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「陽は必ず東から昇る」

春は臨床医学関係の総会が行われる時期です。

今回の東日本大震災を受けて、日本医学会総会をはじめ、多くの学会が、総会の中止や延期などの対応を取っています。

日本医学会総会は東京での開催でしたがWEB形式などに変更。

日本外科学会は紙上開催。

日本整形外科学会はWEB形式。

日本皮膚科学会は中止。

日本内科学会は延期。

日本産婦人科学会は延期。

日本眼科学会は5月に開催。

日本形成外科学会は開催(徳島)。

といった感じで、4月までに東京で開催されるものはWEB形式の開催か中止、つまり事実上の中止。
それ以外も延期などが多く、開催が決定されているものはそれほど多くありません。

私の所属する泌尿器科学会は、4月に名古屋で開催予定です。

どうなることかと思っていたのですが、会員宛に開催決定のメールが届きました。

そして、復興への想いを込めて、タイトルに

「陽は必ず東から昇る」という表現を付け加えたということです。

いろいろな考え方があって、学会の開催を中止したり、開催を決定したりするのだと思います。

日本の経済のためには、我々の活動を縮小すべきではないという意見ももっともです。

知識の普及・情報収集という意味では、もはや現代における学会の持つ意味は薄くなっていますが、若い先生にとっては、初めての大きな発表の舞台となることも多く、まだまだ存在意義があるのが総会です。

私も参加する予定で、チケットも取っていますが、旅行会社からは、やはりスウェーデン外務省からの通達により、「日本への渡航の意思の有無」についての問い合わせがきました。不必要な日本への渡航は自粛するようにとのことです。よって、キャンセルは問題なくできるようです。

まだ迷っていますが、わずかながらでも日本への貢献の意味でも、帰国しようかなと思い始めています。

「陽は必ず東から昇る」

胸にずしんときました。

 

以下は、学会からきたメールです。開催決定までの道のりが思いやられます。

 

平成23年4月6日
日本泌尿器科学会
会員 各位
日本泌尿器科学会
理事長 内藤 誠二
第99回日本泌尿器科学会総会
会長 郡 健二郎

謹啓
東日本大震災で被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復興を衷心よりお祈り申し上げます。

このような社会状況の中、関係者のご意見を伺いながら、第99回日本泌尿器科学会総会の開催について慎重に検討を重ねてまいりました。その結果、現在私たちが社会に対して果たすことのできる貢献として、会員の教育・研修および情報交換という最も重要な機能を発揮する場である総会を開催し、会員の臨床・研究の向上を図ることが大切であるとの結論に達しました。この間、東北地区の大学の先生方からは「この時期だからこそ沈みこまないで、総会を開いてほしい」「教室の同門も開業医を含め参加したいと言っている」など、逆に私たちを後押しするような温かいお言葉を賜りました。これら数々のご厚情に深く感謝いたしております。とは申しましても、このような意見は、被災地において不眠不休で医療に携わっておられる先生方や、その周辺地域で透析医療などの被災患者を受け入れられておられる先生方の総意だとは決して思ってはおりません。地震・津波・原発事故などで不安を抱える方々のお気持を出来る限り拝察しながら、学会本来の責務を遂行できるように努めていく所存でございます。

学会運営にあたりましては、被災地の先生方にどのようなことができるのか、と話合いを重ねました。以下に若干のご提案を申し上げます。しかし、被災地の惨状を知らない私たちゆえ、行き届かない点が多々あることと存じます。ご希望・ご意見をお寄せいただきたく存じます。可能な限りにおいて、対応させていただく所存でございます。
1)診療や交通などの都合により、一般演題に限って発表日の変更希望
2)発表者の変更希望
いずれも4月19日(火)までにご連絡いただければ対処させていただきます。なお東北大学 荒井陽一教授からは緊急企画として被災地の医療と現況をご講演いただく予定でございます(日時、タイトルは後日ご連絡いたします)。会員一同が一体となって絆をきずき、元気を取り戻すきっかけになればと思います。

会場内は質実な気風とし、学術あるいは文化交流に重きをおくことに徹してまいる所存です。このことは共催企業や運営会社の皆様にもご理解いただいているところでございます。懇親会の開催は、学会の目的の1つである会員相互の交流を深めるための「情報交換会」とさせていただきます。この件を決めるにあたりましても、東北地区の先生方のご意見に依るところがございました。たとえば、「学会に参加するのだから、他地域の人達と話し合う機会を作ってほしい」、「自分達だけで食事をしても意味がない」、「東北からのビデオメッセージを送ろうか」などでした。正直言ってその前向きな姿勢に驚き、敬服いたしましたが、学会の目的に立ち戻り、イベント抜きの粗餐ではございますがご用意させていただきます。23日(土)の情報交換会のはじめには、益川敏英先生から若い人達に向けてお言葉をいただく予定です。名古屋名物を片手に、泌尿器科学の未来を語り、被災地の医療を励ます場になればと願っております。4月22日(金)に予定しております会員情報交換会の会場となる名古屋城では、天守閣の見学ならびに二之丸庭園の使用費につきましても名古屋市はじめ関係機関のご高配を賜りました。被災地の方々の食料困窮したる状況を鑑みまして、教育セミナーや情報交換会での食事はできる限り無駄をなくす工夫を、共催企業や仕出し屋さんなどにご理解とご協力を得ているところでございます。

このようにして、節約できました経費は被災地への義援金の一部にささやかながらさせていただける予定でございます。なお学会期間中は日本泌尿器科学会筧総務委員長と連携しながら、義援金活動を行ってまいります。市民公開講座にご参加いただく市民の方々(延べ2000名の予定)からのご懇篤も賜る予定でございます。約2年前、私たちの教室が本総会開催を仰せつかってからこれまでに一貫した思いは、会員の皆様に満足していただく総会にすることです。当初の計画も、この1ヵ月間で大幅に変更・縮小せざるを得ない状況ではありますが、この国家的大難局を打開する一光が見える学会になればと思っております。

本総会のメインテーマに「陽は必ず東から昇る」を付け加えました。私たちは直接お手伝いができなく申し訳なく思っておりますが、一日も早い復興に向けて大きな一歩を踏み出す総会になるように努めてまいります。会員の皆様のご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。


謹白

報道への不信感

本当は少し明るい話題で4月のエントリーを始めたかったのですが、あまりの驚きで口が開いたままになったので、他の方と感情を共有したいと思い、この記事を書かせていただきます。

 

福島原発で、被害を食い止めるために懸命に頑張っていらっしゃる、数百人の作業員の方に関するニュースには、切なくなるほどの感謝と尊敬の念で一杯になります。こちらスウェーデンでは、「私」を犠牲にして働くという価値観はありえませんので、スウェーデン人自身が、「スウェーデン人だったら、(東電や関連会社を)即座に退社してでも、危険な現場では働かない。」と言い切ります。「他人のために身の危険を顧みず働く」というのは、言ってみれば日本人の美徳の一つなのではないでしょうか。

 

3月29日付、読売新聞の記事で、原発で働く人達の、過酷な勤務状況が報道されていました。あまりにひどい現場の状況に、怒りさえ覚えたほどでした。

以下に、記事全文を引用します。

 予断を許さない状況が続く東京電力福島第一原子力発電所で修復作業に当たっている作業員の厳しい労働環境が28日、明らかになった。

 この日記者会見した経済産業省原子力安全・保安院福島第一原子力保安検査官事務所の横田一磨所長(39)によると、朝食はビスケットと野菜ジュース、夕食は非常食用の五目ご飯などと缶詰で、1日2食となっている。

 夜は同原発1号機から北西に約300メートル離れた「免震重要棟」の緊急時対策室で雑魚寝する。各人に配布されているのは毛布1枚だ。

 東電によると28日現在、同社や協力会社の計450人が所内で作業に携わっている。

          ◇

 28日、経済産業省原子力安全・保安院の記者会見などで明らかになった東京電力福島第一原子力発電所の作業員らの過酷な労働環境。限られた食事、高い放射線量の中、危険と隣り合わせの修復作業が続く。

 ◆日課◆

 原子力安全・保安院福島第一原子力保安検査官事務所の横田一磨所長(39)は22~26日、作業員への指示を行ったり、作業員らが食事や睡眠を取ったりする免震重要棟の「緊急時対策室」に滞在、28日会見を開いて状況を報告した。

 免震棟は地震の揺れを軽減できる構造で、昨年7月に利用が始まった。東電によると、2号機で爆発が起きた15日には、東電と協力会社の作業員や技術者計約800人のうち、原子炉への注水を行う約50人を除いていったん所外に避難したが、その後は270~580人程度が所内にいる。

 横田所長によると、作業員らは、毎日午前7時にミーティングを行い、各原子炉の状況や作業手順を確認。午前10時頃から午後5時頃まで作業を行い、免震棟に戻って夕食となる。就寝は午後10時過ぎ。夜勤の作業員は寝ずに、計器の数値を監視する。

 1日2回の食事のうち、朝は1袋十数枚入りのビスケットを2袋に野菜ジュース。夕食は、水を入れて発熱剤で温められるワカメご飯や五目ご飯、キノコご飯やドライカレーなどと鶏肉やサバの缶詰1個。飲料水は1人1日1・5リットル配られているが、貴重なため、手洗いはアルコールを使っている。風呂やシャワーは使えず、着替えもほとんどない。

 救援物資の増加も検討されているが、周辺の放射線量が高いため、ヘリコプターでの輸送はできず、東電のバスで運搬している。

 東電の現地のリーダー格の男性職員は当初、「乾パンで飢えをしのいだ。わずかな仮眠で仕事を続け、乾パンをかむ力もなくなってきた。お茶が飲みたい」と本店社員に訴えていた。

 ◆士気◆

 夜は冷え込んで寒いが、対策室や廊下で雑魚寝となる。対策室は約35メートル四方で“すし詰め状態”。イスを並べて寝る作業員もいる。

 地震が発生した11日からしばらく所内に詰めていたという東電社員は、当初は23時間勤務して1時間の仮眠を取る程度だったという。

 屋外の放射線量は依然として高い。このため、免震棟の床に鉛のシートを張るなどして、建物の内部の放射線量を毎時2~3マイクロ・シーベルトに抑えている。

 タービン建屋にたまった水などから高い放射線量を測定していることもあり、横田所長は今後の作業では、「水たまりを避けるなどの注意が必要だ」と話す。

 作業員は交代があるが、「幹部は(現場を)離れるのは難しい」(横田所長)状況だという。夜のミーティングの終わりには、東電社員の「がんばろう」のかけ声とともに一本締めで、士気を高めているという。
(2011年3月29日03時03分 読売新聞)

 

問題はここからです。

今日、同じ記事をチェックしようとしました。

そうしたら、この記事が以下のように書き換えられているではないですか!

予断を許さない状況が続く東京電力福島第一原子力発電所で修復作業に当たっている作業員の厳しい労働環境が28日、明らかになった。

この日記者会見した経済産業省原子力安全・保安院福島第一原子力保安検査官事務所の横田一磨所長(39)によると、朝食はビスケットと野菜ジュース、夕食は非常食用の五目ご飯などと缶詰で、1日2食となっている。

夜は同原発1号機から北西に約300メートル離れた「免震重要棟」の緊急時対策室で雑魚寝する。各人に配布されているのは毛布1枚だ。

東電によると28日現在、同社や協力会社の計450人が所内で作業に携わっている。(2011年3月29日09時06分  読売新聞)

 

後半の部分が全て消去されています。なんということでしょうか!

このような報道機関のやり方は、あまりにひどいと思います。

現場の悲惨な状況を、克明に伝えることは不適当という判断なのでしょうか。これは、政治的配慮による情報操作なのか。現在の日本で、こんなことがあるなんて!

怒りを通り越して、心がつぶれそうになります。

皆様はどのような感想をお持ちになるでしょうか?

朝令暮改

日本が危機的状況におかれている現在、お上に対する愚痴や批判は控えてきました。しかし、今日は少し愚痴らせていただきたいと思います。

 

金町浄水場で22日、23日に採取された水から、基準以上の放射性ヨウ素が検出されたことを受け、東京都は、23日に乳児の水道水摂取自粛を勧告したが、24日には基準値以下となったため摂取制限を解除しました。

まさに、朝令暮改です。
天候などにも左右されやすい放射性ヨウ素値が、今後変動する可能性は十分にあるはずであるのに、わずか一回の検査結果でこのような決定を下すことは、時期尚早であるばかりでなく、人々の不安を煽ることになります。明日、上昇傾向を認めたら、また摂取制限をするのでしょうか。少なくとも、しばらくは、「乳児の水道水摂取自粛」を継続し、経過を観察するという、理解しやすい方向性を示すことが必要だと思われます。

今回の原発問題において、このような情報の「曖昧性」に対するフラストレーションは、至るところにあります。

例えば、千田先生のブログでも紹介されている、日本産婦人科学会のHP

確かに、細やかな情報には感心します。しかし、水道水に関する情報では、以下のような記述があります。

現時点では妊娠中・授乳中女性が軽度汚染水道水を連日飲んでも、母体ならびに赤ちゃん(胎児)に健康被害は起こらないと推定されます。また、授乳を持続しても乳幼児に健康被害は起こらないと推定されます。しかし、胎児・乳幼児は成人に比べ被曝の影響を受けやすいとされており、被曝は少ないほど安心です。したがって、軽度汚染水道水以外の飲み水を利用できる場合には、それらを飲用することをお勧めします。

 

科学的には、100%安全と保証することは難しいので、このような記述になってしまうことは理解できますが、このような情報の曖昧性により、人々は水を買いに走ることになるのです。安全だとしながら、安全でないとも言っていることになり、まさに、矛盾がここにあります。医師が医療現場で、治療により起こりうる合併症について説明する場面に良く似ているような気もしますが、何度読んでも消化不良感が残ります。

 

日本が現在瀕しているような危機的状況においては、優れた、そして、強力なリーダーシップが必要です。政治家には是非頑張って欲しいと思いますが、今回の東京都の朝令暮改にはいらいらしてしまいます。

日本では、放射能を検出する器械、ガイガーカウンターが売り切れだと聞いて、スウェーデンで探していますが、複数の会社で品切れです。日本からの注文が入ったからのようです。お上の情報があてにならないので、疑心暗鬼となった国民は、子供を疎開させたり、ガイガーカウンターで放射能をチェックしたりと、自己防衛策を講じようとしているようです。やはり、的確な情報公開と、はっきりとした指針を示すことが大切なのではないでしょうか。


スウェーデン外務省からの勧告

本日の原発の状況は、全体として良い方向へ向かっている印象。通電の準備もできて、従来の冷却装置が働いてくれることを祈ります。

そんな中、本日、スウェーデン外務省から、在日スウェーデン人に対する勧告が出ました。勧告の通達はこちら、スウェーデン政府のHP。

「未だ原発の状態が不安定であるため、
Strålsäkerhetsmyndigheten (SSM:Swedish Radiation Safety Authority)は、250キロメートル圏内にいる人は、(甲状腺癌)予防目的で、既に現時点からヨウ素錠剤を内服することを勧める

というものです。

原文を訳してみます。

外務省は3月16日以降、日本への渡航を控えるとともに、福島原発より80キロメートル圏内にいるスウェーデン人の避難を勧告します。この勧告は、原発の今後の見通しや放射能汚染の影響が不透明なことに基づくものであります。スウェーデン関連省庁によると、降水により福島原発より250キロメートル圏内での健康へのリスクが生じる可能性があります。風向きにより、東京も影響下に入る可能性があります。

よって、スウェーデン外務省は在日スウェーデン人に以下の勧告をします。

1. (この状況が)心配で、放射能汚染の影響を受けたくない者は、日本を出国するか、250キロメートル圏外へ避難してください。

2. 250キロメートル圏内にいる人は、既に今から、(甲状腺癌)予防目的で、ヨウ素の内服を推奨します。

3. 降水の際には、250キロメートル圏内にいる人は、屋内に留まり、窓を閉め、換気を中止してください。

また、ヨウ素錠剤を持っていない人は、東京のスウェーデン大使館で入手できます。

 

東京方面へ風向きが変化してきているため、放射能汚染のある雨が降る可能性を危惧しているようです。

日本では、東京は今のところ安全と考えられているので、このスウェーデン外務省の勧告には驚きました。スウェーデン外務省の心配が杞憂となりますように。

 

被爆による甲状腺癌予防目的のヨウ素補給などについて、興味深い記事を転載してご紹介したいと思います。ヨウ素過敏症などヨウ素投与が禁忌となる場合などもありますので、内服は医師の指導に従った方が良いと考えられます。記事にご興味のある方はこちらからどうぞ。

Continue reading スウェーデン外務省からの勧告

緊急被曝に対する対応など

原子力安全・保安院は18日、福島第一原発の事故について、事態の深刻さを示す国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価を、米国スリーマイル島の原発事故と並ぶ「レベル5」(広範囲な影響を伴う事故)に引き上げました。

とはいうものの、放水による冷却作戦が効を奏しているのか、状態は比較的安定しているようにも感じられます。また、送電を再開させる作業も進んでいるとのことです。

日経メデイカルオンライン版に、「緊急被ばくの事態への対応は冷静に」というタイトルで、放射線科医である、北海道がんセンター院長の寄稿があり、医療者以外の方にも参考にしていただきたいと思いましたので、ここで引用させていただきます。

 

(前略)

Sv (線量当量)とは、人体への放射線の影響を考慮して設定された線量を示す単位である。放射線障害防止法などの法令が定める一般人の年間の被曝線量限度は 1000μSv(=1mSv)とされているので、確かに大きな線量である。なお、医療従事者や原発従業員などの職業被ばくの年間線量限度は最大 50mSv(100mSv/5年)である。この事態に対して、原因や問題点などに関して今回は論じることは控え、健康被害についてのみ論じたいと思う。

人類は宇宙や大地から、自然放射線を受けており、日本では年間2.4 mSvの被ばくを受け、医療被ばくを加えると日本人一人平均約5 mSv(5000μSv)の被ばくを受けている。また東京一ニューヨーク間の往復では宇宙からの放射線が多く、0.19 mSvの被ばくを受けると言われており、低線量の放射線被ばくは日常的なものなのである。

しかし、放射線は被ばくしないに越したことはない。放射線防護のテクニックとして、(1)距離(2)時間(3)遮蔽-の3原則がある。

(1)距離は、放射性物質からできるだけ離れることであり、これは遠くへ避難することである。放射線の量は距離の二乗に逆比例するので、原子力発電所から 1Kmの地点での放射線量を1とすると10Kmの地点では1/10×10=1/100 となり、100分の一の被ばく量となる。20Kmの距離に避難すれば、400分の1となる。

(2)時間はそのまま加算されるので、同地点に1時間滞在よりも1日滞在すれば、24倍の被ばく量となる。

(3)遮蔽は放射線の種類やエネルギーによっても異なるが、密度の高い建材で造られた室内に退避することにより、外部からの放射線をより多く遮蔽すること ができる。屋外にいるよりも木造建築の室内にいれば建造物が遮蔽体となりより少ない被ばく線量となる。さらにコンクリート造りの室内では低減する。

さらに空気中に含まれている放射線物質からの被ばく量の低減のために皮膚を露出しない服装と帽子の着用、内部被ばくを避けるためにマスクの着用などを心掛 けることである。また、現場で考えることは放出された放射性物質は風によって運ばれるので、風上方向への避難が重要であるが、時間的経過で風向きも異なる し、現実的に海の方向へ逃げることはできないので、とにかく(1)距離と(2)時間の原則を考えて対応することとなる。

また放射線防護 剤(内容はヨード剤)の配布が緊急被ばく医療の対応マニュアルに記載されているが、ヨードを多く含む昆布などの食品を食べながら避難することが現実的であ る。ヨウ素は甲状腺に取り込まれるが、事前にヨウ素を摂取し、甲状腺のヨウ素量を飽和させることにより、放射性ヨウ素が環境中にあっても、甲状腺に取り込 まれないようにする対応である。

(中略)

なお放射線が人体に与える影響は被ばくの時間的・空間的(被ばく範囲)な違いも考慮することも重要である。(1)急性被ばくか、慢性被ばくか、(2)全身被ばくか、局所被ばくかによって、人体への影響は異なる。

(1)の時間的な問題としては、例えば日本酒1升を一晩で飲むのと、毎日晩酌で少量づつ1カ月間で飲むのとでは、人体への影響は異なる。放射線の影響も同 じようなものと考えられる。(2)の問題としては、厳密には全身被ばくの場合と同一ではないが、胸部単純写真の撮影では0.06mSv(60μSv)、胃 のバリウム検査では0.6mSv(600μSv)、胸部CT 検査では6mSv(6000μSv)の局所被ばくを受ける。今回の被ばくは急性の全身被ばくであるが、極めて低線量であると考えられることから問題となる ことはない。

全身の急性被ばく時の人体への影響は、250mSv(250,000μSv)以下では臨床的な症状は出現せず、影響はない。また500mSvで白血球の一 時的な現象が見られ、1000mSv以上で吐き気や全身倦怠感が見られると言われている。こうした医学的な見地から見れば、今回の被ばく者の健康被害は深 刻なものではない。避難住民に対し放射線被ばくによる健康影響について説明を行い冷静に対応すること、また汚染の程度に応じて、適切な除染処置や予測被ば く線量を把握し、必要ならば医療機関への搬送が望まれる。

(後略)

少なくとも、現状より事態が悪化することがなければ、一般国民の被曝に対するリスクは非常に小さいといえます。

しかし、原発で復旧作業に当たっている方々の被曝線量が100mSvを超え始めているとのこと。作業員の被曝線量の上限は、100mSvから250mSvに引き上げられたばかりですが、国民の命を守るために懸命に働いている彼らの健康に対する影響が心配されます。

 

急性被曝時の早期症状を示す図です。

(放射線影響研究所より)

 

 

何とか、最悪の事態にならないこと、そして、原発で頑張っていらっしゃる方々の無事を祈るばかりです。

 

「弱者は疎開」の選択肢

被災者への救援もなかなか進まない中、原発問題は日に日に危機感を増している印象です。

気になるのは、日本の報道と海外での報道のニュアンスの乖離。

日本では、官邸や東電からの情報は遅く、「危機」をオブラートに包んだような表現。

私の住むスウェーデンをはじめとして、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどでは、極めて事態は危機的という報道がなされています。
スウェーデンの新聞の見出しから。
SvD:「Desperat kamp vid Fukushima」(Desperate fight in Fukushima)
DN: 「Krisen vid Fukushima 1 förvärras」 (Crisis in Fukushima 1 has gott worse」

Strålsäkerhetsmyndigheten (SSM:Swedish Radiation Safety Authority)はスウェーデン外務省を通じて、原発から80キロメートル圏内にいるスウェーデン人に避難を勧告しました。アメリカも同じく、50マイル圏内からの避難を勧告。イギリスに至っては、東京からの避難を勧告。日本では、20-30キロメートルが屋内退避。しかし、それは、土地に根ざしている人間かどうか、バックグラウンドの違いからくるものかもしれませんが。

また、各国では、日本から提供される情報を信じて良いのかどうかという疑問が持ち上がっています。

CNN worldでは殆どの時間が日本の原発問題で費やされていますが、CNNの報道とNHKをリアルタイムで比べると、大きな危機感の相違があるのが明らかです。

どの国も経験したことがないような福島の原発事故。これからどうなるかは、専門家でも推測するのが難しいといえます。このような危機的状況では、起こりうるリスクを過小評価するよりは、過大評価した方が、危険を回避する可能性が高くなります。

CNNでは、成田空港が、日本を脱出する外国人だけではなく、日本人で溢れている映像を流しています。一足先に関西へ避難した知人と子供たちの話によると、新幹線にも避難する人達が沢山いたといいます。国民がパニックを起こさないためには、不安を煽ることは良いことではありませんが、まだ時間に余裕があるとされる現在であれば、放射線に感受性の高い子供や妊婦、また、病気の方などを、西日本へ疎開させるという選択肢が検討されても良いように思います。

 

今週前半に、6時間毎に記録した福島周辺の空気の動きを示す図。

Aftonbladetより)

私の祖父は、広島の原爆により被爆し、その後白血病で亡くなりましたが、祖母や母、母の兄弟は、郊外へ疎開していたために難を逃れました。地震の難から逃れることは難しいですが、放射線から逃れるためには避難をすればよいのです。

日本は世界で唯一の被爆国です。その日本が、かつて経験のないような原発の危機に瀕していることは、実に皮肉なことです。この危機を解決することは、一国民にはできませんが、リスクを減らすための努力はできるのではないでしょうか。西日本にお住まいの方の中では、被災者や疎開を受け入れたいという希望を持っていらっしゃる方もいらっしゃるようです。

何も母国に貢献できない身で、大変申し訳ない気持ちですが、丁度、子供達は春休みの季節。疎開の選択肢というのはいかがなものでしょうか、、。

 

日本がひとつに、世界もひとつに

テレビの前から離れられない。

地震や津波の爪あとの映像には、心が張り裂けそうになるが、それ以上に涙が出てくるのが、被災した人々の映像。

災害の混乱の中でも、コントロールを失っていない集団。思いやり、助け合い、いたわり合いが至るところに見える。悲しみを抑えて、涙をほろりとこぼす人達。おとなしい子供達。

災害に乗じて犯罪が起こることもない。給水の列にきちんと並ぶ人達。救助隊に助けられて、頭を下げてお礼を言う人達。
(給水の列に並ぶ人達、SVDより)

沢山のスウェーデン人に、「日本人って、凄い。」と言われた。

このピンチをチャンスに。日本が一つとなり、昨今暗かった日本の将来を、明るい方向へ変えるべく、頑張ってほしい。

感動的なTwitterをまとめた、「かんがれ日本」を読むと、泣けてくる。日本人を誇りに思う。

日本人の美徳に世界が感動している。多くの国が日本を助けてくれている。

3月13日付けのイギリス誌、The independent on Sundayの表紙には、日本語で激励文が。

オバマ大統領は、日本に対する無制限の援助をすることを表明したが、13日朝に到着した、アメリカ空母、ロナルド・レーガン(USS Ronald Reagan)が担う作戦の名前は、「Operation Tomodachi」。「ともだち」をを助けるための作戦。

(写真はReuterから)

(写真はCNNから)

(写真はCNNから)

災害にあえぐ日本の人達を、世界中の人達が助けようとしてくれている。世界もひとつに。

同僚からのメッセージ

TSUNAMI、そして、福島原発の爆発など、こちらのテレビでも多くの時間が費やされて生々しい映像が流れています。

そんなときに、膀胱癌チームのチーフであるイラン人の上級医からお見舞いのメールが。

Katastrofen i Japan har påverkat mig och min familj djupt. Vi hoppas på det bästa för ditt hemland och att dina släktingar har klarat sig väl.

こんなちょっとした心遣いに、泣けてきます。

Facebookで、「早く平穏になってほしい」と書いたら、若い先生から、「Insha’Allah」とメッセージがきました。アラビア語で、「God willing」という意味なのだそうです。

幸い私の家族は無事ですが、余震にしては複数の異なる震源地を持つ地震が継続していて、続発地震の怖れもあるとのこと。あちらこちらから、私の家族を心配する電話もいただいて、気持ちが温かくなりました。

こちらでの報道では、「日本人の迅速で勤勉な対応」や、「被災した子供達の行儀の良さ」、「節度ある行動」、「助け合いの精神」などが強調されていて、日本人であることを、日本をとても誇りに思いました。この窮地を逆にチャンスとして、国民が一つになり、希望の持てる日本となって欲しいと、心から願っています。

祈るしかない

M8.8の東日本巨大地震。

こちらでも、大きなニュースになっています。

映画を見ているような、とても現実のものとは思えない、悲惨な映像。

自然の大きな力の前に、人間はあまりにも無力です。

NZの地震のときも、胸が痛んで悲しくて仕方がありませんでしたが、今回母国を襲った大地震に言葉を失いました。

祈るしかない。

TBS、NHKの中継ニュースを見ながら、祈っております。


Live TV by Ustream

「王様になりたくなかったスウェーデンの王様」

”Carl XVI Gustaf – Den motvillige monarken” 「カール16世グスタフ、王様になりたくなかった王様」

という名の暴露本が明日発売されます。

著者は、Thomas Sjöbergを含め複数。何年がかりで複数の独立した証人からの証言などをもとにしたものだとのこと。

含まれるエピソードの中には、「1996年のアトランタオリンピックの際にストリップクラブを訪れた。」、「全裸パーテイーに出席した。」、果てには、「王様の浮気の事実」まであるようです。イギリスと異なって、スウェーデンでは、王室に対するゴシップはつつましやかだという印象でしたが、この内容は凄そうです。

日本では、皇室のゴシップはご法度というような不文律があるように思います。2006年に出版された、オーストラリアのジャーナリストによる皇室についての所謂、暴露本ともいえる、「プリンセス・マサコ 」の邦訳本が、講談社から出版される予定だったところが中止。他出版社から後日、「完訳」が出版された際、大手新聞社などが広告不掲載の処置を取りましたが、その経緯をつづった「『プリンセス・マサコ』の真実」の著者、野田峯雄氏は、「宮内庁や外務省の圧力」が広告不掲載の背後にあった」としました。

私は原本だけ以前読んだことがありますが、雅子さまが宮内庁の犠牲者だということだけではなく、雅子さまのハーバードの成績や、雅子さまの不倫相手(!?)の話まで出てきて、非常に驚いた記憶があります。しかし、それ以上にショックだったのは、この現代社会でも陰で圧力を掛けて出版禁止にすることがあるのだということでした。

スウェーデンでは、昨日、暴露本の著者の一人が、(本の出版がきっかけで)勤務先のラジオ局を首になったというニュースが流れ、議論を呼んでいます。

国王は現在、狩猟に出掛けており、明日、「狩猟」に関する記者会見が予定されていますが、この場で暴露本に関する質問が出るとも、国王がコメントするともされています(記事)。

イギリスでは故ダイアナ妃に関する暴露本がどれだけ出ているのか、私は知りませんが、イギリスのメデイアはちょっと行き過ぎかなと思います。スウェーデン国王に関する暴露本1冊くらい、たいしたことはないのかもしれません。チャンスがあったら読んでみるつもりですが、明日の記者会見に好奇心です。

しかし、「王様になりたくなかった王様」なんて、タイトルからして挑戦的ですね。


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