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仕事納め

12月29日、30日は通常勤務で、30日が年内の仕事納めに当たります。私は両日共に手術日でした。

オペ室にやってくると、ドアにこんな張り紙が!

2014-12-30 08.56.28

 

今年のロボット前立腺摘出術が603件(601は間違い)で、ヨーロッパで最も多くの症例をやったという内容。しかし、1件目に時間がかかって2件目をキャンセルしなければならないと、この数が少なくなる訳で、ちょっとプレッシャーですが、看護師さんサイドからのこんな張り紙は、張合いになります。

1件目はハイリスクの前立腺癌で、リンパ節郭清をバッチリやりましたが、どうした訳か腹腔内は腸管の癒着が高度で剥離に時間 がかかり、さらに腫大したリンパ節が大血管に癒着していて、難しかった。それでも、正午くらいには終了したため、2件目も問題なく手術できることになり、ホッとしました。最後の症例は中レベルのリスクの前立腺癌でした。しかし、結構大きな中葉があっ て、多少時間がかかりましたが、1時間半弱で終了。結局、16時前には終わり、良い締めとなりました。

本格的にこの手術を始めたのが、去年の9月。数えてみると、これまでに100例弱を執刀しましたが、通常の症例であれば1時間前後、難しい症例では2時間程度、リンパ節郭清を徹底的にやっても2時間から3時間弱で終了するようになり、自信がつきました。外科医としては、麻酔科の先生に褒められることは非常に名誉なことなのですが(麻酔科医はどの外科医が上手か下手か、良く知っています)、最近も、「とってもエレガントな手術ね!」と過分な褒め言葉をもらい、とても嬉しく思いました。手術で時間や出血量を競う外科医もいますが、もちろん、上手な外科医は短時間で少ない出血量で手術しますが、癌であれば根治性、そして、機能温存という面でも、優れた結果がなければいけません。その点でも、私の手術後の癌の根治性や尿禁制(尿失禁がないこと)の割合は非常に高く、満足のいくものでした。インポテンスに関しては、自慢はできませんが、、、。

 

新しい年も、さらに研鑽を重ね、よりメスの切れる外科医を目指し、また、愛のある診療を心がけたいと思います。

STAP騒動に幕

今年の1月、Natrueに発表されたSTAP細胞に関する論文。発表された日から注目していました。カロリンスカでも、ノーベル賞に値する発見かどうかという噂話をしている人たちがいました(もっとも、選考委員会に近い人たちの意見は、「既にstress-induced multipotential cellが報告されているし、無理だろう。」といった感じでしたが。)。

「リケジョ」などの新語を生むなど、日本では一大センセーションを巻き起こし、小保方氏は一躍、時の人となりましたが、一方、論文の発表直後から、論文の信憑性についての議論が始まりました。

小保方氏が、「してはいけないという認識がなかった。」とした、電気泳動のバンドの切り貼り。

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蛋白実験や遺伝子解析を扱う研究をしたものであれば、これだけでアウトと考えるのが自然なのではないでしょうか。私もその一人として、そう思いました。全てのレーンが論文掲載に堪え得るクオリティのものが得られるまで、何十回でも、何百回でも繰り返すのが常識。それがNatureのようなトップジャーナルであればなおさらのことです。

 

asahididital(朝日新聞デジタルより)

 

STAP細胞は体細胞由来の細胞から簡単に万能細胞が作製できるという点が売りであるため、STAP細胞には、体細胞で見られるべき、「T細胞受容体遺伝子の再構成」がある必要性がありましたが、この点が覆ってしまったため、共同著者の若山教授から論文撤回の呼びかけが3月にありました。

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その他も、博士論文からの複数の画像の流用や、実験方法の部分における、他論文からのコピペなど、お粗末としかいいようのない捏造疑惑が次から次へと明らかになります。通常の科学者であれば、もはや論文撤回は当たり前、呆れを通り越して怒りさえ覚えたのではないでしょうか。その中で、日本の誇れる研究者である笹井氏が、小保方氏を庇い続けたのは不思議でした。カロリンスカでも再生医学の分野では良く知られていた笹井氏は、将来、ノーベル賞を取る可能性もあるとされていたようです。ノーベル賞を取るためには、優れた科学者であるだけではなく、類まれな運を持っていなければなりません。言い換えれば、天才と言われるまで優れている必要はないけれど、強運がなければいけないと言えるかもしれません。そういった意味では、笹井氏は天才的な研究者だったようです。そして非運、悲運の。iPS細胞では、当時、世界中の多くの研究者が同じ手法でiPS細胞の作製を目指しており、iPS細胞の作製に成功しノーベル賞に到達することは時間との競争で、新しい発想が必要だった訳ではありません。つくづく運命とは皮肉なものだと思わざるを得ません。

そして、今年の8月5日。悲劇は起こりました。天才的研究者、笹井氏の自殺。遺された複数の遺書から、知られていなかった真実が明らかになるかとも思いました。「小保方さんのせいではありません。」「STAP細胞を証明してください。」「新しい人生を歩んでください。」などの表現を目にしたとき、私は、彼は彼女を本当に大事にしていたんだな(愛していたんだな)、と思いました。STAP細胞がないことはすでに彼は知っていたはずなのに。理研内では、映画「ボディーガード」で、ホイットニーヒューストンを守るケビンコスナーを気取っていたそうですが、自分の死に際しても、彼女を守ろうとした、、、、。笹井氏には妻子もいたようですから、人目を憚る関係であったのでしょうが、研究所では大手を振っての同志。研究の道に足を踏み入れた女性が、天才肌の研究者に恋し、男盛の研究者が、日夜傍にいて研究に邁進する妙齢の美しい女性に心を奪われるのも不思議ではない、というより、そうならない方が不思議です。また、笹井氏ともあろう人が、STAP細胞が存在しないことや、小保方氏が研究者として稚拙であることを、認識しなかったはずがありません。少なくとも、論文がpublishされたのち、様々な疑惑が沸き起こったあとは。勿論、ことの始まりは、殊に、iPS細胞に再生医学研究におけるひな壇をさらわれたことなどの研究者としての焦りなどがあったのかもしれませんし、故に研究者としての能力を見抜くことは難しいことではなかったはずなのに、目くらましにあってしまったのでしょう。

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そして大方の想像通り、STAP細胞の存在は証明されることなく、検証実験は終了。小保方氏が200回以上作製に成功したのはES細胞だったのでしょう。小保方氏は退職。野依氏を冠する理研らしい幕引きです。

小保方氏の研究者としての将来がないのは自明です。多量のコピペが発見された博士論文であるにもかかわらず、早稲田が彼女の博士号の撤回を決定しないのもおかしな話ですが、捏造論文で教授職を得ても、教授職に留まることのできる日本ですから、所詮、そんなものなのかもしれません。

 

自己責任とはいえ、小保方氏に出会ったことが悲劇の始まりとなり、自らの命を絶った笹井博士。日本も世界に誇れる研究者を失いました。悲しいことです。Nature blogも笹井博士の死に際してコメントを出しました(記事)。

JAPAN-STEMCELL-RESEARCH-SCIENCE-SCANDAL

彼の死を止めることはできなかったのか。私が小保方氏で、本当に彼を愛していたなら、「捏造は全て自分がやった。彼の責任ではない。」と言ったと思います。そして、おそらく、それが真実だろうと思います。研究者でない人は、「彼は指導者なのだから、彼女の不始末は彼の責任。」と軽々しく言いますが、何千という実験の全てをコントロールすることは、指導者であっても不可能に近いことです。このあたりの事情は、やはり経験者にしか理解できないのか、非研究者と研究者、文系研究者と理系研究者、また、理系研究者であっても、同じような実験系を使う研究者と使わない研究者とでは、意見が異なっているのが印象的でした。

 

私の気持ちに近い記事を発見したので、リンクを貼っておきます。週刊現代という雑誌がどういう雑誌かは知りませんが、バランス良く(私の好みに)書かれているような気がします。産経のこちらもおすすめです。

最後に、、、。小保方氏が確信犯であったのかどうか、ずっと想いを巡らせてきました。小保方氏が全くのおバカさんで、自分の間違いに気づいていなかった。あるいは、確信犯であった。私の結論は、後者です。おそらく、大学時代に始めたコピペなりの小さな不正が想像以上に有効で、その成功に味をしめ、不正を繰り返した。そして、その不正は徐々に膨れ上がり、後戻りできなくなってしまった、、、。

笹井氏の死という大悲劇をもたらしたことで、彼女が少しでも後悔してくれていることを祈ります。

外科医にとって「筆を折る」こととは

「筆を折る」

外科医ならば、「メスを置く」とでも言えましょうか。物書きに(望まなければ)定年はないけれど、外科医には必ず「メスを置く」、つまり、手術をやめなければならない時がやってきます。しかし、定年よりずっと以前に、「メスを置く」ことを考えるときが、正常な精神を持つ外科医であれば必ず何回かはあるものだと思います。

 

世の中でメスの切れる名医と称される外科医であっても、トレーニングの過程、そして、新しい術式や、難しい症例を扱うことになれば、所謂、「屍を踏み越える」ことによって、技術を更に磨くというステップを避けて通ることはできません。ましてや、凡人ならなおさらのこと。

 

女性の外科医は何故少ないのか。男女平等が進んでいるスウェーデンでも然り。男社会で勝ち抜いてゆくことがタフであることは、折々述べている通りですが、それ以外の要因として、女性の感受性の強さも原因の一つとしてあるような気がしています。手術がうまくいかなかったとき、それにより自分を責める傾向は、女性外科医に強い印象があります。そして、その失敗をひきずってしまうことにより、手術をすることが怖くなってしまう、、、。

 

同僚を見回して、手術が上手な教授より若手の(教授は50代前半!)中に、手術が上手な先生がいます。勿論、男性です。彼がロボット前立腺手術を始めたときに、何と、両側の尿管を縛ってしまうということが起きました。私だったら、少なくとも数ヶ月は手術はできないでしょう。しかし、彼はその後も平然と手術を続けていました。カロリンスカ大学の泌尿器科では、世界でもいち早くロボットによる膀胱全摘を始め、中でも、膀胱摘出後の尿路変向をロボットで行う(つまり、体外ではなく体内で行う)術式を取る施設は、世界でも稀有です。今週は、そんな訳で、泌尿器科癌の治療においては、「泣く子もだまる」ニューヨークのメモリアルスローンケタリング病院から手術の見学にやってきました。連日、3つの手術室で、3台のロボットによる、膀胱全摘、前立腺全摘が行われているのを見て、驚いているようでした。現在では、膀胱全摘の部分は1時間弱で終了するようになり、総手術時間は、回腸導管で3時間、自排尿型新膀胱でも4時間強と、開腹術に劣らぬようになりました。出血は殆どしませんし、患者さんも1週間以内に退院するようになり、手術後の疼痛も激減しました。しかし、5年ほど前に私が初めてこの手術を見たときには、手術の上手な教授でも10時間近くかかり、しかもその患者さんは術後に脳梗塞を起こした上、尿管の吻合部狭窄、腎不全と合併症を起こし、現在も腎瘻を挿入したままです。その後、患者さんは教授を訴えましたが、特に外科医側のミスが認められた訳でもなく、必然的に教授はその後その患者さんを診察することもありませんでした。文字通り、その患者さんは手術の進歩のための踏み台となった訳です。

手術の失敗、というより、手術で合併症を起こした件につき、それぞれの外科医と膝をつめて話した訳ではありませんし、彼らが心を痛め、それを克服した上で続けていることを否定しませんが、男女を比べると、男性の方がタフであるように思います。

私にも、苦い経験はいくつかあります。例えば、20年ほど前に膀胱全摘をしたおばあちゃんがいました。彼女は、大腸癌で結腸半切など、いくつかの腹部手術を受けていました。手術は特に問題なく行われましたが、腸の癒着を剥離し切れていなかった横隔膜下に浸出液がたまり、感染、イレウス、腎不全となり、ドレーンを利用した腹膜透析までしました。しかし、ある日、膣断端から便の排出を認め、つまり、腸管吻合不全となってしまいました。その後、多臓器不全となり、最後はストーマから大出血して、救命することができませんでした。術後1週間以内のことで、所謂、「術死」となります。指導医のもとでの手術でしたが、執刀医であることに代わりはなく、深く深く傷付き、落ち込みました。術死の経験はその一件だけですが、苦い経験をする折々に、「筆を折る」ことを考えました。待機手術で合併症が起こった場合、外科医がメスを入れることにより病状が悪化することが有り得ますし、下手な手術をして癌の治癒が期待できなくなったり、機能を損傷してしまうことも少なくありません。人間の体にメスを入れるということは、それだけ責任が重いということです。

スウェーデンでも、数年前に同じように合併症で手術数日後に亡くなった患者さんがいましたが、執刀医は休暇中で、出勤してくることはありませんでした。日本ではそういう訳にはいきませんが、スウェーデンでは患者さんの急変時でも、主治医に休暇中の出勤義務はありません。大きな手術になればなるほど、起こりうる合併症にも大きなものが増えます。長い手術の肉体的負担に加え、合併症を乗り越えていかなければ、外科医としての腕が上がらないという精神的負担の双方を抱えるには、男性の方が有利なのでしょうか。スウェーデンにおける最大かつ最先端の大学病院の泌尿器科でさえ、膀胱全摘や前立腺全摘をする女性外科医が、私以外にはいないことは、とても不思議に思えるのですが、やはり、女性には荷が重いのでしょうか。

 

私がロボット前立腺全摘の術者を30件くらいこなしたところで、自分としては、かなりいけていると勘違いしていましたが、その後、難しい症例にあたって、その自信は見事に砕け散りました。500例ほど経験のある年上の先生と話をしたら、彼も30件ほど手術した時期に、同じような経験をしたそうです。その後も上がったり下がったりしながら、上達していったとのこと。前立腺全摘の際は、ミリメートル単位での切除範囲の決断が必要になります。切除し過ぎれば神経を損傷することになり、切除範囲が少な過ぎれば、癌が残る危険性があります。しかも、人間の前立腺は十人十色で、形も大きさも性状も人それぞれなので、十分な症例数をこなさなければエキスパートとはいえません。

 

体力、精神力の続く限り、「筆を折る」ことなく、外科医道を邁進したいと思っていますが、1歳半の双子を抱え、オンコールでも働いているので100%以上働いていることになり、正直に言えば、かなりきついと感じています。人は皆、口を揃えて、「もう少し勤務を減らした方が良い。」とアドバイスしてくれます。今後のライフスタイルについては、考慮の余地がありそうです、、、。

世界で最もハイコストな病院

私の勤務しているカロリンスカ大学病院(ソルナ院)の敷地では、2016年に開院予定の新病院の建設が進んでいます。

この新病院建設は、SKANSKAが行っていますが、この事業の入札に関しては、いろいろと取り沙汰されたことも。総額は520億スウェーデンクローナに上るそうです。

マッキンゼーが、ヨーロッパ及びアメリカで最近建設された病院の、1平方メートル当たりのコストを比較したレポートによると、、、。2013-12-20 18.11.44b

 

新カロリンスカ病院は一平方メートル当たり4万6千クローネと、最も高額だということです。

現在、800床ですが、新病院では、730床と、170床も少なくなります。そして全室個室。現在でもベッドは全く足りていないので、医師からはこの新病院への批判の声が大きいのですが、何しろ、政治家が決めたこと。

既に旧病院周辺は、数年前の景色が思い出せないほど様変わり。新病院完成時には、このような感じに。

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Solnavägenの反対側のカロリンスカ研究所ともスカイウォークで連結されます。

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救急疾患に重きを置くようになるとのことで、屋上にはヘリポートが。

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前述のように、病室は全室個室。これで、院内感染も減らすことができるとか。

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放射線治療室はこのように。まるで美術館?

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手術室は何と36部屋になるようですが、ベッド数が減ってどのように運営されるのか懸念されます。

首を切られることのない雇用契約の私は、このままいけば新病院で働くことになります。楽しみといえば楽しみです。

写真はDNから拝借しました。記事はこちら

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最後の2枚はカロリンスカ大学病院のHPより。

法律が粉ミルク授乳を差別!?

先日の医師向け雑誌läkaretidningenにも大きく取り上げられました。

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「不平等で思いやりにかける」

という見出しです。

 

11月28日、スウェーデンの国会は、次のような法律を可決しました。

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粉ミルクの宣伝を制限するという法律ですが、広告は学術的論文か、新生児を対象とした出版物に限定するというものです。この法律に対して、多くの専門家や母親たちが怒りの声を上げています。誰でも母乳による育児が最善であることは理解しています。しかし、最近の調整ミルクは母乳に近づき、調整ミルクが母乳に劣るというエビデンスはないそうです。調整ミルクで育てている母親からは、「新法は授乳法の選択の自由に対する圧力」、「母乳育児ができない母親への負の圧力になる」などの声が上がっています。FBにも「Rätten att välja Flaskmatning(哺乳瓶授乳を選択する権利)」というグループが存在します。

 

母乳育児をしたくてもできなかった私としては、やはり、新法には疑問符が。

妊娠中から母乳育児を心待ちにしていました。子供がおっぱいを飲んでくれること、それにより得られるフィジカルなコンタクトは素晴らしいに違いないと。手押しの搾乳ポンプも買いました。しかし、現実は期待を裏切る辛いものでした。

31週に破水し、ステロイドと抗生剤の投与を始めて、何とか子供の肺のサーファクタントが産生されるようになる48時間を持ちこたえることができましたが、32週で緊急帝王切開となりました。最初の数日は、寄付された母乳を胃管から注入しました。その間、母親である私は、毎日、3時間置きに、電動ポンプを使っての乳腺刺激をしました。やっと出た数ミリリットルの初乳を、きっちり2等分して、双子に与えました。CPAPを外した頃から、最初は一人ずつ授乳。

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しかし、双子は2キロもない小さな体。おっぱいを吸う力も強くありません。

おしゃぶりの大きさから、いかに小さかったかが思い出されます。しかも、脂肪がまだつききっていない、骨と皮だけに近い状態。

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この小さな体でおっぱいを直接吸うのは大変なので、おっぱいの上から吸いやすい形の人工おっぱいのような装具を付けて授乳します。電動搾乳機を使っても、10ccなど夢のまた夢。それでも搾乳された母乳を看護師さんに渡して次の授乳で使います。搾乳された母乳を置くカウンターがあるのですが、大きなボトルになみなみと入った、他のママの母乳を見ると、涙がこぼれそうになりました。そのうち、ダブル授乳を勧められ、小さな小さな双子を両胸に。

 

次の写真は、ダブル授乳のあと、通常量のミルクを注射器で胃管から注入しているところ。

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看護師さんが病室に回ってくるたびに、搾乳したかチェックされます。毎回授乳のあとに搾乳するようにということだったので、夜中も3時間おきに搾乳。空に近い容器を見るたびに、悲しみと疲労とで、涙が出そうになりました。そのうち出るようになると言われていましたが、3週間の入院期間にはさっぱりでした。

胃管と呼吸モニターのついたままの双子を連れて帰宅したのが、出産からおよそ3週間後。レンタルの電動搾乳機も持って帰りました。自宅には毎週2回、訪問診療の看護師さんが往診してくれます。呼吸管理のモニターはそのうちに外れました。最後に残るのが胃管です。時が経つにつれ、双子は鼻から挿入され、テープで固定されている胃管を嫌がって、自分で抜くようになりました。通常は、訪問診療の看護師さんに連絡するか、時間外であれば救急外来へ連れて行かなければならないですが、私は外科医ですから、自分で挿入しなおしました。母乳授乳を希望するならば、胃管は残しておかなければなりません。哺乳瓶を与えてしまうと、赤ちゃんはおっぱいを吸わなくなり、楽な哺乳瓶を好むようになるからです。当初は母乳で頑張ろうと思っていましたが、管を嫌がる双子を見ているうちに、「この管を抜いてあげたい」と思うようになりました。そうなれば、母乳を諦めなければなりません。苦渋の決断でした。「子供のために母乳授乳を諦める」というのが、私の出した結論でした。双子は上手に哺乳瓶からミルクを飲んでくれたので、まもなく胃管を抜くことができました。母乳授乳ができなかったにもかかわらず、保育園に入るまで、風邪もひかず、ウイルス性胃腸炎になったくらいで、健康に育ちました。身長、体重も、2ヶ月の早産児にもかかわらず、正期産児に負けない成長ぶりでした。母乳を諦めた決断は間違ってはいなかったと思いますが、小さな双子がおっぱいを吸ってくれたあのときの感触、体の中から沸き起こってくる幸せな気持ちを忘れることができません。もう一度生まれ変わったら、是非、母乳育児を思いっきりしてみたいものです。

そんな経験をした私にとっては、新法が「母乳授乳のできない母親に対する精神的圧迫になる」という議論も理解できます。母乳授乳が簡単にできる人にとっては、「過敏な反応」と一笑されるのかもしれませんが、母乳授乳が叶わない母親にとってはセンシティブな話題です。「母親失格」と思う人もいるでしょう。私も双子に、「おっぱいあげられなくて、ごめんね。」と心の中で語りかけたものです。

そもそも、今回の新法は、WHOやEUの指針に従ったものらしいのですが、大きな問題なのは、母乳が推奨される途上国で、調整ミルクがはびこっていること。不潔な水や容器などを用いて哺乳瓶授乳することは危険です。勿論、垂直感染の可能性のある感染症などがある場合は例外ですが。日本やスウェーデンなど先進国では、母乳であっても哺乳瓶授乳であっても、大差はないと考えてよいのが常識的です。各方面で議論が白熱しているのをみて、自分なりに思いを巡らせてしまいました。

スウェーデンの医療を支えているのは、国外医学部卒業の医師

今日は、少し前に、医師向け週刊誌に掲載された次の記事について。オリジナルはこちら

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スウェーデンの医師免許取得者の半数以上がスウェーデン外の医学部卒となったのは、2003年が初めてのこと。以来、この現象は継続しており、まさに、スウェーデンの医療は今や、国外医学部卒業の医師無しでは維持できない状況になりつつあります。

 

次の図は、新規医師免許取得者の年次別推移。紫のラインは国外医学部卒業の医師。

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この図を見ると、毎年、2000人程度の新しい医師が誕生しており、半数以上がスウェーデン国外の医学部卒業者。日本では7,8千人くらいと記憶しておりますので、人口を考えると、日本よりずっと多いですね(しかし、医師一人当たりの勤務時間はずっと少ない!)。1995年には、国外医学部卒業の医師の医師全体に占める割合は13%でしたが、2010年には倍近くの23%に。それでも、国際的にその数字は最も高いという訳ではないようです。イギリス、アメリカなどはスウェーデンよりも高い割合。対する、イタリア、ドイツ、フランスは5%にも満たないとのこと。日本はもっと少ないのではないでしょうか。やはり、英語圏では外国人医師の言語に対するハードルが低いからなのか、あるいは、文化によるものか、、、。

 

1000人以上の国外医学部卒業者の国別内訳。最も多い黄色の部分は、EU内から。基本的に、EU内の医師免許を取得すれば、EU各国で働くことができます。紫の部分は、EU外から。私もこのグループに属します。毎年、最低100名、多いときは300名ほどで、主に、イラクとロシアから。水色は、スウェーデン人が国外の医学部を卒業したグループ。これも年々増加しており、ほとんどはEU内の医学部卒業。スウェーデン内の医学部に進学できなかった人が、ポーランドやルーマニア、ハンガリーなど、英語による医学教育を行う医学部に一部自費で入学するケース。自費とはいっても、日本に比べれば破格に安い学費です。

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医学教育には一人当たり数千万円の費用がかかると言われていますが、スウェーデンは新規医師免許取得者の半分以上が国外で教育を受けた人間、つまり、医学教育にかかる費用をかなり節約していることになります。私の経験では、非スウェーデン人の医師のレベルは決して低くありません。むしろ、優秀な人は多い。優秀な医師を医学教育の費用を負担せずに輸入するということは、本来ならば日本もならっても良いのではないかと思います。近年、日本人も、スウェーデン人と同じように東欧諸国の医学部に学ぶ人が増えているようですが、厚生労働省の規定では、日本人であっても、国外の医学部卒業の場合は、日本の医師免許を取得する際の手続きは複雑です。東欧諸国の医学部を卒業するためには、相当な勉強が必要で、日本の医学部のように生ぬるくはありません。むしろ、日本の医学部卒業生よりもすぐれていると考えられるのに、医師免許取得のプロセスが複雑なのは片手落ちとしかいいようがありません。一部では、「日本の医学部に入ることができなかった落ちこぼれが東欧へ流れる」という輩もいるようですが、東欧の医学部の授業料は、年間100万円程度。学力は十分でも、年間最低数百万円、場合によっては1000万円近くもかかる日本の私立医学部に入ることができない人は星の数ほどいると思われます。スウェーデン人に、日本の私立医学部の学費の話をすると、「払える人がいるのか」と驚かれます。日本国外の医学部を卒業した日本人に対する日本の医師免許の交付については一定のルールが無い現在、医師不足対策として、コストのかかる医学部新設よりも、海外医学部を卒業した日本人医師の逆輸入の制度を整備した方が良いように思います。

医療の地域格差

日本でもそうですが、スウェーデンでも医療へのアクセスやレベルの明らかな地域格差が存在します。

双子という文字に惹きつけられて、たまたま買って読んだ数日間の新聞記事。

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Aftonbladetですが、ネット上ではExpressenKristianstadsbladetに記事がありました。

Landskronaに住む双子を妊娠していた41歳のLindaに起こった悲劇。40代で双子を妊娠ということで、とても人事とは思えませんでした。

陣痛が起こったのは、妊娠第33週。ここで陣痛を止められなかった時点で帝王切開にならなかったのは、まず驚きでした。スウェーデン、いいえ、ストックホルムでは、34週に満たない双胎妊娠の場合は帝王切開がルチーンであったため、私の妊娠中も34週まで何とかもって欲しいと思っていましたが、31週で破水、32週で陣痛が止まらなかったため、選択の余地なく帝王切開となりました。Lindaの体重は妊娠前と比べて30kgも増えていて、妊娠中毒症には注意しなければいけないはずなのですが、MVCでの検診も不十分だったようです。さらには、分娩室に入っても、看護師は血圧のチェックさえしなかったといいます。

分娩後、Lindaは腹部の痛み、そして、強烈な頭痛を訴えます。双子の女の子が生まれたのが、午後1時ごろ。痛みを訴え続けたにもかかわらず、その日の午後は医師が診察に現れることはありませんでした。初めて看護師が血圧を測定したのが、午後8時前、そのときの血圧は196/97。その後、Lindaは意識不明の重態となり、彼女の意識が戻ることはありませんでした。

解剖の結果、広汎な脳出血に加え、肝臓および腎臓の出血もみられたそうです。Lindaが、おそらく妊娠中毒症があり、子癇による合併症のために死亡したことは間違いありません。Lindaが出産したKristianstad Lasarett(Kristianstad中央病院)は、南スウェーデンの300床を有する中核病院ですが、今回の件では、その対応の全てがお粗末としかいいようがありません。病院側は既にミスを認めているようで、それは、Lex Maria法によるSocialstyrelsenへの報告がなされていることからも明らかです。これは、医師が医療ミスがあったときに、医師側から報告書を提出するシステムです。それにしても、患者さんが苦しんでいるのに、医師が診察に来ないというのも、スウェーデンらしい。それでも、ストックホルムでこのようなミスが起こる確率はずっと低いと思います。日本であれば、双胎妊娠の場合は、予定日の数週間前から管理入院などが行われるようですが、スウェーデンではありません。私も1-2週間に一度の看護師さんおよび医師による検診を受けるくらいで、破水の前日まで手術もしていました。破水して緊急入院してからは、数時間おきのCTGや胎児の心拍数のチェックなどが行われ、同時に感染予防のための抗生物質、胎児の肺サーファクタント産生刺激のためのステロイド投与もあり、十分な管理体制でした。最後に夜中に陣痛がおさまらなくなってきたときにCTGを測定しようとしたときには、流石に、当直医に来てもらうようにお願いしましたが。いずれにしても、医療レベルに対して不満なことはありませんでした。

スウェーデンでも医療レベルの低さで悪名高いのがダーラナ地方。ここに住む夫の母は数年前に若くして脳梗塞を患いました。発症のその日、普段どおりに自転車で出勤した彼女は、気分が悪いため病院を受診し、脳梗塞という診断を結局受けましたが、発症して半日以上経っても治療が開始される気配もありませんでした。私は脳疾患は素人ですが、最新の脳梗塞の治療の一つである、早期の血栓溶解剤の使用が有効だと理解しています。これは発症して3時間以内に治療開始の必要があるため、それ以前に受診してなければいけないのですが、彼女の場合は十分早期の受診だったと思います。受診したMora lasarettは夫が子供の頃に誤診による治療遅延で脊髄損傷となってしまった、いわくつきの病院ですが、義母の診断や治療が遅々として進まないことにしびれを切らした私が、つたないスウェーデン語で担当医と話をしてみても、いかにもレベルが低そうな印象でした。彼女は現在、中等度の半身不随がありますが、もしストックホルムに住んでいたら、このような後遺症は残らなかったと思います。

ダーラナは北ですが、南スウェーデンの大学病院でさえ、いろいろととんでもない話を聞くことがあります。小児科が頼りになることは子供を持つ親としては重要です。ストックホルムでは待ち時間は別としても必ず診察を受けることができますが、そうではない地域もあるようです。また、ストックホルムでは必然的に院内、あるいは、ストックホルム内には、各専門分野のスペシャリストが多い、つまり、医師同士の相談もしやすいため、診断もつけやすく、受診の門戸も広いということになります。子供や自分自身の健康を考えても、やはり、ストックホルム以外に住む気にはなれません。以前にも述べましたが、スウェーデンでは、住所によって受診できる大病院が決められているため、その病院の事情(医師のレベル、経済状況、外来やベッドの混み具合など)によって、受診さえ制限されることがあります。私も、診療所から送られてくる紹介状の初期判断をしますが、かなり多くの紹介状をつき返しています。「大学病院で診察する疾患ではない。」というのが主な理由です。特殊な疾患で、明らかにその地域には専門医や技術がないということであれば、圏外の大病院へ特別な紹介状を(専門医が)書くことにより受診が可能となりますが、そういう状況は極めて稀です。つまり、同じように税金を払っていても、住んでいる地域により、恐ろしいほどの医療格差があるため、その餌食になる危険があるのです。ストックホルム地域でも、一般的に最もレベルが高いとされるカロリンスカ大学のソルナ病院には、ストックホルム中心部とそれより北に住んでいる人が属しており、それより南に関しては、南病院やカロリンスカ大学のHuddinge病院ということになります。そういう事情からも、私はストックホルムでも南に住むつもりはありません。勿論、カロリンスカなら大丈夫ということではなく、当たる医師によって大きな差があり、カロリンスカにもとんでもない医師もいます。このあたりは、医師であっても他科のどの医師が優秀なのか見分けるのは難しいので、もはや運を信じるしかない場合も多いのですが。

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母Lindaの命と引き換えに生まれてきた双子の姉妹は、すくすくと成長しているのがせめてもの幸い。医療ミスによる周産期の母の死亡であれば、日本では相当な補償金が支払われるはずですが、スウェーデンではそういうことはありません。死んでしまった人間のための補償はわずか。最近、帝王切開をしなかったために脳性麻痺となった息子を持つ知人の話を聞くことがありましたが、医療ミスがあったと認定されたにもかかわらず、彼らが受け取った補償は140万クローネだそうです。しかし、スウェーデンにしては高額の補償であり、それは息子が生きているからゆえです。日本やアメリカのように、不当に高額の慰謝料が動くのも医療崩壊に繋がりますが、スウェーデンは逆に低すぎると感じることもあります。医療ミスをしても、慰謝料が医師に降りかかってくることはまず無いので、とんでもない医師がはびこっている土壌にもなっていると思います。スウェーデンのとんでもない医師や、医療システムに切り込む「Arga doktorn」という番組が現在放映されていますので、そのうちご紹介をしたいと思っていますが、それを見ても、「住むのはストックホルム」という感を強くした次第です。

怒髪冠を衝く

仕事に病気の双子の看病に家事に、疲れ切っている中のオンコール。前日に急に頼まれての週末のオンコールです。

下の先生は、私がmentorをしているドイツ国籍の専修医の女医さん。ドイツ国籍とはいっても、出身はアフリカ。養子としてドイツの家族に貰われてきたのです。その家族には、一人子供がいますが、その他に5人の養子。彼女は、ベルギー、イギリスなどで研修医として働き、本来はイギリスで泌尿器科専門医になりたかったそうなのですが、イギリスの年齢制限にひっかかり、諦め切れずにスウェーデンへ2年前にやってきました。もともと、ドイツ語、フランス語、英語、アラビア語、スペイン語などを話す彼女は、すぐにスウェーデン語も話せるようになりました。女性であり、非スウェーデン人であり、黒人であり、という、決して易しくない立場で、同じように移民としてやってきた私を頼りにし、慕ってくれていますが、彼女の強さ、そして、スウェーデン人の誰も叶うことのない努力など、私が見習うことは多いと思っています。

 

例えば、ロボット手術の助手をやりたいとします。普通のスウェーデン人の専修医でしたら、まず、カルテを読んでくることはありません。術者が説明するのを待っています。しかし、彼女はそうではありません。病歴は勿論のこと、助手がポートを立てるときに重要な情報となる、患者さんの身長や体重、手術歴などを含めてチェックしてきています。

 

そんな彼女ですので、安心してファーストコールを任せていましたが、日曜日の夜に彼女から電話がかかってきました。これは、緊急手術かな、などと思いながら電話に出ると、驚くべき話を聞かされることになったのです。

 

彼女のところに、腎臓内科のオンコール医から電話が掛かってきました。腎臓内科の病棟に、尿閉の患者さんがいるようなのですが、病棟の看護師にカテーテルを挿入するよう指示したところ、挿入できなかったとのこと。そこで、泌尿器科のオンコールに出勤して挿入してくれとの依頼でした。

 

タフな彼女は、その無茶苦茶な依頼に対して、

「まず、あなたがトライして下さい。あなたが出来ないのであれば、私が出向きます。」

当たり前です。

それに対して、腎臓内科の医師は、

「私は家で寝ているんです。私がわざわざ病院に行く必要はない。プロである泌尿器科医にお願いします。」

彼女は、

「それでは、私が教えてあげるから、あなたも来てください。」

と続けると、

「私は透析の医者だ。今更、カテーテル挿入を学ぶ気は無い。」

と言ったそうなのです。

最初の会話がどのように終了したのか定かではありませんが、それが夜の10時頃。その後、夜中の2時頃に腎臓内科の病棟の看護師から、彼女に電話が入ります。

「腎臓内科のオンコール医が来てくれないのです。助けてくれませんか。」

尿閉の患者さんを何時間も放置するなんて、正気の沙汰とは思えません。最初の電話のあとに彼女から相談を受けていた私は、もし、何かあれば、彼女が出勤する前に、泌尿器科病棟の看護師に、挿入しやすい特殊なタイプのカテーテルを持参して試すように指示するようにアドバイスしていましたが、結局、泌尿器科病棟の看護師が問題なく挿入できたそうです。

このとんでもない腎臓内科の医師がどういう人間なのかは知りませんが、たまに、移民を見下すような態度を取る医師もいます。中には、移民医師が移民医師を見下すこともあります。この医師が移民に対する差別意識を持つ人間かどうかはわかりませんが、今回のような押し問答では、移民であることがプラスにならないことは確かです。最近では私も、このようなハードな会話でもスウェーデン語で物怖じせずにできるようになりましたが、彼女は在瑞2年、しかも、泌尿器科の専門医のトレーニング途上でもあるという厳しい状況で、自分の主張を通したことはあっぱれとしかいいようがありません。

 

とんでもない医師は、日本にもいます。しかし、今回、医師としては基本中の基本とも言える尿道カテーテル挿入を、自分で試すこともせず、泌尿器科医を挿入係に使おうとする態度は許せません。まさに、怒髪冠を衝くとは、こんなことでしょう。

 

因みに、スウェーデンでは点滴ラインの挿入は基本的に看護師さんがしますが、難しい場合には、当直の麻酔科の医師に依頼することがあります。その場合は、麻酔科へ処置のコストを支払わなくてはなりません。泌尿器科医は、その点厳しくなく、タダ働きとしてカテーテル挿入することも多いので(日本ではまずタダ働きでしょう)、コストをしっかりと請求するようにしなければいけないと思います。しかし、夜中にオンコールが出勤してカテーテル挿入したとすれば、コストを取ったとしても、科としては持ち出しになるのではないかしら、、、。

 

病気してばかりの双子

実はかなり弱っています。

8月中旬から保育園が始まって楽になると思ったのは夢のまた夢。あれから約1ヶ月、双子は替わる替わる風邪をひき、40度前後の発熱。夜中もも熱発しては辛いのか大泣きします。

我が家の常備薬。

各種点鼻薬。

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各種吸入薬(ステロイド、気管支拡張薬)。

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吸入薬に必要な吸入器。

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[vimeo http://vimeo.com/18783752]

鼻水吸引器。

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解熱用座薬。

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先週、3日間保育園に登園できたのが最長で、毎週のように病欠。ときには、日中に「熱発したから迎えに来て。」と連絡がきて、お迎えに。

 

実は今日も病欠。職場には「病児の看護で欠勤」と連絡しておいたのですが、病棟から、「回診まだですか~?」という電話。「Idag VABar jag.」と説明。Vård av barn – VAB(12)。12歳以下の病児の看護のための欠勤。1年あたり120日まで認められます。もちろん、給料ベースに計算される手当て(上限あり)が支給されます。このあたりは、スウェーデンの素晴らしいところです。専業主婦はほとんどいないスウェーデンでは、このような社会保障がなければ難しいところです。母親の方がおそらくVABの取得率は高いのでしょうけれど、同僚医師をみると、男性医師も同じようにVABのため欠勤している印象です。

 

しかし、2人の病児を抱えるのは非常に厳しいものがあります。双子は保育園が大好きだし、保育園でも社交的でお行儀が良いので皆の人気者らしいので、早く登園させてあげたいのですが、風邪をこじらせると、喘息様発作でまた入院ということにもなりかねないので、辛抱するのみです。私にも夜ぐっすり寝ることのできる日が、いつくるのでしょうか、、、。高齢母かつ外科医としては辛いことばかりですが、私自身が病気にならないように頑張らなければ。

 

最近、ソファによじ登れるようになった双子。よじ登りに成功しては、自分でパチパチと拍手して喜んでいます。

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「わたし」はお気に入りの肘掛け椅子によじ登って、一眠り。

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夏日に恵まれたクルージング 後編

成功裡に終わった学会の最後を飾るのは、セミプライベートのクルージング。限られた人が招かれての開催でした。

使われたボートは、Jonasの会社所有のSoja III。この船は、Jonasの父親により、1936年に建造されたもの。すぐに売却されたのですが、つい最近になって何と売りに出されているのをJonasが発見。買戻した上、改築をして見事な船として復活しました。会社の接待などに使われているそうです。

 

出航は、Norr Mälarstrandで、市庁舎脇のアイスクリームスタンド前。9月のストックホルムは例年、完全に秋で肌寒いくらいなのですが、この日はほぼ夏日。

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乗船すると、ハンサムなお兄さんが、シャンパンをサーブしてくれます。絵になります。

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こういうシチュエーションは、まさに、ストックホルムの醍醐味といえるでしょう。

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少し遅れて到着した教授が乗船して出航。中央に教授とJonasの姿が。

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UCFのパテル教授も。現在までに前立腺全摘6000例を執刀している、文字通り、ロボット前立腺全摘のキングです。

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しばしデッキでシャンパンと美しい景色を楽しみながら会話。夕日のメーラレン湖。

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ああ、ストックホルムは本当に美しい!

 

少し涼しくなってきたところで、船中に入ります。半分が水面下のこの船室の窓からは、丁度水面が見えます。

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そして、デイナー。ロボットに隠れたJonas家族の秘話は、このときに披露されました。心に響く話でした。

 

前菜には、スウェーデンの秋の味覚、カンタレッラきのこのトースト。

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メインには、やわらかくてジューシーなラム。

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デザートは、Jonasの自宅で採れたりんごのケーキ。酸味が強く、絶品でした。

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市庁舎へもどってきたときには、すっかり日も暮れていて、次の日勤務がある私は、寄り道せずに帰りました。

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