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命名軸

今日は、年納めの膀胱全摘がありました。膀胱全摘は3年ぶりだという若い先生と、学生さんが助手だったので、何だか一人で手術をしているような感じでした。自分の手術では、助手にも何かやらせてあげるのが私のポリシーなのですが、実は、自分で手術するより、指導しながらやってもらう方がよほど難しい。しかも、学生さんに質問したり、臓器を触らせてあげたりすると、余計に時間がかかります。しかし、それも大学病院で働く医師の仕事ですし、学んでくれた感触を得ることができると、それは喜びでもあります。今日の学生さんも、「Det var värdigt lärorik. (とても勉強になりました。)」と言ってくれたので、頑張った甲斐がありました。出血量も最小に抑えることができ、手術はうまくいきました。今年は出産のため、術者としての手術件数は少なかったけれど、「終わりよければ全てよし。」といったところ。

 

ところで、記事のタイトルは、「命名軸」でした。

友人の書家の水香さんが、双子のために命名軸を作成してくれました。とても立派に素敵に出来上がりました。ありがとう!!!

同僚からの嬉しいメッセージと抱負

先日、職場で泣いたことを書きましたが、これまでに職場で涙を流したのは2回。そのうち1回が人前でした。最初は、医師免許を取る前の臨床研修で、そのときの指導者の話す「スコンスカ」(スコーネ訛りのスウェーデン語)が理解できなかったところ、彼が英語に切り替えて話し出したとき、物陰で悔し泣き。今回は、いろいろな事情で、これまで自分がやりたい手術の術者ができなかった、学びたい手術を学べなかったということに耐え切れず。こうなったのは、誰かが私に意地悪をしようとしてのことではなく、たまたま私が運の悪いポジションにはまってしまったからなのですが、特に、ロボット手術に関しては、今まで4年近くで300例ほど助手をして辛抱し、順番が回ってくるのを待っていましたが、もう限界でした。

スウェーデンは男女平等といいますが、実際はやはり男性が有利であることが多いというのが私の感想です。少なくとも、外科領域ではそうです。男性と同じように、大手術を手掛ける女医さんは、大抵マッチョ。泌尿器科の中で、膀胱全摘やロボット手術を手掛ける女性は私だけ。同僚の女医さんたちは、それゆえ、私のことをタフだと言います。私は、私の興味のあることをしたいだけで、何も好んで長時間の大手術をしたい訳ではありませんし、男性と競争したい訳でもありません。しかし、男性は男性でかたまっていて、どうしても、男性に有利にことは運びます。それは、他の女医さんたちも常に感じていることだそうです。移民かそうでないかという線引きよりも、男性か女性かということで待遇が変わることの方が多いように思います。

最近、前立腺チームのチーフになったM先生は、とても好感の持てる先生。先日、彼とロボット手術をする機会があって、初めてロボット手術をほぼ通しでやらせてもらうことができました。初めてにしてはまずまずの出来だったのですが、その日のうちに、何人かの先生からメッセージが届きました。

Hej ! Jag hörde rykten idag att du opererade en helt perfekt RARP. Karolinskas första kvinnliga robotkirurg!! ETT JÄTTE-GRATTIS!! (今日、完璧なロボット前立腺全摘をやったという噂を聞いたよ。カロリンスカで初めての女性ロボット外科医!本当におめでとう!!)

また、M先生が、「世の中は不公平だ。自分が少し言えば、言ったとおりに手が動くんだから。でも、だから指導していて楽しい。」と、他のロボットチームの先生に言っていたということを聞きました。

「う・れ・し・い!!!」

こんなことを記事にでもして、元気を出して、来年につなげたい!

女性である私は男性にはなれないけれど(というより、どんなときも女性らしさを失わないでいたい)、何とか、男性と共生しながら、男性に負けないように頑張りたい。

折りしも、麻酔科の女医さんがこんなことを言ってくれました。

「先生は、とっても女性らしいのに、男性のようにタフな手術をして、すごいねー。先生と一緒に仕事をするのは楽しいって、手術室のスタッフが言っているわよ。」

こんな言葉には、思わず、涙腺が緩みそうになります。

母親業と外科医の両立は大変だけれど、これからも踏ん張ってゆきます!男性優位にも負けないぞ~。

職場のミーティング

今の小ボスは私と同年代なのですが、ボスになるには親切過ぎるともいわれています。職場での私の置かれた辛い状況も理解してくれてはいるのですが、何しろ、「小」ボスで、上にさらにボスがいるため、なかなか思うとおりにはなりません。数日前に、思い余って「もうやめたい」と直訴し、大泣きしてしまいましたが、今回のミーティングは、職場での労働環境を改善し、より良い成果を上げていくためのもの。病院でミーティングをすると、各方面から呼ばれて集中できないため、病院外で。

朝7時半に病院のジムに集合し、皆でトレーニングをしたあと、タクシーで街中のホテルへ。今回は、老舗のFrej Hotel。朝ごはんを食べてから、話し合い。途中にお決まりのFIKAタイムをはさんで午前の部終了。ランチは、ホテルに接する人気レストラン、Belgobaren。私はサーモンのグリルにサルサ・ベルデとバルサミコが添えてあるものを選びましたが、美味しかったです。

テーブルの上には大きなお皿。所謂、godis(あめやグミなど)が大盛りに。「危険だ」と言いながらも、皆、手が伸びます。

和やかな雰囲気で、かつ、突っ込んだ話ができて有意義でした。会の後、再びBelgobarenでビールをという企画でしたが、私は双子が待っているので、雪の中、急いで帰宅。

ノーベル賞授賞式

昨日、12月10日は、Nobel Dagen。ノーベル賞授賞式、および、晩餐会が行われました。

今年は、日本のホープ、山中先生が医学・生理学賞を受賞なさったということもあり、コンサートホールで行われた授賞式に行って参りました。

 

事前に届く、バーコード入りの招待状と、IDが必要。ドレスコードは正装。

幸い、昨日は暖かく、3度くらいの気温で助かりました。会場であるコンサートホールに早めに到着したため、扉が開くまで少し待ちました。普段は屋外市場で賑わうこの広場も、VIPの駐車場や、タクシーやリムジンで到着するゲストの車寄せのために、警官の警備のもと空になっています。お手伝いの学生さんたちが待ち構えています。

向かって右手前にロイヤル・ファミリー、左手前の赤い椅子は、ノーベル賞受賞者用。

腰の悪いシルビア王妃の椅子には、クッションが。

中央には、スウェーデンの国旗と、平和賞を担当しているノルウエーの国旗がデザインされた、今年の年号とノーベルの肖像。

山中先生のお嬢様方は、早めにご着席。華やかな振袖がとても素敵です。お二人とも医学生とか。

山中先生の奥様はオレンジ色の素敵なお着物です。SVT(スウェーデン国営テレビ)は、この日のベストドレッサーは山中夫人と報道していました。とてもエレガントでもあると。山中夫人ご自身、皮膚科医だそうです。

当然のことながら、殆ど満席。

去年は欠席だったMadeleine王女も今年は出席。

個人的にはシルビア王妃のドレスが素敵だと思いました。

去年は妊娠中だったビクトリア。グリーンのドレスにあわせて、エメラルドのネックレス。彼女のドレスも素敵。

物理学賞、化学賞、医学・生理学賞、文学賞、経済学賞の順に、国王からメダルが授与されます。

山中先生と医学・生理学賞を共同受賞したDr Gurdonは、名門Eaton校に学びますが、15歳のとき、生物の先生にこき下ろされたことは、有名な逸話です(記事)。その先生はおそらくご存命でないのは、せめてもの幸い?

山中先生が国王からメダルを。

私にとって、医学・生理学賞、そして化学賞は馴染みが深いですが、今年は、化学賞も、「Gタンパク受容体」で、これは、医学・生理学賞に選ばれてもおかしくないほど、すでに臨床応用もされている、素晴らしい発見です。

 

 

今年はオーケストラのみの演奏でしたが、音楽も素晴しく、晴れの一時を堪能しました。

 

最後にこっそり。

前回帰国したときに、妹とお揃いで買った、お気に入りのミンクのボレロをプレーンな黒のロングドレスに合わせました。

 

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一年前は胚盤胞だった

2011年12月8日。一年前の今日のことである。忘れもしないその日、私は友人のクリニックにいた。そこは、クリスマスを控えた極寒のサンクト・ペテルスブルグ。

これらの有名な教会にも程近い市内にあるクリニック。ここで、以前凍結し、液体窒素の中で眠っていた胚盤胞を2胚移植した。これは、受精5日目にあたる胚である。

(写真は、古賀クリニックHPより拝借)

(図は大谷クリニックHPより拝借)

もともと、リスクの高い双子の妊娠は望んでおらず、それまでは1胚ずつの移植であったのに、このときは、もはや諦めかけていて、「どの道、妊娠する訳はない。」と思っており、友人に勧められるまま、2胚移植することにした。それまでに15回ほどIVFを繰り返し、そのうち流産が2回で、それ以外はかすりもしなかったのである。しかし運命とは奇なるものである。あろうことか二つとも着床し、私は妊娠した。1年前、双子は受精後5日の胚盤胞で、細胞数、およそ70から100個。

 

今日の双子。口の周りをべたべたにしながら、離乳食を美味しそうに食べてくれる。

「わたし」はまだ上手に飲み込むことが出来ず、猫のようにスプーンから食べます。お目汚し、失礼!

「ぼく」は食べるのが上手。

1年前、こんな日がくることなど、予想だにしなかった。まさに感無量である。そして、生命の誕生は文字通り奇蹟。

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度を過ぎたいたずらが引き起こした悲劇

イギリスのウィリアム王子妃キャサリンのご懐妊のニュースが流れてまだ日が浅いが、体調不良のために入院した病院で、とんでもない事件が起こった。

12月5日の朝5時半ごろ、 キャサリン妃の入院するKing Edward VII 病院に、エリザベス女王とチャールズ皇太子になりすました、オーストラリアのラジオ局2Day FMのDJであるMel Greig とMichael Christianからの電話が入る。

エリザベス女王を語ったMelは、電話を受けた看護師にキャサリンにつなぐように頼み、その看護師は、キャサリンの担当看護師へ電話を回した。そこで、Melはキャサリン妃の容態を訊ね、担当看護師は病状説明をしてしまう。

‘She’s sleeping at the moment and she has had an uneventful night and sleep is good for her. She’s been given some fluids to rehydrate her because she was quite dehydrated when she came in but she’s stable at the moment.’

‘She hasn’t . . . → Read More: 度を過ぎたいたずらが引き起こした悲劇

山中先生のノーベル賞記念講演

今日、15時より、カロリンスカ研究所にて、ノーベル医学・生理学賞の記念講演がありました。

残念ながら、私は家で子守りをしなければならず、講演には行けませんでしたが、Live webcastでオンタイムで拝聴することができました。

映像からも、相当緊張なさっている様子が伝わってきましたが、ゆっくりとわかりやすく、いくつものジョークを交え、笑いを誘っていました。ノーベル賞発表の前日に、カロリンスカの学長と同席する機会があって、別れ際にウインクをされた気がしたこと、それがノーベル賞を意味するかのようなジョークもありましたが、投票は発表当日の朝にされるため、学長が前日に知っているはずはないのですが、何とも可愛らしい山中先生のジョークで始まりました。そして、良く知られているジョーク、「外科医として才能がないと悟って研究者に転向した」という逸話。

講演は3部構成で、最初は、大阪市立大学での大学院生時代と、サンフランシスコでのポスドク時代のお話。大阪では、血圧のコントロールについての研究だったため、ポスドク先も、心臓血管関係の研究所だったとか。しかし、そこで彼が作ったノックアウトマウスのお腹が大きくなり、テクニシャンから、「雄も含めて全てのマウスが妊娠した!」という報告を受けて調べたところ、肝臓癌を発症していたという発見から、心臓血管系の研究所であったのにもかかわらず、肝臓癌の研究をすることになったこと、そしてその遺伝子に関連する別の遺伝子が、肝臓癌の癌抑制因子であったことをつきとめます。この頃から、ES細胞に興味を持ったようですが、事情で日本へ帰国。その後PADに罹患したという話になります。PADとは山中先生の造語で、「Post America Depression」のことだそう。かなり落ち込んで、研究者をやめようとさえ思ったそうです。ところが、それまではES細胞といえばマウスに限られていましたが、人間のES細胞が作成され、その論文を読んで、再びサイエンスへの情熱が蘇ったと。そして、奈良先端研にPIのポジションを得たこともあって、PADから立ち直ったのだそうです。目指すプロジェクトは、胚から幹細胞を作るES細胞ではなくて、体細胞から幹細胞を作ることで、それに必要な因子を発見することでした。胚を用いると、どうしても倫理面の問題を避けて通ることは出来ないため、体細胞を用いたいという説明で、ジョージ・ブッシュとローマ法王が会談している写真が出て、ここでも笑いが聞こえました。幹細胞に関するスライドの中で、「不老不死、immortality」のところが、「immorality」となっていて、この間違いに触れたときは、聴衆は爆笑していました。

iPS細胞が、2006年の発見から、6年という短期間で受賞したのは、近い将来、再生医療として臨床応用が可能であるためで、どのような治療法に結びつくのかということでまとめたあと、謝辞がありました。謝辞の最後は、家族に対してでした。今回同行しているのは、夫人と医学生である二人の娘、そして、夫人の母上ということでした。山中先生ご自身の母上は同行せず、それは、「あなたの英語はひどいから行かない。」と理由からだと笑わせましたが、既に亡くなっている二人の父上、つまり、山中先生自身と、山中夫人の父上に対する謝辞もあり、お人柄が伺えるようでした。

講演の始まる2時間前には、すでに講堂の前には、講演を聴きたい人で100メートル以上の列が出来ていたそうで、今年の賞のインパクトの大きさを感じます。アルフレッド・ノーベルの没日であるNobeldagenは12月10日。もうすぐです。山中先生の前回2010年の渡瑞の際には、アイスランドの火山灰でスウェーデンに足止めをくった山中先生ですが、今回はこれ以上の大雪にならないことを願うばかりです。

 

将来は研究者か!?

「わたし」は山中先生の講演に釘付け!

大雪のストックホルム

今日のストックホルムは、一日中、吹雪いていました。

幸い、今日は出勤しない日。

朝9時過ぎのテラス。灯篭が雪に隠れつつあります。

午後1時ごろ。灯篭が雪に完全に埋もれそう。

 

そのうち、閉じ込められそうな勢い。

午後3時ごろ。向こうのアパートの窓に大きなアドベントの星の飾りが見えます。その下の方のアパートのバルコニーもライトアップ。

外の吹雪をよそに、家の中では双子とまったり。

ノーベル賞授賞式に参加のため、山中先生は昨晩ストックホルムに到着なさったそうですが、この吹雪の中、さぞ大変なことでしょう。

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お風呂でbaby swim

「わたし」と「ぼく」はお風呂が大好き!

いつもは赤ちゃん用の小さな湯船で沐浴していますが、赤ちゃん用浮き輪を手に入れたので、大きな湯船でbaby swim。

 

大泣きするだろうという予想を裏切ってくれた、勇敢な「わたし」と「ぼく」。沐浴の際、スパルタ母がシャワーで顔面攻撃して、訓練したのが奏功?

「わたし」は静かにお湯の中で浮力を楽しみ、

「ぼく」は足をバタバタさせてみる。

笑みも見え、ますます調子に乗って舞い上がる母。

キューピーちゃんみたいになった、「ぼく」。

完全に母のおもちゃとなっています。

双子も楽しんでいるようですが、一番楽しいのは、母かもしれません。

以来、毎日のようにこうやって遊んでいます。上手に動画が撮れたら、ご報告します!

 

追記:

日本の小児科医のhej hej hej先生から、浮き輪についてのご注意をいただきました。

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会からの浮き輪の事故に関する報告書です。どうぞご一読ください。

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ロボットチームのパーティー

11月のある火曜日の晩、教授宅で、ロボット手術に関わる医師のパーティーがありました。高級住宅街のある、ストックホルム市内に近い島の一軒家。バツイチの彼は、海の見える一軒家に一人住まい。彼のキッチンで、ロボットの名手である2人の男性外科医が料理の腕を振るうという、粋な演出です。その日は午前中で早々に職場から消えていった彼らが、市場への買出しから全て担当。

私が到着したときには、たいていの参加者が既に集まっており、ワインを片手に前菜をつまんでいるところでした。そんな中、シェフたちは、教授のお洒落なキッチンでお料理の真っ最中。

教授は手術の天才だけれど、料理の腕はどうなんでしょう?今日は食べるのみ。

キッチンにつながる食卓には、20人ほど着席できる長いテーブルが。その先には、海とストックホルム市内が一望できる大きな窓と、暖炉のある居間。暗いのが残念。

こちらが居間。大きな油絵が迫力。

準備ができたところで、全員着席。

教授の挨拶で会が始まります。

前菜は、ブロッコリーとアーモンド、トースト。かかっているオリーブオイルも、どこそこの由緒あるものだとか。

メインは、鹿肉のローストに、マッシュポテト。そして、とがったキャベツのクリーム煮にゴットランド産のトリュフをかけて贅沢に。

これは、トリュフの香りが効いて、とても美味しかったです。

会食の途中、何回か乾杯するのがスウェーデン式。

ゲストが食べている間も、シェフたちは台所で。

メインのあとには、数種類のチーズ。私はこれで退散しました。

水面下のいざこざなどどこ吹く風、和やかな会でした。

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