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スウェーデンの救急外来:医師として、患者として

悪名高きスウェーデンの救急外来。最近は待ち時間も少しは短縮されたものの、それでも、診察まで数時間待ちは珍しくありません。スウェーデン人にでさえ評判が悪いのに、フリーアクセスに慣れ切っている日本人には、とても信じられないことが多いと思います。今回は、医師である私が患者として経験した救急医療について書いてみます。医療従事者が患者である場合、やはり一般人と扱いが多少異なることは多いのですが、スウェーデンにおいて救急医療がどのように機能するのかを、非医療従事者の方にも少しは理解していただけるのではないかと思います。

 

私自身、この1,2年で救急外来を患者として受診したのは、3回。最初の2回については、医者の不養生シリーズ(1)-(5)をどうぞ。このとき、2回目には緊急入院になった訳ですが、当時、実は19週の妊婦でした。19週といえども、双子の妊娠中でしたから、お腹は相当大きくなっていました。そんなときに風邪から喘息発作、肋骨骨折に肺炎と、まさに何重苦でした。授乳中には使えないモルヒネを妊婦には使えることが有難かった。酸素飽和度が低かったため、肺塞栓が疑われて、妊娠中にもかかわらずCT検査となり、心が折れそうになりました。現在のスパイラルCTによる被爆はわずかで、胎児への影響は考えなくても良いと知ってはいましたが、、、。ただ、造影剤を使ったため、将来的に甲状腺機能のチェックが必要ということでした。この2回の救急外来受診では、症状が重症だったことで、殆ど待つことなく診察を受けることができましたし、やはり自分自身が医師だということで、丁重な扱いを受けたように思います。

 

スウェーデンでは、救急外来を受診する前に電話相談することが推奨されていますが、救急外来の資源不足もあり、通常は、どうにかして自宅待機するように説得されます。医療従事者としてあまり声を高くして言ってはいけないのかもしれませんが、緊急性が高いと判断(非医療者には難しいことですが、何かいつもと違うと感じたときには緊急性があると自己判断しても良いと思います)した場合は、電話相談をすることなしに救急外来を受診するのがベストです。電話相談せずに受診しても、診察を受けることができないということはありません。また、スウェーデンでは、住所により所属病院が決められていますが、救急外来に関してはその限りではありません。ストックホルムの南地区に居住している場合は、南病院かカロリンスカ大学Huddinge院の所属になりますが、例えば、南病院の救急外来はストックホルムで最大規模であり、重症患者が多いこともあり、待ち時間は非常に長いことが知られています。よって、Huddinge院を受診するのがベターです。カロリンスカ大学Solna院も相当に混んでおりますので、少し郊外ですがHuddingeに行くほうが良いこともあります。また、場合によっては、私立のCapio S:t Görans Sjukhusの救急外来という手段もあります。この病院は私のアパートから目と鼻の先ほどにあり、機会があれば利用してみようと考えています。

 

スウェーデンの救急外来では、基本的に救急所属の内科系あるいは外科系医師が初期診察を行います。専門医の判断が必要であれば、まずは当該専門医に電話相談し助言を仰ぎます。必要に応じて専門医が救急外来で診察を行うことになります。私が所属する泌尿器科は、病院内で宿直をする当直医はおらず、(自宅待機の)オンコールの医師が対応をすることになっていますが、大方のケースは電話でのやりとりで済ませます。緊急入院となる際にも、救急医により緊急検査および緊急を要する処置が可能であれば、全て電話での対応となります。オンコールの医師の手当ては、オンコールとしての給与と、実際に電話で会話に要した時間や、病院へ出勤が必要となった時間と、それらが発生した時刻の時間給により(時間帯により手当ても異なります)決まりますので、オンコールとした方が、科としてのコストを低く抑えることができます。最近では、時間給の安い若い先生をファーストコールとすることで、さらにコストを抑えるようにもしています。緊急手術となれば上級医の出勤が必要な場合もありますが、下級医が単独で手術可能と自己判断すれば、単独で行うことも少なくありません。患者サイドからしてみて少し怖いところでもあります。複数の医師が手術に必要な場合は、科内あるいは、外科当直などから助手を探します。患者さんの急変や死亡などの場合、泌尿器科では院内の移動救急チーム(MIGチーム:Moblil intensivvårdsgrupp)あるいは外科当直が代わりに対応しています。

 

話は戻りますが、3回目の救急受診は、妊娠31週で破水したときでした。このときは、通常の救急外来ではなく、産科救急を受診することになっていたので、一応電話相談をしました。このときのことは、またの機会に譲りますが、受診後、直ちに緊急入院となりました。この際の迅速な対応は私が医師だったということとは無関係で、とても素晴らしい医療を受けることができました。

 

双子を初めて救急外来へ連れていったのは、今年の2月でした。2月のある金曜日、同じ時期に生まれた子供とその親が集まる会が地域の診療所でありました。そのときに、おもちゃを共有したことが原因だと推測される、ウイルス性胃腸炎に双子が罹患してしまいました。40度の高熱、嘔吐、そして何よりも強烈なのが、水様下痢。オムツ交換台に載せてオムツを外すと、1メートル位の下痢の発射に見舞われます。オムツを替えても替えても、すぐに下痢で水浸し。泣く元気も無くなってきた双子を、初めて救急外来へ連れてゆく決心をします。これでは脱水になってしまう。点滴が必要だと判断しました。

 

カロリンスカ大学Solna院のAstrid Lindgren子供病院の夜間の救急外来は、病児が多発する時期もあって待合室は人で溢れていました。床に座る人までいます。お決まりのように番号札を取って待つこと2時間。ようやく看護師さんの問診にたどり着きます。そこで言われたことは、「医師の診察まであと2時間以上待ちます。診察を受けたとして、入院が必要な場合は、現在ベッドは満床のため、Huddingeに行ってもらいます。Huddingeでも看護師の問診まで2時間は待つことになります。」という何ともショッキングなことでした。そのときには、双子は声も出ぬほど息も絶え絶え。そんなことをしていたら、死んでしまうと思いました。「家へ連れて帰って何とかしよう。」と決心しかけたとき、元同僚の小児科医から、診療相談の返事がSMSで届きました。輸液などが必要という、私の判断をサポートする内容だったため、問診担当の看護師さんに、「私の友人でここの小児科医の○○医師に相談したら、このように言われた。実は私もカロリンスカで働く外科医です。」と伝えたところ、その会話を聞いていた少し年配の看護師さんが奥に入って、当直医と話をしてきてくれました。当直医の先生が出てきてくれたのですが、それがなんと、知り合いの先生でした。そうなると話は早い。簡単に聴診などをしてもらって、「脱水もまだ高度ではないので、家に連れて帰って5分おきに注射器で等浸透圧性ドリンクを口の中へ流し込んで、とにかく水分補給さえできれば何とか乗り切れそうだ。」という見立てをいただき、結局、受診せずに双子を家へ連れて帰ることになったのです。

 

家では、所謂、子供用のスポーツドリンクのようなものを、指示通り、夜通し口から注入し続け、幸い症状は徐々に快方に向かっていきました。しかし、このときばかりは、私が医師でなかったら、危なかったのではないかと感じ、ヒヤッとしました。

双子を救ってくれた緊急用のドリンクパウダーはこちら。以来、自宅にこれは欠かせません。

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スウェーデン在住で、乳幼児をお持ちの方、通常のスーパーで購入可能ですので、常備することをお勧め致します。その後も何回もこれに救われました。

 

双子の胃腸炎の際には、散々な目に遭った救急外来ですが、その後、「ぼく」が呼吸困難になった際には、とても素早い対応をしていただいています。勿論、一分一秒を争う緊急性が潜在する呼吸器や循環器、脳などの疾患の場合は、受身になることなく、(強引にでも)プッシュさえすれば、優先してもらえます。しかし、プッシュをする判断は患者側がしなければならないのです。アクセスの悪いスウェーデンの医療に対応するためには、様々な知恵が必要です。医療システムの不備で、最悪、命を落とすようなことになっても、スウェーデンでは十分な保障を受けることはありえません。少し前に、日本で、肺炎の診断の遅れにより90代の患者さんが死亡したことで、数千万円の慰謝料が発生したというニュースがありましたが、スウェーデンでは考えられない話です。相当高齢である90代の患者さんが亡くなるのは、どのような理由であろうと自然なことであると考えられ、そのような患者さんに対する医療過誤があったとしても、その医療過誤に対する保障が発生することはありません。この点については、高度な医療を安価に平等に供給する医療システムを長続きさせるという点では、スウェーデンの医療保障システムが一方的に悪いとはいえないと思いますが、論点がずれるのでここでは触れずにおきます。

 

繰り返しになりますが、大人よりも予備能が低い子供は、親が賢く守ってあげなければなりません。在瑞邦人の皆様、頑張りましょう!

 

最後に、余談となりますが、スウェーデンのように医療に対するアクセスが悪い国に住んでいると、日本の医療システムが、いかに患者さんに優しいかということを感じます。日本国民はそれを認識していないため、クレームや訴訟が多発し、過度な検査や治療は医療費の高騰を招き、結果として日本の医療の崩壊が静かに進んでいるのです。井の中の蛙、大海を知らずとはいえ、大変不幸なことです。

虹色の、、、。

今年の6月に、ロシアのプーチン大統領は、「ホモセクシャルのプロパガンダ」を禁じる法律にサインをしました。ホモセクシャルの結婚を認める国が次々に出る中、時代に逆行した法律で、当然反発も大きいのですが、違反した場合には、最低100ユーロ、最大4600ユーロの罰金を科せられるそうです。外国人の場合には、15日間拘留された上、強制出国となることも。

先週より、世界陸上がモスクワで開催されていますが、開会式に合わせてこんなことが。

こちらは何でしょう?

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そう、虹色の横断歩道です。

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ストックホルムのクングスホルメンにある、ロシア大使館前の横断歩道が、世界陸上の開会式にあわせて、何物かによって虹色に塗られました(記事)。もちろん、誰の目から見ても、ロシアのホモセクシャルに対する法律に対する抗議と解釈できます。

 

そしてこちら。EMMA2b

ご覧のとおり、虹色のマニュキアです。

スウェーデンのEmma Green Tregaro。走り高跳びでメダルが期待されています。彼女なりの抗議の意思表示だそうです(記事)。

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流石に、彼女の逮捕ということにはならないでしょうけれど、勇気ある行動と評されています。ロシア選手のコメントでは、「(ロシアに対する)敬意のない失礼な行動だ。」とありました。

個人的には、理解し難い法律です。同性愛者だということで差別があってはならないと思います。

スウェーデン人の休暇中に、、、。

ミッドサマーから7月にかけては、スウェーデン人が好んで休暇を取ります。我々の部門でも同様で、とはいえ、希望通りに休暇を取ると、殆ど人がいなくなってしまうため、休暇取り合戦はかなりタフと言わざるを得ません。私の場合は、7月3日の双子の誕生日に、洗礼式と結婚式をすることを決めていた関係で、その週の休暇は死守しなければならず、その代わりにミッドサマー前後に育児休暇も返上して100%勤務した上、オンコールも引き受けました。さらに、人の少ない7月中も100%勤務の週があったり、オンコールがあったりと、かなりハードでした。

先週は膀胱癌チームが私一人だけということもあり、膀胱全摘が2件。しかも、最近は、膀胱全摘の殆どがロボット手術になっているため、開腹になる患者さんは、以前に放射線や手術を受けたようなタフケースばかり。しかも、年齢層は80代が主です。実際、想像以上に難しい手術となり、一瞬、消化器外科の先生の助けを求めようかという考えが頭をよぎったりしました。結局、途中に15分くらいのランチ休憩を入れて(これができるのがスウェーデンの素晴らしいところ)、最終的には5時間程度で終了、出血も1000ml以下と、満足できる手術となりましたが、体力的にはそれほど長くない手術で問題ないものの、精神的には相当こたえました。

週末のオンコールでは、筋膜炎疑いの患者さんの緊急手術。フルニエ壊疽やコンパートメント・シンドロームなどは、日本では殆ど見たことがありませんが、スウェーデンではときどき見かけます。フルニエ壊疽は致死率の高い疾患で、スウェーデンに来てから1名の死亡例を経験しましたが、こちらの死亡率は非常に低いと思います。重症の感染症に対しては、積極的に高圧酸素療法を行っており、フルニエ壊疽に対しても手術で十分にデブリドマンを行った上、一日2回の高圧酸素療法をするのがスタンダード。泌尿器科領域では、陰嚢周辺に発生するため、陰嚢の皮膚もごっそり切除することも多く、ガーゼを取ると精巣だけがぶら下がっている光景は、泌尿器科医にとっても悲惨なものです。

病棟は未だに半分閉鎖されており、当然、手術や外来業務も半分以下となっています。最近、Lundで頭部外傷の患者さんが救急外来の観察室で死亡しているのが発見され報道されましたが、大学病院でさえ人不足。殊に、看護師さんの数は相当不足しているようです。私自身、既に小児救急では患者サイドとしてスウェーデンの医療を経験しましたが、日本とはまるで違う。この件に関しては別の機会に述べることとします。

医師の数の不足を補うのが、医師免許前の(日本でいうところの)研修医や、臨床研修が始まっている医学生たちです。この夏も常時約3名が助っ人に。この助っ人がそれはなかなか優秀で熱心なのです。勿論、有給です。日本でもこのようなシステムは導入すべきだと思います。日本の医学生の殆どがクラブや遊びに熱中する代わりに、スウェーデンの医学生は早くから医師の補佐、ときには、看護師としてアルバイトをしています。スウェーデンの大学生の教育費(学費は無料なので、書籍やコンピューター、生活費など)は、親が負担することは基本的にないので、学生たちは学生ローンとアルバイトで生活します。教育の必要があってこそ大学にも入学するため、勉強態度も日本の学生のそれとは違うように思います。これらの優秀な学生さんが助っ人に来てくれることで、中には7週間連続の休暇を取っている医師もいます。しかしねえ、そうすると、例えば、休暇前にオーダーした検査結果の確認が漏れたりというミスも発生します。診断や治療の遅延につながる危険もあり、長い休暇の陰には、このような恐ろしい側面も、、、。

日本人医師としては、少なくとも自分の患者さんではそのようなミスがないように努力するのみです。来週は最後の休暇です。とはいえ、日本では夏休みは1週間だけという生活を20年近くしておりましたので、スウェーデンの労働環境には感謝しています。

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各国王室、皇室からのゲスト。
お隣、デンマークの皇太子フレデリックと皇太子妃メアリー。
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ノルウェー皇太子夫妻。このドレスの色、好きです。

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北欧の王室は仲良し。

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デンマーク第二王子のヨアキムとマリー。後方は、新郎の母。

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最近結婚した、モナコ皇太子は欠席で、皇太子妃が単身出席。元競泳選手だけに美しいプロポーション。

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日本からは、高円宮久子さま。とてもエレガント!

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蛇足ですが、カールフィリップ王子の彼女、ソフィア。次は彼らの結婚式?

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やはり、私はビクトリアのドレスが一番の好みです。

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ゲストは、王宮からなんと普通のバスでボートまで。

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そして、衝撃だったのは、ビクトリアでさえ同じバスに乗っていたこと!流石、スウェーデン!

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結婚式に先立って、同じ朝、高円宮久子さまとの接見がグランドホテルでありました。30名程の邦人が招待されたのですが、久子さまへ渡邉大使から一人一人の紹介があり、一人一人とお話をなさいました。とてもお美しく、エレガントで、知性的でした。分刻みのスケジュールで、あのように完璧な対応をなさるのは、並大抵のことではありません。頭が下がります。

 

女性はスーツかワンピース。スカート丈は膝下。こちらからの質問、そして、近距離での写真撮影はご法度というルールでした。式でお召しになっていた青いドレスがとてもお似合いで、日本が自慢できる久子さまでした。

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新婦が選んだドレス(HovetのHPより)。Valentinoのものだそうです。20130608-Valentino_507式では左右対称に見えたショルダー部分ですが、その後にオフショルダーでお召しになっていて、その変化も素敵でした。個人的には、Victoriaのドレスの方がシンプルで好みですが。

ブーケはこちら。

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とても素敵ですが、もう少しグリーンがあると、ドレスに映えたかも。

皇太子ビクトリアとプリンスダニエルは、エステル王女とともに式へ。

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ママとパパからのキス!

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やはり、一歳児には辛い結婚式。ビクトリアのスピーチでは我慢できず、パパがママの傍へ連れて行きます。

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わが子と同い年なので、ついついエステル王女に目が行きます。ということで、ゲストのファッションは次へ。

粋でお茶目なスウェーデンの首相

橋下氏の話題の続きなのですが、こちらは微笑みがこぼれるお話です。その後、橋下氏は、「米軍へ風俗業活用を勧めたこと」に関して、その発言の撤回と陳謝をしたようですが、それこそ都合が悪くなっての「建前」であることは明らかで、あれだけ偉そうな発言をしたあとで、何ともお粗末な展開になりました。

 

先日、Eurovisionソングコンテストが南スウェーデンのマルメで行われました。これは毎年一回、ヨーロッパとヨーロッパ近隣諸国各国から選出された歌手が競うもので、優勝国は翌年のホスト国となります。スウェーデンのLoreenは去年、アゼルバジャンでおこなわれたこのコンテストで優勝しました。

 

今年は、前評判どおり、Emmelie De Forestを擁するデンマークが優勝。

 

ところで、なぜ、スウェーデンの首相の話になるのか。

このコンテストはSVT(スウェーデン国営放送)が放映したのですが、全ての国が歌い終わったのち、ステージのスクリーンでスウェーデン人を紹介するビデオが流れました。

 

それがこちら。 フレデリック・ラインフェルト首相の登場は1分34秒から。しかし、それ以外のクリップも、スウェーデン人を表して妙。スウェーデン人を知っている人にとっては実に爆笑ものです。

フレデリック・ラインフェルト首相のクリップは、、、。

首相官邸の一室と思しき部屋でのミーティング中。

秘書官?がコーヒーカップを手に入室。

秘書官:「誰か、コーヒーカップを食洗機に入れ忘れた人がいますよ~!あれっ!Frederikって書いてある。もしかして、これ、あなたのですか、Frederik?」

首相:「食洗機が一杯だったんだ。」

秘書官:「一杯だったら、あなたが空にしてくださいよ。あなたの母上はここで働いていませんよね、ミスター・プライムミニスター。」

首相:「失礼させていただきます。(食洗機を)片付けなければいけません。」

秘書官:「これで今週3回目ですよ!アンジェラ・メルケルが来たらどうするんでしょうね。奇麗なコーヒーカップがないなんてね。」

 

この状況設定だけでも爆笑ものなのに、俳優陣に混じって首相を演じているのは、なんとフレデリック・ラインフェルト首相ご本人。

 

男女平等だけでなく、ヒエラルキーの撤廃なども、スウェーデンが自慢とするところ。これらがどれだけ徹底されているかということに関する議論は今回はおいておくとして、なかなか粋な首相だと思いませんか?橋下氏とは全く異なる政治家のイメージだったので、このような記事になりました。最後のクリップで、「旅先で酔っ払って醜態をさらすスウェーデン人」の様子が数秒流れますが、これも「当たらずといえど遠からず」です。何回見ても笑えるビデオです。おすすめ!

 

橋下よ、沈黙せよ

5月13日の大阪市長・橋下氏の発言が物議を醸して久しい。海外から非難され続けても、彼は自分の足元に穴を掘り続けている。しかし、また、橋下氏が辞任に追い込まれることがない日本社会。これがスウェーデンだったら、橋下氏は即座に辞任である。因みに、私は、スウェーデンに住んでいるからといって、スウェーデン賛美者ではないことを、再度断っておく。しかし、橋下氏の発言には、私も大きな怒りを覚える。

橋下氏の発言に関しては、改めて解説する必要もないが、「日本軍の従軍慰安婦が必要であった」という発言。海外では、慰安婦が「sex slave」と訳され、あらゆるところで彼の発言が非難されている。当然のことだ。しかし、非難されればされるほど、彼はTwitter上で激しく反論し、墓穴を掘っている。そして、「あの発言は、「当時必要だったということ」で、現在のことではない」などと弁解しているが、実際、そうではないのは次の発言から明らかである。

 

タイトルどおり、「沖縄米軍海兵隊司令官に風俗業を活用して欲しい」と言ったら、そんなことはとんでもないことで、その話をすることを拒否された、ということを紹介したもの。「建前ばかり言っているから、、」と本音で話すことを説いているが、この世の中、本音が通るものだと本気で考えているのだろうか。ましてや、殊に政治家たるもの、建前は重要であるし、とりわけ、こんな話題に関して本音で話すべきと勝ち誇ったように言っているのは、正気の沙汰とは思えない。そもそも、「法律の範囲内」での風俗業こそ建前であり、法律の範囲を超えたサービスが風俗業でまかり通っていることを、知らないとは言わせない。

どんな状況におかれても、性欲の捌け口として性風俗サービスの提供を女性から受けることは間違っている。射精が必要なら、マスターベーションをすればよろしい。女性として、女性蔑視の橋下発言はとても許せるものではないし、さらには、自分の発言の不備を粉飾するために、「当時は」という点にすりかえようとし(それは、海兵隊司令官への助言から、「現代も」必要であると考えていることは明らかだが)、一層牙を剥くスタイルには吐き気さえ覚える。

スウェーデンでは女性蔑視や人種差別など、差別に関するモラルのハードルは極めて高い。あまりに高いために、それらに関することは話題にしない方が無難である。そんなこともあって、政治家はこの手の話題には一層気を使う。最近も、差別発言をした政治家が相次いで辞職に追い込まれた。こんな状況にあっては、建前発言は当たり前である。しかし、建前だけで社会は良くはならないので、相当に配慮した上での本音は必要である。スウェーデンでは、橋下氏は即座に辞職しなければならないし、その後の政治家としての道は厳しいであろう橋下氏を許している日本は、流石に差別のまだある国である。日本国民として、橋下氏の発言は実に恥ずかしい。「覆水盆に返らず」なので、せめて、沈黙してほしい。

最近、スウェーデンの政治家に非常に親近感と敬意を持った出来事があり、そのため、橋下氏とのコントラストがあまりに大きすぎてこの記事を書くに至ったのだが、長くなってしまったので、その出来事は(そちらが実はメインの話題)次に譲ることにする。

オランダ新国王即位式

4月30日はオランダのウィレム・アレクサンダー皇太子が、母親のベアトリクス女王の退位に伴って、新国王に即位しました。ベアトリクス女王は1938年生まれの75歳で、健康上の問題もなく、退位は新しい世代に任せるべきという女王自身の信念に基づくものだそうです。

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女王には3人の王子があり、長男である皇太子が新国王に即位しました。皇太子妃マキシマは私のお気に入りでもありますが、アルゼンチン出身。

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二人には3人の女児がいます。

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女王には8人の孫が。

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即位式には、日本からも皇太子夫妻が参加。

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スペイン皇太子夫妻。

ベルギー皇太子夫妻。

デンマーク皇太子夫妻。

チャールズ皇太子夫妻。

勿論、スウェーデン皇太子ビクトリア夫妻も。

新国王がバルコニーから。

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前女王もきっと肩の荷がおりたことでしょう。

晩餐会では、皇太子殿下とスウェーデン皇太子夫妻のショットも。

ベアトリクス女王は在位33年ということでしたが、ご自分で身を引く時期を決めたことは天晴れだと思います。イギリスや日本のように超高齢の女王や天皇が頑張ることも良いのでしょうけれど、働き盛りの年齢があるのと同様に、位を辞する時期もあった方が良いような気がします。スウェーデンなどは、現国王の評判が下り坂で、まだ60代であるにもかかわらず、ビクトリア皇太子へ位を譲るべきだという世論があるくらい。

オランダ王室についてはマキシマ妃のことくらいしか知りませんでしたが、去年2月、第2王子ヨハン・フリーゾがアルプスのオフピステで雪崩に巻き込まれ重態というニュースを聞きました。現在も意識不明のままロンドンの病院に入院中だということですが、彼の結婚にまつわる話は今回初めて知りました。彼が結婚した女性、メイベルは、彼女が大学生時代に、ヨーロッパの有名な麻薬王の愛人であったこと、その後も、国連職員であった時代に、ボスニアの大臣と不倫関係にあったことなどから、彼らの結婚はオランダ政府と議会の承認を得ることができず、結局、彼とその子供が王位継承権を放棄することで決着したのだそうです。

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王位継承権を捨てても結婚した、、。これも天晴れです。日本では絶対にありえません。以前にも書きましたが、ヨーロッパ王室では、ノルウェー皇太子が、麻薬経験者のシングルマザーと結婚したのを筆頭に、スペインの皇太子妃もバツ一ですし、スウェーデンのダニエル王子も、おそらく遺伝性であろうとしか考えられない腎疾患による慢性腎不全により、父親からの生体腎移植をするという健康状態でした。どれをとっても、日本の皇室ではありえる話ではないですし、一般家庭においても簡単には祝福されない結婚なのではないでしょうか。バツ一、シングルマザーは勿論歓迎される訳はありませんし、未だに、長男というだけで、嫁の立ち居地が決まってきたりする日本。特に名家という訳でもないのに、家の継続のために婿や嫁を確保したい家。

有能な男性達を虜にしたメイベル妃。写真からみても、とても素敵な女性のようです。しかし、ヨハン・フリーゾ王子の意識は事故から1年以上経った今でも戻らず、それはとても悲しいことです。

いかにもスウェーデンらしいお粗末な話

今年の3月、イースター休暇中のlångfredagen(聖金曜日、復活祭の前の金曜日)である29日夜中に、センクト・ぺテルスブルグから離陸し、訓練中のロシアのミサイル爆撃機Tu-22M3が、4機の戦闘機とともに、スウェーデン領空30-40キロメートルまで接近しました。

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(Sydsvenskanから拝借)

スウェーデンサイドはこの練習については知らされていませんでした。しかし、本来ならばすぐに戦闘機を発進させ対応しなければならないはずが、スウェーデン国中一機たりとも発進できる戦闘機がなかったというのです。しかも、慣例的に、戦闘機は日勤帯のみしか離陸できないのだそうです。イースター休暇で、さらに手薄だったことは、言うまでもありません。

これに先立つこと2ヶ月前の本年1月、与党の防衛相は、「防衛は、予期せぬ事態に備えて、常に、「一日24時間」対応できなければならない。」と演説したばかりで、何ともお粗末。しかし、このことは、スウェーデン全体の勤務体制を象徴するものといって間違いありません。

病院でも、「予定時間内に終わらないから、手術は延期」、「医師、看護師が病気で人手がないから、手術はキャンセル」、「週末は人員が足りないから、ベッド数を削減」、「夏休み、クリスマス期間は多くの人が休暇を取るので、ベッド数は半分に。勿論、手術や外来も半分に。」ということは当たり前。

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手術室には、こんな紙が置いてあって、朝、欠勤者を確認します。「sjuk=病気」であるのか、「VAB=病児の看護」であるのかを書く欄があり、VABの場合は、病児の名前を記載します。VABは「vård av sjukt barn」の略であり、これから転じて、「vabba」という動詞まであります。2013年からVABの申請は簡単になり、欠勤前までに、VABのために欠勤することを、インターネットやSMSで申請します。その後、VABの期間終了後、この期間に対する経済的給付を申請すれば良いのです。12歳未満の子供に対しては、一週間以内のVABに関しては、医師の診断書なしに給付が受けられます。

ロシアの戦闘機の一件より前の2月7日には、日本でも、ロシアの戦闘機が日本領空を侵犯し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進、その後4月27日には、ロシアの哨戒機が(日本領空を侵犯することなく)日本海上空を飛行したため、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させて対応したそうですね。4月の事件はやはり夜中だったそうですが、日本の航空自衛隊の方がスウェーデン空軍より対応が優れているのは、プライベート重視がゆえにスローペースなスウェーデンに住むものとしては、全く違和感を感じません、、、。

 

We are not excluded, just not included!

先週、大ボス、中ボスと話をしました。私は、自分の希望を伝え、それが受け入れられるのかどうかは、現在のところペンディング。

それ如何により、私は更なる対応を考えなければなりません。

その後、女性の同僚複数と話す機会があり、その中の一人が転職を考えていることを知りました。状況を理解できるとはいえ、ショックです。またある一人は、最近、患者さんのことで辛い思いをしたと。日本でも、手術の好きな外科医の中に、手術が終わると患者さんから興味を失い、術後管理や、退院後のフォローアップ、また、合併症の管理などには意欲を燃やさない人間がいるのを目撃してきました。そして、それはどういう訳か全て男性外科医でした。実は、スウェーデンでも同じような男性外科医複数に遭遇しています。そんな外科医が手術した患者さんの中で、不運にも術後短期間で命を落とした人がいましたが、その術後管理に関わった彼女は、非常に悔しい経験をしたとか。死亡までの転帰が予期せぬことだったこともあり、病理解剖が行われ、全くの予想外の死因が明らかになったのですが、消化不良の感が否めなかったとか。このこととは無関係ですが、概して、男性外科医は失敗しても動じない人が多いように、そして、女性外科医は、失敗すれば、「メスを握り続けられるのか?」という問いが頭をよぎる人が多いように思います。

外科部門において、男性と女性がチームで働くことは容易であるとはいえません。女性がトレイニ-であるうちは問題がありませんが、専門医となり、男性と伍してゆく立場になると状況は変わります。たとえば、男性にとって、女性からの批判を受け入れることは難しいようです。私も、自分の意見を言うとき、殊に、相手の意見に賛同できないときなどは、非常に気を使います。議論の展開の仕方、使う言葉にもひとつひとつ慎重になります。そうしなければ、相手の機嫌を損ねてしまい、自分が望むように物事は運ばないのです。そして、(少なくとも私の経験してきた外科医の世界では)最も気を使う相手は、自分と同じレベル、自分より上のレベル、そして、中堅以上の立場となった現在では、ある程度経験を積んで、自分はかなりできると勘違いしている卒後5,6年以降の若手。女性にも公平に接することのできる男性外科医は、知識、技術は勿論のこと、人間としても成熟している必要がありますが、そういう人はなかなかいません。

前の記事をお読みになられて、私が、仲間はずれにされていると勘違いなさっている方もいらっしゃったようですが、決してそうではありません。だからこそ、なおさら、たちが悪いのです。その場にいれば、ランチにも誘われます。仲間はずれであれば、まだ糾弾の方法があろうというものです。上手に説明することができないのですが、最近話をした女性の同僚が、素晴らしい表現をしてくれました。「言い得て妙」とは、まさにこのことです。

We are not excluded, just not included!

仲間はずれとは、言ってみれば、「exclude」されることでしょう。彼女もそうは感じてはいない。だからこそ、「not included」なのです。おわかりいただけるでしょうか?「それを仲間はずれと言うのでは?」という声も聞こえてきそうですが、渦中にいると、これこそが絶妙な表現なのです、、、。


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