。優先順位を決めて、一人は放っておかなければならないことがたびたび。また、親が動揺すると、子供にはすぐそれが伝わりますので、動揺してはいけない、というより、動揺してもそれを悟られてはいけないと思います。手術のとき、大出血をして、術者が動揺する事態に陥っても、動揺しない訓練をすることは大切ですが、助手などに悟られないようにすることも必要です。そういった意味で、幸い私は相当訓練しているので、「わたし」と「ぼく」が揃っていかに叫ぼうとも、動揺しません。もっとも、動揺しなくて良いほど二人が健康であるからこそで、大変有難いことだと感謝しています。二人も、たくましく、良い意味で「どんぶり勘定」で育ってほしいと、母は願っています。

将来、お腹が空いたら、「梅干のおにぎり!」と叫んでくれるように、「和風」に調教(笑)する予定です。勿論、納豆も嫌とは言わせません!

哺乳瓶立て

最近のお買い物といったら、見事に双子用のものばかり。体重は元にもどりましたが、少しぽっこりしたお腹はなかなか引っ込みません。しかも、皮下の脂肪は、通称、「ビキニ切開」とも呼ばれる、Phannelstiel切開の手術創の頭側にとどまり、創より足側には移動しないために、何とも不恰好。という訳で、新しい洋服などを買うのは躊躇している、という理由も手伝って、ベビー用品ばかり購入。

赤ちゃん用品に関しては、いくつか好みのものがあって、そのうちにご紹介するつもりですが、今日は哺乳瓶立てについて。

何しろ、双子ですから、いろいろなものが数多く必要。哺乳瓶に関しても同様。初期には夜鳴きがひどかったため、なるべく空気を飲み込まないようなものを選ぼうとして、いくつものメーカーのものを試しました。そして、お気に入りは、PhilipsのAventと、Mamシリーズ。毎日使っているのは、Aventです。これは、空気抜きの弁が2つあるのが特徴です。

哺乳瓶立ては、当初市販の哺乳瓶専用のものを使っていたのですが、なんとIKEAにいいものがありました!

こちらで、何と、59クローネで買えます。

実際に、このように使っています。私は白いかごの部分は外しています。

使いやすくて、自信を持ってお勧めできます!

冬将軍、雪とともに来る

今日は朝から雪が激しく降っています。

朝、7時20分にまだ暗い中、出勤。病院の裏庭は真っ白。

金曜日の今日は半日勤務。仕事を早々に終わらせて家路につきたいところですが、患者さん相手ですと、なかなか予定通りにはいきません。

家のテラスには、こんもりと雪が積もっていました。雪帽子を被った和風の灯篭は、とても風情があります。

外気温は当然のことながら、零下です。本格的に冬将軍がストックホルムにやってきました。今までの冬と異なり、双子と過ごす初めての冬は、暗さも寒さも気にならず、ほっこりします。そんな普通のことが、とても幸せ。


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