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夏日に恵まれたクルージング 後編

成功裡に終わった学会の最後を飾るのは、セミプライベートのクルージング。限られた人が招かれての開催でした。

使われたボートは、Jonasの会社所有のSoja III。この船は、Jonasの父親により、1936年に建造されたもの。すぐに売却されたのですが、つい最近になって何と売りに出されているのをJonasが発見。買戻した上、改築をして見事な船として復活しました。会社の接待などに使われているそうです。

 

出航は、Norr Mälarstrandで、市庁舎脇のアイスクリームスタンド前。9月のストックホルムは例年、完全に秋で肌寒いくらいなのですが、この日はほぼ夏日。

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乗船すると、ハンサムなお兄さんが、シャンパンをサーブしてくれます。絵になります。

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こういうシチュエーションは、まさに、ストックホルムの醍醐味といえるでしょう。

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少し遅れて到着した教授が乗船して出航。中央に教授とJonasの姿が。

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UCFのパテル教授も。現在までに前立腺全摘6000例を執刀している、文字通り、ロボット前立腺全摘のキングです。

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しばしデッキでシャンパンと美しい景色を楽しみながら会話。夕日のメーラレン湖。

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ああ、ストックホルムは本当に美しい!

 

少し涼しくなってきたところで、船中に入ります。半分が水面下のこの船室の窓からは、丁度水面が見えます。

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そして、デイナー。ロボットに隠れたJonas家族の秘話は、このときに披露されました。心に響く話でした。

 

前菜には、スウェーデンの秋の味覚、カンタレッラきのこのトースト。

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メインには、やわらかくてジューシーなラム。

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デザートは、Jonasの自宅で採れたりんごのケーキ。酸味が強く、絶品でした。

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市庁舎へもどってきたときには、すっかり日も暮れていて、次の日勤務がある私は、寄り道せずに帰りました。

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夏日に恵まれたクルージング 前編

ERUS2013を締めくくるのは、教授と、カロリンスカのロボット部門に巨額の寄付をした、あるビジネスマンが主催するクルージングディナーでした。
Wallenius Wilhelmsen Logisticsなどを傘下に持つ会社の社長、Jonas Klebergがその人。彼の兄が若くして癌で亡くなったことをきっかけとして、彼の家族は、医学のために何かできないかと考えたそうです。そして、当時、1990年代に、出たばかりの手術用ロボットを、心臓外科部門に寄付します。その頃に初めてロボットの存在を知った教授は、心臓外科にかけあって、心臓外科がロボットを使用しない毎週金曜日に使わせてもらうようになりました。前立腺全摘術においては、ロボット手術が徐々に広まるのに対して、心臓外科分野でのロボット手術は沈滞してゆきます。そのため、ロボットを心臓外科の手術棟から、泌尿器科の手術室のある建物に移します。のちに、Jonasは心臓外科に対して、ロボットの対価を支払い、ロボットは泌尿器科のものとなったのです。

ロボットによる前立腺全摘術は、カロリンスカにおいては2002年から始まります。少し古い図ですが、現在では開腹手術は行われていません。

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術創が小さいだけでなく、10倍の視野と、小さなロボット用の鉗子で、人間の目では見えない神経や筋肉が見え、人間の大きな指では届かないところの細かい操作が可能であり、前項でも述べたように、開腹手術はまるで比較の対象になりません。

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カロリンスカでは、前立腺全摘術でも、ヨーロッパで1位2位を争う数を行っていますが、膀胱癌に対する、膀胱全摘術では追従を許しません。現在までに150例ほど行っており、その3分の1程度が、新しい膀胱を小腸で作る、自己排尿型新膀胱です。また、その尿路変更を含む全ての手術を体内で行っています。女性では切除した膀胱を膣から引き出すので、本当に小さい穴が6つだけ皮膚に開くだけです。

ロボット手術の解説が長くなりましたが、最初のロボットを寄付したJonasは、この10年におけるロボット手術の進歩に大変心を動かされ、最近、最新型のロボットを3台、さらに寄付してくれました。Jonasなしには、カロリンスカのロボット手術の発展はなかったといえます。あまりに長くなったので、本題のクルージングは次項に。

おめでとう、東京!嬉しいけれど少し複雑。

昨晩、スウェーデン時間で22時。

ブエノスアイレスで、2020年夏季オリンピック開催地が発表された。その数時間前には、既にマドリッドが落選。決選投票に残ったのは、東京とイスタンブール。

この時点で、東京の勝利は堅いのでは、という印象であった。東京にとって、運の良いタイミング。直前にセント・ペテルスブルグで行われたG20。このとき、ロシアのプーチン大統領は、「アメリカがシリアを攻撃するなら、ロシアはあらゆる手段でシリアを援助する。」と発言した。そして、ロシアの空母が発進した。

イスタンブールでは、大規模なデモが起こったばかり。それに加え、トルコはシリアに隣接する。それを考えただけでも、イスタンブールでの開催決定はありえない。

日本人として、東京が開催地に選ばれることは、非常に嬉しい。しかしながら、安倍首相が、「福島のコントロールは万全」ということをアピールしたのには愕然とした。現在においても、汚染水が漏出していることは報道されているし、それだけでもコントロールされているとは言えないのは明らかだ。日本国民は、そのような報道にもはや慣れ切ってしまっている。

「地震、津波、福島。暗いニュースばかりだった日本に夢と希望を。」といううたい文句にも物申すことがある。未だに15万人もの人が仮設住宅で暮らしている。その人たちにとっては、東京がオリンピック開催地に選ばれることなど、どうでも良いはずだ。それよりも、今の生活、そして、将来どうなるのかが大切なのだ。地震や福島をIOCにアピールする人たちは、実際に被災している人たちではない。

勿論、オリンピックが開催されることの経済効果など、日本にとってのプラス面も多いことは理解できる。しかし、未だに苦しんでいる人たちの前にオリンピックが優先されてはならない。日本人は、祭りに踊らされやすい民族だ。「夢」や「希望」という甘い言葉に簡単に流されてしまう。

 

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しかし、ロゲ会長が「東京開催」を発表した、この瞬間には、日本人として目頭が熱くなった。勿論、嬉しかった。

日本人の勤勉さやホスピタリティーは、世界に誇れるものだ。そして、日本には素晴らしい文化がある。オリンピック開催国に選ばれたことで得られるメリットを最大限に利用して、国が正しい方向に進み、発展していって欲しいと思う。

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ERUS 2013、2日目

第10回ヨーロッパ泌尿器科ロボット手術学会(ERUS)の2日目は、会場で参加しました。

会場は、ストックホルム中央駅に隣接する地に、新しく建設されたストックホルム・ウオーターフロント・コングレスセンター。Waterfront

鳥かごのような奇抜なフォルムが、ストックホルムの景観を損ねていると私は思います、、、。

dsc03105bこちらには、3000人ほど収容できるホールがあります。ホールは二階立てで、上下の階を別々に使用することもできるのだとか。

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今回は、下階のみ使用しました。こちらと、病院の3つの手術室を結んでライブ手術を放映します。

コンソールに座る術者から、症例の提示があります。

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症例の画像の解説もあります。

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症例によっては、ポートの立て方(腹部のどこに穴を開けるか)の説明も。

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手術全てを見せる訳ではなく、司会は3つのオペ室からの映像を随時チェックし、重要な部分にさしかかったときに、その部屋とつなぐか、術者からつなぐ指示があったときに、映像がホールに流れます。

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ホールでは同時進行で、その他の発表もあります。

会場のすぐ外では、お決まりの、企業による展示ブースがあります。勿論、中心はIntuitive Surgical社の手術用「ダ・ビンチ」ロボット。

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もはや、前立腺癌に対する全摘手術はロボット手術が当たり前。いかに優れた外科医が開腹手術を行ったとしても、そこそこの外科医が行うロボット手術に及びません。テニスで言えば、ジョコビッチがウッドラケットで、カーボンチタンハイブリッドのラケットを使う選手と勝負するようなもので、相手が格下の選手であっても勝てません。

企業展示ブースの横で、ランチビュッフェもサービスされます。久々の国際学会、学ぶことも刺激も多く、とても有意義でした。この後、クルージングがありましたが、それについては次回。

Mr President 来瑞

アメリカのオバマ大統領が、セント・ペテルスブルグで行われるG20に先立って、ストックホルムを訪れました。

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セキュリティーに関しては、普段は甘いスウェーデンですが、今回ばかりは厳重警戒です。アーランダ空港と市内を結ぶ高速道路、E4沿いにあるカロリンスカ大学病院の屋上は、重要な警備箇所にあたり、ロボット学会のライブ手術用のサテライトの設置にも難色を示されました。また、もしオバマ大統領が急病で、カロリンスカ大学の手術室を使う必要がある場合には、病院はほぼ閉鎖状態、勿論、海外からのゲストの術者などが院内に入ることはできないというお達しでした。

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完全に閉鎖されたE4を大統領を乗せたキャデラックが。原子爆弾でも落とされない限りは大丈夫な作りになっているのだそう。

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市内へ入り、グランドホテルへ。

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スウェーデンのラインフェルト首相と会談し、共同記者会見を。

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オバマ大統領の関心事はもっぱら、シリア攻撃のコンセンサスを得ることのようでした。ラインフェルトは、UNの調査を尊重するとしながら、オバマ大統領の決断に理解を示すという態度を取っていました。この晩、オバマ大統領と北欧諸国の首脳とで夕食会が、首相官邸で行われました。紅一点はデンマークの首相です。

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オバマ大統領は自身のコックを帯同し、スウェーデンサイドが用意する料理と全く同じものを自身のコックが調理するのだそうです。流石、世界のナンバーワンVIP、アメリカ大統領です。Air Force Oneには簡単な手術ができる手術室や、輸血用の血液の準備もあるそうです。

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大統領の通り道では、大人気のオバマ大統領でしたが、

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Medborgarplatsenなどでは、シリア攻撃や、Guantanamo収容所など、様々な理由で、オバマ大統領に対するデモが行われました。

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記者会見の際に、SVTの女性記者に、

「シリアを攻撃することを、ノーベル平和賞受賞者としてどう思うか?」

という、勇敢な質問をされた大統領。

「私は平和賞にはふさわしくない。」とした上で、「世の中には、越えてはいけない一線がある。それを越えたとき、アメリカは行動を起こさなければならない。」というような答えをしていました。流石でした。

 

ストックホルム滞在は一晩で、次の朝、国王夫妻に王宮で会ったあと、一路アーランダ空港へ。次の目的地はG20の行われるセント・ペテルスブルグ。

大統領がAir Force Oneに搭乗する前に、スウェーデンらしい粋な場面がありました。

大統領のお見送りに向かうのは、、、。

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スウェーデンの内閣には23人の大臣がいて、そのうちの13人が女性。女性大臣のうち6人が、搭乗口でお見送りしました。

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これには、オバマ大統領も感銘を受けたとのこと(記事)。

なかなかやるね、スウェーデン。

ERUS 2013:世界一大きな泌尿器科ロボット手術の学会

今年のERUS(EAU Robotic Urology Section Congress)がカロリンスカ大学泌尿器科のホストで、ストックホルムで行われます。

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学会のホームページはこちら

学会の目玉は、何といっても、カロリンスカ大学病院の手術室に、世界各国から腕の立つ外科医を招いて行われる手術のライブ放送。学会場は街の中心の会議場で、手術室とつなぎます。最もロボット手術が多く行われる、前立腺全摘だけではなく、膀胱全摘、腎部分切除、膀胱膣瘻、pyeloplastyなど、複数の手術が予定されています。術者にあわせて患者さんを選定し同意を得ていますが、準備だけでも大変なものです。ライブ手術ではごまかしが効きません。新しいテクニックを盗む、良い機会です。

 

ライブ手術は4日から。4日の夜には、バーサ美術館でパーテイーがあります。

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しかし、この日には、何と、シリア攻撃を控えたアメリカのオバマ大統領が来瑞することになっています。セキュリテイー上、重要な場所に立っているカロリンスカ大学病院の屋根には、沢山の警護の警官が立つ予定で(アーランダ空港と市内を結ぶ高速、E4への見通しが利きます)、ライブ手術のサテライトが使えるのかどうかもわからないそうです。E4や市内の一部は完全閉鎖にもなるようで、今回の学会とのバッテイングは痛すぎます。

 

私は、助手を同伴しない術者の助手を務める予定ですが、助手はいえ、緊張します。しかも、私の英語たるや、スウェーデン語の成長とともに、完全なスウィングリッシュ(英文にスウェーデン語の単語が混ざる)となっている悲惨な状態。どうなることやら。スウィングリッシュが会場に流れたら恥ずかしい、、、。

 

バーサ美術館のパーテイーは出席するかどうか迷いましたが、その日は何とオンコール。若い先生がファーストコールでいるとはいえ、やはり自宅待機がベターかと。朝のミーテイングで、「オバマ大統領が尿閉になったら、カテーテルを入れる心の準備ができている!?」というようなジョークが飛び出し、カテーテル挿入くらいなら同伴する医師が入れるでしょうが、それ以上の泌尿器科的緊急疾患の場合は、呼び出しが掛かることもあるのでは、などと話していました。大統領が急病で受診ということは、まずあり得ないことにしても、700名もの人間が同行するので、その中の誰かが急病になることは、あり得ない話ではないかもしれません(Air Force Oneには6名の医師が搭乗し、緊急手術に対応できる設備があるそうです!)。

子供病院にて

子供病院には、長期入院が必要な子供のための図書館や学校があります。

 

入院早々、図書館の司書の方が来室して下さいました。「ぼく」のために、本と、

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歌のCDをCDプレーヤーと一緒に。

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母親である私も、希望すれば本や雑誌が借りられるとのことでした。こんな心遣いはとても嬉しいものです。

 

治療が進み、元気になると、「ぼく」はじっとしていられません。

「ぼく」は長いものが大好き。掃除用のモップを発見。

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お掃除するところ、ないかな。

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よっこら。

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ドアがあるぞ!

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ドアくらい自分で開けちゃう!

トイレ発見!

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しめしめ。明かりが自然についた!

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そこで発見したものは、、、。

点滴ラインの入ったままの左手に持つのは、何と、便器用ブラシ!

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利き手らしい右手に持ち替えて、トイレ掃除に向かう?

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と思いきや、ブラシを振り回す「ぼく」。

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攻撃!やめてくれ~!!!2013-08-23 10.46.54b

 

いたずらの復活は元気の証拠。

この日、念のため、外泊許可を頂き帰宅。そのまま2日後に退院となりました。

ご心配いただいた皆様、ありがとうございます。

しかし、その後、見事に「わたし」に風邪がうつりました。とほほ、、、。

スウェーデンの救急外来:医師として、患者として

悪名高きスウェーデンの救急外来。最近は待ち時間も少しは短縮されたものの、それでも、診察まで数時間待ちは珍しくありません。スウェーデン人にでさえ評判が悪いのに、フリーアクセスに慣れ切っている日本人には、とても信じられないことが多いと思います。今回は、医師である私が患者として経験した救急医療について書いてみます。医療従事者が患者である場合、やはり一般人と扱いが多少異なることは多いのですが、スウェーデンにおいて救急医療がどのように機能するのかを、非医療従事者の方にも少しは理解していただけるのではないかと思います。

 

私自身、この1,2年で救急外来を患者として受診したのは、3回。最初の2回については、医者の不養生シリーズ(1)-(5)をどうぞ。このとき、2回目には緊急入院になった訳ですが、当時、実は19週の妊婦でした。19週といえども、双子の妊娠中でしたから、お腹は相当大きくなっていました。そんなときに風邪から喘息発作、肋骨骨折に肺炎と、まさに何重苦でした。授乳中には使えないモルヒネを妊婦には使えることが有難かった。酸素飽和度が低かったため、肺塞栓が疑われて、妊娠中にもかかわらずCT検査となり、心が折れそうになりました。現在のスパイラルCTによる被爆はわずかで、胎児への影響は考えなくても良いと知ってはいましたが、、、。ただ、造影剤を使ったため、将来的に甲状腺機能のチェックが必要ということでした。この2回の救急外来受診では、症状が重症だったことで、殆ど待つことなく診察を受けることができましたし、やはり自分自身が医師だということで、丁重な扱いを受けたように思います。

 

スウェーデンでは、救急外来を受診する前に電話相談することが推奨されていますが、救急外来の資源不足もあり、通常は、どうにかして自宅待機するように説得されます。医療従事者としてあまり声を高くして言ってはいけないのかもしれませんが、緊急性が高いと判断(非医療者には難しいことですが、何かいつもと違うと感じたときには緊急性があると自己判断しても良いと思います)した場合は、電話相談をすることなしに救急外来を受診するのがベストです。電話相談せずに受診しても、診察を受けることができないということはありません。また、スウェーデンでは、住所により所属病院が決められていますが、救急外来に関してはその限りではありません。ストックホルムの南地区に居住している場合は、南病院かカロリンスカ大学Huddinge院の所属になりますが、例えば、南病院の救急外来はストックホルムで最大規模であり、重症患者が多いこともあり、待ち時間は非常に長いことが知られています。よって、Huddinge院を受診するのがベターです。カロリンスカ大学Solna院も相当に混んでおりますので、少し郊外ですがHuddingeに行くほうが良いこともあります。また、場合によっては、私立のCapio S:t Görans Sjukhusの救急外来という手段もあります。この病院は私のアパートから目と鼻の先ほどにあり、機会があれば利用してみようと考えています。

 

スウェーデンの救急外来では、基本的に救急所属の内科系あるいは外科系医師が初期診察を行います。専門医の判断が必要であれば、まずは当該専門医に電話相談し助言を仰ぎます。必要に応じて専門医が救急外来で診察を行うことになります。私が所属する泌尿器科は、病院内で宿直をする当直医はおらず、(自宅待機の)オンコールの医師が対応をすることになっていますが、大方のケースは電話でのやりとりで済ませます。緊急入院となる際にも、救急医により緊急検査および緊急を要する処置が可能であれば、全て電話での対応となります。オンコールの医師の手当ては、オンコールとしての給与と、実際に電話で会話に要した時間や、病院へ出勤が必要となった時間と、それらが発生した時刻の時間給により(時間帯により手当ても異なります)決まりますので、オンコールとした方が、科としてのコストを低く抑えることができます。最近では、時間給の安い若い先生をファーストコールとすることで、さらにコストを抑えるようにもしています。緊急手術となれば上級医の出勤が必要な場合もありますが、下級医が単独で手術可能と自己判断すれば、単独で行うことも少なくありません。患者サイドからしてみて少し怖いところでもあります。複数の医師が手術に必要な場合は、科内あるいは、外科当直などから助手を探します。患者さんの急変や死亡などの場合、泌尿器科では院内の移動救急チーム(MIGチーム:Moblil intensivvårdsgrupp)あるいは外科当直が代わりに対応しています。

 

話は戻りますが、3回目の救急受診は、妊娠31週で破水したときでした。このときは、通常の救急外来ではなく、産科救急を受診することになっていたので、一応電話相談をしました。このときのことは、またの機会に譲りますが、受診後、直ちに緊急入院となりました。この際の迅速な対応は私が医師だったということとは無関係で、とても素晴らしい医療を受けることができました。

 

双子を初めて救急外来へ連れていったのは、今年の2月でした。2月のある金曜日、同じ時期に生まれた子供とその親が集まる会が地域の診療所でありました。そのときに、おもちゃを共有したことが原因だと推測される、ウイルス性胃腸炎に双子が罹患してしまいました。40度の高熱、嘔吐、そして何よりも強烈なのが、水様下痢。オムツ交換台に載せてオムツを外すと、1メートル位の下痢の発射に見舞われます。オムツを替えても替えても、すぐに下痢で水浸し。泣く元気も無くなってきた双子を、初めて救急外来へ連れてゆく決心をします。これでは脱水になってしまう。点滴が必要だと判断しました。

 

カロリンスカ大学Solna院のAstrid Lindgren子供病院の夜間の救急外来は、病児が多発する時期もあって待合室は人で溢れていました。床に座る人までいます。お決まりのように番号札を取って待つこと2時間。ようやく看護師さんの問診にたどり着きます。そこで言われたことは、「医師の診察まであと2時間以上待ちます。診察を受けたとして、入院が必要な場合は、現在ベッドは満床のため、Huddingeに行ってもらいます。Huddingeでも看護師の問診まで2時間は待つことになります。」という何ともショッキングなことでした。そのときには、双子は声も出ぬほど息も絶え絶え。そんなことをしていたら、死んでしまうと思いました。「家へ連れて帰って何とかしよう。」と決心しかけたとき、元同僚の小児科医から、診療相談の返事がSMSで届きました。輸液などが必要という、私の判断をサポートする内容だったため、問診担当の看護師さんに、「私の友人でここの小児科医の○○医師に相談したら、このように言われた。実は私もカロリンスカで働く外科医です。」と伝えたところ、その会話を聞いていた少し年配の看護師さんが奥に入って、当直医と話をしてきてくれました。当直医の先生が出てきてくれたのですが、それがなんと、知り合いの先生でした。そうなると話は早い。簡単に聴診などをしてもらって、「脱水もまだ高度ではないので、家に連れて帰って5分おきに注射器で等浸透圧性ドリンクを口の中へ流し込んで、とにかく水分補給さえできれば何とか乗り切れそうだ。」という見立てをいただき、結局、受診せずに双子を家へ連れて帰ることになったのです。

 

家では、所謂、子供用のスポーツドリンクのようなものを、指示通り、夜通し口から注入し続け、幸い症状は徐々に快方に向かっていきました。しかし、このときばかりは、私が医師でなかったら、危なかったのではないかと感じ、ヒヤッとしました。

双子を救ってくれた緊急用のドリンクパウダーはこちら。以来、自宅にこれは欠かせません。

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スウェーデン在住で、乳幼児をお持ちの方、通常のスーパーで購入可能ですので、常備することをお勧め致します。その後も何回もこれに救われました。

 

双子の胃腸炎の際には、散々な目に遭った救急外来ですが、その後、「ぼく」が呼吸困難になった際には、とても素早い対応をしていただいています。勿論、一分一秒を争う緊急性が潜在する呼吸器や循環器、脳などの疾患の場合は、受身になることなく、(強引にでも)プッシュさえすれば、優先してもらえます。しかし、プッシュをする判断は患者側がしなければならないのです。アクセスの悪いスウェーデンの医療に対応するためには、様々な知恵が必要です。医療システムの不備で、最悪、命を落とすようなことになっても、スウェーデンでは十分な保障を受けることはありえません。少し前に、日本で、肺炎の診断の遅れにより90代の患者さんが死亡したことで、数千万円の慰謝料が発生したというニュースがありましたが、スウェーデンでは考えられない話です。相当高齢である90代の患者さんが亡くなるのは、どのような理由であろうと自然なことであると考えられ、そのような患者さんに対する医療過誤があったとしても、その医療過誤に対する保障が発生することはありません。この点については、高度な医療を安価に平等に供給する医療システムを長続きさせるという点では、スウェーデンの医療保障システムが一方的に悪いとはいえないと思いますが、論点がずれるのでここでは触れずにおきます。

 

繰り返しになりますが、大人よりも予備能が低い子供は、親が賢く守ってあげなければなりません。在瑞邦人の皆様、頑張りましょう!

 

最後に、余談となりますが、スウェーデンのように医療に対するアクセスが悪い国に住んでいると、日本の医療システムが、いかに患者さんに優しいかということを感じます。日本国民はそれを認識していないため、クレームや訴訟が多発し、過度な検査や治療は医療費の高騰を招き、結果として日本の医療の崩壊が静かに進んでいるのです。井の中の蛙、大海を知らずとはいえ、大変不幸なことです。

緊急入院

親が付き添う慣らし保育の2日目。数日前まで「わたし」の鼻がぐずぐずしていましたが、双子では感染症、殊にウイルス感染症の移し合いは避けて通ることができず、予想通り、「ぼく」の鼻もぐずぐずし始めていました。これまで風邪を引くと必ず喘息様発作を起こす双子。「ぼく」に至っては、今まで2回、呼吸困難で救急外来へ連れて行ったことがあります。

 

この日、お昼寝から起きてきた「ぼく」のご機嫌はいま一つ。大事を取って、おやつの時間を待たずに帰宅することにしました。2日間の保育園の印象では、子供たちがどのくらい食べているのか、そして飲水しているのかのチェックが甘いと思いましたが、案の定、帰宅後の尿量が著しく少ないのが気になりました。「わたし」はお水を飲むのが大好きなのですが、「ぼく」は普段から苦手。しかも、このところ少々便が緩めのため、尿量はさらに少ない傾向に。なだめすかせて水分摂取を促すのですが、うまくいきません。そのうち、だっこしていないと大泣き。呼吸もぜいぜいと苦しそうなので、手持ちの気管支拡張薬の吸入、点鼻薬に鼻から分泌物の吸引をしてみますが、わずかの効果のみ。聴診してみると、湿性ラ音ではなく、乾性で、バリバリと音がします。呼吸数は次第に増え、一分間に50回程度、臥床できない、所謂、起座呼吸の状態となります。体温は39度強。風邪から喘息様発作、脱水、そして肺炎の可能性も否定できず、もはや救急外来に駆け込むしかありませんでした。

 

職場に隣接したAstrid Lindgren子供病院の救急に到着したのが18時くらい。待合室に複数の患者さんが待っているのが見えました。こちらでは、到着したら、まず、「番号札」を取って、看護師さんの問診の順番を待つのがシステムです(何とも非効率的かつ、危険なシステムで、何とかならないものなのか。)。私に抱かれた「ぼく」は絶え間なく泣き続け、この状態で番号札の順番を待っている訳にはいきません。ここは、医師である強みです。カウンターに座っている看護師さんをすぐにつかまえて、「1歳男児、呼吸困難で呼吸数50以上です。」と伝えました。勿論、看護師さんは緊急性があると瞬時に判断してくれ、酸素飽和度、呼吸数、体温を測定した後、直ちに治療室へ入れてもらいました。酸素飽和度は90%を下回りこそしませんでしたが、90%ぎりぎりで、心拍数も180以上でした。子供はいろいろな意味で予備能が小さいので、あっという間に状態が悪くなり手後れになる危険があるため、注意が必要です。

 

治療室に入ると数分もしないうちに、医師の診察となりましたが、呼吸困難が激しいため聴診もままならず、すぐに気管支拡張薬の吸入となりました。自宅で行う吸入と薬剤は同じでも、圧をかけて薬液を霧化させることにより、薬剤粒子が数ミクロンと小さくなるため、非常に効果があります。2回の吸入の後、呼吸数はあまり減らないものの、酸素飽和度は94%程度に上がりました。前回、前々回の発作の際には、吸入のみで帰宅しましたが、今回は脱水や発熱などもあることから、緊急入院となりました。入院となれば、親の付き添いが必要です。勿論、「わたし」は帰宅しなければなりません。幸い、お友達のYさんが一緒に来て下さっていたため、母である私の付き添い準備などもすることができました。助けてくれる身内が誰もいないため、このような救いの手は、本当に有難いものです。感謝です。

 

入院を待つ間、採血、そして点滴のラインを入れました。脱水気味の小さな手の甲に針を入れるのは易しいことではなく、右手で失敗し、左手でも針先が血管に当たっているようで、出し入れを繰り返した上に成功。手の甲に、あらかじめ麻酔クリームで麻酔をしていたものの痛みは感じているはずなのに、呼吸をすることに疲れ切った「ぼく」は針を刺されている間中、昏睡状態で、驚いた医師の指示で血液ガスまで取ることになりました。

 

その後、胸部レントゲン写真の撮影。「ぼく」は両腕を上に挙げた状態で正面と側面からレントゲンを撮ることになりましたが、その間も泣くこともなく、おとなしくしてくれ、母は難だか涙がこぼれそうになりした。結果、肺野に多少の浸潤影があるものの、低いCRPと合わせて細菌性肺炎は否定的で、抗生剤の投与は見送られました(日本だったら抗生剤を投与するのでしょう、、、。)。

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病棟は、救急外来に隣接する、救急・感染症病棟。

呼吸困難の恐怖で泣き叫び、疲れ切った「ぼく」は、病室で眠りに付きました。電解質を加えた50%グルコース溶液、一時間あたり144mlの点滴を輸液ポンプで。このとき、おむつは乾燥したままでしたが、夜中から少しずつ排尿がありました。

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簡単にパンと紅茶を出してもらいました。

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部屋にはソファーベッドがありましたが、母は「ぼく」に添い寝。その晩は、2時間おきの吸入がありました。仮眠程度しか取ることができなかった母ですが、「ぼく」が呼吸ができて、安全に眠ってくれていることが、何よりもの安らぎでした。

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保育園始まる!

スウェーデンでは地域によっても多少の差はあるものの、1歳を過ぎた頃から、保育園に預けることができます。ストックホルムではこのところずっと続いているベビーブームのため、保育園を確保するのは簡単なことではありません。殊に、私の住むKungsholmenでは、相当な出生数で、競争も激しいのです。運良く、自宅から100メートルくらいのところにある台に希望の保育園に入れてもらうことになりました。

噂では、歩けない子供は断られるなどという話もあり、歩ける「ぼく」と、まだ歩くことのできない「わたし」の母としては、とても心配していました。最初の3日間は、親が付き添うことになっています。

 

登園すると、既に、双子の名前が書かれた棚が、靴置き場に用意されていました。

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少し遅めの登園だったので、他のお友達は園庭で遊んでいます。私たちは屋内でガイダンスを受けました。同じクラスのお友達は17名。双子が最もおちびさんで、最も大きなお友達は2歳。法律では、保育士さん1名あたり園児は5名までなのですが、このグループでは17名に3名で、定員オーバーです。少し心配、、、。でも、トップの先生は少し年配のフィンランド人の女性で、長い経験があり、かつ、とても感じの良い方で、安心しました。

11時頃に園庭で遊んでいたお友達が屋内へ入ってきます。順番におむつ交換。手を洗ったあと昼食です。この保育園には専門のコックさんがいて、園内のキッチンで食事が用意されます。今日のメニューは、じゃがいものブッレに三枚肉(ベーコン?)、そしてスウェーデンお決まりのリンゴンジャム。

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双子は、まだ、スプーンも使うことができません。レインコートのような装備で準備。

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この後、親が食べさせましたが、テーブルの上は悲惨なことに。勿論、床も。他のお友達は、ちゃんとスプーンを使って食べていました。我が双子、これからやってゆけるかしら、、、。

 

ランチのあとは、お昼寝です。少し暗くしたお部屋に一人一枚ずつマドラスをもらって寝ます。初日は全く寝られず、お部屋から退場した双子。二日目は、、、。

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しかし、この頃から、体調がいま一つだった「ぼく」。この後、とんでもないことに、、、。

 

 

 


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