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Japan ger sig ALDRIG! 「決して諦めない」

日本女子サッカーの、奇跡的な優勝から一夜明けて、、、。思い出すだけでも、心が震えます。

職場の朝のミーテイングでは、複数の人に、「おめでとう」と言われました。

試合は前半から完全にアメリカペース。日本に運がなかったら、何点も得点されていても不思議ではなかったほどの、日本ゴールへのアメリカの集中砲火。何とか凌いで、0-0で前半終了。

日本がFWを二人入れ替えた直後、69分にアメリカがカウンターで先制。強かったMorgan。

 

81分にアメリカのDFのミスをついて、宮間さんがシュート。日本が追いついて延長戦。

延長戦開始7分で、宮間さんに妙なイエローカード。倒れた相手に手を貸そうとしたことを、プレー遅滞と取られた模様。(今回の主審は、アメリカに甘かった。アメリカ選手とは常に談笑。最後のレッドカードも個人的に納得いかず。)

延長戦前半終了直前にアメリカが勝ち越し。あまりに完璧なタイミングのヘデイングシュート。

この時点で、もう駄目かと正直思いました。試合終了まで残り3分、コーナーキックから、沢さんが守備の前に割り込んで決めたシュート。一瞬何が起こったのかわからなかったほどでした。

1度ならず2度のアメリカのリードに、残り3分で追いついた気迫のプレー。沢さんは、オフェンス、デイフェンス、あらゆるところに登場。ただただ凄すぎる運動量。

延長戦終了直前、またしてもMorganが抜け出したところに、DF岩清水さんがタックルしてレッドカードで退場したところで、2-2で延長戦が終了し、決着はPK戦にもつれ込みます。

翌日の手術のことが頭にあった私ですが、PK戦を見逃す訳にはいきません。(しかし、この時点で、睡眠薬を内服して準備。)

テレビのアナウンサーは、

「Jag fattar INGENTING!!!」(何が起こったのかわかりません!)

「Stannar kvar! Nu får man inte toaletten!」(テレビの前にいてください!トイレにも行かないでください!)

と叫んでいました。

PK戦前の日本選手たち。佐々木監督の笑顔が印象的で、スウェーデンのマスコミもこの「笑顔」の効用について報道していました。アメリカと違って、守るもの、失うものがない日本人選手には、自然なことだったのかもしれません。

アメリカ先攻でPK戦が始まります。日本のGFの海堀さんは、日本人選手としては高身長とはいっても、170cmしかありません。

その彼女が、、、。

何と、一人目からアクロバット的な妙技でセーブ。日本が1点を先取したところで、アメリカの二人目が、ゴールを大きく上に外すミスショット。日本も二人目は外し、アメリカ3人目。

気迫が運も呼び込んだような、、素晴らしいセーブ。

アメリカの4人目は難なく決め、日本の4人目の熊谷さんが決めれば優勝。

20歳には重過ぎるプレッシャー、、、。

そのプレッシャーを見事に跳ね返してのシュート!!!

テレビで映像が流れるたびに、泣けてきます。

世界中を感動させた、なでしこジャパンの精神力。大和撫子おそるべし。

辛いことが多い人生だけれど、諦めないで生きていきたいと思います。

夏日再び

かなり涼しい夏至祭のお休みが終わり、新たな一週間が始まりました。

と思ったら、今日は夏日です。仕事を終えて帰宅したら、テラスの寒暖計は30度を越していました。お休みのときに涼しいなんて、典型的です。因みに、湿度は22%。この極めて低い湿度のおかげで、エアコンがなくても過ごせます。

 

天気の良い日には、多くのスウェーデン人がところ構わず日光浴。アパートのベランダでも水着で。

アイスクリーム屋さんは大繁盛。

家の近所の、メーラレン湖に面した公園。ここは湘南か!?芋の子洗い状態!

水際のカフェは大人気。

私のアパートと同じ島に、数ヶ月前にオープンした水辺のレストランも大人気。これで夜の10時過ぎです。

ここは、何と、遊泳許可のない水辺です。しかし、構わず泳ぐ人に警官が声を掛けます。

しかも、大抵酔っ払い。

このレストラン、お天気の良い日にはちょっとしたリゾート感覚です。岸が西に向いているので、サンセットも楽しめます。

ムール貝の白ワイン蒸しは、どこで食べたものより、ふっくらと仕上がっていて、絶品でした。

Piren

Kristinebergs strand 2 – 112 52 Stockholm

Telefon: 08-618 30 30

 

 

 

夏至祭前夜(midsommarafton)

夏休みは7月に1週間、8月に1週間ほど取る予定にしている私ですが、夏至祭のお休みは普通に3連休。

何も計画しないのもつまらないので、職場の同僚女医さんカップルをお招きすることに。

彼女は非常に頭の切れる人で、一緒にいていつも刺激を受けます。彼女のパートナーも、穏やかでかつユーモアがあって、いい感じ。

今回は、ゆっくりおしゃべりするということで、夕方の4時開始。

最初は、彼女のパートナーにドライマテイーニを作ってもらって、乾杯。市場でおいしいオリーブを買ってきたのですが、それが大当たり。おいしいオリーブって、胃袋に染みるほどおいしい。元気になる気がします。

その後、ロゼシャンパンを開け、前菜にいつもの、Toast Skagen。

冷たい前菜のあとは、温かい前菜。美味しそうなとうもろこしが手に入ったので、、、。

バーミックスで、コーンポタージュ。今回は、新じゃがを混ぜて、リッチな食感に。

熱いスープでも、ガラスの器に入れると、爽やかに見えます。この日は涼しいくらいだったので、スープでほっこり温まりました。

温かいスープのあとは、冷たい前菜。夏至祭といったら、マリネされたニシンに新じゃがです。

今回は4種類のニシンを用意。これに、サワークリームと、赤タマネギと葱。

このニシンには、アクアビットがとてもあいます(なんて、まるでスウェーデン人化してしまった私)。

今回は、癖の比較的少ない、Skåne Akvavit。アルコール度、40%。スウェーデンには、このお酒を飲む際に歌われる歌が、数多くあります。これを合唱しながら。

胃袋の中で、じわーっと消化を助けてくれる感じ。本当にニシンとぴったり。

このあと、お米をオリーブオイルで揚げたものを、たらや根菜類やきのこなど、日本酒をフランベしたもの、そして、たっぷりのコリアンダーとバターを加えた、涙が出るほどおいしいオーブン料理。写真は撮り忘れました。辛口のリスリングと。

 

デザートには、ひさびさに作ったテイラミス。昔、友人から受け継いだ秀逸のレシピ。たっぷりとカルーアミルクを使う、大人の味です。

相変わらず、ほっぺたが落ちるほどおいしかった。

日が沈んで、寒くなったら、赤外線ヒーターを稼動させ、ひたすらテラスに座り続けおしゃべり。

あっという間に12時となり、おひらき。

おいしい料理に楽しいおしゃべり、最高です。

 

 

Aggasi x Graf

学生時代にはテニスばかりの生活をしていたのに、卒業してからは殆どテニスをすることはない。

それでも、テニスの試合を見るたびに、胸が震える。テニスは運動量も大きいとともに、精神力を要する、凄いスポーツだと思うのは、贔屓目だろうか。

先日のフレンチオープンで、アジア勢として初めて優勝した、Na Li。美しくて、力強い、教本のようなテニスをする。私が現役だったら、彼女のようなテニスがしたい。テニス界の貴公子、フェデラーと、若くしてランキング1位を守っているナダールとの決勝戦も素晴らしかった。

コートチェンジの際に流れるコマーシャル。

Longinesの時計のコマーシャルだが、Aggasi、Graf夫妻が非常に素敵な表情を見せている。

二人とも素敵に歳を重ねている。きっと、とても幸せなんだろうな。

「夢を叶える「時」」というコマーシャルのコンセプトもいい感じ。

 

現在、ウインブルドン開催中。

クルム伊達公子さんは惜しくもビーナスに敗れたけれど、素晴らしかった。人間、限界というものを設けたら、その時点でおしまいなんだ。彼女はいつまで頑張るのだろうか。40歳を過ぎてなお、鍛え抜かれた筋肉、、、。凄い、、、。

 

彼女に負けず、私も頑張らなくては。

いつか、また、テニスもしたいな、、、。

同僚女医さんの学位取得パーテイー

学位審査にまつわる硬い話は終わりにして、いきなり、パーテイーの話題。

 

その日、私は病棟担当で、重症患者さんが沢山いた関係で、学位審査自体は出席できませんでしたが、夜のパーテイーには行ってきました。

Östermalmの貸しパーテイースペースでケータリングをしてのパーテイー。

nonMDのパーテイーは何回も経験があるのですが、MDのパーテイーは初めてです。MDのパーテイーの方がフォーマルだと聞いていたので、楽しみにしていました。

会場では、主役の彼女と彼女の旦那さんがシャンパンを用意してお出迎え。

職場では上下とも白衣なので、スーツ姿の同僚をみることはありません。若いけれどロボットの名手のA先生と、同室の女医さんD先生。私の身長は168cmなのですが、低いヒールの靴だったこともあって、10cmヒールを履いた170cmのD先生が超のっぽに見えます。A先生も素敵でドキドキものです。

 

シャンパンで歓談後、別室に移って、着席。食事は中東料理のビュッフェでした。

本人や、彼女のご主人を始め、各方面からのご挨拶と、その度に乾杯。


ちょっと素敵なバツ一の教授は、なんといっても手術の名手。彼のプレゼントは、7-8冊の本でした。一冊一冊取り出して、それにまつわる逸話を披露。なかなか良かったです。

 

科長は女性。

学位論文が、表在性膀胱癌の治療に用いる、結核ワクチン、BCGについてだったため、プレゼントは、「BCG」と。

「Banana(バナナ)」、「Chokolad(チョコレート)」、「Godis(スウェーデンのお菓子)」。

 

お決まりの、ビデオ上映もなされました。

彼女が研究を始めたのが2000年。

 

彼女は何と3児の母。

経済的にも、子育ても、全て親の手を借りないスウェーデンでは、彼女のように、子育てをしながら、臨床や研究をするには、パートナーの協力が不可欠です。同僚の男性医師たちも、子供が生まれるたびに、最低数ヶ月は育児休暇を取っています。当たり前ですよね、共働きだし、親なんだから。日本では、到底、無理ですね。

ビデオは、スウェーデンのSnowstormのSommarnatt(夏の夜)という歌を、研究室で彼女がエレキギターを弾きながら歌うというところで、終わりました。この歌、癖になりそうです。

日本では泌尿器科の宴会といえば、「あぶない出し物」が必ずあります。「泌尿器科」たる所以でもあります。スウェーデンは、もっとお上品だと思ったら、、、。

お上品そうな男性が登場したのですが、

ちょっと、あやしい雰囲気に。

あっという間に、こんな事態に。

まさにタオル一丁。

その後、「おちんちん」の人形を使って出し物は続いたのですが、私の撮影はここで終了。

 

食事が済むと、会場はダンス会場へと。

職場ではみられないような同僚の違う顔もみられたりして、楽しいひとときでした。

L先生、おめでとう!

アルバイトの募集!

戴いているコメントへのお返事も遅れており、申し訳ございません。

このブログを読んで戴いている方には、スウェーデン在住の方も多いようですので、この場でアルバイトの募集をさせていただこうと思います。

お仕事の内容は、私の同僚の女医さんのお宅での、家事のお手伝いと、10歳のお嬢さんのお世話です。月曜日から木曜日まで、午後3-4時くらいから午後7時まで。夕食を一緒に取ってコミュニケーションをしたいようですが、そうするとその分遅くなるので、それはフレキシブルで良いようです。場所は、ストックホルム市内です。

彼女の旦那さんは英国在住の医師ですので、お嬢さんは英語とスウェーデン語が話せます。ですから、スウェーデン語は片言、という方でも大丈夫です。

まずは、このブログのプロフィール欄にある、メールアドレスへご連絡ください!

同性愛カップルも立派な家族です 

IKEAの最新店舗に使われた広告が論議を醸しています。

ゲイのカップルが手をつないで、IKEAで買い物をするという設定のポスター。

Siamo aperti a tutte le famiglie. by IKEA in Italy

(We are open to all families.)

同性愛カップルでも結婚が認められているスウェーデンでは、全く珍しくもない光景ですが、カソリックの伝統が強い、シシリア島のCataniaにオープンしたIKEAの広告ということで、かなり挑戦的にも感じられます。

 

‘With us you will feel at home. What we want to do is make life easier for everyone, every family, every couple, whoever they are.’

という意味が込められているのだとか。

 

IKEAはこれまでも、ゲイのカップルを題材とした広告を複数、使ってきたのだそう。

1994年がその初めでしたが、その広告を使ったのは、ほんの数週間。同性愛に反対する人達による爆弾による脅迫や、購買ボイコットに遭い、あえなく中断することに。

広告は、中年男性のカップルが、ダイニングテーブルを買うという設定。

その中の台詞。

”a leaf means commitment.”

そして最後に、

‘We’ve got another leaf waiting for when we REALLY start getting along’

つまり、子供を持とうということの比喩となる発言。

2007年には、「Living Room」というキャンペーンをIKEAは行います。リビングルームにいる、様々な家族を表現したものですが、最後に、

”Why shouldn’t sofas come in flavours, just like families?”

と締めて、異人種同士のゲイのカップルと、彼らの娘を映す。

 

スウェーデンにやってきて、すっかり、同性愛カップルに対する理解が深まり、偏見には反感を持つほどになった私としては、「IKEA、やるな!」と、応援のエールを送りたいくらいです。

蛇足ですが、私の好きなスウェーデンの歌手、Peter Jöbackもゲイで、昨年の夏、結婚式を挙げました。

 

同性愛かどうかが問題ではなく、本人が幸せであることが何よりも大事だと思います。

屈折した人種差別

スウェーデンで医師として働き始めてから、3年近くが経ちました。最初は、やはり言葉のハンデイがありましたし(勿論、今でも多少ありますが)、見た目も明らかに移民ですから、患者さんに信頼してもらえるかどうか、とても心配でした。また、医師の同僚や、看護師さんを含め、パラメデイカルに信頼されるかどうかも。

 

外来には、原則として予約の患者さんしかきません。あらかじめ、受診の案内の手紙が、患者さんへ届けられるのですが、その手紙には、予約の日時とともに、担当医の名前が記されています。非日本人にとっては、日本人の名前は、違和感があるにちがいありません。中には、「日本人だと思った」と言って、日本語で挨拶してくれる患者さんもいます。日本人は会釈をすることを知っていて、会釈をしてくれる患者さんもいます。幸い、今まで、移民医師であることで患者さんに嫌がられた経験はありません。むしろ、わざわざ指名してくれる患者さんもいるくらいで、そんなスウェーデン社会に、私は深い敬意と、感謝の念を持っています。

因みに、我が診療科の医師のうち、30%近くは移民医師です。日本人である私以外は、イスラム圏からの移民で、勿論、名前もそれとわかる名前です。

専門医受診には、診療所からの紹介状が必要です。毎日届く紹介状に目を通し、専門医受診が必要なものを選別し、受診が必要な症例には優先順位をつけて、外来予約をしますが、それは上級医の担当となっています。私もときどき紹介状の処理をしますが、その中にこんなものがありました。

 

16歳男性の肉眼的血尿。以前に、同じ内容で診療所から紹介状が届き、その紹介状を受けた上級医は、外来での膀胱鏡を予定しました。受診案内を受け取った患者さんの母親が、外来へ怒りの電話をかけてきました。その際の、看護師記録には、、、。

Hon avbokar läkarebesök p g a att hon inte kan acepterar att sonen ska träffa och bli undersökt av läkare med utlänskt namm.

(彼女(患者の母親)は、外来予約をキャンセルした。何故なら、彼女は息子が外国人の名前の医師を受診し、検査を受けることは、受け入れられないからである。)

彼の担当医は、膀胱癌チームのチーフである上級医。彼はイラン出身。優秀な外科医です。専修医が担当する外来もある中、本来ならば幸運であるはずなのですが、担当医の名前がイスラム圏の名前であるというだけで、拒否。しかも、患者さん本人ではなく、母親が。カロリンスカには、欧米からの医師も勤務していますが、欧米の名前を外国人と判別するのは難しいはず。つまり、中東やアジア、あるいは、東欧やロシアの名前にアレルギーがあるのか、、。

そこで、患者さんの名前をみて、再び驚きました。患者さんの名前自体、イスラム圏の名前なのです。母親も中東出身の移民。

この母親からの怒りの電話に対して、スウェーデン人である看護師さんが、どのような対応をしたか、、、。

看護記録は続きます。

Föklarar att alla våra läkare är kompetenta oberoende av nationalitet och ursprung, och att vi tar avstånd från sådant resonemang.

当診療科の医師は、国籍や出身に関係なく、コンピテンスがあること、そして、そのような議論は受け入れられないと説明。

そして、母親の要求には応えることはできないため、紹介状は、紹介元へ送り返すと。

 

かなり、感動しました。移民が移民医師を差別することも驚きでしたが、移民の身で十分な医療をスウェーデンで受けさせてもらっているにも関わらず、このような態度を取るこの母親に、怒りさえ覚えました。しかし、それよりも何よりも、スウェーデン人が、「差別を許さない」という断固とした態度で臨んでいることが、心の琴線に触れました。

 

最終的には、上級医が、紹介元の医師への返事を書くのですが、その返事も迫力のあるものでした。

「患者の母親が、外国人医師受診を拒否したため、紹介状は差し戻します。この患者さんに対し、今後、当診療科の予約を取ることはありません。当院以外の当該診療科で、外国出身の医師がいないところへ紹介状を送ってください。」

 

ときどき、患者さんと担当医の相性が悪く、患者さんから担当医変更の希望が出ることがあります。そのような場合は、患者さんの希望が通ります。今回のような、人種差別を理由とした担当医変更希望に、断固とした態度を示すスウェーデンの社会には脱帽です。そして、とても嬉しく思います。

 

専門医受診の際には、居住地の住所によって、管轄病院が決められているため、その病院を受診できなければ、全くのプライベートのクリニックを受診しなければなりません。ただ、半官半民のような病院もあって、この患者さんの新しい紹介状はその病院に送られたようなのですが、その病院から、事情を知らないまま、再度、我々へ紹介状が転送されてきたのを、私が処理することになったのです。私が自分で診察しようかとも思いましたが(どんな人間なのか、興味あり)、結局、転送し返すことにしました。

 

スウェーデン人の同僚や友人と忌憚の無い議論をしてみましたが、外国人医師に対して差別の気持ちを持ったことはない、ということでした。

人種差別の旗振りともいわれる、スウェーデン民主党を嫌う人間が多いことが示すように、スウェーデンは移民に鷹揚で優しい社会だというのが、これまでのスウェーデンでの経験を通して言えることです。勿論、細かいことを言えば、差別がないとはいいませんが、日本での男性優位の差別社会の方が、むしろ激しいと感じます。

 

あっぱれ、スウェーデン。ありがとう、スウェーデン。

 

 

 

今日の景色

この週末は、とても良いお天気に恵まれました。

ちょっとした水辺の光景にも、ストックホルムがとても美しい街であるということを、再認識させられます。

勿論、私のお気に入り、市庁舎も。

今日の夕食は、豚肉のグリル、グレービーソースとリンゴの付け合せ。赤タマネギとルッコラのサラダをたっぷり。

 

明日から、また新しい一週間。頑張らなくっちゃ!

医学研究成果のメデイアによる誇張報道

数日前のこと。出勤前にニュースを聴いていたら、「脊損患者に対する福音」と、最新のLancetに発表された論文の紹介をして、「脊損患者が歩けるようになる!」というような、嘘のような解説をしていました。

 

2011年5月20日付でLancetに発表されたのは、こちらの論文。

 

症例は、自動車事故による頚椎7番から胸椎1番の不完全脱臼による下半身麻痺となった、23歳の男性。2006年の受傷後、26ヶ月以上に渡る170回の運動訓練ののち、2009年に電気刺激装置を腰椎1番から仙椎1番のレベルの硬膜上に、手術的に設置した。この装置による硬膜外刺激により、重りによるバランスに対する補助のみで、4分から25分立てるようになった。また、歩行様の足の動きを認めた。

 

というような報告なのですが、これが、メデイアにかかるとこうなります。

一番ひどかったのが、大衆紙、Aftonbladet。

実は、オリジナルの記事には、「Mirakel- Han börjar att gå」(奇蹟だ。彼は歩き始めた)というタイトルが付いていました。

どこかの新聞ではないけれど、あまりにひどいタイトルだったので、あとで書き換えたようです。うーん、最初のバージョンを保存していなかったことが悔やまれます。

しかし、改定バージョンでも、「下半身麻痺の患者が、治療のあと歩いた。」となっています。

 

DNではこんな感じ。

「下半身麻痺の患者が、再び歩くことを学んだ。」

少しトーンダウンしています。

そして、SvD。

「下半身麻痺の患者が治療のあと一歩を踏み出した。」

この表現が最も事実に近い印象です。

 

その夜のSVT(スウェーデン国営放送)のニュースでは、神経科学の研究者や、医師などにインタビューをしていましたが、その中で、スタジオでインタビューを受けたのが、私のmentorでもある、Claess Hultlingでした。以前にも記事にしましたが、彼は30歳のとき、麻酔科研修中で、2週間後に結婚式を控えた日に、ダイビングで脊髄損傷を受傷します。その後、Spinalisといって、ストックホルム近郊中の脊髄損傷患者を集めて治療を行う、脊損センターを開設します。

そして、世界初の、脊損患者のIVFによる挙児に成功。

 

彼の解説は、自身が脊損患者であるからこその、重みのあるものでした。

「この研究は、脊損患者の多くを救えるものではない。この患者さんでは、解剖学的に脊髄は保たれており、自分のような完全脊損ではない。しかも、歩くということからは程遠い。」

 

また、この発言が特に重く響きました。

「脊損患者に、過剰の期待を抱かせることは好ましくない。自分を含めて、脊損患者にできることは、いろいろとある。にもかかわらず、過度の期待を持たせて、他にできることをせず、前に進めなくすることは、逆に人生の質を落とすことになる。」

 

これは、脊損患者さんの治療に留まらず、他の疾患にも通じることだと思います。末期癌の患者さんに、可能性はゼロではないといって、殆ど望みのない抗癌剤の投与をすることも多い日本の医療。希望を与えすぎて現実を直視しないことには、大きな落とし穴があると考えなければなりません。

 

脊損患者さんのQOLを上げるためには、運動機能の回復ではなく、排泄機能のコントロールや、疼痛コントロールなどの方が重要なのが現状です。

 

因みに、Lancetの題材となった患者さん本人のインタビューや治療風景はこちら。

それでも、研究における、こうした小さなステップが、新しい治療につながる可能性があるという夢をみることは、患者さんにとっても、そして研究に携わる人間にとっても、素晴らしいことだと思っています。研究者のはしくれである私にとっても。だからこそ、メデイアは、誇張するのではなく、真実を等身大に報道して欲しいと思います。


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