Visits

Online: 1
Today: 82
Week: 82
Overall: 5439681

Flag counter

free counters

法律が粉ミルク授乳を差別!?

先日の医師向け雑誌läkaretidningenにも大きく取り上げられました。

anmaOrättvis och icke-empatisk

「不平等で思いやりにかける」

という見出しです。

 

11月28日、スウェーデンの国会は、次のような法律を可決しました。

riksdag

amning2

粉ミルクの宣伝を制限するという法律ですが、広告は学術的論文か、新生児を対象とした出版物に限定するというものです。この法律に対して、多くの専門家や母親たちが怒りの声を上げています。誰でも母乳による育児が最善であることは理解しています。しかし、最近の調整ミルクは母乳に近づき、調整ミルクが母乳に劣るというエビデンスはないそうです。調整ミルクで育てている母親からは、「新法は授乳法の選択の自由に対する圧力」、「母乳育児ができない母親への負の圧力になる」などの声が上がっています。FBにも「Rätten att välja Flaskmatning(哺乳瓶授乳を選択する権利)」というグループが存在します。

 

母乳育児をしたくてもできなかった私としては、やはり、新法には疑問符が。

妊娠中から母乳育児を心待ちにしていました。子供がおっぱいを飲んでくれること、それにより得られるフィジカルなコンタクトは素晴らしいに違いないと。手押しの搾乳ポンプも買いました。しかし、現実は期待を裏切る辛いものでした。

31週に破水し、ステロイドと抗生剤の投与を始めて、何とか子供の肺のサーファクタントが産生されるようになる48時間を持ちこたえることができましたが、32週で緊急帝王切開となりました。最初の数日は、寄付された母乳を胃管から注入しました。その間、母親である私は、毎日、3時間置きに、電動ポンプを使っての乳腺刺激をしました。やっと出た数ミリリットルの初乳を、きっちり2等分して、双子に与えました。CPAPを外した頃から、最初は一人ずつ授乳。

Exif_JPEG_PICTURE

しかし、双子は2キロもない小さな体。おっぱいを吸う力も強くありません。

おしゃぶりの大きさから、いかに小さかったかが思い出されます。しかも、脂肪がまだつききっていない、骨と皮だけに近い状態。

Exif_JPEG_PICTURE

この小さな体でおっぱいを直接吸うのは大変なので、おっぱいの上から吸いやすい形の人工おっぱいのような装具を付けて授乳します。電動搾乳機を使っても、10ccなど夢のまた夢。それでも搾乳された母乳を看護師さんに渡して次の授乳で使います。搾乳された母乳を置くカウンターがあるのですが、大きなボトルになみなみと入った、他のママの母乳を見ると、涙がこぼれそうになりました。そのうち、ダブル授乳を勧められ、小さな小さな双子を両胸に。

 

次の写真は、ダブル授乳のあと、通常量のミルクを注射器で胃管から注入しているところ。

Exif_JPEG_PICTURE

看護師さんが病室に回ってくるたびに、搾乳したかチェックされます。毎回授乳のあとに搾乳するようにということだったので、夜中も3時間おきに搾乳。空に近い容器を見るたびに、悲しみと疲労とで、涙が出そうになりました。そのうち出るようになると言われていましたが、3週間の入院期間にはさっぱりでした。

胃管と呼吸モニターのついたままの双子を連れて帰宅したのが、出産からおよそ3週間後。レンタルの電動搾乳機も持って帰りました。自宅には毎週2回、訪問診療の看護師さんが往診してくれます。呼吸管理のモニターはそのうちに外れました。最後に残るのが胃管です。時が経つにつれ、双子は鼻から挿入され、テープで固定されている胃管を嫌がって、自分で抜くようになりました。通常は、訪問診療の看護師さんに連絡するか、時間外であれば救急外来へ連れて行かなければならないですが、私は外科医ですから、自分で挿入しなおしました。母乳授乳を希望するならば、胃管は残しておかなければなりません。哺乳瓶を与えてしまうと、赤ちゃんはおっぱいを吸わなくなり、楽な哺乳瓶を好むようになるからです。当初は母乳で頑張ろうと思っていましたが、管を嫌がる双子を見ているうちに、「この管を抜いてあげたい」と思うようになりました。そうなれば、母乳を諦めなければなりません。苦渋の決断でした。「子供のために母乳授乳を諦める」というのが、私の出した結論でした。双子は上手に哺乳瓶からミルクを飲んでくれたので、まもなく胃管を抜くことができました。母乳授乳ができなかったにもかかわらず、保育園に入るまで、風邪もひかず、ウイルス性胃腸炎になったくらいで、健康に育ちました。身長、体重も、2ヶ月の早産児にもかかわらず、正期産児に負けない成長ぶりでした。母乳を諦めた決断は間違ってはいなかったと思いますが、小さな双子がおっぱいを吸ってくれたあのときの感触、体の中から沸き起こってくる幸せな気持ちを忘れることができません。もう一度生まれ変わったら、是非、母乳育児を思いっきりしてみたいものです。

そんな経験をした私にとっては、新法が「母乳授乳のできない母親に対する精神的圧迫になる」という議論も理解できます。母乳授乳が簡単にできる人にとっては、「過敏な反応」と一笑されるのかもしれませんが、母乳授乳が叶わない母親にとってはセンシティブな話題です。「母親失格」と思う人もいるでしょう。私も双子に、「おっぱいあげられなくて、ごめんね。」と心の中で語りかけたものです。

そもそも、今回の新法は、WHOやEUの指針に従ったものらしいのですが、大きな問題なのは、母乳が推奨される途上国で、調整ミルクがはびこっていること。不潔な水や容器などを用いて哺乳瓶授乳することは危険です。勿論、垂直感染の可能性のある感染症などがある場合は例外ですが。日本やスウェーデンなど先進国では、母乳であっても哺乳瓶授乳であっても、大差はないと考えてよいのが常識的です。各方面で議論が白熱しているのをみて、自分なりに思いを巡らせてしまいました。

今、一番したいこと

今、一番したいことは、、、、。

「一晩、誰にも邪魔されずにぐっすり眠ってみたい。」

 

「ぼく」は一晩に数回、必ず目を覚まして大泣きします。お腹が空いただけでなく、悪夢を見ているようなときもあります。泣き止まないときは、抱っこしたり、ミルクをあげたり、仕方がないので、一緒のベッドで眠ります。

 

最近、手術件数も多く、疲れ切って帰宅しても、それから双子の夕食、遊びの相手、掃除、選択、入浴、歯磨き、添い寝と、一息入れる時間もありません。オンコールのときは緊急手術などもあるので、へとへとになります。勿論、翌日は平常勤務。

 

せめて、一晩ぐっすり眠りたい、、、。この夢が叶うのは、いつになることやら、、、。

最初の一歩を踏み出してから、遅々として進まなかった「わたし」の歩行ですが、父の誕生日の11月16日に、突然歩き出しました。彼女に必要だったのは、「歩きたい」という意思だけだったのですが、どうして突然「歩きたい」と思ったのか、、、。保育園でも、はいはいしていたのは「わたし」だけだったので、少し心配していましたが、今や、はいはいしていた姿を思い出せないほど、スタスタと歩いています。双子がアパートの中をところ狭しと歩き回っている姿は、何と言うか、圧巻です。「お遊びもいたずらも二人で」というシーンが多くなりました。

 

思いがけないものが洗濯機の中に入っていることもあり、注意が必要。乾燥機はスタートさせても、タイマーを勝手に回して止めてしまう、、、。

2013-11-02 10.47.51b

仲良く遊んでいても、突然どちらかが大泣き。

2013-11-02 10.48.24b

実は、体の小さい「わたし」の方がタフで、「ぼく」が泣くことの方が多いのです。

2013-12-01 16.05.42-1b

「わたし」から帽子を取り上げて被って意気揚々の「ぼく」。

2013-11-30 15.42.11b

でも私はとっても力持ち。体より大きな椅子だってどんどん動かしちゃう。

2013-11-23 14.45.06B

「ぼく」のことだって、後ろから引っ張れば倒しちゃう。

2013-12-07 17.02.37b

 

最近お気に入りの子供用の椅子。でも、すぐによじ登って、さらに踏み台として使うので、目が離せません。

2013-12-07 17.00.40b

またがれる馬のおもちゃがあるのに、どうして椅子にまたがりたがる?

2013-12-05 18.43.54b

そのうちに、「ぼくとわたしのいたずら」シリーズでもアップしようかな。

母と娘、ドリームライナーの旅

ご無沙汰しております。

10月に2週間ほど、「わたし」と二人で里帰りをしてきました。

一人で二人共連れて帰るのは無理なので、活動的な「ぼく」を残しての帰国。それでも、コペンハーゲン経由ではなく、最短のヘルシンキ経由を選びました。チケットのお値段も随分可愛くなかったのですが、背に腹は変えられません。そして、フィンランド航空ではなく、この夏に就航したばかりの、JALにしてみました。機体は話題のボーイング787、ドリームライナー。

ところが、成田着陸予定時間には、10年ぶりの大型台風が関東地方を直撃する予定になってしまいました。ヘルシンキ発が5時間近く遅れることに。最初は、ご機嫌だった「わたし」。

2013-10-15 16.55.47 HDRb

2013-10-15 18.25.27b

そのうち疲れて涙もこぼれます。長旅に付き合わせてごめんね。母の心は痛みます。

2013-10-15 17.39.48b

赤子連れでは、空港で食事にありつくのも至難の業。仕方なく(!?)出発までに、ワインと生ビールでカロリー補給。

幸い、バシネット付きで2席を確保していただきました。10キロ弱の「わたし」も、身長はぎりぎりでした。

2013-10-15 20.47.42b

しかし、流石にドリームライナー。ゆったりとした空間、奇麗なトイレ、快適な空調。そして流石、日本の誇れるJALのサービス。客室乗務員さんの優しいこと。

疲労困憊で無事成田着。

2013-10-16 12.10.08 HDRb

妹と姪が迎えにきてくれて、車内でぐっすり睡眠。

日本滞在中には10日ほど、近所の保育所に「わたし」を預けました。

日本の保育所の素晴らしいこと。スウェーデンの保育園に比べると、清潔だし、きめ細やかだし、、、。

感動するのが、連絡帳。食事は何をどのくらい何時に食べたのか。排便はあったのか。体温。保育所で何をしたか。子供のの様子。これらが記載されてきます。これは始めの頃の記録。

2013-12-09 21.26.43b

そして後半は、、、。

2013-12-09 21.25.53b

保育所に慣れていく様子がわかります。

しかし、着替えだけでなく、おむつにも記名し、使用済みのおむつは持ち帰るなど、スウェーデンでは無いことに驚きもしました。

帰国中はいろいろな予定があったのですが、母が良性発作性頭位めまい症になってしまったため、ほとんどの時間を自宅で過ごしました。症状が激しかったため、入院を勧めたのですが、「医者が何人も家にいるのに、入院したくない」ということで、自宅療養プラス念のためのMRIで済ませました。いつも親不孝をしているので、こんな帰国も良かったかもしれません。

スウェーデンへ発つ日は、私一人ならば決して見送りなどしない両親が、やはり孫の「わたし」が可愛いのか、連れ立って成田までお見送りに。別れはいつも辛いものですが、「わたし」が一緒ですので、感傷に浸っている暇もありません。

帰りも運転手をしてくれた妹が撮ってくれました。

写 1 (1)b

65b

今回の旅で大活躍だったのが、これ。

display_213119290073_dim5BABYZENのバギー、YOYOです。折りたたむと、何と客室内持込のできるサイズになります。乗り継ぎもあるので、機外に出たらすぐにバギーが欲しい私にとっては、まさに救世主!スウェーデンのBlocketというサイトで、中古で購入しました。

セキュリテイーに入る前は、このバギーと、レスポのラージウィークエンダーと小さなポシェットを担ぎ、「わたし」を抱っこ。母は強し!

43

帰りもドリームライナーは快適でした。ただ、前日に39度の熱を出していた私のご機嫌はそこそこで、小児科医の友人のアドバイスに従って、6時間おきにAlvedonの座薬を使いながらの空の旅になりました。「わたし」も1時間くらいしか寝てくれず、、、。

2013-10-31 11.18.18 HDRb

各方面に愛想を振りまき、

2013-10-31 20.46.37 HDRb

2013-10-31 20.47.02b

いたずらに余念なし。

2013-10-31 20.47.17b

今回も、客室乗務員さんには、本当に親切にしていただきました。子連れで肩身の狭い母としては、涙が出るほど嬉しいことです。幸い「わたし」が叫ぶようなことはなく、他の乗客の方にご迷惑をお掛けしたことは殆どなかったと思います。

ヘルシンキ着陸前に出た「吉野屋の牛丼」には感動!何しろ、外食も殆どしなかった日本滞在でしたので、あっという間に完食しました。梅酒のロックとともに。

2013-10-31 19.45.24 HDRb

家族に会いに、年に2回くらいは帰国したいところですが、次回はいつになることやら、、、、。

スウェーデンの医療を支えているのは、国外医学部卒業の医師

今日は、少し前に、医師向け週刊誌に掲載された次の記事について。オリジナルはこちら

1212

 

 

スウェーデンの医師免許取得者の半数以上がスウェーデン外の医学部卒となったのは、2003年が初めてのこと。以来、この現象は継続しており、まさに、スウェーデンの医療は今や、国外医学部卒業の医師無しでは維持できない状況になりつつあります。

 

次の図は、新規医師免許取得者の年次別推移。紫のラインは国外医学部卒業の医師。

88_WEBB

この図を見ると、毎年、2000人程度の新しい医師が誕生しており、半数以上がスウェーデン国外の医学部卒業者。日本では7,8千人くらいと記憶しておりますので、人口を考えると、日本よりずっと多いですね(しかし、医師一人当たりの勤務時間はずっと少ない!)。1995年には、国外医学部卒業の医師の医師全体に占める割合は13%でしたが、2010年には倍近くの23%に。それでも、国際的にその数字は最も高いという訳ではないようです。イギリス、アメリカなどはスウェーデンよりも高い割合。対する、イタリア、ドイツ、フランスは5%にも満たないとのこと。日本はもっと少ないのではないでしょうか。やはり、英語圏では外国人医師の言語に対するハードルが低いからなのか、あるいは、文化によるものか、、、。

 

1000人以上の国外医学部卒業者の国別内訳。最も多い黄色の部分は、EU内から。基本的に、EU内の医師免許を取得すれば、EU各国で働くことができます。紫の部分は、EU外から。私もこのグループに属します。毎年、最低100名、多いときは300名ほどで、主に、イラクとロシアから。水色は、スウェーデン人が国外の医学部を卒業したグループ。これも年々増加しており、ほとんどはEU内の医学部卒業。スウェーデン内の医学部に進学できなかった人が、ポーランドやルーマニア、ハンガリーなど、英語による医学教育を行う医学部に一部自費で入学するケース。自費とはいっても、日本に比べれば破格に安い学費です。

Fig A_B_C

医学教育には一人当たり数千万円の費用がかかると言われていますが、スウェーデンは新規医師免許取得者の半分以上が国外で教育を受けた人間、つまり、医学教育にかかる費用をかなり節約していることになります。私の経験では、非スウェーデン人の医師のレベルは決して低くありません。むしろ、優秀な人は多い。優秀な医師を医学教育の費用を負担せずに輸入するということは、本来ならば日本もならっても良いのではないかと思います。近年、日本人も、スウェーデン人と同じように東欧諸国の医学部に学ぶ人が増えているようですが、厚生労働省の規定では、日本人であっても、国外の医学部卒業の場合は、日本の医師免許を取得する際の手続きは複雑です。東欧諸国の医学部を卒業するためには、相当な勉強が必要で、日本の医学部のように生ぬるくはありません。むしろ、日本の医学部卒業生よりもすぐれていると考えられるのに、医師免許取得のプロセスが複雑なのは片手落ちとしかいいようがありません。一部では、「日本の医学部に入ることができなかった落ちこぼれが東欧へ流れる」という輩もいるようですが、東欧の医学部の授業料は、年間100万円程度。学力は十分でも、年間最低数百万円、場合によっては1000万円近くもかかる日本の私立医学部に入ることができない人は星の数ほどいると思われます。スウェーデン人に、日本の私立医学部の学費の話をすると、「払える人がいるのか」と驚かれます。日本国外の医学部を卒業した日本人に対する日本の医師免許の交付については一定のルールが無い現在、医師不足対策として、コストのかかる医学部新設よりも、海外医学部を卒業した日本人医師の逆輸入の制度を整備した方が良いように思います。

ついに、、、「わたし」の最初の一歩

「ぼく」に遅れること約4ヶ月。ついに「わたし」が最初の一歩を踏み出しました。15ヶ月を数日過ぎた週末。支えなしで立ち上がっては、自分でおててパチパチしていて、何か起こりそうな兆候がありました。

[quicktime width=”500″ height=”400″]http://drpion.se/alltidleende/wp-content/uploads/juliasteg.mov[/quicktime]

この嬉しそうな顔といったら。涙しそうになる母。

 

最近、技術系に興味のある「ぼく」。

2013-10-06 08.59.38b

立方形のおもちゃを5つ積み上げて、ご満悦。何度も繰り返して、テクニックも向上。

人間の赤ちゃんって、凄い!

自我の芽生え

今週は、時短ながら、保育園初皆勤賞の双子。とはいえ、未だに吸入治療を続けながらですが、、、。

15ヶ月を過ぎ、双子も出来ることがだんだんと増えてきました。「ぼく」は保育園の園庭を走り回っていますが、「わたし」はまだ手をつないであげないと歩けません。というより、歩きません。もう少し、「歩きたい」という意欲があれば良いのでしょうけれど、まだ「はいはい」で満足しているらしい。「ぼく」は早くも、お鼻チーンが出来るようになりました。ティッシュを鼻に当ててあげると、自分でチーンします。そしてチーンのあと、鼻をスースーさせて、通りが良くなったことを確認しています。すごい1歳児だと、我が子ながら感心。

 

保育園では自分で食べなければなりません。そのため、まだ思うように食べられないためか、帰宅するときには腹ペコ状態。それでも、最近、「自分で食べたい」という主張が見られ、親としては嬉しい反面、大変なことも。こちらがスプーンで食べさせようとすると、スプーンを自分で持ちたがります。持ったはいいけれど、食べ物が口に入るかといえば、その確率の方が低いのです。食べ物が空を飛び床に落下することなど、日常茶飯事。ひたすら忍耐。

2013-09-28 19.21.39

2013-09-28 19.21.42b

お腹には結局あまりおさまりません、、、。

[quicktime width=”500″ height=”650″]http://drpion.se/alltidleende/wp-content/uploads/IMG_5379.mov[/quicktime]

 

おやつに群がる今日の双子。

2013-10-05 17.35.04-2b

医療の地域格差

日本でもそうですが、スウェーデンでも医療へのアクセスやレベルの明らかな地域格差が存在します。

双子という文字に惹きつけられて、たまたま買って読んだ数日間の新聞記事。

2013-09-18 18.45.05b

Aftonbladetですが、ネット上ではExpressenKristianstadsbladetに記事がありました。

Landskronaに住む双子を妊娠していた41歳のLindaに起こった悲劇。40代で双子を妊娠ということで、とても人事とは思えませんでした。

陣痛が起こったのは、妊娠第33週。ここで陣痛を止められなかった時点で帝王切開にならなかったのは、まず驚きでした。スウェーデン、いいえ、ストックホルムでは、34週に満たない双胎妊娠の場合は帝王切開がルチーンであったため、私の妊娠中も34週まで何とかもって欲しいと思っていましたが、31週で破水、32週で陣痛が止まらなかったため、選択の余地なく帝王切開となりました。Lindaの体重は妊娠前と比べて30kgも増えていて、妊娠中毒症には注意しなければいけないはずなのですが、MVCでの検診も不十分だったようです。さらには、分娩室に入っても、看護師は血圧のチェックさえしなかったといいます。

分娩後、Lindaは腹部の痛み、そして、強烈な頭痛を訴えます。双子の女の子が生まれたのが、午後1時ごろ。痛みを訴え続けたにもかかわらず、その日の午後は医師が診察に現れることはありませんでした。初めて看護師が血圧を測定したのが、午後8時前、そのときの血圧は196/97。その後、Lindaは意識不明の重態となり、彼女の意識が戻ることはありませんでした。

解剖の結果、広汎な脳出血に加え、肝臓および腎臓の出血もみられたそうです。Lindaが、おそらく妊娠中毒症があり、子癇による合併症のために死亡したことは間違いありません。Lindaが出産したKristianstad Lasarett(Kristianstad中央病院)は、南スウェーデンの300床を有する中核病院ですが、今回の件では、その対応の全てがお粗末としかいいようがありません。病院側は既にミスを認めているようで、それは、Lex Maria法によるSocialstyrelsenへの報告がなされていることからも明らかです。これは、医師が医療ミスがあったときに、医師側から報告書を提出するシステムです。それにしても、患者さんが苦しんでいるのに、医師が診察に来ないというのも、スウェーデンらしい。それでも、ストックホルムでこのようなミスが起こる確率はずっと低いと思います。日本であれば、双胎妊娠の場合は、予定日の数週間前から管理入院などが行われるようですが、スウェーデンではありません。私も1-2週間に一度の看護師さんおよび医師による検診を受けるくらいで、破水の前日まで手術もしていました。破水して緊急入院してからは、数時間おきのCTGや胎児の心拍数のチェックなどが行われ、同時に感染予防のための抗生物質、胎児の肺サーファクタント産生刺激のためのステロイド投与もあり、十分な管理体制でした。最後に夜中に陣痛がおさまらなくなってきたときにCTGを測定しようとしたときには、流石に、当直医に来てもらうようにお願いしましたが。いずれにしても、医療レベルに対して不満なことはありませんでした。

スウェーデンでも医療レベルの低さで悪名高いのがダーラナ地方。ここに住む夫の母は数年前に若くして脳梗塞を患いました。発症のその日、普段どおりに自転車で出勤した彼女は、気分が悪いため病院を受診し、脳梗塞という診断を結局受けましたが、発症して半日以上経っても治療が開始される気配もありませんでした。私は脳疾患は素人ですが、最新の脳梗塞の治療の一つである、早期の血栓溶解剤の使用が有効だと理解しています。これは発症して3時間以内に治療開始の必要があるため、それ以前に受診してなければいけないのですが、彼女の場合は十分早期の受診だったと思います。受診したMora lasarettは夫が子供の頃に誤診による治療遅延で脊髄損傷となってしまった、いわくつきの病院ですが、義母の診断や治療が遅々として進まないことにしびれを切らした私が、つたないスウェーデン語で担当医と話をしてみても、いかにもレベルが低そうな印象でした。彼女は現在、中等度の半身不随がありますが、もしストックホルムに住んでいたら、このような後遺症は残らなかったと思います。

ダーラナは北ですが、南スウェーデンの大学病院でさえ、いろいろととんでもない話を聞くことがあります。小児科が頼りになることは子供を持つ親としては重要です。ストックホルムでは待ち時間は別としても必ず診察を受けることができますが、そうではない地域もあるようです。また、ストックホルムでは必然的に院内、あるいは、ストックホルム内には、各専門分野のスペシャリストが多い、つまり、医師同士の相談もしやすいため、診断もつけやすく、受診の門戸も広いということになります。子供や自分自身の健康を考えても、やはり、ストックホルム以外に住む気にはなれません。以前にも述べましたが、スウェーデンでは、住所によって受診できる大病院が決められているため、その病院の事情(医師のレベル、経済状況、外来やベッドの混み具合など)によって、受診さえ制限されることがあります。私も、診療所から送られてくる紹介状の初期判断をしますが、かなり多くの紹介状をつき返しています。「大学病院で診察する疾患ではない。」というのが主な理由です。特殊な疾患で、明らかにその地域には専門医や技術がないということであれば、圏外の大病院へ特別な紹介状を(専門医が)書くことにより受診が可能となりますが、そういう状況は極めて稀です。つまり、同じように税金を払っていても、住んでいる地域により、恐ろしいほどの医療格差があるため、その餌食になる危険があるのです。ストックホルム地域でも、一般的に最もレベルが高いとされるカロリンスカ大学のソルナ病院には、ストックホルム中心部とそれより北に住んでいる人が属しており、それより南に関しては、南病院やカロリンスカ大学のHuddinge病院ということになります。そういう事情からも、私はストックホルムでも南に住むつもりはありません。勿論、カロリンスカなら大丈夫ということではなく、当たる医師によって大きな差があり、カロリンスカにもとんでもない医師もいます。このあたりは、医師であっても他科のどの医師が優秀なのか見分けるのは難しいので、もはや運を信じるしかない場合も多いのですが。

lindaab

母Lindaの命と引き換えに生まれてきた双子の姉妹は、すくすくと成長しているのがせめてもの幸い。医療ミスによる周産期の母の死亡であれば、日本では相当な補償金が支払われるはずですが、スウェーデンではそういうことはありません。死んでしまった人間のための補償はわずか。最近、帝王切開をしなかったために脳性麻痺となった息子を持つ知人の話を聞くことがありましたが、医療ミスがあったと認定されたにもかかわらず、彼らが受け取った補償は140万クローネだそうです。しかし、スウェーデンにしては高額の補償であり、それは息子が生きているからゆえです。日本やアメリカのように、不当に高額の慰謝料が動くのも医療崩壊に繋がりますが、スウェーデンは逆に低すぎると感じることもあります。医療ミスをしても、慰謝料が医師に降りかかってくることはまず無いので、とんでもない医師がはびこっている土壌にもなっていると思います。スウェーデンのとんでもない医師や、医療システムに切り込む「Arga doktorn」という番組が現在放映されていますので、そのうちご紹介をしたいと思っていますが、それを見ても、「住むのはストックホルム」という感を強くした次第です。

怒髪冠を衝く

仕事に病気の双子の看病に家事に、疲れ切っている中のオンコール。前日に急に頼まれての週末のオンコールです。

下の先生は、私がmentorをしているドイツ国籍の専修医の女医さん。ドイツ国籍とはいっても、出身はアフリカ。養子としてドイツの家族に貰われてきたのです。その家族には、一人子供がいますが、その他に5人の養子。彼女は、ベルギー、イギリスなどで研修医として働き、本来はイギリスで泌尿器科専門医になりたかったそうなのですが、イギリスの年齢制限にひっかかり、諦め切れずにスウェーデンへ2年前にやってきました。もともと、ドイツ語、フランス語、英語、アラビア語、スペイン語などを話す彼女は、すぐにスウェーデン語も話せるようになりました。女性であり、非スウェーデン人であり、黒人であり、という、決して易しくない立場で、同じように移民としてやってきた私を頼りにし、慕ってくれていますが、彼女の強さ、そして、スウェーデン人の誰も叶うことのない努力など、私が見習うことは多いと思っています。

 

例えば、ロボット手術の助手をやりたいとします。普通のスウェーデン人の専修医でしたら、まず、カルテを読んでくることはありません。術者が説明するのを待っています。しかし、彼女はそうではありません。病歴は勿論のこと、助手がポートを立てるときに重要な情報となる、患者さんの身長や体重、手術歴などを含めてチェックしてきています。

 

そんな彼女ですので、安心してファーストコールを任せていましたが、日曜日の夜に彼女から電話がかかってきました。これは、緊急手術かな、などと思いながら電話に出ると、驚くべき話を聞かされることになったのです。

 

彼女のところに、腎臓内科のオンコール医から電話が掛かってきました。腎臓内科の病棟に、尿閉の患者さんがいるようなのですが、病棟の看護師にカテーテルを挿入するよう指示したところ、挿入できなかったとのこと。そこで、泌尿器科のオンコールに出勤して挿入してくれとの依頼でした。

 

タフな彼女は、その無茶苦茶な依頼に対して、

「まず、あなたがトライして下さい。あなたが出来ないのであれば、私が出向きます。」

当たり前です。

それに対して、腎臓内科の医師は、

「私は家で寝ているんです。私がわざわざ病院に行く必要はない。プロである泌尿器科医にお願いします。」

彼女は、

「それでは、私が教えてあげるから、あなたも来てください。」

と続けると、

「私は透析の医者だ。今更、カテーテル挿入を学ぶ気は無い。」

と言ったそうなのです。

最初の会話がどのように終了したのか定かではありませんが、それが夜の10時頃。その後、夜中の2時頃に腎臓内科の病棟の看護師から、彼女に電話が入ります。

「腎臓内科のオンコール医が来てくれないのです。助けてくれませんか。」

尿閉の患者さんを何時間も放置するなんて、正気の沙汰とは思えません。最初の電話のあとに彼女から相談を受けていた私は、もし、何かあれば、彼女が出勤する前に、泌尿器科病棟の看護師に、挿入しやすい特殊なタイプのカテーテルを持参して試すように指示するようにアドバイスしていましたが、結局、泌尿器科病棟の看護師が問題なく挿入できたそうです。

このとんでもない腎臓内科の医師がどういう人間なのかは知りませんが、たまに、移民を見下すような態度を取る医師もいます。中には、移民医師が移民医師を見下すこともあります。この医師が移民に対する差別意識を持つ人間かどうかはわかりませんが、今回のような押し問答では、移民であることがプラスにならないことは確かです。最近では私も、このようなハードな会話でもスウェーデン語で物怖じせずにできるようになりましたが、彼女は在瑞2年、しかも、泌尿器科の専門医のトレーニング途上でもあるという厳しい状況で、自分の主張を通したことはあっぱれとしかいいようがありません。

 

とんでもない医師は、日本にもいます。しかし、今回、医師としては基本中の基本とも言える尿道カテーテル挿入を、自分で試すこともせず、泌尿器科医を挿入係に使おうとする態度は許せません。まさに、怒髪冠を衝くとは、こんなことでしょう。

 

因みに、スウェーデンでは点滴ラインの挿入は基本的に看護師さんがしますが、難しい場合には、当直の麻酔科の医師に依頼することがあります。その場合は、麻酔科へ処置のコストを支払わなくてはなりません。泌尿器科医は、その点厳しくなく、タダ働きとしてカテーテル挿入することも多いので(日本ではまずタダ働きでしょう)、コストをしっかりと請求するようにしなければいけないと思います。しかし、夜中にオンコールが出勤してカテーテル挿入したとすれば、コストを取ったとしても、科としては持ち出しになるのではないかしら、、、。

 

病気してばかりの双子

実はかなり弱っています。

8月中旬から保育園が始まって楽になると思ったのは夢のまた夢。あれから約1ヶ月、双子は替わる替わる風邪をひき、40度前後の発熱。夜中もも熱発しては辛いのか大泣きします。

我が家の常備薬。

各種点鼻薬。

2013-09-17 10.34.33b

各種吸入薬(ステロイド、気管支拡張薬)。

2013-09-17 10.34.04b

吸入薬に必要な吸入器。

2013-09-17 10.32.47b

vortex

[vimeo http://vimeo.com/18783752]

鼻水吸引器。

otri-baby_nassug_new_medium

6idsduuc3z9nr9nkkmqrbq

解熱用座薬。

ipren-suppositorium-125-mg-10-st-0

4860-0

先週、3日間保育園に登園できたのが最長で、毎週のように病欠。ときには、日中に「熱発したから迎えに来て。」と連絡がきて、お迎えに。

 

実は今日も病欠。職場には「病児の看護で欠勤」と連絡しておいたのですが、病棟から、「回診まだですか~?」という電話。「Idag VABar jag.」と説明。Vård av barn – VAB(12)。12歳以下の病児の看護のための欠勤。1年あたり120日まで認められます。もちろん、給料ベースに計算される手当て(上限あり)が支給されます。このあたりは、スウェーデンの素晴らしいところです。専業主婦はほとんどいないスウェーデンでは、このような社会保障がなければ難しいところです。母親の方がおそらくVABの取得率は高いのでしょうけれど、同僚医師をみると、男性医師も同じようにVABのため欠勤している印象です。

 

しかし、2人の病児を抱えるのは非常に厳しいものがあります。双子は保育園が大好きだし、保育園でも社交的でお行儀が良いので皆の人気者らしいので、早く登園させてあげたいのですが、風邪をこじらせると、喘息様発作でまた入院ということにもなりかねないので、辛抱するのみです。私にも夜ぐっすり寝ることのできる日が、いつくるのでしょうか、、、。高齢母かつ外科医としては辛いことばかりですが、私自身が病気にならないように頑張らなければ。

 

最近、ソファによじ登れるようになった双子。よじ登りに成功しては、自分でパチパチと拍手して喜んでいます。

2013-09-06 15.29.19b

「わたし」はお気に入りの肘掛け椅子によじ登って、一眠り。

2013-09-10 15.48.58b

 

何という贅沢なひととき

双子を保育園に送り、朝の散歩。Kungsholmenからお城を眺めながら湖を渡りVasastanへ。

2013-09-13 09.30.55b

今週はロボット手術の術者を3件。昨日は、助手を他の手術に奪われて、ド素人の看護師のおばちゃんを助手に駆り出しての執刀。半分以上済んだところで病棟担当の若い先生が来てくれたけれど、きつかった~。

今日、金曜日はお休みを取っていたので、双子なしの贅沢な朝のひとときを人気のカフェで。15度くらいの爽やかな朝なので、外席で。サンドイッチに挟まれたハムが絶妙に美味しい。こんな時間は何年ぶりだろうか。手術とオンコールと育児で疲れた体と頭をリラックスさせる。働くために生きるのではなく、生きるために働きたい。日本では無理な話だが、この国では常識。

20130913-084402.jpg


Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: No such file or directory in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 345

Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: A link to the server could not be established in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 345

Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: No such file or directory in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 346

Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: A link to the server could not be established in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 346

Warning: mysql_fetch_row() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 346