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IVFの父、ノーベル生理学・医学賞受賞!!!

本日11時45分に2010年のノーベル医学・生理学賞受賞者の発表がカロリンスカ研究所でありました。

The Father of the Test Tube Baby

Robert G. Edwards, the 2010 Nobel Laureate in Physiology or Medicine, battled societal and establishment resistance to his development of the in vitro fertilization procedure, which has so far led to the birth of around 4 million people.」



Edwards博士は1925年、イギリス、マンチェスター生まれ。

カロリンスカ研究所から発表された資料からご紹介。

「2010年のノーベル生理学・医学賞は、Edwards博士の「不妊治療における進歩である、IVFの開発」の業績に対して贈られる。現在では、全世界において、10%以上の人間が不妊症を抱えているともいわれる。1950年代にEdwards博士はIVFの治療としての可能性に気が付いた。いかにホルモンが卵巣の機能、卵子の成熟や排卵をコントロールするかという研究が彼にアイデアを与えた。体外で人間の卵子が成熟すること、受精することを初めて示したのは彼である。また、人間の受精卵が体外で初期胚や胚盤胞に成熟することを示したのも彼である。彼の業績の結果、1978年7月25日、午後11時47分、世界で初のIVFによる赤ちゃんであるLouise Joy Brownが誕生した。Edwards博士の研究は、生殖医療を進化させ、今日、IVFのおかげで400万人近い赤ちゃんが誕生している。」

という序文で資料は始まっています。

続いて、「Infertility is regarded as psychologically stressful by most individuals and can lead to depression, social isolation and a lower quality of life.」と、不妊症が精神的に与える苦痛や、生活の質について言及しています。

排卵から着床までを示した簡単な図が示されたあと、不妊治療の進化の歴史が述べられます。

「試験管内での受精については、初めは哺乳類ではない、例えば、海洋生物などで研究された。精子が卵子へ進入する様子は1851年に初めて寄生虫(Ascaris)でNelsonにより報告された。1935年には、アメリカのGregory Pincusが哺乳類(ウサギ)の卵子が体外で成熟することを報告した。1959年にはPincusと同じラボのMin Chueh Changが試験管内で成熟したウサギの卵子が試験管内で受精し胚に成熟することを示した。しかし、当時、精子が卵子を受精させるためには、体内で活性化される(capacitation)ことが必要だと信じられていた。」

「しかし、1963年に、Ryuzo YanagimachiとMin Chueh Changがそれは正しくないことを示した。彼らは、ハムスターの成熟精子が、体内での活性化なしに卵子を受精させ、2細胞胚までとなったことを観察したのである。」

Human invitro fertilization- a monumental challenge

「20世紀の初めに、研究者たちは人間の卵子を体外で受精させることができないかどうか考え始めた。1960年代初めまで、人間の卵子については殆ど研究に進歩がなかった。」

「Edwards博士は1950年代後半、ロンドンで不妊治療法の開発に関わっていた。最初に彼が解決した問題は、IVFに適した成熟した卵子を得ることだった。1965年、彼は、卵子がその成熟過程を開始するためには、体外での24時間の培養が必要であることを発見した。1969年には、ある培養液が人間の精子を活性化させ、受精に貢献することを示した。」

The Breakthrough

「Edwards博士は人間の卵子が体外で成熟することを示したが、2細胞以上まで成熟するこはできなかった。これは、卵子が体外で培養される時間が長すぎるからではないかと考え、今度は、体内で成熟を完了した卵子を使うことを考えた。つまり、排卵する直前の成熟卵子がIVFに適しているのではないかと考えたのである。」

(ノーベル賞審査委員会資料より:受精卵は8細胞胚となる2.5日目に子宮へ移植される)

「彼は、体外から供給される性腺刺激ホルモンにより、卵子の成熟が惹起されることを示したし、卵子の成熟のタイミングなどについても良く理解していた。しかし、次なる問題は、正しい成熟過程になる卵子を十分な数だけ、卵巣から採取することであった。1960年代には、人間の卵子を採取するためには、外科的に卵巣の一部を切除しなければならず、これはIVFには適さない方法であった。1968年にLancetに掲載されたSteptoe博士の「Laparoscopy and ovulation」という論文を読んで、彼はラパロスコピー(内視鏡手術)という新しい技術を知った。これを卵子採取に使えると考えた彼は、Steptoe博士に連絡を取って、1970年には、性腺刺激ホルモンで刺激した不妊症女性の卵巣から、ラパロスコピーで卵子の採取に成功し、これは1970年のLancetに掲載された。同1970年、この卵子を用いて、8細胞胚までの培養に成功し、その成果はNatureに掲載された。これは、体外で活性化された精子が2細胞以上の胚まで培養できた初めての報告であった。」

Fig. 3. Picture of 8-cell stage human embryo resulting from IVF (Fig. 2., in Edwards et al (1970) Nature, vol 227:1307-1309).

「1971年には、これもNatureに、「Human blastocysts grown in culture」というタイトルで、16細胞胚まで培養し胚盤胞を得たことを報告している。これらは全て、EdwardsとSteptoeの共著である。」

「1970年代に、EdwardsとSteptoeは、100例以上の症例で妊娠反応陽性を経験したが、ホルモン治療した女性においては、胚の着床障害が生じ、つまり、自然流産となることに気づいた。また、1976年の最初の妊娠例では、子宮外妊娠となってしまった。EdwardsとSteptoeは治療過程における、ホルモンによる卵巣刺激をやめることを決断し、1周期あたり1個の卵子しか得られないにもかかわらず、患者の自然周期に任せることとした。尿中の黄体ホルモンを計測することで、排卵直前のタイミングで、卵子を内視鏡下で採取することにしたのである。そして、1978年、世界初めての体外受精ベビー(試験管ベビー)が誕生したのである。」

Fig. 4. A copy of the Letter to the Editor in Lancet (1978) 2:366, documenting the birth of the first IVF baby, Louise Joy Brown.

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=pqu8Y4XGFK4[/youtube]

Further developments of IVF

Louiseが誕生したあと、EdwardsとSteptoeはケンブリッジのBourn Hallに不妊治療クリニックを設立した。Bourn Hall Clinicでは、1983年までに139名、1986年までに1000人の赤ちゃんが体外受精により誕生している。今日では400万近い赤ちゃんが全世界で誕生している(スウェーデンでは新生児の3%が体外受精治療で誕生しているとのこと。)。

Further medical developments

「その後、様々な技術革新がなされた。1984年には経膣超音波ガイドによる卵子採取法が報告され、全世界に広まった。1983年のNatureには「Human pregnancy following cryopreservation thawing and transfer of an eight-cell embryo」というタイトルで、8細胞胚の凍結が報告された。PGD(preimplantation genetic diagnostics)といって、両親からの遺伝疾患を子供が受け継ぐ危険を減らす目的で、着床前診断の手法も開発された。」

(1991年には、Intracytoplasmic sperm injection (ICSI)も開発されました。)

Health status offspring conceived through invitro fertilizatoin

「IVFにより出生する子供の健康状態についても、いくつもの報告がある。多胎問題は大きな問題であり、ヨーロッパの多くの国では、強制的、自主的に、「単一胚移植」を奨めており、多胎は劇的に減っている。しかし、未熟児出産の確率は、通常妊娠と比べて2倍と大きく、これは、母体の高齢化とともに、不妊の原因となるバックグラウンドが影響しているものとみられる。Beckwith-Wiedemann SyndromeやAngelman Syndromeの発生が多少多いことが知られている。外科的治療を必要とするような重篤な奇形の増加も報告されているが、十分検討されたものではない。

Ethical considerations

Edwardsは研究の初めから、研究が孕む倫理問題については検討しており、弁護士であるDavid Sharpeと共に論文も発表している。IVFの研究を始めた当初は、宗教団体や科学者からの批判も多くあったようである。」


Conclusions

私が訳すると、本文から受ける感動が薄れてしまうので、原文を載せます。

Robert G. Edwards has developed a method to treat human infertility. This discovery represents a monumental medical advance that can truly be said to confer the “greatest benefit to mankind”. Human IVF has radically changed the field of reproductive medicine. Today, 2-3% of all newborns in many countries are conceived with the help of IVF and many individulals that turn to an infertility clinic can be helped. IVF has also opened up new ways to treat many forms of male infertility. The development of IVF recognized by this year´s Nobel Prize Physiology or Medicine has touched the life of millions of infertile people, giving them an oppotunity to have children.

(Christer Höög, Professor of Cell Biology, Karolinska Institutet, Stockholm, Member of the Nobel Assembly)

関係者の話によると、審査委員会で採決されたのは、今日の朝。史上でも最高のノーベル賞だという自負があるようです。

ノーベルの遺書によれば、「人類の益となる研究」に与えられる賞であり、確かに、素晴らしい選択だと思います。

iPS細胞研究はIVF研究の流れを汲むため、山中先生の受賞は数年先送りになるとの予測。

IVF治療の将来は、未受精卵の凍結や、凍結未受精卵からの妊娠の確率が上がって、若い女性が積極的に未受精卵を貯金ならぬ「貯卵」するのではないかと、私は思っています。スウェーデンに住んでいると、キャリアのために出産を先送りにしなくても済むようなシステムがありますが、日本では後進国も良いところ。出産をしても、そのあとキャリアに邁進できるチャンスのある社会や、出産・子育てをしながら働ける環境、システム。男性、女性、両性の意識。どれをとっても日本はまだまだです。そんな社会で女性が頑張るためには、「貯卵」でもして、体内時計に心を痛めなくても良い状況を作るようになっても不思議ではないと思います。

アンテイーク市

今週末は郊外のKistaで、大きなアンテイーク市がありました。

写真が主なので、アンテイークに興味をお持ちの方はどうぞ。

入場料も130クローネと立派なものですから、どんな市なんだろうと期待して出掛けました。

大きな会場に数え切れないほどの出店があります。

少し前まで、アンテイークのコーヒーカップなどにお熱だった私。

あのTahitiもそこらじゅうにごろごろしています。Boro、Blue Aster、後方にはAdam。

陳列台の手前中ほどの、アラビアのバレンシアは、こちらのオークションサイトでもかなり高額で取引されている人気商品です。手描きで、これが描ける職人さんがいなくなったため、廃番になったのだそう。

右端の「Zebra」。Uppsala-Ekebyの前身、Gefle社のもの。街中ではあまり見かけません。

和の雰囲気もあり、私も好きな、ドレスデン。

これは、ノルウエーのアンテイーク。Figgio社の人気シリーズ、「Turi Design」の「Lotte」。こんなに揃っているのは、初めて見ました。

貴重なPyntaが山積みに!

Lisa Larssonもごろごろ。

この猫ちゃんが欲しかったけれど、とても良いお値段だったので、今回は鑑賞するだけに。

ライオンは以前、友人へのプレゼントにしたことがあるのですが、自分でも欲しいなー。


こんなのもスウェーデンらしい。

スウェーデンのガラス会社、Reijmyreの製品は人気。赤いガラスが素敵。

キッチン用品も可愛いのが沢山!

ろうそく立てや、古いリネン。

青い塗りも古きスウェーデン。

古いインテリア。

こちらは、「黒」のアンテイーク。

会場には、バーやカフェも。

その他、古いカードや、ありとあらゆるものを売っています。

小さなマーケットとの違いは、所謂、移民が殆どいないこと。10代、20代の若い人達が沢山いるのも印象的でした。

古いものを大切に使うという文化が息づいているのを感じます。

あまりに沢山のものがありすぎて、眩暈がしそうなくらい。

結局、私はといえば、スウェーデンのアンテイークではなく、イギリスの1920年代のマホガニーの台?を、かなりおまけしてもらって購入。

グランドピアノの側にこんなのを探していたのです。少し予算オーバーだったけれど、イメージ通りに収まって満足。

おうちでビストロごはん

最近、心身共に疲れていて、おうちごはんに気合いが入りませんでした。

お料理番組が大好きな私ですが、その中でも、「Halv åtta hos mig」(7時半にうちで)というTV4の番組は、時間帯も19時半から30分で良く見ています。スウェーデンのそれぞれの都市で、1週間あたり4人の民間人を集めて、4夜に渡り、それぞれのお宅を訪問し、前菜、メイン、デザートの3種類をそれぞれが調理し、10点満点で評価し合います。最終日の木曜日に結果が出て、優勝者は賞金を貰うという趣旨。今週はヨテボリからで、医師やCAなど4人が参加しました。その中で、評価が高く、そそられた前菜を週末に作ってみることに。

南米はチリの前菜で、「Ceviche」というものです。

材料(マリネ液): ライム 3個、オレンジ 1個、 レモン 1/2個、 赤いハバネロ 1/4個、 塩、胡椒 適宜

材料(A): サーモン 1サク、 ほたて貝柱 4個、 えび剥き身 100 cc、

材料(B): アボガド 3個、 トマト 2個、 紫たまねぎ 1個、 マンゴー 1個、 赤ハバネロ 1/4個、ルッコラ 適宜、 オリーブオイル 50 cc、 コリアンダー 1把

1) マリネ液を作る。

2) サーモンとホタテ貝の貝柱を角切りにし、マリネ液に漬ける。えびも加える。冷蔵庫で最低1時間寝かす。

3) アボガドとマンゴー(またはパパイヤ)を角切りにする。

4) トマトを角切りにし、種は除く。

5) 紫タマネギを乱切り、ハバネロをみじん切りにする。

6) 3)、4)、5)を2)に加え、1時間寝かす。

7) 盛り付け直前に、オリーブオイルと、粗く刻んだコリアンダーを混ぜる。ルッコラとともに盛り付け。

お料理の味だけでなく、盛り付けも大事な要素。折角なので、北欧食器いくつかに盛り付けてみました。

オレフォッシュのノーベルシリーズで、マテイーニグラスに見えるけれど、実はシャンパングラスと呼ばれているもの。ノーベルデイナーでも使われます。

同じオレフォッシュで、Edenシリーズ。これは今は廃番となった小さめの楕円形の器。ガラスでも温かみを感じさせる器。

スウェーデンブランドのBoda Novaの製品で、今年廃番となったSALT & SÖTTのシリーズ。きらきら光るカットがお気に入り。

日本でも人気のフィンランドブランド、イッタラ(Iittala)のKastehelmi。もともと1964年にデザインされたもの。ずっと廃番でしたが、今年、一部、人気モデルが復刻されました。こちらは、復刻版ではなくて、アンテイーク。

友人宅で見て、そのきらきらする美しさに惹かれ、オークションサイトでこつこつと集めました。こちらは、23clのボール。

この他にも、大きめのボール、17cmのお皿、26cmのお皿、そして、エスプレッソカップを集めました。

40年以上前にデザインされたとは思えない美しさです。実物はもっときらきら光ります。

本題、前菜の「Ceviche」のお味ですが、少しハバネロを入れすぎて辛くなってしまいましたが、エギゾチックで美味しい!きりっと冷えた白ワインとともに。

そして、今日のメインは、「ポルチーニのパスタ」。

まだ市場でポルチーニを売っていたので、生のポルチーニを豪快にオリーブオイルとニンニクで炒め、角切りトマトとルッコラを。

夢見心地になる美味しさでした。

味付けは塩胡椒のみ。こういうシンプルな料理が美味しいんです。

おいしいごはんを食べると、心も体も元気になる気がします!

与党連合、過半数の夢散る

水曜日までに明らかとなるはずだった、スウェーデンの総選挙開票結果。

ようやく先ほど、最終結果が出ました。

過半数は175議席。わずかに2議席届かず。

結局、スウェーデン民主党がキャステイングボードを握ることになりました。

選挙区によっては、与野党が伯仲していたため、ここにきて選挙方法についてのスキャンダルが次々と明らかになっています。

Värmlandでは、わずか7票で、与党連合が1議席を取り損ないました。

数百もの投票券が未発送であったり、期日前投票分が開票されるべき選挙区へ送られていなかったり、投票方法に問題があったり、、、。

すでに、「再選挙」を検討するための苦情申請がいくつもされているため、再選挙となるかどうかの決断は11月になされるようです、、、。

どんなことにも、「誤差」がありますが、選挙における誤差ってどのくらいなんでしょう?勿論、今回のスキャンダルのような、「ミス」は許されることではありませんが、、。

スウェーデンの社会保障の裏側

一通のメッセージが職場のメールボックスに入っていました。

「再診のお知らせが届いたのですが、私の今の経済状況で再診料の320クローネは払えないから、予約はキャンセルさせてください。もし、研究などの目的があって、無料で診てもらえるなら、喜んで行きます。」

差出人は70歳代のスウェーデン人の男性。

私が担当している外来は、大学病院の専門医の外来。ストックホルムでは、専門医受診は320クローネの受診料がかかります(2010年)。街の診療所の医師受診であれば、150クローネ。1年間の最大支払額が決まっており、支払いが900クローネを越えるとFrikortというカードが発行され、それ以上の支払いはする必要はありません。

受診料だけでなく、処方箋による薬の購入も、最大限度額が1年間あたり1800クローネと定められています。

余談ですが、最大限度額を越えたあとに処方される薬については、医師による「変更不可」の指示がないかぎり、同成分で安い後発医薬品に薬剤師が独断で変更するようになります。

前述の経済事情により受診をしたくないスウェーデン人男性。福祉大国スウェーデンでもこんなことがあるのです。

大学病院へは、スウェーデン人だけではなく、当然、移民、難民も受診します。

国連が定める難民に対しては、LMA(lagen om mottagande av asylsökande)カードが、移民局から発行されます。

これにより、難民は特別低額にて、医療を受けることができます。

因みに、街の診療所医師受診は50クローネ、診療所からの紹介状があれば、専門医受診でも50クローネ。

一回一医師一処方箋あたりの最高支払額も50クローネ。スウェーデン語および英語ができなければ、無料で通訳も頼むことができます。

数日前に診察したソマリア人の女性。スウェーデンで3回帝王切開をしています。しかし、スウェーデン語は全くできず、通訳とともに受診。二人とも、ニカブ着用。ニカブのいでたちをした人の膀胱鏡は流石に初めてでした。印象的だったのは彼女はとても美しい歯を持っていたこと。スウェーデンで通常診療科以上に実はお金がかかるのが歯科受診です。一回に1000クローネを越えることは珍しくありません。しかし、難民に対しては、1回受診わずか50クローネ、、。これは、彼女の美しい歯をみて私が妄想したこと。

スウェーデンで診療をしていて、ときどき考えることは、これだけ、移民難民に手厚い社会保障が、本当に継続できるのかということ。

例を挙げればきりがありませんが、、、。少し前に入院していた某国からの難民。実は隣国へも難民申請をしていて、その間に進行した膀胱癌が発見されました。隣国で放射線治療を受けましたが、スウェーデンの方が良い暮らしができそうだということで、スウェーデンへ入国。2年以上の収監となる罪でなければ、病院としては報告義務はない、というか、それ以前に、守秘義務があるようで、このケースも、移民局が知れば隣国へ送り返されるところですが、移民局は新たな難民申請のケースとして審査を開始します。彼には、既に4人の子供がおり、妻は妊娠中。ヘビースモーカー。当然、膀胱癌は喫煙が原因であろうことが推測されます。医師との面談には、某国の言葉でも特別な方言を話す通訳が必要。私が病状説明目的で面談をすると、「私の家族には今のアパートは小さすぎる。洗濯機もない。大きなアパートと洗濯機が、医学的に必要だという証明書を書いてくれ。」

流石の私も、心の中でぷっつんしてしまいました。

「私ができることは、あなたの病気の治療に関してであって、大きなアパートを手配することじゃない。」

スウェーデンに20年以上も住んでいるのに、通訳が必要な難民。

スウェーデン人以上に要求の多い難民。

スウェーデン人では殆どいない、「専業主婦」の多いこと。

難民を受け入れるということは、こういうことも含まれるんだ、と実感します。

難民とは無関係ですが、外来で多くみかけるのが、「疾病による早期年金受給者、(sjukpensionär)」です。

多くは、働けないほどの病気を抱えているとは思えません。

現在の政府は、sjukpensionärと認定する条件を厳しくし、新規sjukpensionärを50%にまで削減しました。このことを野党連合は、個別の不幸な例をいくつも提示して、与党を攻撃していますが、医療現場にいると、与党の方針は正しいと思えます。働きたくなくてsjukpensionärになろうとする人間を出来るだけ減らす努力をした上で、救われるべき人が制度上漏れてしまうのであれば、制度を修正していくべきではないかと。

「働く人が報われる」べきだと考えている私にとっては、今回、社会民主党が惨敗した(最終的な結果は明日明らかになりますが)ことは、おおいに歓迎します。スウェーデン人だけでなく、移民であっても、社会保障制度に、おんぶにだっこという状態は好ましくないと、医療現場で感じるからです。ですから、スウェーデン民主党の国会への参加で、良い形での移民問題の議論が行われることを期待しています。しかし、職場でも、スウェーデン民主党の話題が出ましたが、やはり「ラシスト」だという評価のようです。南スウェーデンには住みたくないな、、と感じてしまいました。

受診料が払えずに受診をキャンセルするスウェーデン人。どうして受診料が払えないのか、バックグラウンドは定かではありませんが、頑張って働いている人が報われなかったり、難民の方が逆に受診しやすかったりという社会現象に、いろいろと思いを馳せました。

この記事では、「移民を受け入れることのデメリット」が強調されてしまったかもしれませんが、実際にはデメリットばかりではありませんし、移民でも頑張っている人は沢山います。

私の同僚にも数名、戦争難民がいますが、彼らはとても真面目で優秀な外科医です。手術室を掃除してくれる難民の女性は、スウェーデン語も堪能だし、まじめだし、いつも明るく挨拶してくれる。やはり、「移民」が、「スウェーデン人」が、「日本人」が、ということではなく、個人の意識の問題なのでしょう。

選挙から一夜明けて

総選挙の結果は、、、。

各党の支持率はこのとおり。

これで、国会における議席数および与野党の勢力図は以下のように。

与党連合(M、FP、C、KD)は野党連合(S、MP、V)を議席数で上回るも、過半数を獲得できず。

SD(スウェーデン民主党は、5.7%の投票率を得て、議席数20を獲得。

与党が政局の円滑な運営を進めるためには、いずれかの勢力を取り込んで過半数とすることが鍵となります。

しかし、ラシストの悪名高いSDを取り込むわけにはいきません。そこで、狙われているのはM(環境党)。しかし、与党の最大党であるM(穏健党)はMと組みたくても、与党連合内で足並みが揃うかどうかは別。C(中央党)は、例えば原子力発電所を積極的に建設することを進めており、その点で、Mと真っ向から対立してしまいます。

現時点で、期日前投票された票のうち土曜日投票分と、海外からの票はまだ開票されておらず、その総数は15万票あるいはそれ以上とも。

この票は水曜日までに開票され、それ次第で、与党連合が過半数を獲得する可能性もないとはいえないとのこと。現在の勘定で、与党連合の議席数は172に対し、野党連合とスウェーデン民主党の議席の和は177。この差は、わずか7000票の差でしかないのだそうです。

今回の総選挙の台風の目となった、スウェーデン民主党。

移民問題、殊に、移民が絡む犯罪や失業率、スウェーデンへの融合がうまくいっていない南スウェーデンでは、ところによっては20%近い支持率を叩き出しています。どれだけ移民問題を抱えているかで、スウェーデン民主党への投票率に差が出てくるなら、ラシスト問題はさておき、何故そのような結果となったのかを検討するべきだと思います。社会保障制度に完全に依存しきっている移民が多いのも確かで、移民間でモチベーションの差が大きいことは、病院を受診する移民患者さんを診ていて感じること。できるだけ多くの移民が自立するための対策が必要と思います。

本日の夕方、ストックホルム中央のセルゲル広場で、スウェーデン民主党に対する、5000人規模のデモンストレーションが行われました。

Facebookを通じて、このデモンストレーションを呼びかけたのは、17歳の女の子。

スウェーデンでは、いかに、「人種差別」が忌み嫌われるものだということが理解できます。

私自身、スウェーデンで、今まで明らかな「人種差別」を経験したことはありません。日本ではこうはいかないかなと思います。しかし、いかに移民に優しいスウェーデンといえども、移民が絡む問題が大きくなっては、黙ってはいられないはず。

今回の総選挙の投票率は84%に上るとも。

投票しないことは、「権利を行使しない」のではなく、「義務を果たしていない」と判断されてしまいます。

選挙開票速報:投票終了後2時間

スウェーデン民主党がVågmästareとなるかどうか、ぎりぎりの攻防が続いています。

与党連合が単独で過半数を獲得できるかがかかっています。

社会民主党はスウェーデン全土で苦戦しており、議席を失うのは明らか。国会で最大党であった社会民主党ですが、穏健党がほぼ同数の議席を獲得しそうな勢いです。党首のMona Sahlinは部屋に閉じこもって出てこないとのこと、、、。スウェーデン初の女性首相と期待されていたのですが、、、。

投票終了後2時間半: スウェーデン民主党党首、Jimmie ÅkerssonがGärdetのvalvakaで演説。会場には大音響で音楽が流れ、フーリガンが集まったかと思われるような大騒ぎ。「Jimmie Åkesson, tjalalalala」と大合唱にさえぎられ、31歳の党首は、初めてスウェーデン民主党が国会に議席を得た喜びを表現した以外は大した演説もせず、、、。


選挙開票速報:投票終了後1時間

いやはや、大変な盛り上がりです。

総選挙の投票が20時に締め切られるとともに、開票が始まりました。

各政党はそれぞれの会場(valvaka)に集結し、大画面で開票の行方を見守ります。

現在の状況は、穏健党、環境党、そして、お騒がせスウェーデン民主党が票を伸ばしています。

社会民主党、キリスト民主党、中央党は低迷中。

各政党から中継をつなげていますが、もの凄い熱気で包まれています。ワインを片手に、スウェーデン中がお祭り騒ぎになってるみたい。

与党連合が過半数を取るかどうかは、微妙なところ。しかし、野党赤緑連合に対しては常に優勢。スウェーデン民主党は今のところ7%台をうろうろしており、このままいくと、国会へ議員を送ることのできる4%を越える見込み。

「SD vågmästare」とAftonbladet誌にも。与党野党伯仲の場合、国会での議決を左右するのは、スウェーデン民主党となる、ということを示したもの。

これだけ国中が盛り上がっていると、こちらもどきどきしてしまいます。

タラノシタ

街中の市場をうろつくのは、いつでも楽しいもの。

魚屋さんでは、どんなものがあるかウインドーショッピング。

そして、こんなものを発見!

「たらの舌」 (Torsk tunga)、1キログラム380クローネなり。

うーん、どんな風に料理するのか、どんな味がするのか、興味津々です。

秋の味覚、森のきのこたち

スウェーデンの秋は一瞬にして通り過ぎてゆきます。

スウェーデンの秋の味覚といったら、「きのこ」。

去年はきのこ狩りもしましたが、今年は市場で買ってみました。

黄色いきのこは、カンタレッラ(アンズ茸)。その隣は、カールヨハン、所謂、ポルチーニ茸です!

土曜日の夕方4時近く、市場が閉まる直前になると、「Halva priset、Halva priset!!! (半額、半額)」という声がそこらじゅうに響きます。

そこで、さらに値引き交渉をするのですが、調子に乗って、カンタレッラとカールヨハンを2キロずつお持ち帰り!

一部をすぐに調理して美味しくいただきましたが、とにかく大変な量のきのこ。考えて、これらを乾燥きのこにすることにしました。

一晩明けたところ。

カンタレッラ。

ポルチーニの石突の部分。

ポルチーニのかさの部分。

一晩明けたところで、ポルチーニの臭いがだんだん強くなってきて、気分が悪くなったので、ゲストルームにきのこたちを移動させましたが、それでもアパートじゅうに臭うため、バスタオルでドアの隙間を塞ぎました。

これで何とか生活できるようになりましたが、きのこがこんなに臭うとは、、、。

そして、完成した乾燥きのこ。

ポルチーニは悲しくなるほど小さくなってしまいました。高級食材の理由が理解できます。

次は、どんな料理に使うか思案中。


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