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国際禁煙デー World No Tobacco Day (WNTD)に寄せて

本日、5月31日は1987年にWHOが定めた、国際禁煙デーです。

スウェーデンでは1994年7月に学校校庭での禁煙を定めたのを皮切りに、2005年6月には、レストラン、パブなどが全面禁煙となりました。生まれてこれまで一度たりとも吸ったことのない私にとっては、僅かなタバコの臭いも気になります。スウェーデンでの外食は決して日本のように美味しくはありませんが、タバコ臭のしない環境は、何と素敵なのでしょう。日本へ帰国して、レストランなどでタバコの臭いがすると、残念ながら、「なんて野蛮国な国なんだ。」と感じてしまいます。そんな日本を尻目に、スウェーデンでは最近、レストランの屋外席や、バルコニー、電車やバスの待合場所などでの禁煙を法制化する動きがあります(記事12)。

2011年のG7における喫煙率は、フランスの26.2%に続き、日本は23.9%で2位。続いて、イタリア(23.1%)、イギリス(21.5%)、ドイツ(21.9%)、カナダ(16.2%)、そして最下位はアメリカの16.1%。しかし、日本の23.9%という喫煙率は、日本人女性の低い喫煙率により引き下げられた値であり、2008年のデータで性別で比較すると、2位のフランスの30.6%に大差を付けて、日本人男性は39.5%とG7ではトップです。男性における国際比較では、ギリシャ(46.3%)、韓国(45.3%)、トルコ(43.8%)、日本(39.5%)、エストニア(38.6%)の順で、日本は堂々の世界第4位。対する日本人女性は、この数年常に喫煙率下位3位に入っており、2010年では12.1%。

OECDのデータによると、日本の最初のデータは1965年で、男性の喫煙率は何と82.3%。これは、OECDのデータでは他に例のない高い数字です。日本たばこ産業株式会社(JT)の前身は、日本専売公社であり、大蔵省から独立したもの。現内閣総理大臣からして、「18歳」から喫煙を始めたヘビースモーカーであり、日本男性の高い喫煙率は、JTの影響力を排除できず、また、禁煙する強い意思のない政治家の無能によるものであり、それが日本の文化でもあるのか。OECDのデータで興味をひいたのは、一般的に男性の喫煙率が女性のそれを上回る中、北欧諸国では男女の喫煙率が拮抗しており、2009年のデータでは、スウェーデンの男性の喫煙率は13.5%、対する女性は15%と、女性の喫煙率が男性のそれを上回る唯一の国であったということ。流石、男勝りのスウェーデン人女性。

タバコの起源は、新大陸(=古代アメリカ大陸)にあると考えられており、16世紀はじめには、すでに数種のタバコ属の植物が栽培されていたようです。ヨーロッパへは、新大陸を発見したコロンブスにより伝えられたとか。日本へも16世紀に南蛮貿易により伝えられました。もし、タバコの起源がごく最近であれば、「百害あって一利なし」のタバコは、麻薬や覚醒剤と同様の扱いになり、喫煙自体、法で禁じられたに違いありません。喫煙が肺癌の原因であることは良く知られていますが、泌尿器科領域でも、膀胱癌はヘビースモーカーに多い病気です。膀胱癌の仲間である、腎盂癌や尿管癌も同様であること、喫煙者の手術は高リスクであることなどから、患者さんには強く禁煙を勧めますが、なかなか喫煙をやめられない人も多いのが現実です。医師仲間をみると、日本の医師には喫煙者が多かったですが、スウェーデンでは非常に少ないという印象です。泌尿器科では知る限り、一人だけ。その代わり、snusという噛みタバコのようなものを使っている医師は複数います(大手メーカーSwedish MatchのHP)。

snusには、小さな袋に入っているものと、粉末を丸めて使うものとがあります。

 

いずれも、上唇と歯肉の間に挿入するのですが、殊に粉末タイプのものは、見るのも汚らしい。私にとっては臭いも吐き気をもよおすほど。

 

癌だけではなく、閉塞性肺疾患、虚血性心疾患など、喫煙の弊害をあげたらきりがありません。喫煙に関連した疾病により、どれだけ医療費が押し上げられていることか。私にとって喫煙者は、知能の低い野蛮人としか感じられません(汚い言葉で失礼します!)。殊に、喫煙の弊害を知っている医師の喫煙者はなおさらです。以前の上司であった教授がヘビースモーカーで、外科医、研究者としては尊敬していましたが、喫煙に関しては論外。禁煙のはずの院内で、教授室や医局は「治外法権」とのたまわっておられ、医局員は私も含めたんまりと副煙流に暴露されていました。スウェーデンでは、病院内の喫煙は勿論のこと、建物の出入り口での喫煙も禁じられています。それでも、高カロリー輸液の点滴袋をさげ、車椅子に乗った患者さんが、出入り口で喫煙しているのを良くみかけます。

少し前には、病院の出入り口にベッドに寝たままの患者さんが降りてきて、タバコを吸っていたのを目撃し、驚愕したのでiPhoneで激写。そこまでして、タバコが吸いたいか、、、。

少し脱線しますが、日本で現在、生活保護の患者さんにジェネリック薬品を優先させるとか、医療費の一部自己負担をさせるとかという論議がなされていますが、私はどちらも賛成。この話題に関してはまた取り上げたいと思っていますが、スウェーデンでは、年間2200クローネを上限として外来処方薬の自己負担が決められていますが、これを超えた場合、医学的理由がなければ薬価の低いジェネリックが優先されます。ジェネリックの処方を拒否した場合、上限に関わらず自己負担となります。生活保護者に関しても、たとえ、戦争難民であっても、減額された外来受診料や処方薬に対する自己負担が発生します。このようなスウェーデンの状況を鑑みると、日本の生保患者に対する医療費免除は、直ちにやめるべきで、これにより、通常より高い生保患者の受診率は抑制され、生活保護費の半分を占める医療費も抑制されることでしょう。税金を納めている低所得者よりも、生活保護者の方が高額の医療を受けることができたり、使途自由な生活保護費で何万円ものタバコを購入し病気になる生保患者の存在は、矛盾以外の何者でもありません。

国際禁煙デーの存在はあまり知られておらず、メディアも報道することが少ないようですが、スウェーデンでの議論が進んで、是非、レストランの屋外席やバルコニーでの喫煙が禁じられるようになってほしいものです。喫煙者が病気になるのは自己責任ですが、非喫煙者に副煙流の吸入を強いることは、言ってみれば殺人行為に近いといえるのですから。愛煙家の方、ごめんなさい。

医者の不養生(5)

今回は病院食のご紹介。

2年ほど前から、カロリンスカ大学病院では、電子レンジで温めるタイプの病院食を始めました。

朝食は、パンとチーズやハム、卵、野菜など、ヨーグルト、ミューズリーなどと、コーヒー、紅茶などが出ます。

昼食と夕食は、前日か前々日に准看護師さんがメニューを持って注文を聞いて回り、メニューから選ぶようになります。

日本のように、一汁多菜という訳にはいかず、何ともさびしい限り。しかし、入院費自体無料で、支払うのは一日あたり80クローネの食費だけなので、文句は言えません。

 

私が入院中の食事をいくつかご紹介。

チキンとヌードルの炒め物。

春巻きもどきと炒め物。

ラザニア。

白身の魚。

サーモン。

イースタープレートと名づけられた食事。

とはいえ、中身は、各種マリネされた鰊、ハムに卵です。

クリスマスにも、「Julmust」という甘い飲み物がありますが、中身は全く同じで、イースターには、「Påskmust」と名前が変わるだけ。

驚いたのは、これと、差し入れの握り寿司を食べているスウェーデン人のカップルがいたこと。スウェーデンの味覚オンチの最高峰か!

食堂まで歩く元気のある人は、食堂で食べます。

美味しくない病院食を察してか、心優しいYさんが、3回も差し入れを。滋養たっぷりクコの実入りお豆腐スープ。お稲荷さん。これにかぼちゃの煮付。涙がこぼれます。

彼女がイースターに合わせて持ってきてくれた黄色のチューリップを窓際に飾ります。

こちらのお弁当は、退院後、健康食に造詣の深いMさんが自宅まで差し入れてくれたお弁当。何と、今流行りの塩麹で漬け込んだ鯖の焼き物と、サラダに、玄米ご飯。この他にも、お餅やら、貧血対策のサプリメントなども。有難う!!!

医者の不養生(4)

スウェーデンでは、スウェーデン語のできない患者さんが入院してくることは珍しいことではありません。患者さんが英語を話す場合は問題はないのですが、その他の言語の場合は大変。看護師さんの出身も様々なので、ときには、看護師さんが、ペルシャ語、アラビア語、ロシア語などの通訳ができることがありますが、通常は通訳に病院へ来てもらいます。

アルフレッド・ノーベルが息を引き取ったのは、イタリア、サンレモの病院で、ノーベルはイタリア語が出来なかったといいます。死に至るほどの重い病の床で、意思疎通が叶わなかったことは、どんなにか辛いことだったでしょうか。私自身、受け持ちになる患者さんで、殊に大きな手術の術前術後などには、言語が出来ないと、不安も大きいことと想像することがときどきあります。

今回入院中も、殊に入院当初は非常に症状が重かったし、真夜中でも投薬など治療や、血圧や酸素飽和度のチェックのために看護師さんがベッドサイドに来ましたが、こちらは意識も朦朧としている中でのやり取りになります。移住以来、日本語を使う機会が殆どない生活で、寝言さえもスウェーデン語になりかけている状況だったので、スウェーデン語でのやり取りには心配がなかったのが、不幸中の幸いでした。

スウェーデンで日本人の患者さんにお目に掛かることはあまりないのですが、スウェーデン語に熟練されている方でさえも、日常使わない医学分野の話になると、やはり日本語が良いとおっしゃる方が多いです。随分前に、ポスドクとして働いていたとき、医学研究分野で日本のテレビが同僚にインタビューに来たことがありました。スウェーデン在住の日本人通訳が同行していたのですが、医学用語には不慣れなようで、同僚の不信を買い、急遽、代理で通訳をすることになったのですが、やはり、専門用語に通じていないと、全く話が理解できないということは、ままあることです。私も、自分の専門分野を離れると(英語に似た単語なら理解しやすいのですが)、わからない単語もまだまだ存在し、他科の医師と話をするときには十分に気を使う必要があります。

この次には、スウェーデンの病院食について、ご紹介しようと思います。

 

 

ひきこもり中

「医者の不養生」のつづきを書く予定ですが、このところずっと白樺の花粉症に悩まされていて、「ひきこもり気味」になっています。勿論、仕事はしていますが、一日オペ室にひきこもるのが最も快適。目は痒いし、鼻水が出て鼻づまりだし、油断すると喘息になりそうだし、、、。強度近視の私は、仕事にはコンタクトレンズが必須で、目薬を差しながら、だましだましレンズを使用。粘膜収縮剤の入った鼻スプレーに、ステロイドと気管支拡張剤の吸入薬。そして抗ヒスタミン剤。

 

本日、ストックホルムの花粉情報。Björkが白樺です。Vårdguidenより。

最近の花粉動向。Naturhistoriska riksmuseetのHPより。

お花見を予定している方には申し訳ないけれど、何とか早く雨が降って欲しい。

2週間ほど前に、まだ花粉がそれほど高くないとき、桜が満開になる前にKungsträgårdenを散歩。見ておいて良かった!

医者の不養生(3)

最初の2晩は、咳をすると「殺してほしい」ほどの痛みでしたが、それを我慢しながら咳をして痰を出す努力をしているうちに、少しずつ症状は軽快してきました。それでも一日当たりモルヒネを40mgくらい内服していましたが。軽快しなければ、挿管して人工呼吸器に繋いでICU送りになったところでしょうけれど、運良くそれはまぬがれることができました。高齢者が簡単に痰詰まりや肺炎で亡くなるのが良く理解できました。

しかし、モルヒネは内服でも非常に即効性があり、感動しました。日本では、通常の医療ではなかなかモルヒネを使うことはありませんでした。術後の疼痛には、ボルタレンなどのNSAIDが使われることが多く、鎮痛効果も十分でなかったり、高齢者にはリスクもありますが、スウェーデンの術後疼痛コントロールの中心は(硬膜外麻酔などを除けば)何と言ってもモルヒネの内服です。モルヒネは投与量さえ過ぎなければ、副作用はあまりありませんから、日本でももっとモルヒネを使うべきだとしみじみ感じました。しかし、モルヒネ内服により、ほぼもれなく便秘となりますので、下剤が必須です。

私も患者さんに良く飲んでいただく、Movicol。日本ではマグコロールと呼ばれていますが、これも私には初体験。Movicolを水に溶かしたものが入ったコップを、かわいい顔でにっこりと看護師さんが持ってきてくれるのですが、Movicolのまずいこと。一気に飲み干すと、「Vad duktig!」と褒めてくれるのですが、患者さんの中には嫌がって飲まない人がいるのも頷けます。

 

私が入院したのは2人部屋でした。一人目の隣人は、それこそロボット手術を受けたご婦人。術後の痛みが軽いのに感激していましたが、術後1日で退院してゆきました。二人目の隣人は、血尿とイレウス(腸閉塞)気味の高齢のご婦人。腰痛で他院の救急を受診したところ、ぎっくり腰だと診断されて帰されたとか。私から見れば、腹部の悪性腫瘍で、膀胱や腸に浸潤し、おそらく、骨転移もあるのではないか、、、と想像できてしまうのですが、、、。当初は胃管も入れられておらず、夜中も嘔吐を繰り返していて、大変気の毒でしたが、私も眠れずに辛かった。お嬢さんが面会に来て、「あの病院(前病院)を訴える。」とおっしゃていました。スウェーデンでは、患者さんが訴えても、まず、病院や医師に非が認められることにはならないのですが、、、。(つづく)

 

 

医者の不養生(2)

救急外来を受診した次の日は流石に病欠しました。しかし、それで終わりではありませんでした。病欠したその晩に激しい咳をして、その際に激痛が右胸部に走りました。上気道にかなり痰が溜まっているので、痰を出さなけ れば呼吸困難に陥るにも関わらず、激痛のため咳をすることができません。自分で診察してみると、12番か11番の肋骨骨折を起こしている模様。完全に遊離したと見られる骨片が触れます。肋骨骨折は 通常は大きな合併症を起こすことはなく、痛みのコントロールと安静が治療の中心なので、枕を患部に当てて弱い咳を試みたりしながら、朝まで待って痛みが治 まらなければ救急外来を再受診しようと思いました。麻薬系の鎮痛剤も効果なく、七転八倒しながらそのまま朝を迎え、救急外来へ。受付の看護師さんは、私が あまりに苦しそうにしているのを見て、ストレッチャーですぐに診察室へ運ばれました。

スウェーデンでは、軽症の患者さんを 入院させる余裕はありませんので、滅多に入院させてもらえることはないのですが、まさかの緊急入院。酸素飽和度も90%近くまで下がり、痛みもあるため、 肺塞栓と肺炎の検査の目的で緊急CTも。造影剤の注射は初めての経験で、いつも患者さんには、「体が熱くなりますよ。」と、自分で経験したこもないまま説 明するのですが、独特の感覚でした。特に、注射と同時に、膀胱が、かーっと熱くなったのにはびっくりしました。しかも、最近のスパイラルCTの早いこと。 検査時間は1分かからないくらい。

初めに細めの点滴ラインを入れてもらったのですが、CTの造影剤用に太いラインを入れられ、重症感が、、、。

結局、診断名は、肋骨骨折、喘息、肺炎、ということで、その日のうちに、呼吸器内科、整 形外科の専門医の診察も受けました。その晩は、酸素飽和度が低いため、酸素吸入をする羽目に。抗生剤の点滴を8時間おき、吸入を6時間おき、鎮痛剤を8時 間おき、それにモルヒネ錠を無制限に。しかし、咳をしないときには、痛みは軽度のため、モルヒネを10mg内服しただけでもドロドロになりますが、咳をす ると、全く効き目はありません。

「窓から飛び降りたいほどの痛みを10とすると、どの位の痛みですか?」と病院では痛みの評価をするのです が、咳をするときには、10です。それでも、前述の理由から、それ以上のモルヒネを使う気にもならない、、、。咳をしなければ、窒息しそうになる、、、。 これは、地獄の苦しみです。呼吸不全では死にたくないと、真剣に思いましたが、発作時は、「私は死ぬかも。」とも思いました。死ぬ覚悟で痛みをこらえて痰 を出し、ベッドは平らにすると苦しいので、頭を少し上げて、、。

その日、早々に、理学療法士のお姉さんたちがやってきて、「肋骨骨折における呼吸訓練とリハビリ」について説明してくれました。とにかく、痛みに苦しんでいた私は、リハビリするどころではなく、一人では歩くこともできなかったため、歩行器の使い方を教えてもらったりしました。

呼吸訓練には、こちらを使います。

こちらは呼気の訓練。私に合わせた量の水がボトルに負荷として入っていて、起きている間は一時間毎に、10回3セットずつ練習すること。

こちらは吸気。こちらも私の呼吸能力に合わせて負荷がかけられるようになっています。(つづく)

医者の不養生(1)

ようやく、ストックホルムも春らしくなってきました。

緊急入院から3週間が経ち、大分、体調も回復してきましたが、現在、白樺の花粉症に悩まされております。100%の自宅療養の診断書が出ているのですが、働かないという毎日に耐え切れず、50%ほど勤務しています。

今回の入院経験は、大変辛いものではありましたが、異国の地で医師として働く私にとっては、貴重な経験にもなりました。

イースターの直前、不覚にも風邪をひいてしまった私は、風邪に伴うお決まりの喘息発作を起こしました。日曜日の晩、あまりにも呼吸症状が悪化したため、カロリンスカの救急外来へ。到着したのが19時30分頃で、10分くらいの待ち時間で、血液検査や、心電図検査などをやってもらいましたので、悪評高いスウェーデンの救急にしては上出来でした。それからAT läkare(研修医)と思われる女医さんが診察にやってきました。おそらく、イラクあたりの出身のようでしたが、スウェーデン語は完璧なnativeで難民の2世代目なのでしょう。実は、こういった2代目はとても優秀です。親の経済状況が受けることのできる教育に影響を及ぼす日本と異なり、スウェーデンでは、貧しくても国の最高学府に入学することが可能であるため、カロリンスカにも多数移民の2代目と思われる医学生がいます。最近研修医で回ってきたイラン人は、中学生の頃から勉強に明け暮れたと言っていました。通常のスウェーデン人より、ずっとガッツがあります。以前にいた、ST läkare(専修医)の女医さんはシリアから8歳のときに難民としてやってきましたが、30歳になったばかりで、すで2児の母となり、医学書も執筆して、いくつかの特許も所有し、高級住宅街のÖstermalmの億ションに住んでいました。彼女のバイタリティーといったら、私などとても敵わないと思えるほどでした。

脱線してしまいましたが、、、受診時の呼吸数は毎分30回に近く、努力肺活量もかなり低下しておりましたが、気管支拡張薬の吸入で症状は少し改善したものの、副作用で脈拍は毎分120程。血液検査で白血球は軽度上昇、CRPは境界領域だったため、ステロイド内服や吸入薬の処方を受けて帰宅。帰宅は午前0時前。(つづく)

 

 

これからスウェーデンへ移住を考えている日本人女性へのメッセージ

今回の記事は、これからスウェーデンに移住する日本人「女性」に対するアドバイス的な記事です。「はじめまして!」さんのコメントへのお返事も兼ねて。

 

以前の記事にも書いたように、私の経験では、スウェーデンにおける専業主婦のほとんどは移民という印象です。残念ながら、日本人女性の患者さんを担当することは、これまでにありませんでしたが、在瑞日本人ネットワークからの情報によると、日本人女性で専業主婦をしている人の割合は、スウェーデン人に比べて圧倒的に高いそうです。

 

私などより先輩で、70年代に移住してきた日本人女性は洩れなく、仕事をばりばりとなさっているようで、定年後の生活を楽しんでいらっしゃる方も多くいらっしゃいます。所謂、中年といわれる年代で、パートナーがスウェーデン大手会社勤務で、日本駐在中に知り合って結婚、という事情の方には、専業主婦が多いと聞いています。アラフォーで育児中であれば、我が子に日本語を教えるのが精一杯で、自身のスウェーデン語習得まで手が回らないのも事実でしょう。しかし、現在のところは問題がなくても、将来、パートナーが定年退職する時期になると事情は変わってきます。スウェーデンの年金制度も将来は不透明な部分があり、多くの人がプライベートで年金積み立てをしています。基本的に、年金は、それまでに働いて納めた税金に比例しますから、専業主婦であれば年金は雀の涙で、それでは生活してゆけません。万が一、離婚ということになれば、パートナーの意思だけで離婚は成立しますし、日本のように慰謝料などありませんので、経済的保障のないまま離婚しなければなりません。そんな事情で、専業主婦を選択肢とした移住は、個人的にはお勧めしません。ご実家が裕福で、いつでも経済的援助を受けられるなどの特別な事情の方は別として、、、。

 

それでも、スウェーデンは、個人のやる気さえあれば、何歳になってもチャンスを得ることのできる国です。その点では、全く日本とは異なります。高校卒業時に、将来の進路が決まっていなくても、全く不思議ではありません。医学部学生の平均年齢もかなり高く、最近、50歳代の女性医学生を見かけて驚いたこともあります。しかし、若ければ若いほどチャンスが多いことには間違いなく、日本人が移住する際には、ある程度のプランを立てておくことは賢明なことかと思います。

 

アラサー以前で移住してくる女性も増えてきているようですが、その場合は、スウェーデン語を学び、希望する職種に合わせた教育を受けることから始めて良いと思います。若いということは、それだけ十分に時間があるということですね。羨ましい!

 

アラサーで移住してくる女性には、スウェーデン人パートナーとの結婚を機に移住することが多いように思いますが、その場合は、挙児のタイミングをいつにするかということがネックとなってくるでしょう。前にも述べたように、育児中にスウェーデン語を習得することは、非常にハードルが高いようです。よって、スウェーデン語習得前に出産なさった方は、家庭内では、パートナーとは英語、子供とは日本語、パートナーと子供はスウェーデン語というパターンが多いようです。そこから抜け出すには、大きなmotivationと努力が必要です。在瑞期間が長くなれば長くなるほど、それは大変になってきます。中には運良く、英語あるいは日本語だけで通用する職場を得ている方もいますが、それは例外的です。やはり、スウェーデンで求職するには、スウェーデン語が出来ないと非常に難しい。アラフォーに関しても、アラサーとほぼ同じことが言えますが、年齢が高い分、さらに状況は厳しくなります。少し蛇足になりますが、キャリアと挙児を上手に計画するに当たっても別の問題が生じることがあります。子供が欲しいといっても、すぐに妊娠できる保障はありません。その場合、高度医療のお世話になることもある訳ですが、スウェーデンの場合、IVFは38歳までの女性に限り、3回まで無料で受けることができます。しかし、治療には順番待ちがあり、数年は待たなければいけません。つまり、30代前半に既に挙児を試み、35歳くらいまでに申し込まなければならないことになります。勿論、プライベートのクリニックもあり、そちらを選択すれば比較的短期間で治療を受けることが可能ですが、一回あたりおよそ3万クローネくらいはかかります。挙児を試みる前は、多くの人が、「不妊」とは無関係と考えますが(私もその一人でした!)、不妊に悩んでいる人は実に多く、決して対岸の火事ではありません。

 

目指す職種ですが、自分の興味と一致すれば、これほど幸せなことはありませんが、それはなかなか難しい。私自身の話をすれば、私は自分が医師という職種を選んだことを非常に幸運で幸福なことだと感じています。医学には国境がありません。頻度やマイナーな違いこそあれ、疾患は万国共通です。その点からしても、医療分野における就職は、移民であっても比較的チャンスが多いように思います。実際、医療には全く関係のない教育を日本で受けてきて、3年間の教育で看護師になったアラサー、アラフォーの日本人女性が複数います。個人的には医療分野はお勧めの分野です。逆に、お勧めしないのが、日本語教師、翻訳、通訳など、「日本人であること」を売る分野です。確かに日本人であることを強みとできる分野ではありますが、永久職を得たり、自活できるだけの収入を得るのは至難の業です。漫画などの浸透で、一部の若いスウェーデン人に人気のある日本語教育ですが、大きな市場であるとはとてもいえません。社会人になっても日本語を習得したい人は限られているし、例えば、老舗のNKデパートの従業員教育でも、オプションの言語は今や、中国語とロシア語です。多くの人が簡単に目指そうとする日本語教師ということもあって、日本語教育に関わる大学教員の応募でも、何十倍という狭き門。しかしながら、「日本語」を武器とした職業が興味と一致し、情熱を燃やすことのできる方であれば、勿論、是非、目指してほしいと思います。単に、「日本人だから」という理由ではお勧めできません。

 

いずれにしても、日本人女性がスウェーデンに移住するのであれば、スウェーデン語の習得と職を得ることは目指さなければいけないと思います。スウェーデンには、何歳になっても再教育のチャンス、教育を受けるための経済的サポートがありますから、あとは本人のやる気次第。スウェーデンの男女平等社会を支えるのは、女性の自立です。女性も男性同様に社会に貢献しているからこそ。移住を考えていらっしゃる方、日本の常識にとらわれず、頑張ってください。「備えあれば憂いなし」です。

国際女性デーに寄せて

スウェーデンに移住してから知った、国際女性デーの存在。毎年、3月8日です。

職場に転がっていたMetroを何気なく開くと、興味深い記事が載っていました。

(日本で言えば)男女共同参画大臣とでもいう肩書きの、jämställdhetsministerがFPのNyamko Sabuni(写真)が、「スウェーデンは男女平等ではない。」というコメントを出しました。

 

2011年の国連の統計(UNDP:s Gender Inequality Index )によると、

1位: スウェーデン

2位: オランダ

3位: デンマーク

4位: スイス

5位: フィンランド

以下、6位、ノルウェー、7位、ドイツ、8位、シンガポール、9位、アイスランド、10位、フランスの順になります。

それにもかかわらず、スウェーデンが男女平等の国である(ja)と答えたのは、女性(kvinnor)で9%、男性(män)で26%、全体では18%にしか過ぎません。大都市(Storstad)ではそれ以外の地域(övriga sverige)より高い傾向があります。流石に、「全く平等ではない(inte alls)と答えた人は女性でも11%にとどまりますが、かなりの不平等感がある(Nej、inte helt)と答えた人は、男女ともに高い割合を示しています。

日本から来た私にしてみれば、日本と比べると、非常に男女平等だと感激することが多いのですが、スウェーデン人にとってはまだまだのようです。特に、育児に対する女性の負担が大きいことや、賃金の男女格差が問題のようです。しかし、子供を産むのは女性だし、出産や育児に関する女性の負担が、男性に比べて大きいのは生物学的に考えても仕方がないことのようにも思いますが、専業主婦なるグループが未だに存在する日本と異なり、スウェーデンでは、殆どの女性が勤労しているという事実を考えれば、男女平等でないという評価も納得できるように思います。スウェーデンにおける専業主婦の割合を示す統計を探すのは非常に困難なのですが、移民を除く通常のグループに限って言えば、専業主婦は殆ど存在しないといって良いと思います。日本では、「夫が高収入」などの理由で専業主婦に甘んじている女性も多いですが、スウェーデンでは、高収入の夫であっても妻も働いているのが当たり前です。日本で問題になっている、「三号被保険者」の存在など、スウェーデン人には理解できません。

 

他業種と異なり、私はありとあらゆる階級の人間と毎日会っていますが、その中で出会う専業主婦(hemmafru)のほぼ全ては移民で、特に頻度が高いのがモスリムです。子沢山の人も多く、子供に対する手当てだけで、何年間も食いつなぐことができるという事情もあるようですが、長期間スウェーデンに住んでいてもスウェーデン語が話せず、外来受診には通訳をつける(勿論、公費です!)人がかなりいるのには、驚きです。やはり、スウェーデンに移住した以上、言語を学び、勤労して税金を納める努力をすることは、人間として当たり前のことだと思うのですが、、、。

 

女性が経済的に自立しているということは、男女平等の社会を形成する上で、必要不可欠なことだと思います。勿論、女性を支援する社会システムの確立も重要ですが、女性側の姿勢として、自立の努力なしに不平等を唱えるのは筋違いだと考えています。女性が経済的に自立していることで、スウェーデンでは離婚も多い。それを批判する人もいますが、「離婚したくても、経済的に自立できないが故に離婚できない」ことの方が、女性にとっては悲劇なのではないでしょうか。

 

この国際女性デーに合わせたかのように、スウェーデンを代表するカップルの別居が報道されました。

スウェーデンの若き首相、Frederik Reinfeldt(46歳)と、同じ穏健党の政治家である妻のFilippa Reinfeldt(44歳)。二人は若い時から政治に関わり、出会いは1989年、穏健党の青年部で、時に、Frederikは24歳。その後、1992年に結婚し、現在、18歳、16歳、11歳の3人の子供がいます。長男は同じく穏健党の青年部で活躍しています。今年、結婚20周年を迎える二人。若いながらそつなく首相の任務をこなすFrederikと、自立する女性Filippaは、まさにスウェーデンの顔ともいえるお似合いのカップルで、不和の噂なども今までありませんでした。既に、家族がそれまで住んでいた邸宅は売却され、カップルは別居しています。離婚届が受理されるまでに6ヶ月の考慮期間があるので、まだ離婚した訳ではなく、離婚に至る事情も殆ど報道されていません。

その後の新聞で、「Jag mår jättebra(とっても気分がいいわ)」という見出しの記事がありましたが、実は離婚をしたかったのはFilippaの方だったようです。First ladyということで、自身の政治家としての活動に制限が加わることも多く、FrederikはFilippaには、First ladyを優先してほしかった模様。Filippaは所謂、県の政治家で、医療に関する分野の仕事をしています。2007年にストックホルム地域の診療所だったSerafenを数人の医師グループにに694 500クローナで売却され、最近、そのSerafenが2千万クローナでCapioグループに転売された報道により(記事)、Filippaの最初の決断が大きく非難されました。その際、FrederikはFilippaを支持しない立場を取っていましたが(記事)、それが今年の1月で、このことも別居を加速させたのかもしれません。

因みにSerafenは、ストックホルム市庁舎の真向かいにあり、歴史のある建物の内部を改造して作られた大きな診療所。婦人科の定期健診などでは私もお世話になっています。

 

Fast ladyが離婚を希望するなんて、日本ではありえない話。その是非は別として、スウェーデン人女性の自立心を感じたニュースでした。

去年のノーベル賞の晩餐会では、仲睦まじい姿を見せていたのに、あれが最後だったのですね。

ポテトチップス姫

スウェーデンの2大ポテトチップスメーカーといったら、OLWとEstrella。

私のお気に入りは、EstrellaのSalt and Vinegar。

 

ビクトリア王女とダニエルに、第二王位継承者となるプリンセスが誕生してから1週間以上が経ちました。賞味期限切れの記事をごまかすために、ポテトチップスの話題から。何故なら、Estrellaという会社名に姫の名前が似ていて、それをからかった記事が新聞に載っていたため。

 

プリンセスの名前は、Estelle Silvia Ewa Mary。伝統的なスウェーデンの名前になるだろうという、大方の予想を裏切った名前です。Silviaはシルビア王妃から、Ewaはダニエルの母親の名前。Estelleというのは、フランスの名前で、「星」を意味するのだそうですが、発表後から有識者の批判が相次ぎました。それに反論する形で、名前の由来が明らかになりましたが、国王のgudfar(godfather)であったFolke Bernadotteは、国王の父が1947年に飛行機事故で若くして亡くなったこともあり、国王にとってとても重要な人物でしたが、このFolkeの妻がアメリカ人のEstelle Bernadotteだったのです。

Estelleもそうですが、最後のMaryもスウェーデンらしからぬ名前、スウェーデン式ではMariaとするべきところ。スウェーデンでは、親の教養レベルが高いほど、伝統的な名前を付けると、研究者が書いているのを読んだことがありますが、王室ともなると、しかも、将来の女王ともなると、名前の選択も大問題のようで、批判を浴びました。子供としては、親が気に入って付けてくれた名前であれば嬉しいと思いますが、日本でも確かに突拍子もない名前に出会うことはありますね。

 

話は戻って、Estelle王女は2月23日早朝にカロリンスカ大学病院で生まれました。その直後、早朝7時からのダニエルの記者会見は、ほのぼのとしながらも、ジャーナリストに釘を刺す一面もありました。

最初に、身長、体重をダニエルが発表したにもかかわらず、質疑応答で、「どの位の大きさですか?」という質問が出ました。次のショットを撮りたいがためだそうです。

 

私は7時20分頃には出勤するので、この日も、記者会見の直後と思われる時間に到着。

思ったより局の大型車が少なくて驚きました。

深夜1時過ぎに入院、4時半前に出産、そして12時前には退院と、安産が伺われるスピード出産と退院。それでも、病院では、各科は、予定手術を複数キャンセルするなどの対応に追われました。

王宮近くでは祝砲も打ち上げられました。

 

こちらが生後4日のEstelle姫です。将来の女王様。

ビクトリアが生まれたときには、第一王子が王位継承者と定められていたため、スウェーデンで王位継承者として誕生した女児は彼女が初めてです。第二子である第一王子、カール・フィリップは、王位継承者として誕生したにもかかわらず、スウェーデンは翌年、憲法であるところのGrundlagenを改正し、「第一子を王位継承者とする。」としました。女性天皇の議論が始まっていたにもかかわらず、秋篠宮妃のご懐妊が明らかになると、何も無かったなのように議論が止まってしまった日本とは、大きな違いです。

ヨーロッパの王室は殆どが第一子を王位継承者としており、デンマークを除いて、皇太子の第一子は女児。将来、女王外交が主流のヨーロッパとなりそうです。

因みに、スウェーデン王室はFacebookのアカウントを持っていて、いち早く写真を公開しています。プライベートを守る対策にもなっているのでしょうけれど、何ともモダンなことです。


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