Visits

Online: 1
Today: 1899
Week: 14307
Overall: 3310032

Flag counter

free counters

65歳以上の国会議員はなんと2%以下!

与野党勢力が拮抗し勝敗が付かなかった先日の総選挙。とりあえず、現職の総理大臣は辞任する流れになってきたようですが。

スウェーデンの国会議員は349人。その中で65歳以上の議員は2%以下、たったの6人という、日本人にとってはショッキングなニュース。18歳から29歳までの若い議員は25名。それぞれの世代から満遍なく選ばれるべきだが、若い議員は経験が少ないので、65歳以上の高齢の議員が増えるべきだという、最高齢85歳の女性議員の意見が載っていた記事でした。

遅きに失す?

とうとう、というより、やっと、カロリンスカ大学病院の院長が辞表を出しました(ニュース)。オランダ人のMelvin Samson氏です。

巨額の予算をボストンコンサルティングに払い、多くの医師が退職し、スキャンダルには事欠くことのなかった、新病院プロジェクト。この度、以前の同僚であるオランダ人を雇用し高額な給料を払っていたということがニュースになりましたが、それがトドメとなったようです。

遅きに失した感はあります。病棟とオペ室の引越しを1ヶ月先に控え、ホッとしたというか複雑な気持ちです。

病院の教会

スウェーデンの病院には教会があります。

カロリンスカ大学病院の新病棟にある教会は一度見た方が良いと言われていたため、見学に行ってきました。

教会とは言っても、どんな宗教にも対応できるようになっています。

スウェーデンの教会のシンボルであるガラスのオブジェ。Faith(信仰)、hope(希望)、love(愛)を表現しているのだそうです。また、3つのロウソクは、患者、家族、そしてスタッフを表しているとか。

瞑想ができる部屋もあります。

祈りの前に体を浄める習慣のある宗教の人用の浄めのできる部屋。

入り口のところには、木のオブジェがおいてあり、訪問者がそれぞれの想いを葉の形の紙に書いて木に掛けたり、祈りのノートに綴ることができるようになっています。

この時、子供を失った母親のメッセージが目につきました。子供を失っても生きて行ける力が欲しいと書いてありました。どこの誰かはわからないけれど、辛い想いを共有することで癒されることもあると思います。

日本の病院には霊安室がありますが、霊安室は、病院で亡くなられた方を一時的に安置し、医療従事者と家族とが焼香をする場となっています。

スウェーデンの病院にはそのような場所はありません。この教会は生きている人のためのものなのです。病院の教会ですから、それは、患者さん自身であったり、患者さんの家族であったりします。予後の厳しい病気の告知を受けたり、事故など突然の受傷という状況にも対応するため、24時間の対応がなされています。結婚式が行われることもあるそうです。

スウェーデンという国では、人間のバックグラウンドにかかわらず、平等に対応しようという姿勢があちこちにみられます。誰でもいつでも訪れることができる病院の教会。ここで救われる人は少なくないのではないでしょうか。

職場での確執の背景

膠着状態の職場です。

そもそも、テーマ骨盤癌という全く新しい部門に統合される前の職場は、30年近くに渡り、1人のスター教授が実権を握っていました。スウェーデンでは、教授がボスを兼任することもありますが、必ずしもそうであるとも限りません。初期は教授がボスを兼任していましたが、ボスというポジションは会議などの臨床や研究とは無関係の雑用が多いため、自分の大学院生だった女性医師にボスのポジションを丸投げしました。そうすることにより、雑用から解放され、しかも、自分の意思のままに動くボスを据えることにより、科をコントロールすることができました。そして、ロボット手術という新しい分野を開拓することにより、世界的なスター外科医となった訳ですが、彼は女性を育てようとはしませんでした。完全に自分の意のままに動く男性ばかりをロボット手術チームに集めたのです。

 

女性医師は、そういう事情で、科の中では花形の前立腺癌や膀胱癌というサブスペシャリテイーに入ってくることができませんでした。私がその中に入ることができたのは、日本で既にトレーニングを受け、独り立ちした外科医であったからと、教授と研究上でコラボレーションをしていたというバックグラウンドがあったからです。

 

カロリンスカ大学病院の中でも、外科部門(婦人科と乳腺は除く)は女性は迫害されており、その中でも脳神経外科と泌尿器科は特に悪名が高い部門です。泌尿器科の男尊女卑の長い歴史の中で、女性医師は花形部門ではない神経因性膀胱、尿失禁などの良性疾患を担当せざるをえませんでした。そして、長きに渡り、独裁者に反抗しようという強者もいなかったのです。

 

私もその流れの中で、2008年にスウェーデンの医師免許を取得してから5年近く、300例以上の前立腺癌や膀胱癌のロボット手術の助手をしました。当初は、50例助手をすれば、コンソールに座っても良いと言われていました。50例、100例、200例、いつになってもコンソールに座らせてもらえませんでした。同時に、後からやってきた男性医師が次々と私を追い越して行きました。科のミーテイングで泣いて訴えたこともあります。それでも、多く助手をすればするほど、コンソールに座り始めてからのラーニングカーブは急峻であろうと信じてひたすら助手として耐えました。2011年に双子を妊娠し、肺塞栓、肺炎疑いで入院したり、手術室で失神したりしたこともありながら、2012年初夏に31週で破水する前日まで助手を務め続け、また、勤務が終わって手術室が空になってから、(当時はロボットのシミュレーターがなかったため)自分で手術用の箱を作り、ロボットのアームに器具をつけて、運針の練習をしたりしました。

 

未熟児で生まれた双子は母乳を吸う力が弱く、私自身の母乳の出が悪かったため、どうしても経管栄養が主体となっていました。そのうち、経管栄養を双子が嫌がり始めたとき、胃管を抜去するなら母乳育児を諦めなければならない状況に追い込まれました。苦渋の選択で胃管を抜去する決断をし、そして育児休暇を3ヶ月で切り上げて手術に復帰しました。そして2013年に念願の術者となることができ、早々に一人前の術者となりました。

 

喜びも束の間、さらに辛い道のりが続くことになります。もともと、膀胱癌をサブスペシャリテイーとしていたため、次の目標は、ロボットによる膀胱全摘と完全胎腔内尿路変向のトレーニングをすることでした。年間約120例程度の症例がありますが、当初は、術者が三人おり、1人あたり30−40例の年間症例を確保したいからという理由で術者となることを拒否されました。その後、イギリスからフェローがやってきましたが、そのフェローが教授の手足となって働くため、教授のお気に入りとなりました。しかし、彼は臨床医としては全く役に立たないどころか、医療ミスばかり冒す危険な輩でした。それでも、教授は彼をコンソールに座らせたため、私も執刀したいと懇願しました。勿論、無駄でした。教授の下で最もシニアな外科医がいますが、彼に相談したところ、「自分の妻は外科医だが、お前よりずっと不遇な思いをしている。お前は自分の境遇に満足すべきだ。」と言ってきました。彼はイスラム教徒です。当時はそのことを気にも止めなかったし、イスラム教徒のことを全く理解できていませんでした。

 

新病院になるにあたって、各部門が再編成され、膀胱癌グループのボスは腫瘍科のドクター、さらにその上のボスは婦人科のドクターという構成になりました。教授は、イギリス人のフェローを雇用することを画策していたのですが、度重なる医療ミスもあり、数年間のバトルの末、雇用に漕ぎ着けることができませんでした。怒り狂った教授は、今後は膀胱癌の手術はしないと宣言。そこから執行部と教授プラス私以外の膀胱癌外科医チームの確執が始まりました。時期を前後して、教授はアメリカの有名病院にヘッドハンテイングされたため、アメリカで75%働くということになりました。結局、膀胱全摘を行う術者は2名しかいないため、執行部は新しい術者が必要だという判断をします。順序としても、スキルとしても私が術者になるのが当然なのですが、そうは問屋が卸しませんでした。私よりも10年下の医者、しかも、経験値では20年は差がある男性の医者に、2名の術者はこっそりと教え始めたのです。そこで、会議が招集されました。会議では、ボス2人とメンバーで話し合いがされたのですが、全く埒があきませんでした。ボスが、「どうして彼女を入れないのか」と聞いても、納得のいく答えは得られません。しかし、このゴタゴタの中から、何が問題なのかが少しずつ明らかになってきたのでした。

 

「男性陣が、競争相手となるような女性を排除しようとする」行動は、スウェーデンだけでは無く、日本でも見られました。排除の対象は、「競争相手となる女性」であり、研修医やまだ駆け出しの専門医程度の女性医師は脅威とはならないため、排除の対象にはなりません。また、男性が徒党を組むやり方も、国を問わないと思います。スウェーデンでの新しい発見は、一部のイスラム教圏出身者の脊髄に染み付いた「男尊女卑」という価値観です。頭や体を隠す衣服が社会的問題になっているのは、ヨーロッパの国では新しいことではありませんが、それを、「宗教の自由は保障されるべきだ。」と言う大義名分で正当化しようとしているけれど、実は男尊女卑の実行に他なりません。コーランでは、「女性は男性の性欲を煽ってはいけない」とか、「夫以外には体を見せてはいけない」という理由で、頭や体を隠さなければならないということになっているようですが、それは完全なる男性女卑です。実際、しっかりとした職業を持ち、自立したイスラム教圏出身の女性で、ヒジャブやニカブなどを身に纏っている人をほとんど見たことはありません。くだんの男性医師には息子がいるのですが、「息子はスウェーデン人女性とは絶対に結婚させない。(イスラム教の女性と結婚させる。)」と明言しています。医師という職業を持つ人間でさえ、スウェーデンに適応していると見せかけて、内面は全く適応していないのです。勿論、そうでないイスラム教圏出身者もいます。結婚相手に非イスラム教信者を選んでいる人も沢山いますし、そういう人は思想的、文化的に適応している人たちであると考えられます。

 

スウェーデンで移民問題が無視できないほど大きくなり、移民のトラブルに疲れた人たちが今回の総選挙で極右政党、スウェーデン民主党に投票し、スウェーデン民主党は大きく支持率を伸ばしました。移民の多くがイスラム教圏出身であり、いつか取り上げますが、父親が娘を殺すなどの事件はまず、イスラム教の家族で起こります。職場では膀胱癌チームの男性医師3名以外はボスと私の味方なので、医師、コメデイカルなど様々な人が自身の見解を話してくれます。複数の人が、イスラム教における男尊女卑が原因だと分析するのは、私にとっては非常に大きな驚きでした。日本における、「おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」に象徴されるような古典的な男尊女卑は可愛いものです。イスラムの文化が絡む男尊女卑は、ものすごく根が深く恐ろしい。そんな恐ろしい男尊女卑が渦巻く職場の確執に巻き込まれてしまった自分の運命を呪うしかないのでしょうか。

ダンボールハウス

着々と建設が進む新カロリンスカ病院とその周辺。周辺地域は、隣接する公園Hagaparkenの名前を取って、Hagastadenと呼ばれます。Hagaparkenには皇太子ビクトリア王女家族が住む居城もあります。Hagastadenから新カロリンスカ病院を望む。左手が新病院、真ん中に病院前にあるホテル、右手に2020年に完成する眼科病院が見えます。現在は眼科は市中に病院があり、カロリンスカ病院には眼科がありません。

Hagastadenのランドマークとして建てられているTorstornという高層分譲マンション。

子供達は、この建物をダンボールハウスと呼んでいます。確かに、ダンボール箱を組み合わせたみたいに見えます。可愛いネーミングではありますが、そのお値段は可愛くありません。小さめ50平米でも5百万クローネ以上します。最も高額な物件は3千万クローネくらいだったと思います。

ほぼ完成していますが、なかなか個性的な建物になりました。古い町並みともうまくマッチしている気もします。

 

スウェーデン総選挙2018

9月9日は4年毎にあるスウェーデンの総選挙です。

スウェーデンには、幾つもの支持政党調査機関がありますが、そのうちの一つが出した、選挙2週間前の有権者の支持政党についてのある集計結果。

何と極右政党のスウェーデン民主党が最大政党になるという、、、。

やはり、これまでの移民政策に対する不満が大きくなっているんでしょう。あまり関係のない私でさえ、病院で多くの移民(特に社会問題となっているイスラム系移民)に会う中で、医療分野における移民問題を考えてしまうことが度々。何十年スウェーデンに住んでいてもスウェーデン語が話せず、(患者負担無料で雇える)通訳をつける人、働けるのに専業主婦をしていたり、子供を多く産んで子供手当てで暮らしている女性たち、、、。スウェーデンでは移民、非移民の立場にかかわらず平等な医療が提供されます。外来や手術の予定が遅いと言って不満を申し出るのは、大人しいスウェーデン人よりも移民の方が割合的に多かったりします。

 

移民問題についてはまたの機会に譲るとして、街中には、各政党の選挙ポスターがあふれています。スウェーデンに移住した当時は、選挙ポスターがなかなかいけていると思ったものですが、今では逆。あまりに抽象的なものには、ツッコミたくなります。

 

そんなポスターの代表がこれ。

彼女はCenterpartiet(中央党)の党代表です。「Framåt」とはスウェーデン語で、「前へ」という意味ですが、後退したい人なんていないでしょう?

これは、環境党。「Nu」とは「Now」の意味ですが、何?と思って近づくと、その下に小さく、「環境(気候)は待ってくれない」とあります。中央党よりはマシでした。

権利と義務と可能性、全ての人に平等に。

前政権を担当していた穏健党。富裕層への税軽減で、富裕層からの支持が厚いので、ピンときません。

医療はいつでも大きな論点になります。ポスターでも、医療(vård)について述べられているものが多く見られます。特に、待ち時間(tidやkö)について。

 

移民の統合政策に成功していないことにより多くの問題が発生しています。統合政策に関しても。

 

例えば、språkkrav(必須の語学知識)について。「スウェーデンでは全ての人がスウェーデン語を話すことができなければならない。」

 

「最初の仕事を得ることが統合への道」

「拒否か仕事か」スウェーデンではこのように韻を踏んだ表現が好まれます。

私はスウェーデン国籍を取得していないため、国政には投票できませんが、landstingとkommunには投票できます。医療を仕切るのはlandstingですが、病院では、カロリンスカ新病院の大失敗への批判が強く、その音頭を取った穏健党ではなく、国政で第1党の社会民主労働党を支持したいという同僚が多くいます。穏健党が税金を下げるということも(医療現場では)疑問点です。

 

新病院の敷地内にも、こんなポスターが。

「医療のための予算は医療のために。カロリンスカ新病院の2の舞がないように。」

といった感じでしょうか。これは、ストックホルムのlandstingで多数派の穏健党が仕切ったカロリンスカ新病院を批判する、社会民主労働党のポスターです。

 

このままでいくと、社会民主労働党による組閣、それに対する穏健党を中心とする野党アライアンスという構図は崩れそうです。スウェーデン民主党が20%を超えそうな勢いで、少なくとも第2党になる可能性が高い状況で、どうにかスウェーデン民主党をマイノリテイーとするためには、社会民主労働党と穏健党が協力しなければならないこともあるかもしれません。

 

目が離せない今年の選挙です。

ややこしいスウェーデン語

移住10年になり、スウェーデン語で夢を見るくらいになってきましたが、語学に全く問題がないとは言えません。

職業柄、診断書を書くことがありますが、今日の患者さんは膀胱癌で膀胱全摘の手術のため入院中。診断を受ける前に予約した旅行のキャンセルのための診断書です。

 

Jag avråder inte från att resa, patientens tillstånd utgör inget hinder för resan.

avråder = advice againstにinte = notが続きます。att resa = to travelです。against とnotでダブルにnegativeでpositiveになります。

I do not advice against to travel.

つまり、旅行して良いということになる訳です。二つ目の文章は、患者の状態は旅行に差し支えるものではないという意味なので、文章を二つ読むとわかりやすくはなりますが、最初は頭の中が???となってしまい、思わず、Ja = Yesを選択しそうになりました。それでは、患者さんは旅行をキャンセルできないことになります。

 

 

無事に旅行がキャンセルできるといいのですが、、、。

美しく聡明な友人たちとAW

気の置けない友人たちとAW。

友人の行きつけのお店。彼女はお酒が弱いので、合流する前に一緒に参加する別の方と血中アルコール濃度を高めていると、「カウンターゲット!」というメッセージ。彼女に遅れてお店に到着。シェフのおまかせで。

スウェーデンでは珍しい、トロ!

トロの上にウニ!

トロの上にフォアグラ!

これは鹿児島産の黒毛和牛!

黒毛和牛と鰻!

これを炙る!

いやいや、美味しいです。

専門や職種は違うけれど、スウェーデン人の怠惰な働きぶりに感じる怒りをシェアー。ちなみにみんな大学病院勤務です。

日本で、日本の医療に文句を言っている日本国民の皆さんに聞かせたいね。

「隣の芝生は青い」って。

日本の医療ほど患者さんに親切なシステムはないのに、文句言ったり訴訟したり、軽症なのに受診したりして日本の医療を潰すなって言いたい!

 

私も職場でそれはそれは壮絶な闘いをしているのですが、その愚痴も少し吐き出して、もう少し頑張る気力が出てきました。

 

美しくて聡明で、異国で頑張る友人たちに乾杯!

 

Grundskola入学に関する手紙

8月20日に娘と息子はgrundskolaに入学します。これは6歳から始まる9年間の初等教育です。

入学希望はネットで優先順位をつけて申し込みます。私達は、とにかく送り迎えが便利ということで、自宅の前にあるgrundskolaを第一希望にしましたが、運よく第一希望の学校に入学できることになりました。入学決定通知は受け取ってはいたものの、入学1週間前になって、ようやく案内の手紙が届きました。

 

 

最初の3日間は親が付き添います。我が家ではフレキシブルな夫の役目(私が勤務予定希望を提出するときには、付き添いが必要だという情報は受け取っていませんから、当然、フルタイムの勤務予定となっており、どうする訳にも行きません。勿論、ここはスウェーデンですから勤務変更もできないことはありませんが、大学病院が新病院に一部引っ越し、組織構成が全く新しくなったことで喧嘩が勃発しており、生き残りのためには、休みを取らない方がベターという状況です。)。

 

この他、先生の名前や、クラスメートの名前などの書類が送られてきました。元々は娘と息子は別々のクラスだったのですが、同じクラスにして欲しいという希望を出し、受け入れられていました。同じ保育園から合計4名が同じ学校に進むのですが、4名とも同じクラス。1クラスが28名で女子が16名、男子が12名、合計で5クラスです。そして、担任の先生は1クラスにつき2人。贅沢です。何でも、スウェーデンで最も大きなgrundskolaで、1200名の生徒が在籍しているそうです。

 

新しい一歩を踏み出す娘と息子。不安はあるけれど希望は一杯。とても楽しみです!

東京医大事件に寄せて

私も勤務したことのある東京医大の女子学生制限の騒動。私の母校では女性はやはりマイノリテイーです。同級生は10%が女性でした。そして、女子学生が制限されていることは暗黙の了解のようになっていたと記憶しています。しかし、概念として認識していても、具体的な女性制限の手法を目の当たりにし、今回は流石にショックでした。(お金を積んでの裏口入学は論外です。)

必要悪、と言い切るのは言い過ぎだと思いますが、マンパワーとして確実な男性医師が好まれるのは確かです。産休や育休を取らせるほどポジションに余裕のない大学病院では、産休に入る前に退職するのが常で、やはり、根元は女性医師の労働環境が悪いこと、そして、女性医師のパートナーの多くである男性医師が育児に参加しないことにあります。

一方、これは、鶏が先か卵が先かという議論にもなりますが、女性の意識の低さも否定できません。育児をするには恵まれない労働環境により、やる気を失うのも確かでしょう。しかし、日本女性全体として、まだ30%以上が専業主婦であるという事実、働けるのに働かないという選択肢が存在することが、女性の意識、地位の向上を妨げていると思います。スウェーデンでは、国民である以上、働いて納税をすることは国民としての義務という認識です。パートナーが高収入だから他の家よりも余計に納税しているという理論はまかり通りません。個人個人がそれぞれに納税の義務があるのです。また、納税の総額により年金が決まってきますから、納税していなければ年金を受給できないということになります。また、離婚になった際にも女性が経済的に守られることはありません。男性が有責でも同様です。この状況を鑑みると、日本の女性の自立意識はスウェーデンより半世紀以上遅れていると言えます。

我が家の双子は6歳になりましたが、双子を育てながら、トップレベルの外科医として男性にも競合できているのは、スウェーデンという社会のお陰です。日本では全くもって無理です。同僚の男性医師はほぼ全てが、女性と同じように育休や病児休暇を取得しています。この夏もある男性医師が6月から9月までの3ヶ月、夏の最も良い時期に育休を取り、水面下で顰蹙を買っていたくらいです(育休取得希望は拒否できないので、休暇希望よりも優先されるからです)。我が家も、夏休み期間は病院では人手不足であることもあり、夫が送り迎えを毎日担当してくれています。私は家族がまだ寝ている間に出勤しています。通常の期間であれば、多少の送り迎えをすることもありますが、やはり帰宅が不定時になることが多いため、研究者である夫に迷惑をかけて甘えてしまっています。

今回の騒動に絡んで、読売新聞からインタビューを受け、ちょこっと名前入りで記事に登場しました。8月8日付の朝刊3面です。ジャーナリストからすると、「手術の執刀医となっている日に病児休暇を急に取ることになった場合、代わりの執刀医を用意したり、代わりがいない場合は手術自体をキャンセルすることもある。」という事実は衝撃的だったようです。確かに、日本だったらありえないでしょう。40度近く熱があっても、座薬を使いながら働いたという経験もあります。今までに欠勤したのは、ノロウイルス感染で下痢嘔吐した時1日くらいです。最も、下痢だけなら勤務したかもしれません。

今後、日本において、医師の労働環境が改善し、育児や家事に関して男女平等化が進み、女性の意識も向上して、このような問題が解決してゆくことを願っています。

医師の労働環境を改善するには、医師の数を増やすのが先ではなく、医師の仕事量を減らすことです。すなわち、病院へのアクセスを制限し、直接医療に関係のないペーパーワークを減らしたり、他業種に委託できる業務を増やすことが必要だと考えています。また、そうしなければ、医療費を抑制することもできません。

また、日本国民の啓蒙。日本の医療システムは、世界で一番患者さんに優しいシステムと言えるのにもかかわらず、国民は医療に不満を持っています。風邪くらいで大学病院の救急を受診する。defencive medicineになってしまうのは、隙あれば訴訟にしようとしている人がいるから。訴訟を煽る弁護士もいる。IC、余計な検査などなどが増え、仕事量、医療費が増える。世紀末的です。多分、一度潰れないとダメなんだろうなあというのが、残念ながら正直な感想です。