Visits

Online: 1
Today: 179
Week: 3438
Overall: 5469077

Flag counter

free counters

新記録!

泌尿器科の守備範囲は非常に広く、手術は開腹術から内視鏡まで多岐に渡るため、全ての手術を習得するというのは、非常に難しいのです。また、この10年、20年における器材や手術法の進化も、外科系診療科の中では、もしかするともっとも変化したかもしれません。

 

私の最も興味のある分野は、何といっても「癌」であり、その中でも、膀胱癌、前立腺癌に取り組んでいます。

膀胱癌は、表層癌である場合は内視鏡による切除が可能ですが、筋層へ浸潤すると、膀胱を全部摘出しなければなりません。他の臓器のように、部分切除という選択は、通常の膀胱癌においてはありません(特殊な組織型の膀胱癌では例外あり)。膀胱を全部摘出すると、その後に「尿路再建」が必要になります。

四半世紀ほど前までは、「回腸導管」といって、小腸である回腸を20cmほど用いて、尿管を回腸へ縫合し、回腸の末端を皮膚から引き出し、ストーマとするのが通常でした。つまり、患者さんは、ストーマの上に採尿袋をつけるーお腹に袋をつけるーことになった訳です。

(Kidney and Urologyより)

 

現在は、いろいろな方法で、「新膀胱」を作成し、膀胱を尿道に縫合することによって、ストーマではなく、手術前と同じように尿道から排尿させる手術が多く行われるようになってきています。その中で、我々が行っているのが、Dr Studerにより開発された、Studer法による新膀胱。

(American J Roentgenologyより)

回腸をおよそ70cm利用して、口側15cmほど残して脱管腔化します(腸間膜の対側で切開する)。切開した部分を縫い合わせて一つの袋を作ります。その袋が最も骨盤に落ち込む部分に穴を開け、尿道と縫い合わせます。切開していない部分に尿管を縫い合わせます。通常の開腹手術で、膀胱全摘をして、回腸導管なら、2時間から4時間、Studer法による新膀胱なら5時間以上は時間のかかる大きな手術です。

 

この数年で、DaVinci手術ロボットを、前立腺全摘だけでなく、膀胱全摘にも使うようになっています。手術時間は開腹手術より長くかかりますが、利点としては、出血量が少ないこと、勃起神経を温存する手術が可能であること、新膀胱の場合、精度の高い尿道の操作ができるため、尿失禁の頻度が減ることなどがあります。私が3年ほど前に、スウェーデンで初めてロボット手術を見学したのが、実はこの膀胱全摘と新膀胱作成だったのですが、数例目ということもあり、10時間近くかかったことを記憶しています。

時間がかかるため、通常は2つの手術チーム(術者+助手)を用意するのですが、今日は交替要員なしで、教授と私の二人で通しです。教授が登場するまでに、腹腔内に6つのトロッカーを挿入し、ロボットを合体させなければなりません。トロッカーの位置が手術のやりやすさを左右するので、これは大事なステップです。患者さんは重度のCOPD(スウェーデン語ではKOL、慢性閉塞性肺疾患)のため、通常はかなり頭を下げる体位、まさに逆立ち状態に近い体位にするのですが(腸管をよけるため)、それができません。

 

しかし、もの凄い速さで手術は進み、手術時間は驚きの4時間台。出血量も500ml以内。輸血は不要です。これは新記録に違いありません。前立腺全摘と異なり、助手も非常に重要なので、私もとても嬉しかったです。

数日前には、エホバの証人の患者さんに同じ手術をしましたが、勿論、無輸血。開腹手術では、まず輸血は避けられないので、内視鏡手術でないとこの手術はエホバの証人にはできません。

しかし、手術は終わった後に疲れがどっときます、、、。

モシモシ。アリガト。

私の勤務する病院では、「電話診療」が多く行われています。患者さんと医師の間だけでなく、医師同士、つまり、診療所のプライマリーケア医が診療所を受診した患者さんで、専門医に送らずに済みそうな患者さんや、専門医に紹介する前に効率よく検査を進められるような患者さんについて、専門医に相談することもできます。

 

日本では、例えば、前立腺癌の患者さんで、PSA(前立腺特異抗原)を定期的にチェックする場合が多くあります。そんなときは、患者さんは、最低1回、あるいは2回の病院受診が必要になります。これに限らず、血液検査の結果を聞きにくるだけの受診は、当たり前のことです。患者さんにとっても、医師にとっても負担となるシステムです。

 

スウェーデンで働くようになってからは、電話相談や、手紙による結果の通知などの診療形態を良く利用します。前述の、前立腺癌の患者さんの場合は、実際に受診してもらって診察をするのは、1年に1回か2回。それ以外は電話診療で済ませることがしばしばあります。患者さんは、電話診療の日時に間に合うように、近くの検査室へ血液検査をしに行けば良いだけです。定期的な診察だけでなく、急に何か問題があった場合は、診療科の看護師に電話をし、日直医から指示を受けるか、緊急でない場合は、担当医の電話診療を予約することができます。投薬が必要な場合も、オンラインの処方箋で処方をし、患者さんは街のどの薬局でも薬を手に入れることができます。診療科は、これらの遠隔診療行為について報酬を得ることになりますし、受診なしのオンライン処方では、80クローネ(約1000円)の報酬を診療科は得ることができます。この80クローネは患者さんの自己負担となります。

 

先日の電話診療で、ある80代の男性に電話をしました。電話をする時間はきちんと決まっている訳ではなく、例えば、13時から14時の間、というように、1時間の枠のどこかで電話をすることになっています。この患者さんには、電話診療時間終了間際での電話。

 

私がまだ一言も発しないのに、突然、電話の向こうから、

「モシモシ」

という声が聞こえてきました。

患者さんは私の電話を待ち構えていて、そして、私が日本人であることを知っているので、日本語で電話に出ようと計画していたのです。

今日は、これから手術になる患者さんで、全く会ったこともない人。

これからの予定や病気の話をしたあと、名前を聞かれました。

「○○子」と、ファーストネームから始めると、すぐにそれが日本人の名前であることに気付いたようでした。そして、

「アリガト」と。

スウェーデン語では、「Tack.」。「Tack så mycket.」は、「Thank you very much.」になりますが、very muchは日本語で何というのかと聞かれました。

 

このお二方も含めて、電話診療や通常診療で出会った多くのスウェーデン人が、日本の惨状について気にかけてくれます。

何だか温かい気持ちになります。


Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: No such file or directory in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 345

Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: A link to the server could not be established in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 345

Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: No such file or directory in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 346

Warning: mysql_query() [function.mysql-query]: A link to the server could not be established in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 346

Warning: mysql_fetch_row() expects parameter 1 to be resource, boolean given in /var/www/drpion.se/public_html/alltidleende/wp-content/plugins/quickstats/quickstats.php on line 346