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夏日に恵まれたクルージング 前編

ERUS2013を締めくくるのは、教授と、カロリンスカのロボット部門に巨額の寄付をした、あるビジネスマンが主催するクルージングディナーでした。
Wallenius Wilhelmsen Logisticsなどを傘下に持つ会社の社長、Jonas Klebergがその人。彼の兄が若くして癌で亡くなったことをきっかけとして、彼の家族は、医学のために何かできないかと考えたそうです。そして、当時、1990年代に、出たばかりの手術用ロボットを、心臓外科部門に寄付します。その頃に初めてロボットの存在を知った教授は、心臓外科にかけあって、心臓外科がロボットを使用しない毎週金曜日に使わせてもらうようになりました。前立腺全摘術においては、ロボット手術が徐々に広まるのに対して、心臓外科分野でのロボット手術は沈滞してゆきます。そのため、ロボットを心臓外科の手術棟から、泌尿器科の手術室のある建物に移します。のちに、Jonasは心臓外科に対して、ロボットの対価を支払い、ロボットは泌尿器科のものとなったのです。

ロボットによる前立腺全摘術は、カロリンスカにおいては2002年から始まります。少し古い図ですが、現在では開腹手術は行われていません。

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術創が小さいだけでなく、10倍の視野と、小さなロボット用の鉗子で、人間の目では見えない神経や筋肉が見え、人間の大きな指では届かないところの細かい操作が可能であり、前項でも述べたように、開腹手術はまるで比較の対象になりません。

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カロリンスカでは、前立腺全摘術でも、ヨーロッパで1位2位を争う数を行っていますが、膀胱癌に対する、膀胱全摘術では追従を許しません。現在までに150例ほど行っており、その3分の1程度が、新しい膀胱を小腸で作る、自己排尿型新膀胱です。また、その尿路変更を含む全ての手術を体内で行っています。女性では切除した膀胱を膣から引き出すので、本当に小さい穴が6つだけ皮膚に開くだけです。

ロボット手術の解説が長くなりましたが、最初のロボットを寄付したJonasは、この10年におけるロボット手術の進歩に大変心を動かされ、最近、最新型のロボットを3台、さらに寄付してくれました。Jonasなしには、カロリンスカのロボット手術の発展はなかったといえます。あまりに長くなったので、本題のクルージングは次項に。

ERUS 2013、2日目

第10回ヨーロッパ泌尿器科ロボット手術学会(ERUS)の2日目は、会場で参加しました。

会場は、ストックホルム中央駅に隣接する地に、新しく建設されたストックホルム・ウオーターフロント・コングレスセンター。Waterfront

鳥かごのような奇抜なフォルムが、ストックホルムの景観を損ねていると私は思います、、、。

dsc03105bこちらには、3000人ほど収容できるホールがあります。ホールは二階立てで、上下の階を別々に使用することもできるのだとか。

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今回は、下階のみ使用しました。こちらと、病院の3つの手術室を結んでライブ手術を放映します。

コンソールに座る術者から、症例の提示があります。

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症例の画像の解説もあります。

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症例によっては、ポートの立て方(腹部のどこに穴を開けるか)の説明も。

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手術全てを見せる訳ではなく、司会は3つのオペ室からの映像を随時チェックし、重要な部分にさしかかったときに、その部屋とつなぐか、術者からつなぐ指示があったときに、映像がホールに流れます。

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ホールでは同時進行で、その他の発表もあります。

会場のすぐ外では、お決まりの、企業による展示ブースがあります。勿論、中心はIntuitive Surgical社の手術用「ダ・ビンチ」ロボット。

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もはや、前立腺癌に対する全摘手術はロボット手術が当たり前。いかに優れた外科医が開腹手術を行ったとしても、そこそこの外科医が行うロボット手術に及びません。テニスで言えば、ジョコビッチがウッドラケットで、カーボンチタンハイブリッドのラケットを使う選手と勝負するようなもので、相手が格下の選手であっても勝てません。

企業展示ブースの横で、ランチビュッフェもサービスされます。久々の国際学会、学ぶことも刺激も多く、とても有意義でした。この後、クルージングがありましたが、それについては次回。

ERUS 2013:世界一大きな泌尿器科ロボット手術の学会

今年のERUS(EAU Robotic Urology Section Congress)がカロリンスカ大学泌尿器科のホストで、ストックホルムで行われます。

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学会のホームページはこちら

学会の目玉は、何といっても、カロリンスカ大学病院の手術室に、世界各国から腕の立つ外科医を招いて行われる手術のライブ放送。学会場は街の中心の会議場で、手術室とつなぎます。最もロボット手術が多く行われる、前立腺全摘だけではなく、膀胱全摘、腎部分切除、膀胱膣瘻、pyeloplastyなど、複数の手術が予定されています。術者にあわせて患者さんを選定し同意を得ていますが、準備だけでも大変なものです。ライブ手術ではごまかしが効きません。新しいテクニックを盗む、良い機会です。

 

ライブ手術は4日から。4日の夜には、バーサ美術館でパーテイーがあります。

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しかし、この日には、何と、シリア攻撃を控えたアメリカのオバマ大統領が来瑞することになっています。セキュリテイー上、重要な場所に立っているカロリンスカ大学病院の屋根には、沢山の警護の警官が立つ予定で(アーランダ空港と市内を結ぶ高速、E4への見通しが利きます)、ライブ手術のサテライトが使えるのかどうかもわからないそうです。E4や市内の一部は完全閉鎖にもなるようで、今回の学会とのバッテイングは痛すぎます。

 

私は、助手を同伴しない術者の助手を務める予定ですが、助手はいえ、緊張します。しかも、私の英語たるや、スウェーデン語の成長とともに、完全なスウィングリッシュ(英文にスウェーデン語の単語が混ざる)となっている悲惨な状態。どうなることやら。スウィングリッシュが会場に流れたら恥ずかしい、、、。

 

バーサ美術館のパーテイーは出席するかどうか迷いましたが、その日は何とオンコール。若い先生がファーストコールでいるとはいえ、やはり自宅待機がベターかと。朝のミーテイングで、「オバマ大統領が尿閉になったら、カテーテルを入れる心の準備ができている!?」というようなジョークが飛び出し、カテーテル挿入くらいなら同伴する医師が入れるでしょうが、それ以上の泌尿器科的緊急疾患の場合は、呼び出しが掛かることもあるのでは、などと話していました。大統領が急病で受診ということは、まずあり得ないことにしても、700名もの人間が同行するので、その中の誰かが急病になることは、あり得ない話ではないかもしれません(Air Force Oneには6名の医師が搭乗し、緊急手術に対応できる設備があるそうです!)。

子供病院にて

子供病院には、長期入院が必要な子供のための図書館や学校があります。

 

入院早々、図書館の司書の方が来室して下さいました。「ぼく」のために、本と、

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歌のCDをCDプレーヤーと一緒に。

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母親である私も、希望すれば本や雑誌が借りられるとのことでした。こんな心遣いはとても嬉しいものです。

 

治療が進み、元気になると、「ぼく」はじっとしていられません。

「ぼく」は長いものが大好き。掃除用のモップを発見。

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お掃除するところ、ないかな。

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よっこら。

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ドアがあるぞ!

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ドアくらい自分で開けちゃう!

トイレ発見!

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しめしめ。明かりが自然についた!

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そこで発見したものは、、、。

点滴ラインの入ったままの左手に持つのは、何と、便器用ブラシ!

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利き手らしい右手に持ち替えて、トイレ掃除に向かう?

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と思いきや、ブラシを振り回す「ぼく」。

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攻撃!やめてくれ~!!!2013-08-23 10.46.54b

 

いたずらの復活は元気の証拠。

この日、念のため、外泊許可を頂き帰宅。そのまま2日後に退院となりました。

ご心配いただいた皆様、ありがとうございます。

しかし、その後、見事に「わたし」に風邪がうつりました。とほほ、、、。

スウェーデンの救急外来:医師として、患者として

悪名高きスウェーデンの救急外来。最近は待ち時間も少しは短縮されたものの、それでも、診察まで数時間待ちは珍しくありません。スウェーデン人にでさえ評判が悪いのに、フリーアクセスに慣れ切っている日本人には、とても信じられないことが多いと思います。今回は、医師である私が患者として経験した救急医療について書いてみます。医療従事者が患者である場合、やはり一般人と扱いが多少異なることは多いのですが、スウェーデンにおいて救急医療がどのように機能するのかを、非医療従事者の方にも少しは理解していただけるのではないかと思います。

 

私自身、この1,2年で救急外来を患者として受診したのは、3回。最初の2回については、医者の不養生シリーズ(1)-(5)をどうぞ。このとき、2回目には緊急入院になった訳ですが、当時、実は19週の妊婦でした。19週といえども、双子の妊娠中でしたから、お腹は相当大きくなっていました。そんなときに風邪から喘息発作、肋骨骨折に肺炎と、まさに何重苦でした。授乳中には使えないモルヒネを妊婦には使えることが有難かった。酸素飽和度が低かったため、肺塞栓が疑われて、妊娠中にもかかわらずCT検査となり、心が折れそうになりました。現在のスパイラルCTによる被爆はわずかで、胎児への影響は考えなくても良いと知ってはいましたが、、、。ただ、造影剤を使ったため、将来的に甲状腺機能のチェックが必要ということでした。この2回の救急外来受診では、症状が重症だったことで、殆ど待つことなく診察を受けることができましたし、やはり自分自身が医師だということで、丁重な扱いを受けたように思います。

 

スウェーデンでは、救急外来を受診する前に電話相談することが推奨されていますが、救急外来の資源不足もあり、通常は、どうにかして自宅待機するように説得されます。医療従事者としてあまり声を高くして言ってはいけないのかもしれませんが、緊急性が高いと判断(非医療者には難しいことですが、何かいつもと違うと感じたときには緊急性があると自己判断しても良いと思います)した場合は、電話相談をすることなしに救急外来を受診するのがベストです。電話相談せずに受診しても、診察を受けることができないということはありません。また、スウェーデンでは、住所により所属病院が決められていますが、救急外来に関してはその限りではありません。ストックホルムの南地区に居住している場合は、南病院かカロリンスカ大学Huddinge院の所属になりますが、例えば、南病院の救急外来はストックホルムで最大規模であり、重症患者が多いこともあり、待ち時間は非常に長いことが知られています。よって、Huddinge院を受診するのがベターです。カロリンスカ大学Solna院も相当に混んでおりますので、少し郊外ですがHuddingeに行くほうが良いこともあります。また、場合によっては、私立のCapio S:t Görans Sjukhusの救急外来という手段もあります。この病院は私のアパートから目と鼻の先ほどにあり、機会があれば利用してみようと考えています。

 

スウェーデンの救急外来では、基本的に救急所属の内科系あるいは外科系医師が初期診察を行います。専門医の判断が必要であれば、まずは当該専門医に電話相談し助言を仰ぎます。必要に応じて専門医が救急外来で診察を行うことになります。私が所属する泌尿器科は、病院内で宿直をする当直医はおらず、(自宅待機の)オンコールの医師が対応をすることになっていますが、大方のケースは電話でのやりとりで済ませます。緊急入院となる際にも、救急医により緊急検査および緊急を要する処置が可能であれば、全て電話での対応となります。オンコールの医師の手当ては、オンコールとしての給与と、実際に電話で会話に要した時間や、病院へ出勤が必要となった時間と、それらが発生した時刻の時間給により(時間帯により手当ても異なります)決まりますので、オンコールとした方が、科としてのコストを低く抑えることができます。最近では、時間給の安い若い先生をファーストコールとすることで、さらにコストを抑えるようにもしています。緊急手術となれば上級医の出勤が必要な場合もありますが、下級医が単独で手術可能と自己判断すれば、単独で行うことも少なくありません。患者サイドからしてみて少し怖いところでもあります。複数の医師が手術に必要な場合は、科内あるいは、外科当直などから助手を探します。患者さんの急変や死亡などの場合、泌尿器科では院内の移動救急チーム(MIGチーム:Moblil intensivvårdsgrupp)あるいは外科当直が代わりに対応しています。

 

話は戻りますが、3回目の救急受診は、妊娠31週で破水したときでした。このときは、通常の救急外来ではなく、産科救急を受診することになっていたので、一応電話相談をしました。このときのことは、またの機会に譲りますが、受診後、直ちに緊急入院となりました。この際の迅速な対応は私が医師だったということとは無関係で、とても素晴らしい医療を受けることができました。

 

双子を初めて救急外来へ連れていったのは、今年の2月でした。2月のある金曜日、同じ時期に生まれた子供とその親が集まる会が地域の診療所でありました。そのときに、おもちゃを共有したことが原因だと推測される、ウイルス性胃腸炎に双子が罹患してしまいました。40度の高熱、嘔吐、そして何よりも強烈なのが、水様下痢。オムツ交換台に載せてオムツを外すと、1メートル位の下痢の発射に見舞われます。オムツを替えても替えても、すぐに下痢で水浸し。泣く元気も無くなってきた双子を、初めて救急外来へ連れてゆく決心をします。これでは脱水になってしまう。点滴が必要だと判断しました。

 

カロリンスカ大学Solna院のAstrid Lindgren子供病院の夜間の救急外来は、病児が多発する時期もあって待合室は人で溢れていました。床に座る人までいます。お決まりのように番号札を取って待つこと2時間。ようやく看護師さんの問診にたどり着きます。そこで言われたことは、「医師の診察まであと2時間以上待ちます。診察を受けたとして、入院が必要な場合は、現在ベッドは満床のため、Huddingeに行ってもらいます。Huddingeでも看護師の問診まで2時間は待つことになります。」という何ともショッキングなことでした。そのときには、双子は声も出ぬほど息も絶え絶え。そんなことをしていたら、死んでしまうと思いました。「家へ連れて帰って何とかしよう。」と決心しかけたとき、元同僚の小児科医から、診療相談の返事がSMSで届きました。輸液などが必要という、私の判断をサポートする内容だったため、問診担当の看護師さんに、「私の友人でここの小児科医の○○医師に相談したら、このように言われた。実は私もカロリンスカで働く外科医です。」と伝えたところ、その会話を聞いていた少し年配の看護師さんが奥に入って、当直医と話をしてきてくれました。当直医の先生が出てきてくれたのですが、それがなんと、知り合いの先生でした。そうなると話は早い。簡単に聴診などをしてもらって、「脱水もまだ高度ではないので、家に連れて帰って5分おきに注射器で等浸透圧性ドリンクを口の中へ流し込んで、とにかく水分補給さえできれば何とか乗り切れそうだ。」という見立てをいただき、結局、受診せずに双子を家へ連れて帰ることになったのです。

 

家では、所謂、子供用のスポーツドリンクのようなものを、指示通り、夜通し口から注入し続け、幸い症状は徐々に快方に向かっていきました。しかし、このときばかりは、私が医師でなかったら、危なかったのではないかと感じ、ヒヤッとしました。

双子を救ってくれた緊急用のドリンクパウダーはこちら。以来、自宅にこれは欠かせません。

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スウェーデン在住で、乳幼児をお持ちの方、通常のスーパーで購入可能ですので、常備することをお勧め致します。その後も何回もこれに救われました。

 

双子の胃腸炎の際には、散々な目に遭った救急外来ですが、その後、「ぼく」が呼吸困難になった際には、とても素早い対応をしていただいています。勿論、一分一秒を争う緊急性が潜在する呼吸器や循環器、脳などの疾患の場合は、受身になることなく、(強引にでも)プッシュさえすれば、優先してもらえます。しかし、プッシュをする判断は患者側がしなければならないのです。アクセスの悪いスウェーデンの医療に対応するためには、様々な知恵が必要です。医療システムの不備で、最悪、命を落とすようなことになっても、スウェーデンでは十分な保障を受けることはありえません。少し前に、日本で、肺炎の診断の遅れにより90代の患者さんが死亡したことで、数千万円の慰謝料が発生したというニュースがありましたが、スウェーデンでは考えられない話です。相当高齢である90代の患者さんが亡くなるのは、どのような理由であろうと自然なことであると考えられ、そのような患者さんに対する医療過誤があったとしても、その医療過誤に対する保障が発生することはありません。この点については、高度な医療を安価に平等に供給する医療システムを長続きさせるという点では、スウェーデンの医療保障システムが一方的に悪いとはいえないと思いますが、論点がずれるのでここでは触れずにおきます。

 

繰り返しになりますが、大人よりも予備能が低い子供は、親が賢く守ってあげなければなりません。在瑞邦人の皆様、頑張りましょう!

 

最後に、余談となりますが、スウェーデンのように医療に対するアクセスが悪い国に住んでいると、日本の医療システムが、いかに患者さんに優しいかということを感じます。日本国民はそれを認識していないため、クレームや訴訟が多発し、過度な検査や治療は医療費の高騰を招き、結果として日本の医療の崩壊が静かに進んでいるのです。井の中の蛙、大海を知らずとはいえ、大変不幸なことです。

スウェーデン人の休暇中に、、、。

ミッドサマーから7月にかけては、スウェーデン人が好んで休暇を取ります。我々の部門でも同様で、とはいえ、希望通りに休暇を取ると、殆ど人がいなくなってしまうため、休暇取り合戦はかなりタフと言わざるを得ません。私の場合は、7月3日の双子の誕生日に、洗礼式と結婚式をすることを決めていた関係で、その週の休暇は死守しなければならず、その代わりにミッドサマー前後に育児休暇も返上して100%勤務した上、オンコールも引き受けました。さらに、人の少ない7月中も100%勤務の週があったり、オンコールがあったりと、かなりハードでした。

先週は膀胱癌チームが私一人だけということもあり、膀胱全摘が2件。しかも、最近は、膀胱全摘の殆どがロボット手術になっているため、開腹になる患者さんは、以前に放射線や手術を受けたようなタフケースばかり。しかも、年齢層は80代が主です。実際、想像以上に難しい手術となり、一瞬、消化器外科の先生の助けを求めようかという考えが頭をよぎったりしました。結局、途中に15分くらいのランチ休憩を入れて(これができるのがスウェーデンの素晴らしいところ)、最終的には5時間程度で終了、出血も1000ml以下と、満足できる手術となりましたが、体力的にはそれほど長くない手術で問題ないものの、精神的には相当こたえました。

週末のオンコールでは、筋膜炎疑いの患者さんの緊急手術。フルニエ壊疽やコンパートメント・シンドロームなどは、日本では殆ど見たことがありませんが、スウェーデンではときどき見かけます。フルニエ壊疽は致死率の高い疾患で、スウェーデンに来てから1名の死亡例を経験しましたが、こちらの死亡率は非常に低いと思います。重症の感染症に対しては、積極的に高圧酸素療法を行っており、フルニエ壊疽に対しても手術で十分にデブリドマンを行った上、一日2回の高圧酸素療法をするのがスタンダード。泌尿器科領域では、陰嚢周辺に発生するため、陰嚢の皮膚もごっそり切除することも多く、ガーゼを取ると精巣だけがぶら下がっている光景は、泌尿器科医にとっても悲惨なものです。

病棟は未だに半分閉鎖されており、当然、手術や外来業務も半分以下となっています。最近、Lundで頭部外傷の患者さんが救急外来の観察室で死亡しているのが発見され報道されましたが、大学病院でさえ人不足。殊に、看護師さんの数は相当不足しているようです。私自身、既に小児救急では患者サイドとしてスウェーデンの医療を経験しましたが、日本とはまるで違う。この件に関しては別の機会に述べることとします。

医師の数の不足を補うのが、医師免許前の(日本でいうところの)研修医や、臨床研修が始まっている医学生たちです。この夏も常時約3名が助っ人に。この助っ人がそれはなかなか優秀で熱心なのです。勿論、有給です。日本でもこのようなシステムは導入すべきだと思います。日本の医学生の殆どがクラブや遊びに熱中する代わりに、スウェーデンの医学生は早くから医師の補佐、ときには、看護師としてアルバイトをしています。スウェーデンの大学生の教育費(学費は無料なので、書籍やコンピューター、生活費など)は、親が負担することは基本的にないので、学生たちは学生ローンとアルバイトで生活します。教育の必要があってこそ大学にも入学するため、勉強態度も日本の学生のそれとは違うように思います。これらの優秀な学生さんが助っ人に来てくれることで、中には7週間連続の休暇を取っている医師もいます。しかしねえ、そうすると、例えば、休暇前にオーダーした検査結果の確認が漏れたりというミスも発生します。診断や治療の遅延につながる危険もあり、長い休暇の陰には、このような恐ろしい側面も、、、。

日本人医師としては、少なくとも自分の患者さんではそのようなミスがないように努力するのみです。来週は最後の休暇です。とはいえ、日本では夏休みは1週間だけという生活を20年近くしておりましたので、スウェーデンの労働環境には感謝しています。

包茎の治療と文化 弐

尾篭な話の続きですので、興味のある方だけどうぞ、、、、。

 

 

あれから20年近く、背面切開術も、環状切除術もいくつも経験しましたが、あのときのことは決して忘れることはありません。医学部時代に同じご遺体を解剖 した4人のうち3人が泌尿器科医になりましたが、そのうちの一人は、「赤ちゃんへの背面切開」を勧めています。これについては泌尿器科医でも賛否両論があ るのですが、私は賛成派です。生まれてまもない赤ちゃんに背面切開をすると、縫合の必要もなく1週間もあれば傷は治癒しますし、成長の過程で切開したこと などわからなくなってしまいます。切開しておけば、恥垢も簡単に洗い流せますので、前稿に述べたように、赤ちゃんの亀頭包 皮炎も予防できます。そして、私の友人の弁によると、「おちんちんが大きく育つ」のだそうです。

彼が自身の息子の切開をしたという話を聞いて、妹の息子一 人の切開を、(自分ではやりたくなかったので)当時勤務していた大学の教授にお願いしました。「お前、自分でやれよな~!」とのたまいながら、眼科用の小 さなハサミで切開して下さいました。実に生後1ヶ月未満だったと記憶しています。彼が1歳頃には、完全に包皮は剥けていましたし、おちんちんの成長も早い ように思います。

そして、双子を授かったときに、自分で切開しようと決意しました。しかし、未熟児で生まれた息子になかなかハサミを入れる勇気が出せず、生 後2ヶ月ほどで、まさに清水の舞台から飛び降りる感じで切開しました。勿論、「ぼく」は大泣きしました。まだ小さかった、はだかんぼの「ぼく」を抱きしめな がら、私も泣きました。世の中には、自分の家族の体にメスを入れることが出来る外科医がいますが、もしかしたら私には無理かもしれないと、そのときに思いまし た。

あれから半年以上経ちました。切開創は数日で治癒し、生後3ヶ月にもなると、既に包皮は半分以上剥けています。これから少しずつ剥いてゆく予定なので、1歳頃には完全に剥けているのではないでしょうか。

小児の包茎の処置については、泌尿器科医でも意見が分かれるところですので、これは私個人の意見と経験でしかありません。もっとも、小児に対する環状切除はやりすぎだと思っています。ユダヤ人やイスラム人は子供に対して環状切除を行います。痛みの感覚があまりない生後8日目で行うという話を聞いたことがありますが、環状切除は背面切開に比べれば、大きな侵襲のある外科的処置です。包皮をぐるっと一周切除するのですから。

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実はスウェーデンでは、公立病院で小児へ環状切除をするかどうか医療区によって扱いが異なっています。認めている医療区における考え方は、もし認めなければ、「イスラム人は自分の家の台所で、環状切除を子供に行う」事例が増加し、出血や感染などといった処置後の合併症処置は病院で行うことにより、環状切除を行う以上にコストがかかる、というものだそうです。スウェーデンの病院で働くようになって、成人イスラム人の診察をすることも良くありますが、亀頭が見事につんつるてんになっていて、つまり、包皮が全くないのです。また、ある程度歳になってから、美容形成クリニックなどで環状切除を行うと、どうしても、縫合部の皮膚の色が同じにならず、ツートンになってしまうため、手術したことを隠すことはできません。しかし、彼らの場合、小児で行っているため、ツートンにはならないのです。しかし、あそこまでつんつるてんだと、却って違和感を感じてしまいますが、、、。スウェーデン人は、あまり包茎にはこだわらない?のか、日本人と同様、仮性包茎が多いです。

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やはり、赤ちゃんに環状切除をするのは反対だなあ。勿論、国により、HIVなどの感染予防のために、環状切除を行うという場合は別ですが、、。また、成長の過程で、「仮性包茎(勃起時には亀頭が露出する)」であれば問題はないのですが、勃起しても亀頭が露出しない、「真性包茎」は環状切除の医学的適応になります。恥垢がたまると、不潔であるだけでなく、陰茎癌の原因になります。陰茎癌の患者さんはもれなく包茎です。真性包茎ですと、バルーニングという現象が見られることがあります。排尿の際に、包皮と亀頭の間に尿がたまって、風船のようになる現象です。

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環状切除(circumcision)反対の活動家までいるのは、知りませんでした。包茎に対する考え方には、さまざまなものがあって、非常に奥が深い。大論文が書けそうなくらいです。スウェーデンでは幸い、小児泌尿器科は完全に独立しているため、私は小児を診察しない環境にありますので、包茎に関してはお気楽なものです。

包茎の治療と文化 壱

私には、2人の甥がいますが、彼らは、私のことを、「おちんちんの先生」と呼んで笑っています。

妙齢を過ぎたとはいえ、れっきとした女性(笑)をつかまえて、「おちんちんの先生」はどうかと思いますが、まあ、当たらずといえど遠からずで、呼ばれている本人は結構喜んでいたりして、、、。

今回は、所謂、尾篭な話になりますので、その手の話が苦手な紳士・淑女の方はスキップしてくださいませ。

 

泌尿器科ではあまり救急疾患はありません。救急疾患の中で頻度が多いものは、腎・尿管結石の発作、尿閉、精巣捻転、陰茎折症、骨盤骨折、腎外傷などがあります。その他に、小児が救急を受診する疾患として、亀頭包皮炎があります。おちんちんが腫れた。痛い。膿が出る。といった症状。小児は少なくとも仮性包茎があるので、包皮と亀頭の間が不潔となるため、炎症を起こしやすい。スウェーデン人もそうですが、日本人も、幼児期に包茎に対する処置をすることがないので、成人しても仮性包茎あるいは真性包茎である人の割合が多いのです。

仮性包茎の人が包皮を翻転させたまま戻さず、亀頭を露出させたままにしておいた場合、嵌頓包茎となる場合があります。これは、包皮に亀頭が締め付けられ、循環障害を起こすものです。包皮より遠位が腫脹するため、包皮を戻すのはますます難しくなり、強烈な痛みを伴います。そんな場合、どうにかして包皮を半ば暴力的に戻すことを試みるのですが、男性医師は勿論のこと、女性医師である私にはあまりやりたくない処置です。ときに、包皮を戻せない場合は、外科的処置が必要になることもあります。外来で、患者さんが高齢者の場合、緊急の場合などは、背面切開といって、包皮に切開を入れる処置をします。

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今だからこそ言える話ですが、あれは私が泌尿器科医として働き始めて、というより、泌尿器科で医師として働き始めて数週間の当直時間帯のときのことでした。救急外来に、高齢で、糖尿病の管理されていない患者さんが、意識低下で受診しました。血糖が非常に高く、輸液と尿量の管理が必要なのですが、包皮の開口部が針穴のように小さかったのです。良く、その年齢までこんな包皮のまま排尿していたものだと感心するくらいでした。救急外来の先生が尿道カテーテルを挿入することができないので、泌尿器科が呼ばれました。駆け出し泌尿器科医でも、これは背面切開が必要だということがわかりましたが、ここで困ったことに。おちんちんの「背面」とはどこのことか?「背面」の反対は「腹面」になります。おちんちんを真正面に見て、12時方向なのか、6時方向なのか。当時は、携帯電話はなく、ポケットベルだけの時代でしたから、先輩のポケットベルを鳴らしましたが応答なし。インターネットもありませんでしたので、ちょっと調べるという訳にもいきません。患者さんの命を救うためには、その場ですぐ決断しなければなりませんので、もはや観念するしかありませんでした。「確率5割」。えいやっと陰嚢に近い包皮、つまり、6時の包皮を切開すると、これまで70年以上、日の目を見ることのなかった亀頭がめでたく顔を出したのでした。簡単に止血処置をしてカテーテルを挿入して終了。ところが、この「確率5割」の選択は、大失敗に終わりました。先輩医師に、「お前なあ~!男の体っちゅうもんを知らんから、そういうことになるんや~!。」と叱られると同時に大爆笑されました。そのときには、私にはその意味が理解できなかったのですが、あとから親切な同僚が、「あそこは性感帯に近いからだよ~。」とこっそり教えてくれました。

長くなりそうですので、この続きは次に。

 

Never give up!

以前から書いているように、世の中には、頑張れば手に入るものばかりではありません。むしろ、手に入らないものの方が多いのかもしれません。

オリンピックで金メダルを取るなどということもそんなものの一つでしょうが、研究者にとっては、例えば、「ノーベル賞を取る」ことなどが挙げられます。ノーベル賞を受賞するためには、「人類に貢献する可能性のある、秀逸な独自の発見」をしなければなりません。そして、もしそんな発見をすれば、NatureやScienceといったトップジャーナルに論文が掲載されます。研究者としては、これらトップジャーナルに掲載される論文を書くことは、まさに「憧れ」なのです。ここ10年ほどで、基礎研究におけるテクニックは飛躍的に伸びたため、一つの仮説を証明するのに、多くのテクニックを用いて同じ結果を導き出すことが要求されるようになりました。更に、以前では、掲載図表の数に限りのあるトップジャーナルでは、「Data not shown」と記載し、図表を載せないまま論文がアクセプトされることが通常でしたが、現在はオンラインで、全てのデータを提示しなければならないようになっています。従って、10年、20年前に比べると、トップジャーナルに論文が掲載されることは格段に難しくなっているという印象です。臨床医、疫学者にとってのトップジャーナルは、The England Journal of Medicineや、The Lancetなどですが、これらにおいては、優れた疫学調査やタイムリーなトピックスが取り上げられるため、特に、テクニック的に難しくなったということはありません。研究者にとって、疫学調査を専門とすることが気楽なのは、ネガティブな結果でも論文になるという点です。多くの臨床医が行う臨床研究もこれに似たところがあります。かくいう私は、研究を始めて以来、ネガティブデータは論文にはならない分野で研究してきたため、何年間も論文が出なかったということは経験済みです。スウェーデンに移住してからは、研究者として生きてゆくのは難しいことから、臨床医としての地位を確立することをメインにしてきたため、研究に割くことのできる時間は殆どありませんでした。しかし、移住する前のポスドク時代のデータで、長らく埃を被ったままだったものを、最近論文にすることができました。当時は「鳥肌が立つ」ほどの発見で、本来ならば、トップジャーナルを目指すことのできるものでしたが、結局、その研究を継続することができませんでした。そこで、インパクトファクターにはこだわらず、とにかく世に送り出すことだけを望んでいたので、それはそれで嬉しいものでした。

ところでタイトルの、「Never give up」ですが、最近、友人の一人の論文が、Natureにacceptされたのですが、それが実にすさまじい闘いだったのです。彼が最初の論文を書き上げたのが、3年ほど前。まず、Natureに送りました。Editorial kickにはならず、レビューに回りましたが(トップジャーナルでは、レビューに回るだけでも凄いのです)、rejectされました。レビューアーからのコメントがあったため、追加実験を行って全てのコメントに答えた上で再投稿した。しかし、結果はやはりreject。そこで、彼はScienceに投稿しました。Scienceでもレビューに回りましたがreject。これだけでも凄すぎるのに、これからが彼の凄いところでした。Scieneで得たコメントで指摘された点を改善し、なんと再びNatureへ投稿。再びレビューに回るも、reject。再実験を重ねた上、レビューアーのコメントに答えて、Editorへ抗議。その後、結局、acceptされたのです。NatureやScienceにacceptされるような仕事は、少なくとも、2、3年がかりのプロジェクト。知見は新しくなければならないため、誰かに先を越されてしまえば、その論文は日の目を見ることもなく、研究者の2、3年はその苦労が報われることなく空に消えます。中には、数ヶ月でデータが揃うような研究もあるようですが(例えば、人間を被験者とするような、はやりの脳科学研究の一部など)、少なくとも、ラボのベンチに座って、所謂、「試験管を振る」ような研究に関しては、トップジャーナルにacceptされるのは至難の業なのです。

それだけに、最近増えている、データの捏造には大きな怒りを覚えます。トップジャーナルに論文が掲載されるということは、その後のキャリアに大きな影響があります。つまり、大きなグラントが取れるようになったり、教授職を得たりします。日本でも、捏造が指摘されることがありますが、とかげの尻尾きりのように、下っ端に罪を擦り付けて、その論文に責任を持たなければならないはずの教授が、何もなかったように居座ったりする例もあります。また、一度捏造に味をしめると、次々に捏造したくなります。何年もかけて、しかも、結果の出る保証の無い実験を続けるのが馬鹿らしくなるのです。しかし、真の研究者というのはそうではありません。友人である彼のように、rejectされても諦めることなく、さらに時間を賭けて再チャレンジする。私にとっては胸が熱くなる話でした。

手に入らないかもしれないけれど、「Never give up」。私も今の辛い職場で、そんな努力を続けるべきなのでしょうか、、、。

同僚からの嬉しいメッセージと抱負

先日、職場で泣いたことを書きましたが、これまでに職場で涙を流したのは2回。そのうち1回が人前でした。最初は、医師免許を取る前の臨床研修で、そのときの指導者の話す「スコンスカ」(スコーネ訛りのスウェーデン語)が理解できなかったところ、彼が英語に切り替えて話し出したとき、物陰で悔し泣き。今回は、いろいろな事情で、これまで自分がやりたい手術の術者ができなかった、学びたい手術を学べなかったということに耐え切れず。こうなったのは、誰かが私に意地悪をしようとしてのことではなく、たまたま私が運の悪いポジションにはまってしまったからなのですが、特に、ロボット手術に関しては、今まで4年近くで300例ほど助手をして辛抱し、順番が回ってくるのを待っていましたが、もう限界でした。

スウェーデンは男女平等といいますが、実際はやはり男性が有利であることが多いというのが私の感想です。少なくとも、外科領域ではそうです。男性と同じように、大手術を手掛ける女医さんは、大抵マッチョ。泌尿器科の中で、膀胱全摘やロボット手術を手掛ける女性は私だけ。同僚の女医さんたちは、それゆえ、私のことをタフだと言います。私は、私の興味のあることをしたいだけで、何も好んで長時間の大手術をしたい訳ではありませんし、男性と競争したい訳でもありません。しかし、男性は男性でかたまっていて、どうしても、男性に有利にことは運びます。それは、他の女医さんたちも常に感じていることだそうです。移民かそうでないかという線引きよりも、男性か女性かということで待遇が変わることの方が多いように思います。

最近、前立腺チームのチーフになったM先生は、とても好感の持てる先生。先日、彼とロボット手術をする機会があって、初めてロボット手術をほぼ通しでやらせてもらうことができました。初めてにしてはまずまずの出来だったのですが、その日のうちに、何人かの先生からメッセージが届きました。

Hej !
Jag hörde rykten idag att du opererade en helt perfekt RARP. Karolinskas första kvinnliga robotkirurg!!
ETT JÄTTE-GRATTIS!! (今日、完璧なロボット前立腺全摘をやったという噂を聞いたよ。カロリンスカで初めての女性ロボット外科医!本当におめでとう!!)

また、M先生が、「世の中は不公平だ。自分が少し言えば、言ったとおりに手が動くんだから。でも、だから指導していて楽しい。」と、他のロボットチームの先生に言っていたということを聞きました。

「う・れ・し・い!!!」

こんなことを記事にでもして、元気を出して、来年につなげたい!

女性である私は男性にはなれないけれど(というより、どんなときも女性らしさを失わないでいたい)、何とか、男性と共生しながら、男性に負けないように頑張りたい。

折りしも、麻酔科の女医さんがこんなことを言ってくれました。

「先生は、とっても女性らしいのに、男性のようにタフな手術をして、すごいねー。先生と一緒に仕事をするのは楽しいって、手術室のスタッフが言っているわよ。」

こんな言葉には、思わず、涙腺が緩みそうになります。

母親業と外科医の両立は大変だけれど、これからも踏ん張ってゆきます!男性優位にも負けないぞ~。


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